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Organic Life to all the people.

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国が推進する諫早湾干拓事業が引き起こした農民と漁民との対立。オーガニック野菜を作る農家などに多額被害も。それによる私たちへの直接的な影響とは。

アトピー性皮膚炎を患い、ステロイド剤による治療を受けました。治療中にステロイド薬害訴訟を知ったことで標準医療に疑問を持ち、食や生活環境を見つめ治すようになりました。現在は、信州にて農業を営む傍ら、雑誌やインターネットで記事の執筆、挿絵の制作などを行っております。

こんにちは。
あっという間に6月も下旬となりました。来月はもう、全国的に海開きの季節。
これからの季節、ご家族で潮干狩りなどに出かける方も多いのではないでしょうか。

私が暮らす信州には海がないため、海水浴の際は、どうしても近隣の新潟や愛知などに遠出をすることになります。
小学生時代の臨海学習では隣の愛知県まで潮干狩りに行き、この時に初めて実際の干潟を目にしました。
初めて自分で採ったあさりで、母と一緒に作ったお味噌汁はいつもより美味しく感じました。

干潟を歩く男女と犬


オーガニック農業を推奨してきた貴重な場でもあった、長崎県の干潟が今危ない。

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こうした干潟は、多様な生き物が存在し、様々な海産物が採れる貴重な場所でもあります。

常日頃安全な野菜を買うように心掛けているIN YOU読者の皆さんは、
この干潟を干拓農地にして有機栽培や減農薬栽培を推奨してきたことをご存知ですか?


その干拓地は、長崎県にある諫早湾干拓地(いさはやわんかんたくち)です。

テレビの報道などで干拓地の巨大な水門をご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。
 
諫早湾内を全長約7kmの巨大な堤防で締め切り、造成されたこの干拓地には、全長約670haの農地と農業用水を供給する為の調整池2600haがあります。
それまで干潟が堆積しやすく排水が困難だった諫早湾は、鎌倉時代から干拓により農地と排水の確保を行ってきました。

度重なる干拓によりできた諫早平野は、満潮時に海面下となることがあるほどの、低地帯で水はけが悪く、農業を行うには困難な土地でした。
また地理的に、集中豪雨に見舞われやすい土地でもありました。

干潟
その一方で、諫早湾は、季節や潮の満ち引きに応じて、漁が行える豊かな海でした。
夏の干潟ではアナジャはじコ、ムツゴロウなどが、満潮時には、ボラやスズキなどが採れました。

冬は、海苔の養殖や「タイラギ」という大型の二枚貝の漁が盛んでした。
これまでは小規模の干拓を繰り返し、農地を造成しながら、漁業と農業は共存を図ってきたのでした。

タイラギ

この諫早湾で農水省が行った干拓事業が、以下の目的で計画されました。


 ■防災機能の強化:高潮、洪水、常時排水等に対する地域の防災機能強化

 ■優良農地の造成:かんがい用水が確保された大規模で平坦な優良農地を造成し、生産性の高い農業の実現。

 ■食糧難解消 戦後の食糧難を解消する為のお米増産。


引用:諫早市 国営諫早湾干拓事業

この巨大事業により、1997年に堤防が閉め切られて以降、有明海には深刻な漁業被害が発生しています。

こうした漁業被害を受けて、堤防が閉め切られて以降20年以上に渡り、地元の漁業者の方たちは開門を要求してきました。

漁業者により事業を行った国に対して、開門を巡る訴訟も起こされています。

一方、干拓地の営農者も国を相手に開門差し止めの訴訟を起こし、昨年長崎地裁は開門差し止めの判決を出しています。

 先月、福岡高裁で行われた和解協議は決裂し、来月30日に判決が言い渡される予定です。

またこれまで国が開門を求める漁民に対して支払ってきた制裁金は、昨年11月に総額約10億円を越えました。
この制裁金は全て私たちの税金です。漁業者は、この今まで受け取った制裁金を、有明海の再生の為に貯蓄しています。
 


今回は、この諫早湾干拓事業による農業、漁業への影響についてお伝えします。


私たちに及ぼされる具体的な、影響

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まず読者さんが最も気になるであろう、日本人の食卓に及ぼされるリスクのある影響について。

● 魚介類が減少し、満足に食べられなくなる可能性。

● 工事による環境破壊によって有害物質の含まれる危険な魚介類や、海藻類が出回るリスク。

● 絶滅する魚介類も出る可能性。

● 長崎で収穫されるオーガニック野菜などの農産物にも影響が出て、購入が困難になる。

● せっかく頑張っていたオーガニック農家の栽培に大規模な悪影響が出て、現状でもたったの0.2パーセントしかなかった日本のオーガニック面積敷地がさらに減る。


なぜこのようになるのかについて、下記でお伝えしていきます。

農地の塩害やカモによる食害と、魚介類の減少


漁師の手元

かつて諫早湾で収穫されていたタイラギは、干拓地の堤防閉め切りが行われた2年後の平成11年から漁獲量が激減し、
昨年まで6季連続で休漁となりました。


平成13年には干拓事業工事の影響による海苔の不作も指摘されています。
海苔は、PH8.4以上の海水で代謝作用が弱り、正常な成育を阻害されます。

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平成13年に国会議員の指摘により、干拓事業工事に使われたセメント排水のPH値が8.4以上を示したことによる、
養殖海苔の生理障害が発生したことが明らか
となっています。

