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キュイジーヌ・エ・サンテ リマの岡田英貞シェフが語る「使われるレシピこそが良いレシピ。」

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株式会社リマコーポレーションという会社があります。「リマ」と呼ばれて有名なこの会社はマクロビオティック創始者である桜沢如一氏の奥様であった故・桜沢里真(リマ)氏からその名がつけられました。日本のマクロビオティック料理教室の発祥校でもある日本CI協会が運営する「リマ・クッキングスクール」の創設者であり、 マクロビオティック料理の指導に尽力されたことは誰もが知るところです。

リマコーポレーションは1940年に「無双原理講究所」として設立されました。今から75年も前のことです。1998年にリマ・クッキングスクールの食材の宅配サービス(通販)を開始し、その後、新宿や東北沢に直営店をオープンさせていきます。(東北沢店はその後目黒に移転)自然食品の販売とともにスクール事業や数多くのイベントを運営しており、立派な自社ビルとともに日本のマクロビオティック界の中心的存在となっています。自然食品の最大手「オーサワジャパン」はリマコーポレーションと日本CI 協会の関連会社であり、事業本社も目黒に。リマ・クッキングスクールが開校されたのが1965年ですから今年はちょうど設立50周年にあたりますね。

長い歴史のあるリマですが、目黒にある本社ビルの1階に「キュイジーヌ・エ・サンテ リマ」というマクロビオティック専門のレストラン/カフェがあります。今回、このレストランの料理長をつとめる岡田英貞シェフ(以下、岡田シェフ)が待望のレシピ本『Dish to Dish』をリリースするということで、お話を伺う機会をいただきました。

「キュイジーヌ・エ・サンテ」というちょっと聞き慣れないこの名前、これはフランス語で”台所でつくる料理と健康”を意味するそうです。「キュイジーヌ・エ・サンテ」という名前はフランスに実在する偉大なマクロビオティックの”ある施設”から拝借したということでした。


「キュイジーヌ・エ・サンテ」と言う名はマクロビオティック史に残る名前

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▲ピレネー地方はフランスで最も広大な面積を有している(photo : Photo Pin)

フランス・ピレネー地方は、大西洋と地中海に挟まれたフランス南西部の大部分を占める広大な地方で、美しい自然と雰囲気のある村、そして南仏らしい明るさとやさしさに満ちた町がいくつもあり、美味しいワインを産み出すことでも有名です。「キュイジーヌ・エ・サンテ」の名前の由来について岡田シェフはこう語ってくれました。

1956年にマクロビオティックの創始者である桜沢如一先生が渡仏され、各地で講演やサマーキャンプを開催されていました。当時パリのユネスコ本部で機関誌の編集長をされていたレビン氏もそのキャンプに参加。桜沢先生が説く東洋哲学とそこで里真先生と田中愛子先生が作るマクロビオティックの食事を一ヶ月ほど続けているうちに、150名ほどの参加者全員が健康になっていくことに感動したそうです。

そして、レビン氏はユネスコを辞め、桜沢先生が修行をされたピレネー山脈に臨む南仏トゥールーズ郊外のサン=ゴーダンスに、滞在型保養施設として1979年に設立したのが「キュイジーヌ・エ・サンテ」です。それ以来、30年以上にわたり、かの地でマクロビオティックを普及しておられます。「食を変えれば命が変わる」という私たちと共通の想いを持って活動されていることから、この名前をお借りするのがふさわしいと思いました。(『Dish to Dish』P.58より)

2010年に他界されてしまったレビン氏ですが、現在はレビン氏の家族がこの施設を運営しているそうです。新しい店の名前に「キュイジーヌ・エ・サンテ」と付けようと打診した際にもとても喜んでくれたといいます。さらに桜沢里真氏が『お台所を預かる人は一家の薬局長』と言っていたこと、『台所でつくる料理と健康』という岡田シェフの想いが重なったことも大きな決め手にもなったといいます。


この店では「マクロビオティックの良さを伝える」ことが最大の目的

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こちらが目黒にある「キュイジーヌ・エ・サンテ リマ」の外観。言われてみれば南仏を感じさせる、とても明るくてやわらかいデザインですね。岡田シェフは、2005年8月に東京・代官山に「メルロ・パノニカ」という店をオープンさせました。当時を振り返りながらこんな風に語っています。

