ジョンマスターオーガニックの製品自主回収に学ぶ! ほとんどが偽物?!悲しき日本の「オーガニックコスメ」の実態


はじめまして。
フリーアナウンサー、マスターオーガニックコーディネーター
6歳と4歳、2人の娘の母でもあります、深井ゆきえです。
ジョンマスターオーガニックの自主回収騒ぎ、覚えていますか?

9月下旬、かの有名なアメリカ発祥の化粧品ブランド「ジョンマスターオーガニック」が
「一部成分表示の不備」があったとして、該当製品38品の自主回収を呼び掛けたことが世間を騒がせました。
株式会社ジョンマスターオーガニックグループHPプレスリリース
製品の自主回収に関するお詫びとお知らせ
自主回収に関するお詫びとご説明
誰もが知る「オーガニック」コスメの重鎮の、まさかの不祥事。正直私も、驚きました。
でも。
日本の「オーガニック」を謳うコスメのほとんどが「偽物」の可能性があるとしたら・・・
あなたは何を基準に商品を選びますか?
まずは、この騒動を振り返ります。
ジョンマスターオーガニックの商品自主回収が炎上したワケ

一部の不備なんかじゃなかった!
プレスリリースによると、「弊社が製造販売しておりますヘアケア及びスキンケア製品のラベルに、一部成分表示の不備があったことが判明」
したための自主回収、となっています。
でも「一部製品の一部の成分表示の不備」だけだったら、こんなにも大きなニュースにはならなかったはず。
では、なぜあれほどまでに大きな騒ぎになったのでしょうか?
炎上したワケ
理由として考えられるのは①おそらく日本一有名な「オーガニック」化粧品メーカーの不祥事だったこと
②該当する製品数が38商品と、ほとんどの製品に及んでいたこと
③一部の成分表ではなく、大部分が嘘の成分表示だったこと
④にもかかわらず、対応が「自主回収」→正しい「表示」の製品への交換のみで
本来、消費者が求めていたものとは全く違う中身のまま今後も商品が継続していくこと
ではないかと思います。
③については、比べてみれば一目瞭然。
参照:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「回収情報(医薬部外品・化粧品)」

まるで「別の商品」?「一部」のレベルではすまされないずさんな誤表示
化粧品は、薬事法により、使用した全ての成分を表示しなければならず(全成分表示)、
配合量が多い順(ただし、1%以下は順不同)に表示することが決められています。
詳しい成分表示の比較は、私の専門分野ではないので言及を避けますが、
いち消費者として見ても、表示の違いが決して「一部」ではないことは、明らかです。
例えば、「イブニングPシャンプー」の新旧それぞれの成分表示を比べてみると、
旧表示ではトップに表示されている「アロエベラ液汁」が、新表示では9番目。
新表示で一番多く含まれている主成分、つまり本当の商品の主成分は、「水」でした。
洗浄成分が強すぎると消費者が避け始めている「ラウレス硫酸Na」の代替品として
ドラッグストアなどで売っている安価なシャンプーに使われることの多い
「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」が3番目の表示、というのもショックですよね。
裏切られた消費者の信頼

プレスリリースによると
「上記の合成成分は、いずれも厚生労働省より化粧品への使用が認められている成分です。またこの他の成分はオーガニック又は天然由来であり、回収対象の38製品は、すべて、USDA(米農務省)が定める「70%以上オーガニック原料の製品」としての基準を満たしていることを確認しています。」
とありますが、正直、この説明で消費者の不信感を拭えるかというと、
厳しいものがあります。
これまで、おそらく
「高いけど、オーガニックだから」
「オーガニックだから、髪に、身体に優しいはず」
「高いけど、子どもには安心なものを使わせたいから」
「ちょっときしむけど(笑)それでも身体に良いものを」
などという理由で購入していた消費者からすると
「裏切られた」「消費者をバカにしている!」と怒りを覚えるのも当然。

