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微生物の力を毎日の食卓に『おうちで育てる本醸造醬油』の作り方と、子どもたちとつくる伝統調味料。

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子どもたちとつくる伝統調味料☆微生物の力を毎日の食卓に『おうちで育てる本醸造醬油』


1 醤油のいま・むかし

こんにちは。「いつもがわくわく☆こどもてらこや」主宰の柳原です。
毎日の食に欠かせない調味料といえば「醤油」ですね。

煮っころがし、きんぴら、煮魚、照り焼き、炊き込みごはん、すまし汁など、調理の段階で加えるだけでなく、冷やっこ、おひたしなど、各自の調味用に食卓に置かれる定番の調味料です。和食にとどまらず、おせんべい、うどんやラーメンのスープ、そばやそうめんのつけ汁、焼肉やステーキのたれなどの他、デザートの隠し味にも。

私の祖父母の世代は、醤油も油も瓶詰めが主流で、小売りの方に台所まで運んでもらっていたそうです。
私の母が子どもの頃は、行商の方が回ってきたら、容れものをもって買いに行く係だったそう。

しかしその後、醤油は

「大規模な工場でオートメーションでつくられ、スーパーに並ぶもの」

になりました。
わたしたちの世代以降、こどもたちにとっては、それが「普通」です。

 けれど昨今、昔ながらの作り方でこだわりをもって醸造されているお醤油屋さんたちが、
ワークショップ、手作りキットなどを通じて、伝統調味料の在り方を伝えてくださる機会が増えてきたように思います。

2 発酵調味料の歴史

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 まず、魚や肉を塩漬けして作る魚醤・肉醤など「動物性調味料」が先に生まれたと云われています。
日本では、

縄文時代

の遺跡から、動物性調味料の跡が見つかっているそう。

 その後農業の発達とともに、穀物を塩漬けして作る「穀物系調味料」が、材料を安定して手に入れられ生産しやすいため発展したといわれています。
 穀物系の調味料の最古の記録は、中国最古の農業書『斉民要術』で、黒大豆をつかった「醤(ジャン)の作り方」が書かれているそうです。

日本では、701年大宝律令で、宮中の食事を担当する大膳職(おおかしわでのつかさ/だいぜんしき)に、
さまざまな「醤(ひしお)」を扱う役所「醤院(ひしおつかさ)」が定められています。
つまり、それまでに宮中の食生活に欠かせないものとなっていたことがうかがえます。

 

奈良~平安時代

(710~1185年)も、醤は、今の醤油と味噌の中間のようなものでした。
宮中の宴会の膳の上には、「塩・酒・酢・醤」を入れた「四種器(よぐさもの)」とよばれる小さな皿が用意されており、各自が卓上で調味していたそう。

 

鎌倉時代

(1185~1333年)に金山寺味噌の作り方が伝わると、味噌をつくる途中で出てくる液体が今の醤油に近く、元になったという説もあるようです。

 

室町時代

(1336~1573年)に、現在のものと同じ醤油が製造され、盛んになり、当時の国語辞典にも記載されるほどになりました。
1474年「文明本節用(ぶんめいぼんせつようしゅう)」には「漿醤」に「シヤウユ」と読み仮名がふって記載。
安土桃山時代1597年「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」に「醤油」「シヤウユ」と記載。
 
その後、地域の特性に合うさまざまな醤油に発展し、現在は

濃口しょうゆ、淡口(薄口)しょうゆ、再仕込みしょうゆ、白しょうゆ、たまりしょうゆ

の5種類があります。

3 本来の醬油と醤油「風」調味料

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本醸造醬油

の本来の原材料は、

丸大豆、小麦、塩

です。 
 少なくとも一年から一年半、じっくりと時間をかけて発酵させるのです。

 こどもてらこやでお醤油を仕込む前に、小豆島のお醤油蔵をいくつか回り、それらわずかな材料から、馥郁(ふくいく)たる伝統調味料が育つ様子を見学してきました。
長年のもろみ醤油がしみ込んだ大きな杉の樽を前に、奥深い微生物の世界とひとの手で育てるという先達の智恵に、感服するばかりでした。

同じお醤油でも、パック売りのお弁当などについてくる醤油風調味料には、同等の材料費や手間をかけられないのは自明です。
ですから、本醸造ではなく、混合醸造という作り方です。

 

混合醸造

では、丸大豆の代わりに、油を搾った後の「脱脂加工大豆」を使用することで、コストが大幅に抑えらることが多いです。
ちなみに「脱脂加工大豆」は、安価に、より多くの油を摘出するために薬剤が使われることが多く、その表示義務がない上に、残留が心配されています。

 油とともに落ちてしまった「旨味」を補うための、

アミノ酸液、糖類、アルコール、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ステビア、甘草)


