身近なよもぎには強力な抗がん成分があった！がん治療の期待の星「アルテミシニン」が持つ驚きの作用を詳しく解説します

ガン細胞は健康な人の体の中でも毎日数百から数千個も発生しています。

元々人間の体には自然発生したガン細胞の増殖を抑える、Ｔリンパ球やＮＫ細胞と呼ばれる細胞が存在しています。

ガンは、ガン細胞の増殖がこれらの細胞の力を上回った場合に発生するといわれています。

2021年現在、「手術療法」「化学療法」「放射線療法」がガンの三大治療法としてガン治療に使われていますが、近年では抗がん剤としての効果が期待できる数多くの植物の成分が発見・抽出され、多くのがん治療に役立てられています。

そこで今回お伝えしたいのは、よもぎなどに含まれる成分「アルテミシニン」です。

よもぎは古くから薬草として用いられ、現在でもあまりに身近すぎる植物となっていますが、現在ではガン治療の救世主としてのポテンシャルを大いに秘めた存在として、実用に向けて研究が進められています。

がんの三大治療法をおさらい

手術療法

手術療法とは、手術を行いガンを物理的に切除する方法です。

ガンを患った患部を取り除くので、即効性がありガンの広がりを直接的に抑制する効果があります。

その反面、ガンに侵された組織以外にも、周囲の組織やリンパ節を同時に取り除くことがあるので、体への悪影響があり、手術後の生活に影響が出る場合があります。

また体の一部を取り除くことになるので、高齢であったり、元々の健康状態が良くない場合は手術を行うこと自体が困難なこともあります。

化学療法

化学療法は、ガン細胞の増殖を抑制し、再発、転移を防ぐ効果のある抗がん剤を用いて癌を治療することをいいます。

飲み薬や点滴などの方法で抗がん剤を体内に入れて使用します。主にガンが転移している場合や、広範囲に治療が必要な場合に使われます。

副作用として、嘔吐、口内炎、下痢、便秘、全身の倦怠感、手足のしびれ、脱毛などが起こることがあります。

また体質により腎臓や肺などにも影響が出る場合があります。

放射線治療法

放射線治療法は、患部に高エネルギーの放射線を当て、がん細胞を死滅・増殖を抑制する治療方法です。

放射線を直接当てる以外にも、放射線物質を入れた入れ物をガン周辺の体内や、ガン患部に直接埋め込む方法があります。

手術療法とは違い、手術をして体の一部を取り除かなくてもいいというメリットがあります。

副作用は全身症状として、放射線宿酔と呼ばれる症状が出ることがあります。

放射線宿酔の症状には、倦怠感、嘔吐、食欲不振、頭痛などがあります。

その他の副作用は 主に放射線が当てられた部分に出ます。

例えば、放射線を当てられたのが胃などの消化管ならば、消化機能が低下し吐き気や嘔吐の症状が、口周辺ならば口の中が荒れた状態になり、むくみなどの症状がでることがあります。


この３つの治療法を組み合わせてガンの治療を行うことが一般的であり、長年の研究によって患者の身体への負担は軽減されてきているものの、副作用を避けることは非常に困難です。

がん治療の期待の星として大注目！よもぎに含まれる成分『アルテミシニン』

近年では、植物を使った副作用の少ないがん治療が大きな注目を浴びており、とりわけがん細胞に含まれる「鉄」に注目した治療法が発見されています。

その中でも「アルテミシニン」という物質を使ったガン治療が大きな効果をあげており、非常に注目されています。

このアルテミシニン、実は私たちの身近で見かけるある植物に含まれる物質です。

その植物とは昔から私たち日本人の間で薬草として知られている「ヨモギ」です。

よもぎに含まれる成分「アルテミシニン」って何？がん研究以前からマラリアの治療薬としても活躍！

ヨモギは、古くから私たち日本人になじみ深い植物です。

ヨモギ餅や蒸しパン、天ぷらなどにして食べるのはもちろん、健康面でも、お灸や漢方薬として長い間私たちに親しまれてきました。

ガンの特効薬になる可能性があるアルテミシニンは、特定のヨモギ属に含まれています。

ヨモギには世界中で約250種類もの種類があります。

アルテミシニンの含有量は、ヨモギの種類によって違います。

アルテミシニンはたくさんあるヨモギ属の中の、青蒿という名で 古くから漢方薬として使われている「クソニンジン、英名Artemisia annua」から、1972年に中国のトゥ・ヨウヨウ氏がマラリアの治療薬として発見しました。

