漢方って中国のものじゃないの?漢方は日本の伝統医学です。流れる鼻水がすぐとまる!実はすぐ効くものもある、意外と知らない漢方・薬膳を薬剤師が解説
漢方のイメージってどんな感じですか? 体に優しそう、副作用がなさそう、体質改善できそう、すぐには効かない
こんにちは。薬剤師・薬膳師の山口りりこです。
「漢方 」と聞いてどんなイメージをされますか?
私は漢方薬局に入社するまで、エビデンス(科学的根拠)はないけど、なんとなく身体にいいんだろうな〜
くらいにしか思っていませんでした。
今日は、耳にはするけど意外と知らない漢方・薬膳についてお伝えしようと思います。
木を見る西洋医学、森を見る東洋医学
西洋医学と東洋医学は根本的に違っています。
例えば「痛み」について極端にいうと西洋医学は《痛みを取り除くこと》が治療です。
東洋医学は何故痛むのかを身体全体のバランスをみて《痛くならない体質にすること》が治療です。
薬の出し方もやはり違っていて西洋医学は木(病気)に対して薬をだすため、木(病気)が多ければ多いほど、薬の種類が増えます。
それに比べて東洋医学は森(病人)をみるため、病気がいくつあろうが病人全体でひとつと考えます。
少し歴史をお話すると
もともと江戸時代には漢方薬を使っての治療が主流でした。
生薬をごりごり刻んでお薬をつくっているようなイメージです。
明治になり医師制度をつくるにあたり、体系化しやすいのが西洋医学だったため、そこから西洋医学一色になっていきます。
しかし最近ではテレビで漢方のことを放送したり、薬膳に関しての民間資格ができたり、若い人たちの間でも認知度があがってきました。
病気ばかり目にいきがちだったのが、個人個人の体質も考えるようになってきた証拠です。
漢方に副作用はないの?
あります!
漢方薬は国でみとめられた医薬品
医薬品と聞くと化学物質のようなイメージがありますが、国が認めた効能効果があるかどうかなのです。
漢方薬はほとんどが植物からできていますが、効能効果があるため医薬品になるんですね。
医薬品には必ず副作用はあります
例えば、山芋にアレルギーがある人がとろろそばを食べて痒みがでると、「アレルギー症状がでた」となります。
しかし漢方薬に山芋が入っていて痒みがでると「痒みという副作用がでた」となるのです。
つまり、医薬品である漢方薬にも副作用はあるのです。
まれに肝機能障害など重い症状がでることもあります。
植物だから安心!といっても薬効はあるため、長期で飲む場合には体調をよくみて専門家にきくなど身体をしっかりみてくださいね。
薬膳って身体によさそう?自宅ではつくれないの?
私は薬膳のお店のプロデュースをしています。
そこでお客様から「薬膳ってもっと食べにくいものだと思っていました!」とよく言われます。
やはり、なんとなく健康によさそうだけど、まずそう・苦そうといったイメージが多いことがわかります。
そもそも薬膳とは・・体質に合わせた食事のこと!
食材にも性質があり、その性質と体質、体調に合わせてメニューを考えるだけです。
例えば、風邪を引いた時に食べるお粥。
胃腸の働きも落ちているため、白米のお粥にして養分を取り込みやすくします。
寒気や消化不良があると、生姜をいれたり、大葉をいれて身体を温め、消化を助ける食材を足すのです。
薬膳で効果的になるのは、普通の食材より少し効果の高い生薬をつかいます。
生姜、紫蘇、高麗人参、なつめ、くこの実などです。
味にも役割があります
甘いもの
気を補い身体に元気を与えたり、筋肉を緩めますお米、お芋類など自然な甘み
酸っぱいもの
収斂(しゅうれん)といって毛穴を引き締め潤いをとじこめます梅、レモン、お酢
苦いもの
熱をとり炎症をおさえますゴーヤ、緑茶、ドクダミ
辛いもの
発散、気血(きけつ)の巡りをよくします生姜、ネギ、にんにく
塩辛いもの
硬いものを柔らかくします塩、味噌、海藻
身体がよくなるように自然とチョイスしていることも多いですよね。
漢方は飲み続けないと効かない薬ではありません
「漢方は飲み続けないと効果ないですよね〜」とよくいわれます。
そんなことはありません!
3つの例をあげてみます。
1,水のようにタラタラたれてくる鼻水
特に花粉症の時期には、もうティッシュを鼻にいれっぱなしにしたい!といった声をよく聞きます。おすすめ漢方
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)五味子(ごみし)という酸っぱい生薬が入っていて、鼻水をとめるのに良い働きをします。
韓国ではオミジャとよばれ、よくお茶として愛されています。
2,こむら返りなど足のつり
特に山登りやゴルフで歩き回る方につきものが足のつりですね。おすすめ漢方
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)綺麗なお花の芍薬の根っこと甘草(ハーブ名はリコリス)の2種類で構成されています。
芍薬の酸味と甘草の甘みで、筋肉をほどよく緩めてくれる漢方です。
医者が漢方好きになると言われているくらい、よく効きます。
3,おなじみ葛根湯
風邪の初期症状の首筋の寒気、こわばりには葛根湯(かっこんとう)!汗をかかせて邪気を発散させる漢方です。
そのため、風邪の初期をいっても喉の痛みなどは葛根湯の適応ではないので要注意。
・・・というようにのんで30分ほどすると症状が緩和されるものも多いのです。
しかし慢性症状は別です
長年の生活習慣でなった高血圧や糖尿病を風邪のように改善するのは不可能です。
これは西洋・東洋に関わらず同じですね。
生活習慣病の人は病院で治療していても、通い続けていませんか?
病気を作り上げた年月が長ければ長いと身体にもなじんでいるため、そう簡単に体質改善はできないのです。
漢方のカウンセリングは、病気になった原因の食事や生活習慣をきいて、自分自身を見直すことから始まります。
まさに森をみる医療だと思います。
病気になってから治すのは普通の医者。病気にならないようにするのがいい医者
もともと中国では食医という役割の医者がいました。病気にならないように食事で健康を管理する最も位の高い医者なのです。
病気になってから治すのは当たり前、病気にならないようにするのが良い医者だと考えられていました。
身近で考えてみると、お母さんのようなご飯をつくる人は家庭での食医になれるのです。
家族とお話して、体調を考えてメニューをつくります。
生理だから《血を補うメニューにしよう!》などすればいいのです。
食事は毎日のこと。体調も考慮すると日々の献立のヒントにもなるのではないでしょうか。
えっ漢方って中国のものじゃなかったの? 漢方は日本の伝統医学です。
最後に・・
漢方は中国と思われがちですが、実は日本の伝統医学なです。
もちろん歴史の長い中国が起源になっています。
しかし5,6世紀頃に日本に伝わり、日本の風土や気候、日本人の体質に合わせて独自の発展をとげたものを漢方とよびます。
(中国の医学は中医学といいます。)
意識はしていなくても、実は私たちの生活に根付いている漢方。
漢方の考え方を日々の生活にとりいれて、いまの自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。
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