また、長期間の熟成をさせないことで「色」が薄く、それを補うために

カラメル色素

が添加されることが多いのです。

メーカーが消費者に選んでもらうために流す「コマーシャル」は、おもしろいストーリーや、
人気のあるタレントさんが出ておられると、商品の知名度も高くなります。

けれど、

毎日からだに取り入れるものが、からだを作ります。

だから、原材料を確認し、納得して選びたい。

本物の材料で、じっくりと育ててくださっている。そんな醤油屋さんから買う。
「買う」ことは、その在り方に「賛同している」「応援する」ことになります。

すると、真摯に、作り続けてくださるお店や、新たに始められるお店が、残ってくださることにつながります。

4 おうちで育てる本醸造醬油

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奈良県の素敵なお醤油屋さんと手作り暮らしの友人から、少量の材料を、瓶やペットボトルに仕込む方法を教えていただきました。
とても奥深く、繊細な発酵の世界を、はじめての人でも家庭で体験できるように、分かりやすく愛情たっぷりに伝えてくださいました。
 
 一度育ててみると、

〇本当に必要な材料を「見る」ことができる。

  難しいたくさんの材料を入れることなく、よく知っているシンプルな原料だけでできるということも。

〇熟成までの期間、毎日を共にし、それだけの長い間育てることは、場所を長くとり、回転率は良くないと「実感」する。

〇オートメーション化される以前は、ひとの手だけで作られていたものを、本当に作れるということを「体感」する。

〇うまくいかなくてもいい。心を込めて、作ってくださっているプロフェッショナルの方たちのすごさが、しみじみ「感じ」られる。

〇今後は、そういう真摯な方々やお店を選び、ふさわしい対価を渡す「お客さん」を育てられる。


こどものみなさんは、自分で自由に描いたラベルを貼りましたよ。

二年目の夏に、数本のうちの一本のふたがぽーんと飛んで、壁や天井にもろみが飛び散りました。
タオルで拭きながら、微生物はちゃんと「生きている」ということを実感したのでした。

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【材料】

醤油麹 (大豆 ・ 小麦 ・ 醤油用種麹) 160ℊ
・塩 40ℊ
・水 200㏄


*配合は一例です。

【作り方】

1新しいきれいな容器に、醤油麹を入れます。

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2ボウルに水と塩を入れて溶かし、容器に入れます。

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3容器をよく振り、醤油麹と塩水をよく混ぜます。


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【育て方】

*常温で、毎日目の届く、直射日光のあたらないところに置きます。
*容器を振ることで、発酵を助けます。
*もろみの発酵で出る炭酸ガスのため、密封して破裂しないように、ふたを開けておきます。
*ふたは、ほこり防止に乗せておくだけにします。振る時にふたを閉め、終わったら元に戻します。
*万一、炭酸ガスでボトルがふくらんでしまった場合は、少しずつキャップをゆるめ、ガスを出してください。

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1<2月仕込みから1週間> 毎日1回 振ります。 

 仕込みからすぐに、麹菌の酵素の働きで、原料の成分は分解され始めているそうです。

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2<~2週間> 毎日1回 やさしく振ります。

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3<~3月> 2~3日に1回 やさしく振ります。 

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4<~5月> 1週間に1回 やさしく振ります。 

 表面が乾いていればその時に振り、塩水が上がっているようにします。

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5<~7月> 発酵したら 毎日1回 振ります。


気温の上昇とともに、酵素の分解速度が上がります。泡が見えたら、発酵の合図です。 
*まず乳酸菌がゆるやかに乳酸発酵 → 主発酵酵母が元気に酵母発酵 →後熟酵母が穏やかに発酵

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6<~9月> 発酵が落ち着いたら、3日に1回 振ります。

いま、ここです。
しぼるまで、まだあと半年あります。
白い斑点(産膜酵母)は、無害ですが風味を悪くするので、見つけたら振って、もろみの中に混ぜてしまいましょう。

7<10月~2月> 1週間に1回 やさしく振ります。 

熟成しています。
もろみはもう食べられるので、少し味見してみましょう。

8<2月> しぼります。 

  フィルターに入れて、ぽたぽた。「火入れ」せずに味わえるのも、自家製ならでは。
 *材料、工程は一例です。

5 さいごに

 日常の中に受け継がれていく先人の智恵と、目にはみえない微生物のみなさんの力。
ずっと私たちを助けてくれているのですね。

「本当のモノ」を選ばれ、どうぞおなかの中からすこやかな毎日をお過ごしください。


農薬不使用の醤油麹を買ってみよう

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[参考:しょうゆ情報センターHP・日本食文化の醤油を知るHP・片上醤油「マイ醤油作り教室発酵管理の手引き」・ミツル醤油「醤油仕込みの工程」]

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