コロナ禍・異常気象の時代だからこそ見直したいそば粉の価値。日本が誇るスーパーフードで簡単ほっこり郷土料理レシピ2選
皆さんは、お米以外の主食を食べるとすれば、
何を選びますか?
おそらく多くの方がパンやパスタなどを
挙げると思うのですが、
健康面や近年の異常気象などを考えた時に、
ぜひ今後の選択肢に入れていただきたいのが
『そば粉』なんです。
そばというと『麺』を食べるというイメージが強いですが、
それ以外にも全国的に多様かつ手軽な食べ方が存在します。
今回はどこか懐かしくてしみじみとした美味しさを感じる
郷土料理レシピを2つお伝えします。
ぜひ、そば粉の価値を見直していただき、
毎日の食事に気軽に取り入れていただきたいと思います。
そばは日本が誇るスーパーフード。
異常気象・コロナ禍の今こそそば粉の魅力を再確認!
そばと言えば、
第七の栄養素とも言われるフィトケミカルであるポリフェノールの一種、
「ルチン」が注目を浴びています。
以前はビタミンPと呼ばれていましたが、
毛細血管を強化して、血流を改善すると言われ、
動脈硬化や脳梗塞、高血圧などの予防に効果が期待できます。
※フィトケミカル:植物性食品に含まれる色素や香り、苦み等の成分。ビタミンやミネラルとは別。
そばに含まれるたんぱく質は植物性食品の中でも豊富であり、
必須アミノ酸のバランスがよいと言われています。
特にリジンを多く含み、
疲労回復や集中力を高める効果が期待できます。
昔から修行僧はそば粉を食べて修行するというのを
聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、
特に修行が厳しいことで知られる比叡山延暦寺では、
もともと肉や魚などの動物性食品を禁じられている上に、
修行中は五穀断ち(米・大麦・小麦・大豆・小豆)を行う決まりがあったといいます。
生でそば米をかじったり、粉を沢の水に溶かして食べたりして
辛く厳しい期間を乗り切ったということですが、
おそらくそばの豊富な栄養が大きな貢献をしていたであろうことは
想像に難くありません。
スーパーフードと知らずに『コメの節約』に。昔から日本中で使われてきたそば粉
日本の郷土料理を紐解くと、麺にして食べる以外にも、
そばは全国各地で利用されてきたことがわかります。
「そば七十五日」という言葉がありますが、
そばは種をまいてから、早いと60日、遅くとも80日程度で収穫できます。
稲と比べると非常に成長が速いのです。
その上、水はけのよい場所であれば痩せた土地でもよく育ち、
施肥の必要があまりなく、年に2回収穫できる地域もあるほど、
とても丈夫な植物です。
このような性質から、
干ばつや冷害で米が獲れなかった年でも急場しのぎで栽培され、
たくさんの人々を飢餓から救ってきた歴史があります。
凶作の年でなくとも、
「米かばい」「米の食い延ばし」という言葉があるように、
貴重な米を翌年の収穫まで持たせるために、
そば粉をはじめ、大麦やあわなどを日常的に食べてきました。
(そういう意味で、日本は純粋な「米食文化」の国ではないのです)
そんなそばですが、
異常気象が当たり前になってきた現代こそ、
重宝されるべき食べ物です。
今年の夏はなかなか梅雨が明けず、気温の低さも心配されていました。
その時の東京都心は、1993年の大冷夏以来の低温を記録したとも言われ、
もしも冷夏になれば、米の大不作が起こるのではないかという予測もありました。(※)
1993年の大冷夏による深刻な米不足では、
タイ米やカリフォルニア米などを緊急輸入しなければならないほどの
大変な事態となったことを覚えている方も多いと思います。
ところが、今回のコロナ禍では、
「人やモノの往来は、いとも簡単に途絶えてしまう」
ということを身をもって感じることとなりました。
自前で安心安全かつ多様な食糧を確保することは、
今後ますます必要になってくると考えられます。
異常気象が当たり前となり、
新型コロナ以外のパンデミックの可能性も指摘されるようになった現代、
主食を米や輸入小麦を使用したパンなどに限るのではなく、
郷土料理の復興も含めて多様な食材の利用法を
あらためて見直してみるということも、
私たちや将来世代のいのちを守ることにつながります。
日本のスーパーフード、そば粉を使った全国各地の郷土料理の一例
全国各地で、貴重な米を「食い延ばす」ために食べられてきたそばですが、
当然、毎回そばを打つような食べ方はしていません。
◆そばやきもち・そばおやき
そば粉を練って作った生地に青菜やあんこなどを包んで焼いたもの
◆そばかっけ
そば粉の生地を薄く伸ばして小さく切り、豆腐や野菜と煮て食べる
◆そばぼっとり
そば粉にお湯を入れてかき混ぜ団子を作り、炭火で軽くあぶったもの
しょうゆなどをつけて食べる
◆そばすいとん
小麦ではなくそば粉を使ったすいとん
上記の例に限らず、
一口にそばと言ってもさまざまな利用法があり、
普段の食事に、おやつに、お祝いごとに、
あらゆるシーンで活躍してきました。
そば粉を熱湯で練って作られる「そばがき」は、
全国でもかなり広範囲にわたって食べられてきたものですが、
用意するのがとても簡単であり、消化にもよいので、
忙しい現代の私たちにもおすすめです。
器にそば粉を入れ、熱湯を少しずつ入れて菜箸でかき混ぜるだけ。
次第に粘りが出てひと固まりになり、
ツヤが出てきて混ぜるのが大変になってきたら完成。
私も小腹が空いた時に食べることがあるのですが、
市販のスナック菓子をつまむよりもずっと良いです。
災害時に備えて水・そば粉・しょうゆ・塩などを用意しておくのも1つの手です。
この写真は「高遠そば」風に、
大根おろし+焼き味噌を混ぜたものに、
刻みネギをトッピングしたもの。
これはおかわりしたくなるくらい美味しいです。
「そばつゆがなくちゃいけない」という思い込みは捨てましょう。
甘酒で作ったゴマだれやきなこだれなど、
甘くても美味しいですし、
「しょうゆ+オリーブオイル」につけて食べるのも
洋風な味わいで驚きのおいしさになります。
(ただし、どちらも美味しいものを使ってください)
本当に忙しくてご飯を炊く時間もないような時、
『オーガニックレトルトカレー+そばがき』みたいな
とっておきの裏技もあります!
