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「東京オリンピックに向けオーガニックが加速する」はずの流れは一体どこへ消えたのか?オリンピックではむしろ農薬を使うGAP認証が前提だった!オーガニックを浸透させるため今日本に残された道とは

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「オリンピックでオーガニックが広まる」。ー あの機運は一体どこへ

消費者として期待していたのに…

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こんにちは。フリーアナウンサー、日本オーガニック推進協議会認定講師 深井ゆきえです。
平昌五輪、始まりましたね!いよいよ、次は東京。気持ちも高まりますが、
東京でのオリパラ開催が決まった当初、
オーガニックがあたりまえに選択できる社会に近づくかも。

日本も「オーガニック後進国」から卒業できるかも!
そんな淡い期待を抱いたのは私だけでしょうか。

2年ほど前までは
「ついにオーガニックブーム到来?!」「オリンピックに向けてオーガニックが加速!」
そのような見出しが新聞や雑誌を飾っていました。

でも。最近のオリンピックの食に関する報道で取り上げられるのは「GAP認証」ばかり。
「オーガニック」は、どこか置き去りにされた感が否めません。


いまだ、有機農業生産面積1%の目標すら達成できない日本


日本の有機農業の生産面積は、H28年度推計で2万3000ha。国内の耕地面積のわずか0.5%です。
有機JASほ場に限ると0.22%

図3
※参照:農林水産省HP


農水省は、東京オリパラ開催前の概ね平成30年度までに有機農産物の生産面積を1%にするという目標を掲げています。期限まで残り1年ですが、現状は残念ながらその半分です。

東京オリパラまであと2年。オーガニックに残された道とは

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日本はこれからも「オーガニック後進国」であり続けるのでしょうか?
オリンピック、という世界に向けて発信できる絶好のチャンスをみすみす逃すしかないのでしょうか?

そもそも数年前、なぜオリンピックを契機にオーガニックに注目が集まったのか。
そして、なぜその機運が高まらなかったのか。いま残された道はないのか、
考察します。

なぜ東京オリパラを機にオーガニックが注目されたのか

ロンドン、リオでは有機農産物が積極的に採用されていた

図2
※参照
上記の図を見てください。

「持続可能性」がキーワードになった2012年のロンドン大会以降、選手村や競技場の食材基準には、
有機(=オーガニック)を優先的に調達することが盛り込まれていました。

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ロンドンの場合、英国版GAPともいわれる「レッドトラクター認証」は、大会前に農家の70~95%がすでに取得済。このことから、可能な限りオーガニック食材が積極的に使われていたと考えられます。

2020年の東京も、当然その流れが踏襲される可能性が高いと考えられたため、オーガニックが浸透するのではという期待が高まったのですが・・・
ことはそう簡単ではなかったのです。

東京オリパラではGAP認証が大前提!

オーガニックは「推奨」にとどまる

去年3月、東京オリパラの組織委員会が決定した食材調達基準は、こちらです。

図1 参照

「食材の安全を確保するため」には、GAP認証の取得が大前提
オーガニックは、「要件を満たしたうえで推奨される事項」の一つにすぎません。


たとえ有機JAS認証を取得していたとしても、「GLOBALGAP」「JGAP」などの「国際的に通用する」GAP認証を新たに取得しなければ、オリパラでは提供できないのです。

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個々で小規模で取り組み、各々独自の販路を持っている全体の“0.5%”の有機農家が、いくらオリンピックとはいえ、たった数日間のためにわざわざお金と手間と時間をかけてGAP認証を取得するなんて、
素人が考えても、非現実だと思わざるを得ません。

ましてや、オリンピックを契機に慣行農業からオーガニックに切り替えるなんて夢のまた夢の話。
その前にGAP認証という大きな壁が立ちはだかっているのですから。

これこそが、オリンピックを目の前にしてもいまいちオーガニックが広まらない理由だと考えられます。

大前提のGAPすら危うい状況

ちなみに平成29年3月末現在、グローバルGAPの認証を取得した農家は447、JGAPは4101なので、年度は異なりますが平成27年の総農家数215万5千戸に対し計算すると、農家全体のわずか0.2%

だから、このままではオリンピックに間に合わない!国産食材が提供できない!と騒がれているのですね。

GAP認証とは

では、そもそも大前提の「GAP認証」とは一体どんなものなのでしょうか?
農水省のHPによると、

GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、
農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のこと

とあります。

図4
参照

GAP認証と言ってもいろいろな種類がありますが、ここではオリパラの食材調達基準の「要件」を満たす方法の一つである、JGAPについて見ていきます。
日本GAP協会「3分でわかるGAP」に掲載されていた図を見てみましょう。

GAP認証では、農薬の使用が前提

図5
驚きました。「正しい農薬の選択」「正しい農薬の使用」と書いてあります。
GAPでは農薬の使用が大前提なのです!
同HPによると、

「GAPは、『工程管理に基づく品質保証』の考え方を農業現場に導入したものであり、食品事故などの問題を農場が起こさないよう未然に防ぐ農場管理の手法です。」とあります。
つまりGAPは、いわば「工業用」の認証を農業に取り入れたもので、環境保全の観点から化学的な農薬、肥料を使わないことを原則とするオーガニックとはまったく意義も性質の異なる認証なのです。