参照:平成十三年六月二十六日提出 質問第一一三号有明海再生のための諫早湾干拓事業中止と早期水門開放に関する質問主意書

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タイラギや海苔は、私たちの健康維持に必要な栄養素を多く含む食品です。以下を見てください。

■タイラギ


栄養成分:ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガンなど。
健康効果:疲労回復滋養強壮、高血圧の予防改善、動脈硬化の予防改善、高脂血症の改善、肝機能の改善、ダイエット。

■海苔
栄養成分:タンパク質、炭水化物、脂質、食物繊維、ヨウ素、亜鉛、鉄など。
健康効果:免疫力向上、疲労回復、動脈硬化予防、高血圧予防、脂質異常症の改善、血糖抑制作用、美肌効果、整腸作用、がん予防。



出典:食品の効果効能事典 


干拓地の農業にも以下のような影響が出ています。

サニーレタスの収穫

■野鳥による食害

堤防を締め切ったことで、調整池が淡水となりカモなどが飛来するようになり、大根やレタスへの食害が発生。

■冬場の冷害、夏の高温障害

レタスが凍って黒くなる。
夏場は厚くてシソしか栽培できない。

鴨

実は、こうした数々の問題を抱えた国営干拓地が造成されたのは、
諫早湾だけではありません。滋賀や千葉、金沢など全国各地で干拓地は造成されたのです。


こうした干拓地造成は、戦中から戦後の食糧難を理由に国が主体となり全国各地で進められてきました。
これらの地域で造成された諫早湾以外の干拓地でも、漁業への影響や排水不良などが発生しました。

中には諫早湾干拓地と同様に、漁業を廃業し、泣く泣く干拓地の農家に転身を図った方もいました。

また入植した農家にも大変な苦労が待っていました。
干拓地がヘドロ地帯であった為に、新に耕土を搬入し、多額の資金を投入し設備を整えてようやく農業に踏み出すことができたのです。

参照:人文地理 第51巻 第6号 (1999)
入植農家からみた干拓地農業の展開過程-滋賀県大中の湖干拓地の事例-山野明男
河北潟自然再生協議会 河北潟の自然再生構想


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決して他人事とは言えないこの問題。

これまで無意識のうちに貴重な農産物や魚介類の恩恵を受けてきた人もたくさんいるはずです。
では私たちが直接的、または間接的にこの問題に対して具体的にできる行動はどんなことなのでしょうか。

話し合いの場を作るよう国に意見しよう。

漁業に深刻な被害を及ぼしたこうした干拓事業。

多額の税金が制裁金して使用されてきた経緯を踏まえれば、私たちにとっても、この干拓事業は決して他人事ではありません。
今、この問題が解決しなければ、これから先も毎年、制裁金として多額の税金が投入され続けることになります。

その間にも、有明海の漁業への影響は深刻化していく可能性があります。

国は、こうした事業を推し進めた責任として、かつてのように農業と漁業が共存できるような解決策を提示していく必要があります。
先日、佐賀県山口祥義知事は、漁業者側と面談の機会を持ち、意見を聞く機会を設ける意向を示しました。

参照:
<諫早湾干拓>「農漁業両立へ開門を」沿岸4県漁業者集会「議論を尽くすべき」


私たちも、この動きを後押しし、対立する漁業者と農業者が同じテーブルで話し合いができるよう、
干拓事業を推進した農水省に連絡をするなどし働きかけましょう。


農林水産省 総合窓口


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干拓地の農家さんを支えよう。


諫早湾の干拓地では、入植した農家全てが減農薬・減化学肥料の環境保全型農業に取り組んでいます。
中には、苦労して安全性の高い野菜を栽培してきたにも関わらず、レタスやブロッコリーなどに野鳥の食害を受けた方もいます。


今年1月の毎日新聞には、こうした農家さんたちが、国や県、地主に野鳥対策を求めたものの、応じてもらえず、約4000万円の被害を受けていたことが報道されています。

農家さんたちは、野鳥の食害や冷害への補償を求めて、訴訟を起こし、干拓地からの退去を迫られています。
苦労をして、安全な野菜を生産してくれている農家さんたちの為に、私たちが出来ることは何でしょうか?


参照:毎日新聞 野鳥の食害被害で提訴 開門反対派から離脱へ

ブロッコリー
国の事業により干拓地に入植したことで、
逆に苦労を強いられている農家さんの生産物を買うことで、生計を支えましょう。

国が主導した干拓事業・・・。本当に必要だったの?


こうして戦後の食糧難を理由に次々と造成された国営干拓地。
戦後、全国で確かに食糧難は解消されましたが、日本の食料自給率は4割以下。

減反政策、農家の高齢化などにより耕作放棄地も増えています。

愛知学院大学・山野明男教授の論文「わが国の干拓地における土地利用の新展開」に国営拓地事業5カ所の調査では、次のような事実が報告されています。
5カ所全ての干拓地事業費は、総額は約1,278億円。

当初は、米増産を目的としていた5カ所の干拓地全てが、当初の計画から外れた利用法を行っていたことが明らかになりました。
中には、農地であった場所にごみ焼却施設を建設した干拓地もあります。

当初の目的から大きく外れ、農家と漁業者の対立まで生み出した干拓地造成は、本当に必要な事業だったのでしょうか?
裁判の行方を見守っていきたいと思います。



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