「激安」という言葉は好きですか?安さは正義じゃない!「安さの裏側」。それはまさにオメラスの理想郷。遅れている日本はこのままでいいの?
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
昨年の6月に初めてタイ・バンコクに行ってきました。
タイの6月は雨季で、予想より遥かに湿度が高くその暑さに驚きました。
今回のタイ旅行の目的は買い物とマッサージを堪能すること。
ガイドブックやインターネットで調べると、日本では信じられない価格でマッサージを受けられることがわかり大変魅力的に思えました。
また、大好きなアジアン雑貨やハーブティーなども日本の3分の1程度の値段で購入できることにとてもウキウキしていました。
近代的だったバンコク。しかしすぐその近くでは・・・
実際に行ってみたバンコクはとても近代的な街でした。
道路は少し汚いけれど、若者の向けのショップが入った大型ショッピングモールがあったり、スイーツカフェなども沢山ありました。
また、電車の便が非常に良く車内もとてもキレイです。
通勤時間帯にはおしゃれな格好をした人たちがたくさん乗っておりその光景は日本とあまり変わらないようにも思えました。
しかし、朝早くいそいそと出勤する人たちがいる一方で、女性が道端に座り込み花で何かを作って
売っていたり、子供が投げ銭用の箱を置いてリコーダーを吹いたりしていました。
日本で子供が路上で商売をしている姿はさすがに見かけません。
その時、少しタイの現実を見てしまった気がしました。
いざ買い物マッサージ三昧!しかしここでも・・・
この人たちのお給料はどうなっているのだろう?
マッサージフリークな私は、事前に目星を付けていたリラクゼーションサロンを回ることにしました。
1日2軒周ったりもしました。
なぜなら日本では考えられない価格で受けられるからです。
日本円にして1時間900円ちょっとです。本当に信じられません。
※2017年6月時点のレート換算
しかしウキウキしてマッサージを受けていた私の中にある疑問が湧いてきました。
「この人たちのお給料はどうなっているのだろう?」
私たちが支払う金額の何割をもらっているかはわかりませんが、
タイの生活必需品の値段を考えると安すぎるのでは?と思いました。
(タイはチップ制なのでそれも収入になっていますが、それにしても安いと思いました。)
チャトチャックウィークエンドマーケットで衝撃の光景
週末だけ開かれるチャトチャックウィークエンドマーケットという市場があります。
ここでは観光客はもちろん、業者が仕入れに来たりもするそうです。
私は週末を挟んでタイに行っていたので、このマーケットに行くことにしていました。
バンコク滞在中色々と買い物に周りましたが、ここが一番安かったです。
しかし安さに浮かれていたのもつかの間、衝撃の光景が目に入ってきました。
それは児童労働です。
当たり前のようにいたる所で子供たちが店番をしていました。
外国人相手に値段交渉に応じたり、つたない英語で接客をしていました。
きっと毎週お店に立っているのでしょう。そのぐらい慣れている感じがしました。
そして物価も本当に安いです。
小さな細々とした雑貨は日本円で数十円程度、
もしくはそれ以下のものも多く、一体原価はいくらなのだろう?と思いました。
販売価格がこの値段ということは・・・作っている人の賃金は?材料費は?
安くて嬉しい反面、沢山の疑問が頭を駆け巡りました。
激安!セール!特売品!こんな言葉は好きですか?
タイで当たり前に行われていた児童労働にややショックを受け帰国しました。
帰国してからの私は物の値段が気になって仕方ありません。
あなたは 激安!セール!特売品!こんな言葉は好きですか?
嫌いという人はあまりいないかもしれません。
しかし、なぜそれらが、安いのか考えたことはありますか?
誰がどのように作って、どんな流れで今あなたの手の中にあるか考えたことはありますか?
その裏側を考えると、決して「激安」という言葉に手放しでは喜べなくなるのではないでしょうか。
私はタイの物価の安さと児童労働を見た時、「フェアトレード」という言葉を思い出しました。フェアトレードってなに?
