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イチゴにかけられる農薬散布回数は65回。多くの国内食材に残留農薬が含まれていることが明らかに。私たちは今何を選ぶべきか。

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農薬を使って行う慣行農法に頼る日本の農産物。


現在の私たちが日々口にしている野菜や果物。
それらは現在大半が農薬に頼っているのが現状です。

消費者としては、残留農薬の不安を考えると極力農薬使用は避けてほしいものですよね。

国がちゃんと検査をしているから、残留農薬など、含まれていないだろう
残留農薬についてシビアになるのは神経質だ
そんなこと言っていたら何も食べられなくなる


こんな意見を言う人もいると思いますが、

実際調べたところ、残留農薬が含まれているということが明らかになりました。


そういわれると、「神経質だ」などとは言っていられなくなるのではないでしょうか?

消費者の思いに対して、国や生産者は本当に何もしていないのでしょうか?

今回は、農薬の使用に関する現状を紹介し、私たちはどのように野菜や果物を選んでいくべきなのかを考えていきましょう。

実際のところどうなの?
食卓に並んだ献立の残留農薬は?


化学農薬の使用がなくならない現在、実際に私たちが手にする農産物にどのくらい残留農薬があるのか気になります。

これを読んでいるあなたも、

オーガニックってどんなメリットがあるんだろう・・


と思っている方もいるかもしれまんし、

オーガニックのメリットについて教えてください、と言われたら即答できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、目の前にあるその食材がいったい、何回農薬をつかわれているのか、

そしてそれらの残留性については、どんな方であってもとても気になるところなのではないでしょうか?

今食べているものに残留農薬が含まれているとわかれば、いい気はしませんよね?


対象となる農薬39種類のうち29種類について残留農薬が検出・・・


農産物ひとつひとつについて詳細に調べるのはほぼ不可能ですが、
厚生労働省が食品中の残留農薬の一日摂取量について、定期的に調査を行っており、参考にすることができます。
調査の対象になるのは農産物のほか、加工食品、魚介類、肉類、飲料水といった食品全般。

それらについてモデルとなる献立を設定し、全国16カ所の衛生研究機関が献立で使用される食品をそれぞれ一般流通経路で入手、同一手順にて献立を調理します。
完成された献立に対して農薬の定量分析を実施し、全国の検出結果をもとに残留農薬の平均一日摂取量を推計しています。

この調査の結果、対象となる農薬39種類のうち29種類について残留農薬が検出されました。



http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000115140.pdf


推計結果では、検出された農残留農薬の平均一日摂取量とADI値(Acceptable Daily Intake=全ての人が一生涯にわたって食べ続けても健康に影響がないとされる量)に対する比率を掲載しています。

この調査の結果、検出された残留農薬のADI比率は基準となるADI値の0.009%〜2.8%の範囲にあり、
厚生労働省では国民の健康に影響が出る恐れはないと結論づけています。

が、99パーセントちかくもの農産物が農薬を使われている今、ほとんどの方が複合的に慣行農法でつくられた産物を口にしていると思います。


一種類の農薬を毎日一生食べて病気にならない、、ということであっても、

1種類の食べ物ばかり毎日食べている人はどこにもいませんよね?
多くの方が10種類、いや多ければ30種類以上の食材を毎日食べていることでしょう。



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残留農薬が検出されたのも事実

表中にあるアセタミプリド、イミダクロプリドはネオニコチノイド系農薬と言われており、2009年に発生したミツバチの大量死の原因と疑いが持たれています。

またアセタミプリドについては、2004年に群馬県松食い虫の防除に同成分を使用した農薬を散布した後に、胸の痛み、不整脈、頭痛といったネオニコチノイド系中毒様症状を訴える人が相次ぎ、アセタミプリドとの関連の疑いがあると2012年日本臨床環境医学会にて発表されています。