私自身も、10年ほど前、オーガニックの勉強を始める前は
ジョンマスターオーガニックのシャンプーはとても良いものだと思っていました。
自分ではなかなか買えないけれど(だって高いですよね・・・)、
プレゼントされるとうれしかったことを覚えています。
周りのオーガニック志向の知り合いも、皆こぞって使っていましたし
ジョンマスターのシャンプーを取り扱っているからという理由で
美容院を変更した友人もいました。
でも・・・。オーガニックについて学びを深めていくうちに
わたしは、ある衝撃的な事実に直面したのです。
実は無法地帯!悲しき日本の「オーガニック」コスメ事情
「自称オーガニック」製品がまかり通る無法地帯
IN YOU読者の皆さんならご存知の方が多いと思いますが10年前、オーガニックに興味を持ち、学びを深めていく過程で私が一番驚いたこと、
それは日本のオーガニック認証「有機JAS」の対象は食品のみ、という事実でした。

つまり、化粧品などは有機JASの対象外なので、公的な認証制度が存在せず
オーガニックの観点から言えばいわば無法地帯なのです
一体どういうことなのか、ちょっと難しい用語も出てきますが
わかりやすく説明しますね。
日本の公的オーガニック認証「有機JAS規格」は食品のみ

農林水産省のJAS法、つまり国の法律で定められています。
有機JASにおける「オーガニック」=「有機」とは
化学的に合成された農薬や肥料を原則使わず、土壌が本来持っている力を生かし環境に対する負荷をできる限り少なくして栽培する方法のこと。
(有機肥料を使っている農法、ではありませんよ!!)

1999年に国連の下部組織であるコーデックス委員会で定められた「コーデックス規格」をもとに作られました。
また有機JAS認証では生産・製造方法だけでなく、その後の小分け・管理・流通方法に至るまで、厳しい基準を定めています。
有機JASの対象は4つ
①有機農産物
②有機加工食品
③有機畜産物
④有機飼料
②有機加工食品に関しては水と食塩を除く原料の95%以上がオーガニックであること
と定められています。
これらの品質を保証するマークが有機JASマークであり、
登録認定機関という利害関係のない第三者機関の認定を受けなければ
このマークを貼ることはできません。
国内では有機JASマークの付いた食品にだけ「有機」や「オーガニック」という表示ができるので、
有機JASマークがないのに「オーガニック」「有機」などと表示して販売した場合は「JAS法違反」に当たり、
以下のような厳しい罰則があります。
個人:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
法人:1億円以下の罰金 プレスリリースが出されます
参照 農林水産省HP
でも・・・これらの対象は残念ながら上記の食品のみ。
コスメやコットンなどは、対象外です。
このため、たとえシャンプーの全成分の1%でもオーガニックの原料を使っていれば
それは「オーガニックシャンプー」と謳い販売することができるのです!

医薬品、化粧品は「厚生労働省」
コットン、アロマなどは「経済産業省」
お酒は「国税庁」というように、それぞれの管轄が異なるため、
せっかくの認証制度が活かされていない。日本の縦割り行政の弊害ですね。
(※コットンに関しては民間のテキスタイル認証「GOTS認証」を2011年、米国農務省(USDA)がオーガニックと認めると発表して以来、知名度・信頼度が上がっています。)
海外では考えられないことです。
だったら、
海外の認証マークをチェックすればいいのでは?
と思ったあなた。
確かに、海外の認証マークは一つの目安になります。
でも、有機JASマークのように、「マークがあれば本物」というわけではないのです!
各国各地域でバラバラな認証基準

