「おいしい革命」オーガニック料理とは?
はりまや佳子が教える、
「これさえ読めばあなたもオーガニック通」 Vol.2
日本オーガニックライフ協会 代表理事のはりまや佳子です。ニューヨーク、シンガポール、タイ、ミャンマーなど海外からも受講生が続出している「オーガニック料理ソムリエ認定講座」ですが、東京以外でも開催してほしいというリクエストにお答えして、11月8日に金沢での開催が決定しました。「オーガニックについてもっとたくさんのことを知りたい」という方々からお申し込みをいただいていたところ、金沢ケーブルテレビネットさんの番組にも出演させていただく機会があり、「オーガニック料理ソムリエ」について、オーガニック野菜の切り方も披露しながら、15分間お話しさせていただきました。
日本でも人気が高まっている「オーガニック料理」。日本にはまだ明確な定義がなく、「オーガニック料理って何?」と思われている方も多いと思いますが、 オーガニック先進国のアメリカには、「オーガニック料理の母」と呼ばれる素敵な方がいらして、ヘルス・コンシャスの高い方々に人気を集めています。 そこで今日は「オーガニック料理ソムリエ認定講座」でも登場する、「オーガニック料理の母」 と呼ばれる方が提唱する「 オーガニック料理9か条」を紹介させていただきます。
世界中で大人気のオーガニック料理の母
(photo:www.chezpanisse.com)その方のお名前はアリス・ウォータースさん。1944年米国ニュージャージー州生まれ。カリフォルニア大学バークレー校でフランス文学を学ばれ、1965年、フランスに留学したことをきっかけに、フランス料理に興味を持ち、27歳のときにカリフォルニア州バークレーにレストラン「シェ・パニース」をオープンされました。 地産地消のオーガニック食材を使い、『その日に仕入れた素材の持つ美味しさを生かし、その日のメニューを決める』をコンセプトにしている彼女のレストランはオープン以来世界的な人気を博しており、2002年から2008年には世界のトップレストラン50に選ばれたほど。近年は、スローフード運動、食育などの活動も行っていらっしゃいます。
Chez Panisse
1517 Shattuck Ave Berkeley, CA 94709
(510) 548-5049
http://www.chezpanisse.com
アリス・ウォータースさんが提唱する「オーガニック料理」は、多くのアメリカ人の食習慣や食べ物に対する考えを変えただけでなく、世界に広がり、「おいしい革命」と呼ばれています。
アリス・ウォータースさんが提唱する
「オーガニック料理 9か条」
1.持続可能な方法で、環境に配慮して作られたものを食べるようにしましょう
持続可能な方法とは、英語ではsustainable(サステイナブル)と呼び、地球環境を保全することができる産業や開発をいいます。わかりやすく言うと、地球環境に優しいオーガニック農法でつくられたものを食べましょう、ということです。
2.旬なものを食べましょう
旬の食材の魅力は、
-1. 供給量が多いので価格が安定していて経済的
-2. 美味しく栄養価が高い
そしてマクロビオティックの陰陽五行の理論では、旬の食材にはその季節に活発に活動する臓器を養う力があるので、旬の食材を料理することで臓器ケアもできます。
3.ファーマーズマーケットで買い物をしましょう
オーガニック農家さんから直接購入するメリットは 、
-1. 鮮度が高い
-2. 価格が安い
そしてなんといっても生産者さんの顔が見えることで、お互いの信頼感が生まれ、農作物や生産者さんに対する感謝の気持ちが、消費者の心に芽生えること。
私も先日、中野で開催された「自然栽培フェア」に「甘酒スムージー屋」として出店しましたが、普段お目にかかることができない生産者さんたちから、直接オーガニック農業についてお話を伺うことで、オーガニックを守ることの大切さを実感することができるという貴重な体験をさせていただきました。最近ではいろいろな場所でファーマーズマーケットが開催されていますので、安心&安全でしかも新鮮な農作物を買いにでかけてみてくださいね。
4.庭で野菜やハーブなど食べられるものを栽培しましょう
命あるものを自分で育ててみると自然と共に暮らすことの心地よさに気づくことができるもの。また日々成長しているものを愛でることで、自分の生命エネルギーもアップしてきます。
5.ものを大切にし、堆肥をつくってリサイクルしましょう
日本は食べ物の廃棄量が世界一で、毎日3,000万食もの食料をゴミにしています。世界中には食べ物がなくて困っている国がたくさんあるということ忘れてはいけませんね。また、余った食べ物を土に帰すことができれば、さらに地球にやさしい暮らしが一歩前進できそうです。