マラリアとは

マラリアはエイズ、結核と並んで世界三大感染症と呼ばれています。

マラリアは世界中の熱帯・亜熱帯地域 で主に流行している、マラリア原虫をもった蚊に刺されることで感染する病気です。

マラリアに感染すると、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、関節痛などの症状がみられ、重症化すると脳症、腎症、肺水腫、重症貧血などを引き起こし、死に至ります。

重症化した場合、治癒した後に深刻な後遺症が残ることがあります。

それまでマラリアにはアルテミシニンよりも効く特効薬はなく、とてもたくさんの人々がマラリアによって命を失っていました。

トゥ氏は何とか人々を救いたいと研究に研究を重ねた結果、とうとうクソニンジンからアルテミシニンを抽出することに成功しました。

この発見により、マラリアによる死亡率がなんと20％以上も減少したといわれています。

まさに歴史的な大発見であり、トゥ氏はその功績もあって2015年度のノーベル医学生理学賞を受賞しました。

そして現在、アルテミシニンはマラリアに最も有効な治療薬として世界中で使われています。

参考：Discovery of Artemisinin (Qinghaosu)

がん細胞にアルテミシニンが作用する理由は？

では、マラリアの治療薬としてすばらしい効果を持つアルテミシニンが、どのようにしてガン細胞に効果を発揮するのでしょうか。

アルテミシニンは、鉄を多く含む細胞に反応する特徴を持ちます。

人間の体の中で鉄の含有量が多い細胞といえば、赤血球です。

マラリアはマラリア原虫が体内に寄生することで感染します。

体内に入ったマラリア原虫は赤血球に侵入し増殖し、ある程度の数になると赤血球を破壊し、外に出て来てまた他の赤血球に寄生します。

アルテミシニンは赤血球に含まれる鉄に反応し、フリーラジカル（分子の中にある、通常２つで対になって安定している電子が、ひとつだけ離れて存在すること）を発生させて、赤血球に寄生するマラリア原虫を死滅させます。

これと似たような働きがガン細胞にも期待できるといわれています。

なぜなら、ガン細胞が増殖するためには鉄が必要なため、ガン細胞には正常な細胞よりもたくさん鉄が含まれているからです。

マラリア原虫に寄生された赤血球とガン細胞では、「鉄を多く含む細胞」という共通点があります。

そのためアルテミシニンは、正常な細胞には働かず、鉄の多いガン細胞にのみ効果を発揮します。

寄生された赤血球と同じように、ガン細胞にもフリーラジカルを引き起こし、ガン細胞にダメージを与え増殖を抑制します。

アメリカのワシントン大学の研究では、特定のガン細胞に従来のがん治療薬の1200倍の効果があったという研究結果が発表されています。（※）

副作用は発疹、吐き気、嘔吐、ふるえ、肝機能障害などがありますが、従来のガン治療薬と比べて格段に少ない結果となっているようです。

参考：Can Artemisinin Treat Cancer?（healthline）

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アルテミシニンの使用上の注意はあるの？

現在アルテミシニンは個人でも購入することは難しくありません。

しかしマラリアの治療薬として使われている物なので、安易に服用することは危険です。

抗けいれん薬を服用中にアルテミシニンが体内に入ると発作を誘発することがあるなど、思わぬ悪影響を及ぼす場合があるので他の薬と併用することは必ず避けましょう。

鉄と反応する性質から、アルテミシニンを服用するときは鉄分を多く含む食品を控えるなど、正しい方法で服用することが重要です。

服用を考えている場合は、自分の体を守るため、自分で判断せず、主治医に相談しましょう。

副作用が少ない植物由来の抗ガン成分の研究が進んでいる！植物の力を生活にも取り入れよう

まだまだ多くの人を苦しめ、死に至らしめることも多いガン。

少しでも副作用が少なく、効き目の高い治療法を見つけようと、ガン治療に関してはさまざまな治療法が研究されています。

今回は「ガン細胞に含まれる鉄」に注目した研究であるアルテミシニンについてご紹介しました。

アルテミシンはガン治療の救世主としてのポテンシャルを大いに秘めた存在として、実用に向けて研究が進められています。

ガンが不治の病でなくなる日もそう遠くないのではないでしょうか。

植物の持つパワーは侮れませんので、今が旬であるよもぎを生活に取り入れてみるのもおすすめです！

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