本来、化粧品についても「オーガニック」と表示するならば
原料となる植物が、上記の有機基準に沿ってつくられていることが必要で
有機加工食品と同じ「95%以上」がオーガニックであるべきだと個人的には思います。
でも、オーガニックコスメに関する基準は、
それぞれの国や地域、認証団体によりばらつきがあるので、
たとえば原料の70%しかオーガニック成分でなくてもOKとする機関もあるんです。
オーガニックの共通基準 コスモススタンダードを知っていますか?
この乱立状態を何とかしようと、数年前から
欧州5ヶ国の認証団体(ドイツのBDIH、フランスのコスメビオ、エコサート、イタリアのICEA、イギリスのSOIL ASSOCIATION)が協議を重ね
オーガニックコスメに関する統一基準「COSMOS」を策定、2017年から運用されています。
参照
バラバラだったオーガニックコスメ基準の、世界で初めての共通スタンダード。
期待できる部分も大きいですが、でもこの仕組み、消費者にとってはちょっとわかりにくいんです。
コスモススタンダードは2種類ある!
「オーガニック」と「ナチュラル」は別物です!

コスモススタンダードには、「コスモス・オーガニック」と、「コスモス・ナチュラル」
の2つの基準があり、これ、それぞれの認証マーク、たとえば「エコサート」の認証マークの下に小さく
「COSMOS ORGANIC」 「COSMOS NATURAL」と書かれていることが多いんです。
参照
コスモス・オーガニック基準には、「水と鉱物を除く成分のうち、95%以上がオーガニックでなければならないという基準」があります。
前述した食品と似ていますね。
でも、コスモス・ナチュラルでは、原料にオーガニック成分の有無は言及されていません。
つまり、コスモス・ナチュラルの製品はオーガニックと呼んではいけないと思います。
ですので、これまでのように「あ!エコサートのマークがある」と飛びつかないように、
マークの下に書かれている小さな文字まで見落とさないように、注意が必要です。
また、「コスモス・オーガニック」においては石油系合成成分が、一部「使用可」とされています。
オーガニック製品にたとえ微量でも石油系合成成分がOKとされていることについても賛否両論わかれているところです。

私たち消費者はどうすればいいのか

「ジョンマスターオーガニック」の信じられない自主回収騒動から、
ここまで、日本のオーガニックコスメの現状について見てきました。
では、私たちは何を基準に商品を選べばよいのでしょうか?
・オーガニックと書けば飛びつくだろう
・天然由来、植物由来、ノンシリコン、ノンパラベンと表示すれば買ってくれるだろう
そんなメーカー側の思惑?に騙されないために。
基本スタンスは、食べ物もコスメも同じと考えます。
本物を選ぶために私たちができること
①必ず成分表示をチェックすること
とにかくこれは、鉄則です。私は、裏の表示を見ないで商品を買ったことはありません。②表示がシンプルなものを選ぶこと
わからない成分があれば、ネットの成分表示辞典などで調べれば、概要はわかります。
③もし本当にオーガニックコスメを選びたいのなら
信頼できると考える認証マークのリストを作っておくこと
商品の裏にある認証マークの意味を理解すれば、その商品が本物かどうか見わけがつくようになります。まずは自分で調べる習慣を

わたしは、自分と家族の健康を守りたいという思いから
安心安全な食材を手に入れるためのひとつの知識・知恵として
オーガニックという考え方に共感し、楽しく適度に生活に取り入れています。
オーガニックが完璧だとか、すべてだとは思っていません。
食べ物もコスメも、体質により合う、合わないがありますので
必ずしも、オーガニック=安全 というわけではないと思っています。
でも!オーガニックだと思って買っているものがオーガニックじゃないなんて。
そんな悔しいことだけは絶対に嫌。
これ以上、私たち消費者の声がないがしろにされないためにも、
真面目にオーガニックに取り組んでいる生産者、製造業者などを応援するためにも、
ブランドや商品のパッケージや、魅力的なキャッチコピーに振り回されるのではなく
(悲しいけど)まずは疑うこと。自分で調べること。
そして、本物を選べる賢い消費者になりましょう!!
エコサートマークのついたシャンプーについては以下の記事へ
日本初! 厳しい世界基準のエコサートCOSMOS認証を得た次世代オーガニックヘアケア「ドットエヌ」で本気の髪育始めませんか?
IN YOUMarketでオススメのオーガニック商品を探してみよう!

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