農薬大国・オーガニック後進国「日本」でオーガニック食品が広まらない本当の理由。なぜ日本ではオーガニックが割高で特殊な扱いなのか?
オーガニック=高級・特殊品というイメージの日本
オーガニック食品といえば農薬を使わず害虫対策をしたり、安価な化学肥料を使わず有機肥料を使うコストや手間と、製品化や出荷のために人の手による作業部分も多いことは皆さんも認識されていることでしょう。
価格に反映され割高になるけれども、やむを得ないとほとんどの方は思っていらっしゃると思います。
とはいえ、なるべく出費を抑えて入手できれば嬉しいのが本音のところ。
あまりに高額だと、購入を躊躇する理由になってしまうこともあるのではないでしょうか。
外国のオーガニック事情はどうなの?
ところで、私は以前長い間海外生活をしていました。
日本ではオーガニック食品はどちらかというと特殊な製品というイメージがあると思いますが、海外ではどうだと思いますか?
海外でも製品にオーガニック表記をすることが多く、原料がオーガニックかそうでないかのカテゴリー分けがされています。
しかしオーガニック製品の入手をするために、そうでない製品よりも特別に手間がかかったり、価格が特に高く設定されているかというと、必ずしもそうではないのです。
日本との比較:アメリカのスーパー、オーガニック食品事情。
一般のスーパーなどでも、ほとんどの食品でオーガニック製品が入手可能。
ところでアメリカの食生活といえば、ハンバーガーなどのファーストフードや人工的な色彩のお菓子を思い浮かべるかもしれませんね。
確かにそのようなものも多く見られるものの、実はアメリカでは、その一方でオーガニック食品愛好者も多く、一般店舗でも広く取り扱われているのです。
むしろ日本よりもずっと入手しやすいくらいです。
健康食品専門店でなく一般のスーパーなどでも、ほとんどの種類の食品でオーガニックが入手可能です。
欧米の食料品コーナーであつかわれるオーガニック食品
・ 野菜や果物ほぼ全種
・ ドライフルーツやドライベジタブル
・ 肉類各種(牛、豚、鶏、ターキーなどの丸ごと、または部位ごと)
・ 瓶詰め缶詰食品
・ 糖類(砂糖、ブラウンシュガー、蜂蜜、メープルシロップなど)
・ 塩、ビネガー多種(アップル、赤ワイン、白ワイン、ラズベリーなど)など一般調味料やソース
・ 棚一面を覆い尽くす何十種類のもの小瓶や子袋入り乾燥ハーブ
・ 穀物(小麦粉・全粒粉などの粉類、とうもろこし粉など)
・ スイーツ(クッキー、チョコレート、グラハムバー、チョコレートバー、チップス、その他いろいろ)
・ パッケージ入り加工食品
・ 乳製品各種(チーズ、ミルク、ヨーグルトなど)
・ 飲み物など(コーヒー、ココア、紅茶、緑茶、ハーブティー)
・ TOFU(現地工場で作られた豆腐)
といったように、食料品売り場にあるほぼ全ての品目の細かな種類中、1~2種はオーガニックのものが含まれています。
しかも特に高額というわけでなく、ほとんどが1ドルぐらい(約120円)かそれ以下の差で、ほんの少し高めな程度です。
そのくらい当たり前に流通できるほど、オーガニック製品は日常的に多くの人に購入されています。
消費者からのニーズが大きいからこそオーガニック製品が広まるという仕組みがそこにはあります。
つまりオーガニック食品でないもののリスク、農薬や保存料についてよく理解している人が欧米にはたくさんいるのです。
アメリカで非オーガニックや添加物が入ったケミカルな食品を食べている人は、ほぼ貧困層。
が、その半面、そうでない人ももちろん多くいます。
例えば経済的に低価格でしか食品を買えない人。
貧しいなどの理由で教育があまり受けられない人。
そういった人は下記のような安価な食品を買って過ごしています。
栄養や食品に関する知識に乏しく、安価でカロリーがあるだけの栄養価の低い加工食品。
アメリカらしく広い畑に飛行機で農薬がたっぷり撒かれて育った野菜や果物。
カラフルな着色料と保存料添加物が大量に含まれ見映えと価格面で魅力的な品。
富裕層や一定レベル以上の生活レベルの方はオーガニックを当たり前に選択していますが、
貧しい人はそうにもいかずジャンクフードに手を出しています。
つまり極端に二極化しているわけです。
選択者の意識と知識、経済状況によって大きく人々の食生活は異なっているといえます。
しかし、少なくとも入手のしやすさ、手に入るオーガニック製品の品数の豊富さには、日本での現状を見慣れた人なら驚くかもしれません。
さらに健康と環境に関心の高いヨーロッパ圏なら、このような傾向はさらに顕著です。
いまだにトランス脂肪酸、「アミノ酸等」
添加物入りの食品が大量に出回る、オーガニック後進国「日本」。
ではどうして、日本ではこうもオーガニック食品に対する認識や流通対応が遅れているのでしょう?
