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「オーガニック=非効率」はもう古い!環境・健康面において優れた農法だということが明らかに。オーガニックで持続可能な社会へ。

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オーガニックは非効率だと思ってない?

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オーガニックは非効率、といったイメージを持っていませんか?


有機農業と慣行農業(化学合成農薬・肥料を使用する農業)を比べる時、
しばしば「有機農産物は病気になりやすく収穫量が安定しないし、草引きなどの手間がかかるので効率が悪い」などと言われることがあります。

私も漠然と、「自分が食べたいのは有機野菜だけど、もし世界中の農業がすべて有機農業だったら充分な収穫は得られないのでは?」と思っていました。

ところが最近の研究では、有機農業の方が環境や人体に安全なだけでなく、充分な食糧供給の可能性があると期待されているのです。


ワシントン州立大学による、有機農業と慣行農業の比較研究。
なんと有機農業だけで世界中の食糧をまかなうことも可能!?


2016年2月に公表されたワシントン州立大学の研究「Organic agriculture in the twenty-first century(21世紀の有機農業)」で、「持続可能性を維持しながら増え続ける世界人口全体への食糧供給は可能である」との結論が出されました。

これは過去40年間に発行された何百にも渡る論文を解析した前代未聞の研究で、以下の4分野における持続可能性について有機農業と慣行農業を比較したものです。

Productivity(生産性)
Economics(経済的かどうか)
Environment(環境への影響)
Community well being(人々の幸福度)

これら4分野をさらに細かく分類したものがこちら。
有機農業では全体的なバランスが取れています。

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特に、「土壌の質」「生物多様性」「水質汚染の低減」「生態系サービス(人間が生態系から受ける恩恵)」「労働者の農薬への曝露が少ない」「残留農薬が少ない」という点において有機農業の方が優れていることがわかります。

研究チームを率いるJohn Reganold教授は、「30年前には有機農業と慣行農業の比較研究はほんのわずかしか存在しなかったが、この15年間でその数は飛躍的に増えた」「有機農業は世界中の人々に食糧を供給する役割を担うべきだ」と述べています。

この20年間で有機農業は急速な広まりを見せましたが、それでも現在有機農場は全生産面積のわずか1%にとどまっています。

評論家らは長きにわたり「有機農業は非効率であり、慣行農業と同量の収穫を得るためにはより多くの農地が必要だ」との見解を示していました。
しかしこの論文では、有機農業でも慣行農業の収穫を上回る可能性があるということを述べています。

有機農業は水不足に強く、深刻な干ばつが起きても充分な収穫量が期待できる。
その理由とは?


有機農場の土壌は慣行農業と比べより多くの水を貯える力を持っているため、
干ばつ時にも作物の栽培に必要な水分を確保でき、充分な収穫量を得ることも期待できる、とReganold教授は述べています。

さらに、たとえ慣行農業より収穫量が少なくなったとしても収入の心配はないとのこと。
消費者たちは、オーガニック農産物の価格に生態系や環境を保護するためのコストが含まれていることを理解しているため、
割高であろうと購入をいとわないからです。


有機農業における地球環境へのメリット

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過去に行われた多くの研究により、有機農業がなぜ地球環境に良いかということも証明されており、まとめると以下のようになります。

・土壌中の炭素含有量が多い
・土壌の質が良い
・土壌浸食が起きにくい

具体的なメリットはこちら。


・土壌汚染の低減
・水質汚染の低減
・温室効果ガス削減
・化学合成の農薬や肥料を使用しないことによるエネルギー効率アップ
・生物多様性の保全

→様々な生物が生息することで、授粉などにおいて自然の力を借りやすくなり、より良い農業を行うことができる。
・遺伝子の多様化

食糧供給において重要なのは、生産量を増やすことだけではない。


世界の食糧をまかなうことを考えると生産量だけに注目しがちですが、
むしろ注目したいのは「廃棄量」「食糧の配分」です。

実は、食糧生産量は既に世界人口の70億人分を遥かに超えています。(カロリーベースで計算した場合)
ただ、そのうち30〜40%は廃棄されているため、結果的に食糧供給率が低くなっているのです。

