梅の効能だけではない!「梅仕事」本当のメリット。梅干し作りで失敗しないポイントと、初心者でも簡単に作れる小梅の醤油漬けの作り方
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
毎年梅雨の時期は梅仕事、とりわけ梅干し作りにチャレンジしてほしい!
今年も梅の出回る季節になりましたね。
庭に梅の木がある方や友人知人から庭でとれた梅をいただくという方もいらっしゃるでしょうし、
地方に行けば安く無農薬の梅が売られていることも多いです。
(※IN YOUMarketの有機青梅は発売してすぐに、売り切れてしまいました。)
梅仕事といえば、小梅漬け、梅肉エキス、梅酒、梅ジュース、梅干し、梅ジャム、紅しょうがなど、
ずいぶんたくさんありますが、梅が大きく育ち、熟していくに任せて自然に進めていくと、
気づけばあっという間に終わっているものです。
これまでもIN YOUでは、梅を使った保存食やその効能・活用法について数多くお伝えしてきました。
★そろそろ梅仕事の季節です。梅シロップ、梅ジャム、梅干し、味醂漬け。生梅の活用術・使い回しレシピ。
★冷蔵庫の中で眠っていませんか?日本の知恵が凝縮された「梅干し」の驚くべき栄養成分と12の健康効果・効能
料理研究家の辰巳芳子さんが、保存食を「仕込みもの」と呼び、
梅干し作りについて「息長い、一連の気のおけぬ手わざ。気組み(物事をしようとするときの積極的な心構え。意気込み。)
なしには終えぬこと」と書いておられますが、本当にそのように感じます。
「仕込む」とは「仕え」る、そして「込める」ということですが、日常の料理とは一線を画し、
自然や素材に従って、思いを込めるということがこれほど大切な仕事はないとさえ思えるくらいです。
そして、自分が心身ともに元気でないと取り組めません。
昔から「体調の悪い時には梅をさわるな」と言われているほどです。
(梅干し作りを失敗すると身内に不幸が起こるとも言われており、実際にそうなってしまった知人もいます。)
1つ1つの作業に気を使うということもありますが、1日の作業で終わるものではありません。
梅雨の入りの下準備から梅雨明けの土用干しまで、
カビの防止などすみずみまで気の抜けない日々が続きます。
過去の自分の梅干し作りの記録の中でも、
「(梅仕事の)本格的な闘いは、梅干し作り。」
「今年も気合い入れて頑張ろう。」
と書かれてあったのを見つけて苦笑しました。
作ることで学ぶことが増え、そして食べることで健康になれるう梅干し作り
梅干し作りは、慣れるまではたった梅2kgを漬けるのでも難しい仕事なのですが、
めんどくさいからとやめてしまわずに、
毎年作り続けることで自分にとって学ぶことが増えますし、
食べることで健康にもなれますし、
若い人にこそぜひチャレンジしてほしいです。
重要な和食文化の1つが失われる危機?