http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/jjce21_1_24.pdf


イチゴは最大65回以上も農薬が使われている。


たとえばイチゴは果物の中でも無農薬栽培が難しいと言われています。

<一般的なイチゴの平均農薬使用回数>


 栃木県産・・・52回
 福岡県産・・・63回
 長崎県産・・・65回
(参考)青森県産リンゴの場合・・・36回
    青森県産イチゴの場合・・・40回


※扶桑社「希望のイチゴ 〜最難関の無農薬・無肥料栽培に挑む〜」より引用

イチゴは他の果物と比べて栽培期間が長いため、結果として農薬使用回数が多くなります。
南の地域ほど使用回数が多いのは、温暖な気候が関係しています。

古くから存在する「農薬」的行為と化学農薬の登場


農薬には、害虫や菌や雑草を駆除する目的があります。
古くは農家が総出で太鼓を叩いて虫を追い払い、天然由来の殺菌剤を使用し、手で雑草を抜いていく、という行為が戦前まで行われていました。

戦後、戦争で使われた兵器物質の再利用なども大きなきっかけとなり化学農薬の誕生によって収穫量は増大しました。

そして農家の作業効率化が後押しして、化学農薬は瞬く間に普及し多用されるようになってしまいました。


同時に、これらの化学農薬使用による農業従事者の事故をはじめ、農作物や土壌への農薬残留が社会問題になったのです。
政府はそれまでの農薬取締法を改正し、「国民の健康の保護」と「国民の生活環境の保全」に寄与する農薬の使用を規定しました。

現在は以前と比べれば毒性の弱く、残留性の低いものに移行しつつあるといいます。

しかし化学農薬は今も大量に使用されているのが現状です。

現に国内では慣行農法が9割以上を占めており、年々国で認められる新しい農薬の数の種類もどんどん増えてきています。


オーガニック農地の敷地は先進国の中では最低レベル。

私たちはこんな社会でどう生きていけばいいのでしょうか。


近年推奨される「IPM」と「生物農薬」のこと


農林水産省ではIPM(Integrated Pest Management)と呼ばれる体系の取り組みを生産者に推進しています。
これは、総合的病害虫・雑草管理を指し、病害虫の発生状況に応じて環境への負荷を軽減しながら病害虫の発生を抑えるというものです。
大きなポイントとなるのは、病害虫が発生しないようにする予防的措置により重点を置いていること、
また実際の防除について、微生物や天敵昆虫といった「生物農薬」や粘着版などを使用し、なるべく化学農薬に依存せずに、持続可能な農業を推奨していることです。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_ipm/index.html


生物農薬とは、特定の病害虫に対して天敵として病害虫を防除する役割を果たし、
農産物や土壌、人体への害がありません。また生産者にとっても農薬散布の手間が軽減されるメリットがあります。

生産者も取り入れ始めている生物農薬 −例えばイチゴの場合−

イチゴのの病害虫は多岐にわたりますが、そのひとつがハダニ。

そして現在ハダニに対して生物農薬が全国的に使用され始め、天敵昆虫となるチリカブリダニの導入が試みされています。
平成27年度の農林水産省の報告では、この取り組みによって、化学農薬の散布回数を3〜5割程度削減効果があったとされています。

生産者としては、生物農薬は化学農薬と比べて効果や品質の不安定という課題があるようですが、消費者としてはこうした、化学的なものに頼らない分野へのさらなる普及が進んでほしいものです。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_zirei/H27_jirei.html