「メルロ・パノニカ」の時はオーナー兼シェフでしたので、自分の思うように料理を作り、それをご理解いただいたお客様や、私と同じ感覚とテイストを共有できる方が来てくだされば良いという、大変わがままな姿勢でやっていました。それが今回は「マクロビオティックの良さを伝える」ということが大目的ですから、フレンドリーで暖かい、いわゆる「敷居の低い、使い勝手の良いお店」を目指してスタートし、分かりやすいメニューを高水準でご提供できるようにスタッフ一同が邁進してきました。かといって「分かりやすい=マクロビオティック基本食と定番料理」というつもりは毛頭ありません。「カジュアルで気取らない美味しさと楽しさのある料理」こそ、スタッフ全員が目指すところです。(『Dish to Dish』P.58より)

スタッフ一同という岡田シェフの言葉使いから、決してワンマンではなく、チーム一丸となって取り組んでいるんだという気持ちと、マクロビオティックという食をきちんと届けたいんだ、という高い志を感じます。岡田シェフとともに料理とサービスを提供するスタッフは、全員リマ・クッキングスクール師範科修了生で、レストランのオーナーシェフやイタリアンのシェフ経験者だそうです。「どういう機会があってマクロビオティックにシフトしたのか」というところに好奇心がかき立てられる私としてはスタッフの方々にもお聞きしたいくらいです。

さて、そんな岡田シェフですが、今回特別に小さな映像を作らせていただきました。岡田シェフが考えるマクロビオティック、今回発売されたレシピブック「Dish to Dish〜マクロビオティックの愛情おうちごはん」について、使う食器へのこだわり、マクロビオティックの未来などを岡田シェフの目線で話してくれています。ロケはお店で行いました。この日の夜には大きなイベントが行われており、2Fのキッチンスタジオでも収録させていただきました。



(Shot&Edit : todakoichiro)

ここで話してくれていることが岡田シェフとマクロビオティックの全てだと感じています。自然の流れに逆らわず、自然の法則に身をまかせるということ、マクロビオティックが食事という概念を越えて自身のモノの考え方や生き方の軸になっていること、使われるレシピこそが良いレシピであること、家族が健康で幸せであること、岡田シェフの考えるマクロビオティックが人柄とともに伝わってきます。

 

マクロビオティックを知り、脱サラして料理人の道を目指すのに時間はかからなかった

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岡田シェフがマクロビオティックに共感し、この世界に足を踏み入れて20年弱が経過しました。大学卒業後に商社で猛烈に働いていた岡田シェフは日本のバブル期の絶頂を体感し、”金こそが絶対”すなわち、拝金至上主義という世界の中で生きるサラリーマンだったといいます。その反動もあってアウトドアや大自然に癒しを求めるも、今度は自然美を凌駕するほどの環境破壊問題を知ることとなります。

マクロビオティックとの出会いは、丁度その頃、渓流釣りの先で宿泊した民宿でいただいた玄米ご飯でした。その美味しさと充足感に驚きを隠せませんでした。マクロビオティックについての知識を身につけていくうちに、その有り方自体が優れて環境的であること、生活実践哲学としての深い思索と広い視座があることに強く惹かれていったのです。料理はもう一つの大事な趣味でしたので、マクロビオティックにハマり、脱サラして料理人の道を目指すには時間を要しませんでした。(中略)

マクロビオティックについての断片的な情報だけを聞いた場合、「難しそう」「面倒くさそう」「おいしくなさそう」といったネガティブなイメージが先行することも、まだまだあるのです。マクロビオティックとはそういうもので決してなく、誰かのために料理を作るときに生まれる愛情表現の究極の形なのです。そこから本書のコンセプトである「愛情おうちごはん」というキーワードが浮かび、その言葉を表現した「四季折々の一汁二菜とメインのごはん」というレシピが出来上がりました。(『Dish to Dish』 P.3より)

マクロビオティックに出会い、脱サラして料理の道へシフトできるほど「のめりこめるもの」を見つけたことは幸せなことだったのだろうと想像します。やさしい口調で話をしている岡田シェフの表情からは揺らぐことのない意思を感じましたし、こういう方がつくるマクロビオティックがどれほどのエネルギーに満ちているかを説明する必要はないでしょう。

マクロビオティック実践者は愛や平和を臆することなく語ることができる

私はマクロビオティックの深さを感じるとき、思うことがあるのですが、それはマクロビオティックの料理人の方というのは–少なくとも私がお会いしている方の多くは–愛や平和について臆することなく語ってくれるんですね。とにかく照れることがない。そうは思ってもなかなか口に出来ないことも多いのではないかと思うのですが、本当にそう思って実践しているので自分の発言や思考に迷いがないんですね。同時に思慮深く、どこか自分よりも相手を尊重してくれるような包容力を感じさせてくれます。これもマクロビオティックの本質と考えるならば「世界を変える」ポテンシャルが本当にあるのかも知れません。