これはやはり、海外に比べ日本国内で出回る情報が少ないことが第一の原因だと思われます。
海外ではとうに使用が禁止されている、食べるプラスティックとも呼ばれるトランス脂肪酸。
当たり前に食品売り場に並び、海外では“MSG不使用”がレストランにうたい文句で表示されるほど使われないことが推奨されるアミノ酸系調味料。
日本ではぼぼすべての加工食材に配合されていても、ほとんど疑問視されていません。
また日本では毎年のように農薬使用率世界トップ3位にランクインするなど、立派な農薬大国だといえます。
しかし、その現状を知る人はごくわずかであり、ほとんどの日本人や日本に住んでいる人にこのことを伝えると「そうなの?」ととても驚いた顔をします。
長寿国日本なら当然「食も安全・健康なはず」という誤った考え方が独り歩きしすぎている。
”日本が長寿国であり、その主な理由が食生活だから”という考え方があまりにも一人歩きしている部分も否めません。確かにユネスコで無形文化遺産として和食が登録されたことは、まだ記憶に新しいところです。
ですが、考えてみれば、この場合の”和食”とは、日本古来より伝わる本来の材料と献立、そしてそれにまつわる文化のことであり、今現在の一般家庭の食卓に並ぶ、料理の仕方も材料の生産地も多様な国籍から成るものを差すのではありません。
アメリカで貧困層が買う食品と、日本の一般スーパーに並ぶ食品は同レベル。
そして実際、驚くことに日本の一般家庭向けにスーパーなどで並ぶ食材や加工食品などは、アメリカで貧困層がメインで食べるようなオーガニックでないジャンクな製品とまるで変わらないのです。先に述べたとおり海外で健康に害があると認められている化学物質添加物や農薬すら日本の食品市場ではまだ使用されています。
例え見た目は海外の食品のように明らかにカラフルでなくとも、しっかり抑えた色味の人工着色料や見映えを良くする発色剤は含まれています。
保存料に至っては言わずもがなです。
今後、私たちがすべきこととは?
オーガニック食品を購入することは、立派な市民の意思表示である。
日本に住む私たちは、あきらめて現状を受け入れ、手に入る高値の付いたオーガニック食品を購入したり、
特殊なお店へ出向いたり、あるいはオンラインショップなどを探し、送料をかけて入手するしかないのでしょうか?
正直なところ、今はそうするしかないので、それがベストだと思います。
でも、それは決して状況にただ甘んじているだけとは私は思いません。
なぜなら、「高価な額を支払ってでも安全な食品を得たい」という意思表示となり、これらの需要を高めていくことで、少しずつオーガニックの重要性が社会に示されるためです。
支払った差益は、まだまだ少ない需要でしかないオーガニック食品に携わって下さる生産者の方々に還元され、頑張って頂けるエールとなります。
また消費者が食の安全への関心を高めたり、オーガニックに対しての知識をさらにつけたりし、
SNSやブログで地道に発信したり、セミナーや勉強会で正しい知識を広める活動をすることも重要です。
こうした地道な活動もまたオーガニック食品・製品に対する認識、また逆にそうでないものに対する危険性への喚起が広まります。
多少不便であっても、オーガニック食品がもたらしてくれる食の安全性を一人一人が求め続けていくべき
今の日本は、オーガニックに対する社会意識の変化の過渡期なのではないかと思うのです。
だからこそ、今は多少不便であっても、オーガニック食品がもたらしてくれる食の安全性を私たち一人一人が求め続けていくべきなのです。
そうすることで未来の私たち、また次の世代でもっとオーガニック食品の需要が広まることと思います。
さらにはオーガニック食品の生産環境として必須の、農薬や食害物質の減少へとつながっていくはずです。
生活や環境を見極め自分で選択することは、それは結局私たちの意思表示、
あるいは生活意識そのままであり、生き方であるといっても過言ではありません。
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