フェアトレード(Fair Trade : 公平貿易)とは、
発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、
生産者の持続的な生活向上を支える仕組みです。
引用元 わかちあいプロジェクト
フェアトレードを推進し、実践している企業も増えてきていますが、
まだまだ消費者には認識されていないのが現実です。
遅れている日本
私がフェアトレードという言葉を初めて知ったのはもう15年以上前だったと思います。当時勤めていたリフレクソロジーサロンの母体である化粧品メーカーの研修でフェアトレードや化粧品の動物実験などについて勉強しました。
そこで、私たちの嗜好品や贅沢品のために多くの犠牲があることを知りました。
今でこそ
・オーガニックなどなるべく自然なものを取り入れる
・薬に頼らない自然療法を取り入れる
そういった意識が高まっている日本ですが、当時はアロマセラピーという言葉すら知らない人が多かったです。
日本は自然療法や食に対する意識、地球規模の環境問題の分野でとても遅れていると感じました。
(その化粧品メーカーはイギリスに本社があります)
生産過程を知り想像する
ひとつの製品ができるまでには様々な人が関わっており、たくさんの工程を経て消費者の手元に届いています。現在の日本では、安さを第一に求める消費者の割合が多いと言えます。
その安さを支えるために劣悪な環境で働く人、安い賃金で働く人、危険な場所で働く人、児童労働など
世界では多くの労働者が犠牲になっていると言っても大げさではありません。
また、効率とコストパフォーマンスの良さを求めるあまり、機械のように扱われる動物たちや、
人体に良くない影響を及ぼす大量の添加物や化学薬品などが使用されているという現実もあります。
それらを口にしたり身に付けることで、私たち消費者自身もまた犠牲になっているのです。
さらに、大量消費によって地球環境まで破壊しています。
オメラスから歩み去る人々
「風の中十二方位」という短編集の中に収録されている「オメラスから歩み去る人々」という物語をご存じですか?
此処ではない何処か遠い場所に、オメラスと呼ばれる美しい都がある。
オメラスは幸福と祝祭の街であり、ある種の理想郷を体現している。
そこには君主制も奴隷制もなく、僧侶も軍人もいない。
人々は精神的にも物質的にも豊かな暮らしを享受している。
祝祭の鐘の音が喜ばしげに響き渡る中、誰もが「心やましさ」のない勝利感を胸に満たす。
子供達はみな人々の慈しみを受けて育ち、大人になって行く。
素晴らしい街。人の思い描く理想郷。
しかし、そのオメラスの平和と繁栄の為に差し出されている犠牲を知る時、
現実を生きる自分達は気付くのだ。
この遥か遠き理想郷は、今自分が立っているこの場所の事なのだと。
オメラスが求めた犠牲。それはこんな姿をしている。
“オメラスの美しいある公共建造物の地下室に、一つの部屋がある。
部屋には錠のおりた扉が一つ、窓はない。
わずかな光が、壁板のすきまから埃っぽくさしこんでいるが、
これは穴蔵のどこかむこうにある蜘蛛の巣の張った窓からのお裾分けにすぎない。”
“その部屋の中に汚物まみれの子どもが坐っている。男の子とも女の子とも見分けがつかない。
年は六つぐらいに見えるが、実際にはもうすぐ十になる。その子は精薄児だ。”
“その子はもとからずっとこの物置に住んでいたわけではなく、
日光と母親の声を思いだすことができるので、ときどきこう訴えかける。
「おとなしくするから、出してちょうだい。おとなしくするから!」彼らは決してそれに答えない。
その子も前にはよく夜中に助けをもとめて叫んだり、しょっちゅう泣いたりしたものだが、
いまでは、「えーはあ、えーはあ」といった鼻声を出すだけで、だんだん口もきかなくなっている。
その子は脚のふくらはぎもないほど痩せ細り、腹だけがふくらんでいる。
