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東京から90分の有機の里「霜里農場」に学ぶ生き方のヒント

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池袋から東武東上線で小一時間ほどの場所にある埼玉県比企郡小川町は、1300年の歴史を持つ和紙の町として知られており、楮(こうぞ)を原料とした手すき和紙の「細川紙」がユネスコ無形文化遺産に登録されています。

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周囲は緑豊かな秩父の山々に囲まれ、良質な水脈を持つことから「関東灘」の異名を持つほどの酒の名産地でもありますが、いま新たに町の大きな魅力の一つとなっているのが、全国で初めて集落全体の有機農業転換を実現した下里地区。

1971年から同地で有機農業に取り組んできた「霜里農場」の金子美登さんは、有機農業界のカリスマと呼ばれる人物で、東日本大震災の何年も前から「食」と「エネルギー」自給の大切さを訴え続け、自らの農場で実践してきました。

今回は、その「霜里農場」で1月9日に開催された見学会の模様をレポートします。

有機農業にとって大切な、種と土の話

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化学肥料や農薬に依存せず、身近な天然資源を生かして食物だけでなくエネルギーも自給する循環型農場を営む「霜里農場」。

30ヘクタールの敷地内では、年間約60種類の農作物を栽培するほか、鶏小屋、牛放牧場、合鴨農法の鴨の飼育場、廃食油をろ過してトラクターに利用するSVOシステム、家畜の糞尿や生ごみを発酵させて得たメタンガスをガス燃料に利用するバイオガスプラント、母屋にはソーラーパネルにウッドボイラーまで設置され、自然の農法と最新技術を組み合わせた先進的な農場運営が行われています。

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見学の冒頭に金子さんが話してくれたのは、有機農業にとって一番大事だという種のこと。
「その土地にあった在来種を農家が自家採種するのが一番ですが、全部自分たちでやらなくても、一農家が自慢の種を保存しておいて、交換する場を作ろうと考え、1982年から「有機農業の種苗交換会」を開催しています」。

在来種とは、何世代も選抜、淘汰を繰り返してその土地の気候や風土に適応してきた遺伝的に安定した品種。

一方、現在市場に出回っている種のほとんどは、異なる性質の種を人工的に掛け合わせた雑種の一代目である「F1種」。
生育が早く、多く収穫できるF1種は爆発的に広がり、農家の効率はアップしましたが、それと同時に農業の工業化を引き起こし、作物の多様性を奪ってしまうことになりました。



世界的にも、在来種の減少は問題視されていて、なんと現在では100年前の作物の9割が失われているとも言われています(映画『種を継ぐ人々』より)。
金子さん曰く、作物の設計図は既に種の中にあり、その種がよく育つ環境=土づくりがうまくいけば、化学肥料や農薬に頼らずとも作物は育つのだそう。

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「秋冬に山の木々から地面に積もった落ち葉や枯れ枝は小動物や微生物によって分解され、100年で1cmほどの腐葉土を作ると言われています。私もこの大自然の法則に学んで堆肥作りを行い、土のバランスを保つために輪作を行って45年有機農業を続けてきました。

有機農業とは、山の自然が100年かけて行ってきた土づくりを人間の力で10年、20年のサイクルに早めてやる仕事なんです」(金子さん)。

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無農薬栽培が難しいとされるイチゴのハウス栽培にも取り組んでいます。イチゴの苗の周りに稲わらを敷き詰め、その菌とコンパニオンプランツによって無農薬のイチゴを作っているそうです。幸運にも試食させていただき、そのみずみずしさとさわやかで甘酸っぱいイチゴ本来の味と香りに感動しました!

エネルギーもDIY!廃食油で動くトラクター

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霜里農場では、エネルギーも自給にこだわり廃食油を再利用するSVO(Straight Vegetable Oil)の導入を始めています。

これは、やがて枯渇してしまう化石燃料や鉱物資源に依存して、環境問題も引き起こす工業化社会から、日本に豊富にある自然資源を徹底的に生かして持続可能な循環型農的社会を目指す金子さんの先進的な取り組みのひとつ。

廃食油は、地域の飲食店や豆腐屋さんから譲り受けたものを利用し、遠心分離機と濾過機を使って水分と汚れを取り除き、SVO仕様に改造されたトラクターや自動車の燃料として活用しています。この廃食油で発電も行い、家で利用する電気はこれで賄っているとのこと。

自宅の屋根に取り付けられたソーラーパネルで蓄えられた電気は売電に回すそうです。

有機農家の生活と聞くと、手間暇を惜しまず、自然と共生するテクノロジーとは相容れない生活を思い描いてしまいますが、金子さんのライフスタイルは里山の自然と最新技術のハイブリッド型。DIYで何でも自給してしまう金子さんを見ていると、不可能なことなどないよとその背中で教えてくれているような気がするのです。

有機の里・小川町はマクロビオティック天国!?

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今回紹介した「霜里農場」は、基本的に契約した消費者への野菜宅配を中心に行っていますが、毎月第3土曜日に小川町役場前広場で開催される「はつらつ朝市」や、小川町駅前の日替わりシェフレストラン「ベリカフェ」でも「霜里農場」の野菜を購入することができます。
小川町駅前のスーパー「ヤオコー」にも、小川町の有機農家の野菜がたくさん並んでいますよ。

また、小川町の有機農家と地場産業の提携により、地酒や醤油、豆腐、うどん、にんじんジュースなど様々な加工品の開発も進んでいます。

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小川町の造り酒屋「晴雲酒造」と小川町の有機農業生産グループとのコラボレーションで生まれた「おがわの自然酒」。
有機米を原料にした新しい酒造りを行いたいと考えていた「晴雲酒造」と金子さんが出会い、地域の特産品同士を組み合わせた新しい地酒が誕生しました。

全国的に見ても、有機のお米で酒造りを行っている蔵元はまだまだ少数です。
「おがわの自然酒」は、良質な仕込み水と無農薬米、米麹のみで作られており、マクロビオティックの観点でも安心です。
首都圏からの小旅行にぴったりの小川町を訪れた際には、これらの有機食材や加工品をお土産にしてみてはいかがですか?


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宮崎麻実/Mami Miyazaki
音楽専門誌、ファッション誌を経て現在はWEBメディアを中心にフード、ライフスタイル領域の編集者として活動中。食やアートを通じた街づくりに興味があり、国内・海外の生産者を取材しています。
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