“国民が一生涯に渡って毎日摂取したとしても健康に影響を生じるおそれはないものと考えられる”
その考え方の落とし穴


国が規定する内容は国民が毎日摂取しても問題ないと考えられる量ということ。

しかし、私たちの食卓に残留農薬が含まれている可能性がかなり濃厚であることは、不安が残ります。


そして先ほどもお伝えした通り

それらの複合的な影響は誰にもわかっていないのが現実です。


どうやって残留農薬を防ぐ?
私たちの農産物の選び方


以上を踏まえると、私たちが残留農薬のない農産物を選ぶのは至難の業に見えます。
では本当に為す術がないのでしょうか。

私からの提案をご紹介します。

http://tabe-photo.com/archive/tahata/mushi/entry-256.html

1.オーガニックスーパー、自然食品店を利用する

オーガニックスーパーや自然食品店では、なるべく化学農薬を使わずに育てた農産物や食品を仕入れ、販売しています。
こういった店舗を利用することで、一般のスーパーを利用するよりも、残留農薬のリスクを減らすことができます。また店舗によってはオンラインショップも対応しているので、こういった自然派ショップが近くにない人も利用することができます。

2.有機JASマーク商品を購入する

有機JASマークとは、化学肥料や化学農薬の使用をせずに育てた農産物に対して必要な検査を経て認定を受けた農産物に与えられます。消費者の混乱を避けるため、この認定を受けていない場合は「有機」や「オーガニック」を表示することはできません。
もちろん有機JASマークが付いていない農産物が必ずしも安全でない訳ではないのですが、店頭で購入する際の一つの指標にすることができます。

3.無農薬栽培をしている生産者から購入する

もし無農薬栽培をしている生産者とつながりがあれば、これがベストな選択でしょう。
またインターネットでは「無農薬」や「自然栽培」というキーワードで無農薬野菜を販売している生産者が多くいるので、オンライン販売を活用することもできます。

でもできれば自分の目で見て選びたい・・・という人もいるかもしれません。

そんな場合は、マルシェや直売所に足を運んでみては。
生産者とのやりとりを通じて安心な農産物を選ぶことができるかもしれません。

都内に住んでいる人でも、無農薬農産物を扱った直売所を探すことができますよ。

東京都では化学肥料や化学農薬を定められた基準以下に抑えられると「東京都エコ農産物認証制度」で生産者を認証する仕組みがあり、東京都のホームページで生産者の紹介と購入場所を公開しています。

このサイトの良いところは、各生産者の化学農薬・化学肥料の削減率が三段階で明示されていること。
25%以上削減なら「エコ25」、50%以上削減なら「エコ50」、全く使用しない場合には「エコ100」と認定され、生産者の顔や購入場所を知ることができます。
都内やその近郊に住む方、ぜひ一度ご覧ください。

※東京都エコ農産物認証制度 認証生産者一覧http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/norin/syoku/econosanbutu/seisansya1.html

ここまで、農薬の変遷や政府・生産者の取り組みについて紹介していきました。

残留農薬の不安が完全に払拭できた訳ではありませんが、
私たちが自分自身で見て・調べ、意志を持って農産物を選ぶことが、健康的な食生活につながっていきます。

消費者が安定的にオーガニックなものを選ぶことで、有機農業や自然農法をおこなう生産者の励みになります。

私たちができること、少しずつ始めてみませんか。


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コメント

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  • コメント (2)

    • 西尾 元
    • 2016年 10月 28日

    IN YOU の記事はよく纏まっていますし、参考にする内容も多く有意義なサイトだと思っています。
    そんな IN YOU でも?の内容を見つけたのでコメントいたします。

    この記事にある「有機JASマークとは、化学肥料や化学農薬の使用をせずに育てた農産物に対して必要な検査を経て認定を受けた農産物に与えられます。・・・」は、再度検証されたほうが良いと思います。
    有機JASマークは、何種類もの農薬を一定のレベルで使ってよいとする基準を設けています。私自身、これを知った時に少し驚いたのですが、消費者の思い描く「有機」と乖離していると考えるのは私だけでしょうか。

    • 松浦愛
      • 松浦愛
      • 2016年 10月 28日

      ご連絡ありがとうございます。

      ご指摘のポイントにつきまして、
      拝見いたしました。

      おっしゃる通りですね。
      担当したライターに共有の上、
      該当内容を修正させていただきますね。

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