2013年12月に、「和食~日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産として正式に登録されました。
農林水産省のHPでは、このように書かれています。
南北に長く、四季が明確な日本には多様で豊かな自然があり、
そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきました。
このような、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を、
「和食;日本人の伝統的な食文化」と題して、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
日本ならではの梅雨という季節に収穫される自然の恵み、梅をいただいて作る梅干しこそ、
和食文化の真髄とも言える食べ物ではないでしょうか。
しかし、この大切な食文化が消えてしまう可能性があるのです。
梅干しを食べる人が減少!!しかも購入する人の多くは高齢者。
以下のデータをご覧ください。
★梅の単価推移と消費動向(紀州田辺うめ振興協議会)
昭和55年から平成14年にかけて、梅干し購入額が増加していますが、
これは「梅干しを食べる人が増えたから」ではなく、
「自分で漬けることをやめた人が増えた」ことを意味していると考えられます。
昭和の時代に梅干し購入額が少なかったのは、自分で漬けることが当たり前という人がまだ多かったためです。
そして平成14年以降は減少傾向にあり現在では横ばいが続いていますが、
年齢別の梅干し購入金額・購入数量を見ると、若い世代よりも圧倒的に高齢者の消費が多いことがわかります。
これは少子高齢化が進み、手作りする人も購入者も減少傾向にあることを示唆していると思われます。
全国的な農業人口の減少とともに、年々梅農家も減少しているといいますが、
残った梅農家は国内消費拡大ではなく、海外輸出に活路を見出しているようです。
これは今後、日本で梅干しを作る文化はおろか、食べる文化すらも廃れていくことを示唆しています。
また、食べる文化がかろうじて残っていても、本物の梅干しがなくなってきているのです。
こちらもご覧ください。
★日本のスーパーから姿を消した「本物の製法で作られた梅干し」。梅干しはどこへ行ったのか?「偽物」が並ぶスーパーの梅干しについて。
しかし、自分の手で、
本物の梅干しを作り続ける意義やメリットは実はとても大きいのです。
梅干し作りの意義や素晴らしさ。実は学びの連続であり、自分を映す鏡です。
人間は自然に生かされていることにあらためて深く気づく。
農業などを生業としているなら、自然と関わって生きるということを嫌というほど感じざるを得ませんが、現代人の多くは自然との関わりをあまり感じることができません。
食べ物は農家や企業が生産したものをお金で買うというのが当たり前です。
梅干し作りは、自然と自分は切っても切れないということに気付かされます。
食べ物を得るには、自然の影響にこれほど左右されるのかと驚きます。
とにかく天気が気になります。異常気象に敏感になります。
近年の温暖化のせいか、毎年やきもきすることだらけです。
・梅の出回る時期がいつもより早かったり遅かったりすると心配になります。
・赤紫蘇が適切な時期に店に出回るかも気になります。
・梅雨明けが曖昧でなかなか発表されず、土用干しが8月下旬になった年もありました。
・ゲリラ豪雨や台風、竜巻発生にも悩まされ、土用干しをいつにすればよいか悩んだことも。
・屋根に穴があくかと思うようなひょうが降ったこともありました。
・昨年の夏の、あまりの曇天続きには驚かされました。
人間が「作る」という考え方はもはや、傲慢
地球温暖化や異常気象はもう他人事ではなくなります。自分のライフスタイルを見直すきっかけにもなりました。
梅干しを作っていて感じるのは、「人間が作る」という考えは傲慢だということです。
梅に赤紫蘇、塩、最適な気温、天候、太陽の光など、
あらゆる自然の恵みを利用して作らせてもらっているということに気付かされます。
あらゆることが整っているからこそおいしい梅干しができるんだと思うと、
人間は自然から切り離された存在であるとか、自然を支配する存在とかではなくて、
自然の恩恵を受けてこの地球に生かされている一員なんだとあらためて深く気付かされます。
そして何よりも、そういったことを次の世代にしっかりと伝えていく必要があると思うのです。
特に、お子さんがいるおうちはぜひ一緒に梅干し作りをして、
一連の仕事を通じて自然との関わりを感じてもらいたいです。
自己啓発本をたくさん読むより梅干し作り!梅仕事で、自分の姿がよく見えます。
自然に対する気づき以外でも、自分に対する気付きや学びも数多くあります。
よりより自分になりたいと自己啓発の本を多く読むこともあると思いますが、