食べ物は一日に鉢半分のトウモロコシ粉と獣脂だけである。その子はすっ裸だ。”
“その子がそこにいなければならないことは、みんなが知っている。
そのわけを理解している者、いない者、それはまちまちだが、とにかく、彼らの幸福、この都の美しさ、彼らの友情の優しさ、彼らの子どもたちの健康、学者たちの知恵、職人たちの技術、そして豊作と温和な気候までが、すべてこの一人の子どものおぞましい不幸に負ぶさっていることだけは、みんなが知っているのだ。
そして、この幸福に満たされた完璧な理想郷から、時々歩み去る人たちがいる。”
作者 アーシュラ・K・ル=グウィン
オメラスは幸福と祝祭の街であり、ある種の理想郷を体現している。
そこには君主制も奴隷制もなく、僧侶も軍人もいない。
人々は精神的にも物質的にも豊かな暮らしを享受している。
祝祭の鐘の音が喜ばしげに響き渡る中、誰もが「心やましさ」のない勝利感を胸に満たす。
子供達はみな人々の慈しみを受けて育ち、大人になって行く。
素晴らしい街。人の思い描く理想郷。
しかし、そのオメラスの平和と繁栄の為に差し出されている犠牲を知る時、
現実を生きる自分達は気付くのだ。
この遥か遠き理想郷は、今自分が立っているこの場所の事なのだと。
オメラスが求めた犠牲。それはこんな姿をしている。
“オメラスの美しいある公共建造物の地下室に、一つの部屋がある。
部屋には錠のおりた扉が一つ、窓はない。
わずかな光が、壁板のすきまから埃っぽくさしこんでいるが、
これは穴蔵のどこかむこうにある蜘蛛の巣の張った窓からのお裾分けにすぎない。”
“その部屋の中に汚物まみれの子どもが坐っている。男の子とも女の子とも見分けがつかない。
年は六つぐらいに見えるが、実際にはもうすぐ十になる。その子は精薄児だ。”
“その子はもとからずっとこの物置に住んでいたわけではなく、
日光と母親の声を思いだすことができるので、ときどきこう訴えかける。
「おとなしくするから、出してちょうだい。おとなしくするから!」彼らは決してそれに答えない。
その子も前にはよく夜中に助けをもとめて叫んだり、しょっちゅう泣いたりしたものだが、
いまでは、「えーはあ、えーはあ」といった鼻声を出すだけで、だんだん口もきかなくなっている。
その子は脚のふくらはぎもないほど痩せ細り、腹だけがふくらんでいる。
食べ物は一日に鉢半分のトウモロコシ粉と獣脂だけである。その子はすっ裸だ。”
“その子がそこにいなければならないことは、みんなが知っている。
そのわけを理解している者、いない者、それはまちまちだが、とにかく、彼らの幸福、この都の美しさ、彼らの友情の優しさ、彼らの子どもたちの健康、学者たちの知恵、職人たちの技術、そして豊作と温和な気候までが、すべてこの一人の子どものおぞましい不幸に負ぶさっていることだけは、みんなが知っているのだ。
そして、この幸福に満たされた完璧な理想郷から、時々歩み去る人たちがいる。”
作者 アーシュラ・K・ル=グウィン
私はこの物語を知った時、まさに今の日本を含む先進国のことを表していると思いました。
食べ物や洋服を奪い合うことなくいつでも手に入れられる幸せ。
まだまだ使えるものを捨て、次の新しい物を買い、そしてまた捨てる・・・
先進国の消費者のニーズに応えるための安さの裏には、犠牲になっている人や物が
たくさん隠れているのだということを絶対に忘れてはなりません。
安い=良い・素晴らしい ではないのです。
今私たちに必要なのは、オメラスから歩み去ることではなく、犠牲の無い世の中を作ろうとする意志ではないでしょうか。
買い物で商品を手に取る時、このことを思い出してください小さなこと、小さなものからでもいいのです。
ひとりひとりの行動が変わっていけば世界も変わっていくはずです。
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