6.料理はシンプルに五感を使うようにしましょう
季節の旬の食材には自然がつくった美味しい味がぎっしりと詰まっていますので、あれこれと複雑に料理したり余計な調味料を加えたりぜずに、素材の持ち味を引き出す季節にあった調理法で、最低限の調味料で味を調えることが、食べた人を倖せにする料理の神髄ということですね。
7.みんなで一緒に料理をしましょう
「人と一緒に料理をする」。これはとても楽しい時間ですね。自分ひとりで料理していると、食材の使い方や調理法がワンパターンになり、気が付けばいつも同じような献立ばかりになってしまいますが、他の人と一緒に料理をすると、新しい発見がたくさんあることで、お料理をすることがさらに楽しくなってきます。私もマクロビオティック・キレイ料理教室G-veggieで生徒さんと調理実習をしていると、楽しい気持ちで心が満たされ、自然と穏やかな気持ちになります。
8.みんなで一緒にご飯を食べましょう
一人でご飯を食べることを「個食」といいますが、最近は「孤独の食」という意味を込めて「孤食」と呼ぶそう。なんとも悲しい響きですね。人は縁ある人と心を通い合わせて生きることに無常の倖せを感じることができる生き物ですので、周りの人と仲良く楽しく暮らすためにも、できる限り一緒にご飯を食べましょう。
9.食べ物は尊いということを忘れずに
私たちはご飯を食べる前に「いただきます」という素晴らしい習慣をもっています。「いただきます」の語源の「いただく」は、神様にお供えしたものを食べるときや、位の高い方から物を受取るときに、頂(いただき。頭の上)にかかげたことから、「食べる」「もらう」の謙譲語として「いただく」が使われるようになったことに由来しています。それがやがて自然に食事を始める時に「いただきます」と言うようになり、食前の挨拶として定着しました。
この言葉には2つの意味があります。
1)食事に携わってくれた方々への感謝
田んぼや畑で穀物や野菜お作ってくれた農家さん、魚を採ってきてくれた漁師さんなどの生産者さんたち、そして料理を作ってくれた人々への感謝の気持ちを表しています。
2)食材への感謝
肉や魚などの動物性食品はもちろんのこと、野菜や果物などの植物たちにも命があると考え、「それらの命を私の命にさせていただきます」と食材のすべてに感謝する気持ちを表しています。
そしてお食事の後にいう「ごちそうさま」という言葉。「ごちそうさま」は漢字で書くと「御馳走様」で、「馳走」は読んで字のごとく「走りまわる」という意味で、食事を出してもてなすための食材を調達するために奔走する様子をあらわしています。のちに、丁寧語の「御」をつけた「御馳走」、すなわち「贅沢な料理」をさすようにもなりました。 ですから「ごちそうさま」という言葉は、いろいろと大変な思いをして食事を準備してくれた方への感謝を込めて「ご馳走」のあとに「様」がつけ、その気持ちを表すために食事のあとに「ごちそうさま」と挨拶するようになったのです。
「いただきます」と「ごちそうさま」という2つの言葉は、普段なにげなく習慣として使っている言葉ですが、その語源や意味を知って食べ物に感謝する気持ちをもちながら使うことで、「心の栄養」になるのではと思います。 アメリカにはこの二つの言葉は存在しませんが、食材への感謝の気持ちを忘れないようにと、アリス・ウォータースさんがオーガニック料理9か条の最後を締めくくられたことからも、「言葉や習慣は違うけれど、感謝の心は同じ」
今から40年以上も前にオーガニック農法の畑を作るよう農家に働きかけるところからスタートした、オーガニック料理の母、アリス・ウォータースさんの活動は並大抵の苦労ではなかったはずです。けれどもその思いはアメリカ中の健康意識の高い人の心を動かし、彼女が経営するレストラン「シェ・パニース」は、 アメリカで最も予約が取れないレストランと言われています。
アメリカでは地位や名誉や学歴がある方や高学歴&高収入の方々は食に対する感度が高く、オーガニックにこだわり、マクロビオティックやベジタリアンを実践する人がとても多いので、オーガニック農産物や食材、商品などがたくさん販売されています。食と健康に対する意識の高い消費者が、志の高い生産者たちをキッチンから支えているからこそ、アメリカが世界一のオーガニック大国になったのでしょうね。私たちの国日本も是非、見習いたいところです。
日本のオーガニック農地はたったの0.47%です。マクロビオティックを愛する私たちがキッチンからオーガニック農家さんを応援するために、オーガニック農作物を積極的に買い求めることで、オーガニック自給率をどんどん上げていきたいですね。
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