梅干し作りで手を使って作業することで自分の姿がよりよく見えるということもあります。
梅干し作りは自分の姿が如実に現れます。
毎年続けることが大切で、その年にうまくいった点、反省点、申し送り事項などを、ブログでもメモでもよいので記録しておいてください。
後で見た時に、「これって自分の性格そのもの…」と気づくことが多くあります。
最初はネットや本で作り方を調べながら、慎重に作業するためそこそこ成功するのですが、
ちょっと慣れてくると自分の性格や個性が次から次へと出てきます。
・「なんでそうするのか」納得しないままに本のやり方をうのみにし続けて失敗。
・体調がよくない時にやっつけ仕事で下漬けをしたら、なかなか梅酢が上がらずに困った。
・日々の忙しさに追われて梅の完熟を待てずに漬け、固い仕上がりになってしまった。
・赤紫蘇漬けをいいかげんにしたら、梅によって色づきがばらばらになった。
このように、ちょっとした気の緩みや手抜きが完成を左右するんです。
本当に梅干しは嘘をつきません。
きちんと手をかけて「おいしい梅干しになるように」
との気遣いを忘れなければ、それに応じた結果を見せてくれます。
逆もしかりです。
まるで完成した梅干しが、「今のあなたはこんなです」と教えてくれているかのようです。
私の場合は、せっかちな自分の姿が見え、
子育ても子どもを追い立てていると気付かされたこともありましたし、
忙しさにかまけて子どもといいかげんに向き合っていると気付かされたこともあり、
子育てなど梅干し作りから教えられることは多々ありました。
人に指摘されたらカチンとくることであっても、モノ言わぬ梅干しに評価されたら反省せざるを得ません(笑)
毎年積み重なる梅干しは、自分の成長記録です。
10年続けて漬けても10回しか漬けたことにならず、すぐに上達するものではありませんが、
毎年学ぶところがあって確実に階段を登っている実感もあります。それが梅干し作りの面白さでもあります。
なんだかんだあっても、その年の梅雨明けに土用干しを終えて瓶に梅干しを詰め終わった時の達成感や充実感は、夏の青空のようにすがすがしいものがあります。
「梅干し作りで失敗したらどうしよう…」という人へ。ポイントさえ押さえれば難しいことなし!簡単な梅干しの作り方
必要以上に難しく感じる必要はありません。
以下、私が10年以上梅干し作りを続けてわかった重要ポイントです。
(他にもありましたらぜひお知らせください!)
★熟して柔らかくなった梅を使う。
梅は、未熟の場合は涼しい場所で追熟させてください。
黄色く柔らかくなり、いい香りが漂う状態になったらOKです。赤みを帯びるくらいだとなおよいです。
あまりいい香りがしすぎるとコバエが寄ってきますし、
小さいキズがあればそこから傷んできます。見極め時期が肝心です。
梅の入った容器にハエが入らないよう工夫してください。
カビの原因になりますのでできるだけキズのないものを選び、
柔らかくなった梅はキズを新たにつけないように大切に扱ってください。
私は初心者の頃、青梅の状態で漬けたことがありましたが、
皮が固い上に中の果肉が感じられない、さんざんな梅干しになりました。
★梅を水につける必要はない。
よく「アク抜きのために水にしばらく漬ける」という手順を目にしますが、よく熟した梅は水に漬ける必要はありません。
水に漬けると茶色くブヨブヨになって使えなくなってしまいます(経験済みです)。
★水で洗った梅は、自然乾燥させて焼酎洗いをすればOK!
梅を水洗いした後にキッチンペーパーで拭くという手順もよくあるのですが、大量の梅を漬ける場合には大変な作業です。
ホームセンターにある干物用の3段網など(これを使えばコバエの侵入が防げます)
に洗った梅を入れて半日ほど置けば乾きます。
漬ける前に梅を焼酎で殺菌しましょう。
★焼酎洗いをした梅に塩をすりこみながら漬ける。
塩分は20%以上でカビ知らず。
梅を漬けた時には、いかに早く梅酢を上げるかがカビ防止のポイントです。焼酎洗いで周囲に水分がついた状態の梅に塩をすりこんでくっつけながら漬けると早く水が上がります。
また、塩分が20%以上、梅酢が十分な高さに上がっていれば常温でもカビの心配はなくなります。
赤紫蘇が出回るまで、上のような状態をキープしてください。
梅酢の高さが梅の高さよりも高い、つまり梅が完全に梅酢に浸かっている状態です。
塩分濃度が低くなると、近年の温暖化の影響もあってカビの出る確率が高まります。
それを防止するために、焼酎や酢、砂糖など、いろいろ入れてカビ防止に努めるケースも多いようなのですが、塩だけで十分です。
しょっぱいのは苦手という方もいらっしゃると思いますが、
梅干しは塩分濃度が高くなっても、熟成期間が長いほど塩味の角が取れてまろやかな味になってきます。
その場合、最低2~3年は寝かせてください。
それ以上寝かせた梅干しはもはや「薬」です。
土用干しは天気予報をとにかくこまめにチェック!