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▲リラックスできる店内。自然食品店が併設されているので一石二鳥

人間のタイプも時代の大きな流れとともに二極化していると感じます。それは外的な刺激に踊らされてしまう人と内なる自分と正直に向き合える人です。もっと言えば自分の中にブレない軸があるかないかです。気づきというのはいつどんなタイミングでやってくるかはわかりませんが、引き寄せているものでもあると私は思っています。必要な人に自然と届くようなものなのかも知れません。前者タイプがマクロビオティックと出会い、自分を変えた、自分が変わったということはもちろんあるとは思いますが、気づく人のほとんどが後者のタイプではないかと私は考えています。

「雑なマクロビオティック」というものは存在していなくて、マクロビオティックを実践する人というのは本質を知り、モノゴトを丁寧に進めていこうとする”エンジン”のようなものを自分の中にそもそも持っていると思うんですね。ですのでマクロビオティックが難しいかやさしいか、みたいな捉え方は実は少々ズレていると思っています。何というか「スッと自分の中に入ってくるもの」なような気がします。アカデミックなこと以前の、感覚的な話です。

映像に映る岡田シェフを見ていると「愛」とか「平和」「幸せ」という言葉を心から発している人だと、強く感じました。陳腐な言い方ですが、岡田シェフからはロマンを感じます。これは料理というクリエイティブな仕事をしている人だからということもありますが、たとえ笑われても自分の中にロマンを持ち続けている男性は同性から見ても魅力的ですし、それによって年齢を感じさせない人もいます。マクロビオティックでは「宇宙の秩序」という言葉がよく出てきますが、自分の中に宇宙を持っているとも言い換えられるのではないでしょうか。

こういうことを気づかせてくれるマクロビオティックというのは改めて料理法という概念を越えた料理法なのでしょうし、逆に言えばこの本質を理解せずにこなすマクロビオティックは、本来の教えやあり方とは全く異なるものになるのだと思います。

欧米での広がりはもちろん、何十年にも渡ってこの国のでも広がりを見せているマクロビオティックは流行などとは一切無縁な、日本人の持つ美意識に訴求するライフスタイルそのものなのだと感じます。

 

幸せな家庭を食で包む、愛情たっぷりのレシピ本『Dish to Dish』

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▲安心・安全を謳う森修焼の食器と岡田シェフのマクロビオティック

「使われるレシピ」になってもらいたい、というコンセプトで制作された『Dish to Dish』は「おうちごはん」とサブタイトルがついているように日常にこだわったレシピが満載です。華やかなレシピを意図したものではありません。おいしくて健康に良い食で家族を幸せにしようよ、という岡田シェフの視点で仕上がったとても丁寧な一冊です。

マクロビオティックの基本にはじまり、本編の「愛情おうちごはん」は春・夏・秋・冬のレシピがたっぷり掲載されています。他には「キュイジーヌ・エ・サンテ リマ」の味を楽しめるレシピ、マクロビオティックのクリスマスレシピ、さらには岡田シェフの味を伝授するレシピ、映像の中でも触れていた「森修焼」についてなどなど盛りだくさんです。何より本書は岡田シェフによる目の覚めるような序文からはじまります。

INFORMATION

岡田 英貞okada_img1/Hidesada Okada
リマ・クッキングスクール師範科副主任講師
キュイジーヌ・エ・サンテ リマ 料理長
大学卒業後、商社に勤務するも自然食について強い関心を持ったことから退職し、料理人の道を目指す。2005年、東京・代官山に「メルロ・パノニカ」を開店。2014年1月に東京・目黒にオープンした「キュイジーヌ・エ・サンテ リマ」料理長。「Dish to Dish」は自身初のレシピガイドブック。

 

キュイジーヌ・エ・サンテ リマ
東京都目黒区東山3-1-6 CIビル1F
TEL : 03-6701-3034
[アクセス] 東急田園都市線「池尻大橋」徒歩3分
ウェブサイト : http://www.ces-lima.com

営業時間 11:30-21:00
ランチ 11:30-14:00
カフェ 14:00-18:00
ディナー 18:00-21:00(L.O. 20:00)
定休日 毎月第3火曜日・年末年始
座席数 22席



関連情報

株式会社リマコーポレーション
http://www.lima.co.jp
日本CI協会
http://www.ci-kyokai.jp
オーサワジャパン
http://www.ohsawa-japan.co.jp
森修焼
http://www.shinshuyaki.com

(写真提供:キラジェンヌ株式会社)

 

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