農水省と組織委員会からの回答

農水省に聞いてみた

「食材の安全を確保するため」には農薬の使い方だけではなく、その使用量も減らす取り組み及び概念がGAPにあってもいいはず、いやあってほしい・・・と思い(願い 笑)
農水省生産局に電話で確認してみましたが、
やはり「農薬を減らす概念はGAPにはない。GAPは衛生的な管理がされているかなど経営面に対する認証だ」、との回答でした。

組織委員会にも聞いてみた

あきらめの悪い筆者。そもそも、なぜGAPが大前提なのだろう。ロンドンからの流れを東京で止めてしまっていいの?
オーガニックを応援する一消費者としての素朴な疑問を、大会組織委員会にもぶつけてみたところ、
「リオで実際にどのくらいオーガニック食材が使われていたのか数値として公表されていないため、私たちは把握していない」
「オーガニックは環境保全という面では優れているが、持続可能性という視点に立ったときに異物混入など衛生・管理面などの観点からGAP認証は必要不可欠」とのことでした。

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私は、オーガニック=持続可能な農業だと思うのですが・・・皆さんは、どう考えますか?

「安全」の意味をどう考えるか

衛生面。確かに大切です。オリンピックで食中毒騒ぎなんて起こったら大変!理解はできます。
でもやっぱり、「安全」という概念は食材の衛生面だけでなく身体にとっても安心安全なもの、
つまり農薬や化学肥料を使っていないものであってほしいと思ってしまいます。

形が同じで「美しく」虫食いがなくて「きれい」な形の野菜や果物=「高品質」
とされることに違和感を覚える
のは私だけでしょうか。

海外からのオーガニック需要に応えるため残された道とは

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GAP認証を否定するつもりはありません。
でも、海外からのオーガニックに対する需要にはどう応えるのでしょう。
残された道はないのでしょうか。
ご存知の通り、有機JAS認証を取得するためには2年以上の有機的管理が必要です。
オリパラまであと2年。厳しい状況ではありますが、完璧を求めなければまだ可能性は残されています。


事前キャンプ地やホストタウン事業に食材調達基準は適用されない!!

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残された道、それは

事前キャンプ地やホストタウン事業、および競技場周辺のレストランなどでオーガニックを提供すること。

東京オリパラでは選手村の食材について、GAP認証を取得した農家の産品しか認められないことをここまで書いてきました。

でもこれは、あくまでも組織委員会が調達するもの(選手村や競技場内のレストラン)に限ったこと
事前キャンプ地やホストタウン事業、および会場周辺のレストランは、この制約を一切受けないのです。
(※組織委員会に確認済)

OVJ 山口さんの話

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オーガニックヴィレッジジャパン(OVJ)事務局長・山口タカさんは
「世界のアスリートたちは確実にオーガニックを求めて日本にやってくる
 全国各地の事前キャンプ地やホストタウンで海外選手をどうもてなすか、は各自治体の裁量。

 国によっては選手が数人しかいないところもある。
 『全国初!○○(自治体)ではオーガニックなおもてなしをします!』と宣言すれば国内外から注目されること間違いない 
と話します。

筆者のような地方に住む人にとっては、東京オリンピックは「東京」で開催される遠いこと、
そんな風に感じる場合もあるかもしれません。

でも地方から発信できることもあるかもしれないのです。

※内閣府HP「ポストタウン事業一覧
上記のリンクをクリックしてみてください。あなたの住む自治体は入っていませんか?

どんなムーブメントも 最初は小さい個人の力から始まるはずです。
私たちは声を上げることができるのです。

あと2年しかないからこそ、オリンピックを生かそう

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国は、「GAPはオリパラだけでなくその後の海外輸出に向けても有利」としてGAPの普及拡大に躍起になっています。
でも、そもそも日本のオーガニック認証=有機JASは欧米諸国と同等性が認められているので

新たに「正しく農薬が使われている」ことを証明するGAP認証を取得しなくても、
海外に輸出することが可能です。

よく言われるように、オリンピックはゴールではありません。

あと2年しかないから間に合わない、ではなくあと2年という「期限」をプラスの力に変えれば、
オリンピックをきっかけに、オーガニックがその土地に根付く可能性はまだ残されています。

真の持続可能な社会の実現=オーガニックな社会に向けて、いま一人ひとりができること、
もう一度考えてみませんか。



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深井ゆきえ
フリーアナウンサー。 日本オーガニック推進協議会 認定講師。 内閣府認可 一般財団法人職業技能振興会認定 マスターオーガニックコーディネーター 。 仙台在住、2児の母。 局アナとして、記者として、ニュースキャスターとして 昼夜の区別なく不規則不摂生な生活をしていた20代。 30歳で長女を妊娠・出産してから価値観がガラリと変わり、テレビ局を退職。 その後、2人の愛娘の子育てを通じ自身と家族の健康管理の重要性・難しさを痛感。また、東日本大震災、子どもの食物アレルギー、完全母乳育児などを経て「子どもに本当に安心安全な食べ物を食べさせたい」 という思いから、食について猛勉強。 その結果、自分にも家族にも、子どもたちや地球の未来にも優しい “オーガニック”というライフスタイルに共感し、日々適度に楽しく実践中です。 子どもを守る、ひとりの母親として。 スーパーで、あたりまえにオーガニック商品を手に取れる社会になったらいいなと思い活動しています。
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