日本のスーパーフード・そば粉で簡単ほっこり郷土料理2選
現在、そば粉を使ったレシピというと、ケーキやクッキーなどお菓子への利用がよく見られますが
今回はあえて、郷土料理のレシピをお伝えします。
私たち日本人のご先祖がどういうものを食べて
いのちをつないできたのか、
「根っこ」の部分を大切にしたいからです。
米の消費を抑えたり、不作時の救荒食として食べられてきたものが、
実は栄養豊富であり、多くの人々の健康といのちを支えてきた事実を
忘れてはいけないと思います。
安価な市販のそばは、輸入小麦が使用されているものが多く、
私たちの体にとって良いのかどうか、疑問があります。
そばを食べるのであれば、
納得のできるな材料で手作りするのが安心ですね。
以下、鹿児島県やその近県で食べられてきた
2つの料理をご紹介しますが、
似たような食べ方は九州以外の地域でも存在します。
分量や使う食材は、きっちりこの通りである必要はありません。
とりあえずはこの作り方で作ってみて、
後日作る時は自分が美味しいと思う分量や食材を
ぜひ見つけてくださいね!
蒸して混ぜるだけ、冷めてもモチモチ!
そまんだご(そばの団子)の作り方
材料
・無農薬そば粉…100g・無農薬さつまいも…300g
・有機切り餅…150g
・自然塩…ふたつまみ
・無農薬きな粉…茶わん約1杯分
・自然塩…ふたつまみ
・(なくても可)ココナッツシュガー…適量
作り方
1、さつまいもと餅は一口大に切り、さつまいもはボウルに入れて塩少々を揉みこみ、しばらく置いて汗をかかせる。2、1のさつまいもを蒸し、少し柔らかくなったタイミングで餅を入れ、一緒に柔らかくなるまで蒸す。
分量はあくまでも目安であり、もち米をさつまいもと一緒に蒸す作り方や、餅をまったく入れない作り方もあるようです。
甘いさつまいもで作ればきな粉に砂糖類は必要ありませんが、多少塩をきかせた方が甘さが引き立ち、味にメリハリが出ます。
素朴で派手さはありませんが、ふとした時になぜか食べたいと思うような、魅力的なおやつです。
体に染み渡るおいしさ!
そまんずし(そばの雑炊)の作り方
材料
・お好みの出汁…2リットル・無農薬干し椎茸…乾燥状態でひとつかみ・無農薬にんじん…1本
・無農薬大根…1/3本
・無農薬ごぼう…1/2本
・無農薬里芋…大4個
・無農薬長ねぎ…1/2本
・有機油揚げ…2枚・自然塩…大さじ1
・有機料理酒…50㏄
・無農薬しょうゆ…60㏄(お好みで増減)
・無農薬そば粉…150g+α(打ち粉用)
・水…70㏄前後(様子を見ながら調整)
作り方
1、大きめの鍋に出汁と干し椎茸を入れておく。干し椎茸が戻ったら食べやすい大きさにスライスして野菜と一緒に入れる。2、ごぼうは大き目のささがき、にんじんと大根は長さ4㎝くらいの拍子木切り、里芋は一口大、長ねぎは斜め切り、油揚げは1㎝太さに切っておく。
3、1に2の具材と干し椎茸、塩大さじ1と料理酒を入れて煮始める。
(スペースがあまりない時は、そば生地を2~3分割して少しずつ伸ばして切るとよい)
6、3で具材が柔らかくなってきたらしょうゆで味付けする。(必ず味見をしてしょうゆの量を調整)
「そまん」とは「そばの」、「ずし」とは「雑炊」という意味です。
そばずい、そばじゅいとも呼ばれるこの料理は、年越しそばとしても食べられているそうです。
根菜がたっぷり入っていて、そばも粉をはたかずにそのまま煮ますので、栄養分を逃すことがありません。
煮込んでいるうちに汁にとろみがついてきて、体も心もすごくあたたまります。
これにお漬物でもつければ立派な食事に!
さまざまな食材から出る旨味がたまらなく美味しくて、
作った翌日はさらにおいしくなりますので、
一度にたっぷり作って楽しんでください。
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