また、世界全体としては充分な量の食糧が生産されているものの、それを享受できない人々がいます。
Reganold教授は、「ただ大量に生産するのではなく、必要としている人たちに食糧が行き渡るようにしなければならない」と述べています。

Reganold教授と研究チームの一員であるWachter氏によると、「現実的には一つの農法で世界の食糧をまかなうことは不可能。必要に応じて有機農業、アグロフォレストリー(農林複合経営)、環境保全型農業、混作など様々な農法を使い分けてバランスを取ることが大切だ」ということです。

また、両氏は有機農業の普及を妨げる要因を解消すべく、制度を見直すべきだとしています。

たとえば、化学合成の農薬・肥料を使用していなくても、認定機関の検査に合格しないと「有機」「オーガニック」と表示することができません。
その検査にかかるコストは有機農場にとって大きな負担となります。

その他にも、労働力や販路の確保、作物を貯蔵・運搬するためのインフラの整備といった課題があります。
有機農業をはじめとした持続可能な農業を行うためには、個々の農場の努力や消費者の意識改革のみならず、法的・経済的な整備が必要不可欠なのです。

出典:https://www.sciencedaily.com

日本は、どうなる?

日本ではわずか有機農地は0.1%。

今回はアメリカの研究をご紹介しました。
この研究チームの見解では、「消費者はオーガニックにコストがかかることを理解しているため割高でも買う」としていますが、日本ではどうでしょうか。

日本ではそもそもまだ「有機」「オーガニック」という言葉の意味すら認識していない人も多く、知ってはいても高いから買わない、という人も多いのが現状です。

世界全体としてはオーガニックは1%、日本ではわずか0.1%。(農地面積の割合)

オーガニックがある程度進んでいる欧米では消費者の意識も高いため、「法律やインフラの整備をすれば有機農業を増やすことができる」可能性もありますが、日本ではまず消費者が「有機農業とは何か」「なぜ有機農産物を選ぶべきなのか」ということを知る必要があります。

目に見えるものを重視する傾向にある日本人

一般的に、日本人は目に見えないものよりも目に見えるものを重視する傾向があると言われます。


最近では放射性物質の汚染がそれにあたり、目に見えないため危険だと認識できず、食品や土壌の汚染を気にかけていない人がまだまだ多いです。

目に見える添加物については気にされる方も多いですよね。

農薬や化学肥料も目に見えないため、慣行栽培の農産物を見ても危険だとは認識しにくいと思います。
逆に目に見えるものにはこだわるため、虫食いがなく形がきれいでつやつやした野菜や果物を見ると買いたくなってしまう人が多いでしょう。

是非、子どものうちから農業体験を。


大人の方ももちろんですが、是非子どものうちから農業体験をしてほしいです。

無農薬の農業を体験すれば、「手で草を引くとこんなに大変なのか。撒くだけでこの大量の草がなくなる除草剤ってどんなに強力な薬なんだろう」

防護服とマスク姿で農薬を撒いているところを見れば、「肌に触れたり吸ったりしてはいけないものを食べ物にかけるの?」

種まきから収穫までの時間を知れば、「一つの食べ物を作るのにこんなに手間と時間がかかるのか。簡単に食べ物を捨てないようにしよう」

こんな風に、食に対する疑問を持ち、価値観が養われ、やがて社会全体が変わってゆくでしょう。
社会の仕組みをいきなり変えることは難しいですが、個人から地域社会、国、世界へとより良い食が広まることを願いつつ、これからもみなさんに色々な情報を提供していきたいと思います。


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まどか
ニュージーランド在住。 大学で食品の研究後、食品衛生の仕事をし、有機農業を学ぶ。 現在はシェフとして働く。 食品表示診断士(中級)とニュージーランド調理師資格保持。 暮らすのに困らない程度の英語と挨拶程度のトルコ語ができます。 日本のおいしいお米が恋しい今日このごろ。
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