梅雨明け以降の週間天気予報は毎日こまめにチェックします。
晴れで降水確率も低い日が1週間くらい続く予報であれば土用干しを開始しましょう。
梅干し作りの敷居が高ければ、すぐに作れて使い回しのきく「梅の醤油漬け」からスタート!
梅干しを本格的に作る前に、
簡単な梅仕事で徐々に慣らして梅のおいしさや効能を体験してみることもおすすめです。
たとえば小梅を醤油に漬けるだけでもその美味しさを味わえます。
難しいことはなし!小梅の醤油漬けの作り方
小梅ならストレスなく気軽にできます。時間はかかりますがもちろん大きい梅でもOKです。
納得のいくおいしい醤油で作って下さい!醤油味の梅が後をひいていくらでも食べてしまいます。
【材料】
・無農薬の小梅…約1kg
・有機しょうゆ…1リットル
・昆布…5センチ四方1枚程度(適当に切っておきます)
【作り方】
1、洗った小梅を2時間ほど水につけておきます。・有機しょうゆ…1リットル
・昆布…5センチ四方1枚程度(適当に切っておきます)
2、楊枝などで梅のホシを取り、しばらく置いて乾燥させます。
3、煮沸あるいは焼酎などで瓶を消毒します。(写真は焼酎スプレーをしているところ)
4、3の瓶に小梅をめいっぱい詰めます。
(途中で昆布を入れます)
5、4の上からしょうゆを注ぎ入れます。
6、冷蔵庫で保存します。
(1年くらい保存しても大丈夫でした。)
大きく青い梅ほど時間がかかり、ある程度熟した小梅くらいであれば、
浸透圧の関係ですぐにエキスがしょうゆに染み出してきて、数日~1週間弱で食べられます。
これを刻んで、他の薬味と合わせて冷奴にのせたり、餃子やそうめんのつけダレにしたり、
オリーブオイルと合わせてドレッシングにしたり、とにかく万能選手です。
しょうゆの味は梅味のポン酢と例えるのが適切でしょうか、とてもおいしいです。
ポイントはおいしくて上質なしょうゆで作ること。
昆布から出たダシと合わさって後味の風味が格別で、市販のポン酢にはもう戻れません!
梅干しは、食べる習慣がなければさほど必要性を感じないのですが、
いったん食べ始めて身近になってしまうと「これがないとだめだ!」というほど
健康を左右する食べ物になります。
まずは手軽に作れるものからスタートして梅のおいしさを体験したら、
「じゃあ来年はちょっと頑張って梅干し作ってみようかな」と思っていただければ幸いです!
IN YOUおすすめの有機梅干しと、有機醤油
おすすめの記事
自然が生み出した万能植物「熊笹」。それは、捨てるところがない「一物全体」の生薬だった!冬眠中の熊の体内を浄化した自然の抗生物質クマザサの強力な還元力と効果とは。日本古来の天然素材「竹炭」の知られざる効能パワー。水質浄化や空気清浄、デトックス、無限大の使い方が広がる万能竹炭の活用法。
温かくなる季節に増える「隠れ冷え性対策」に取り入れたい春夏の土鍋使いの魅力とレシピをお伝えします。
IN YOUライター募集中!
あなたの時間を社会のために有効活用しませんか?
年間読者数3000万人日本最大のオーガニックメディアの読者に発信しよう!
IN YOU Writer 応募はこちらから
この記事が気に入ったら
いいね!しよう