りんごの表面についているヌルヌルは残留農薬?ワックス?時折見かける世にも不思議な「ノーワックスりんご」の真実とは。
「面白いりんご見つけたよ」
仕事の都合で都会に住むりんご農家の息子が、ビニール袋に入った真っ赤なりんごを手土産に訪ねてきました。
年も明け、2月~3月に出回る赤いりんごと言えば、貯蔵性の高い品種”ふじ”くらいしかありません。
袋の中のりんごも、やっぱり”ふじ”でした。
”ふじ”はもっとも栽培量が多く、もっとも人気の品種です。
・・・一体何が面白い?
私は内心そう思いました。りんご農家も驚いた!時々見かけるノーワックスりんご
「ノーワックスだって!」
聞けば、週末に都心で開かれる青空マーケットへ行ったそうです。
すると有機野菜と並んでりんごも並んでいたそうですが、商品ポップに『ノーワックス』と表記してあったというのです。
私も20年以上前から有機栽培野菜や自然食品などを扱う店舗、あるいは有機栽培農産物を直送してくれる通販で『ノーワックスりんご』を何度か見かけたことがあります。
「一体どういう意味なんだろう?」と不思議だったので、一度ある店舗でベテラン店長さんに聞いてみたことがあります。
すると・・・
店長さん「スーパーなどで、ツヤツヤに光っているりんごを売っていますでしょう?あれはワックス掛けがしてあるんですよ。」
私「何でワックス掛けしているんですか?」店長さん「見栄えが良くなるし、長持ちするんです」
淀みない説明と確信に満ちた口調に、一瞬納得しかけてしまったのですが、
りんごの特性を考えると科学的に本来、あり得ない話です。
りんごの特性を考えると科学的に本来、あり得ないワックスりんご
厳重に実を守るりんご果皮の構造
果皮の最上層(最も外側)はクチクラという二重構造になっています。
上層はロウ質顆粒とウルソール酸結晶で構成され、下層は流動性のロウ物質で出来ています。
クチクラ上層にあるウルソール酸は、ローズマリーにも含まれるので、最近ご家庭で無水エタノールに漬けてチンキやクリームを手作りする方もいます。
また奈良県で古くから作られている柿の葉寿司。
柿の葉にもウルソール酸が含まれており、酢飯や具材を乾燥から守るだけではなく、抗菌効果もありますのでお寿司の保存にはうってつけです。
先人の知恵はスゴイですね。
つまりりんごは自身が作り出す天然のワックス成分で、自分を守っていた!
つまり人間のお肌に例えると、化粧水で水分を補給した後、クリームで蓋をしているイメージです。
りんごは80%以上が水分ですから、その蒸発を防ぐためはもちろん、
外からの病気や傷から守る為に、疎水性の二重組織で実を守っているわけです。
その自衛能力は高く、強風やひょうなどの気象下で多少実に傷がついても、種を守る果実本体に影響が及ばないよう自分で修復することができます。
その様は、まるで人間の肌のようで、傷痕が少し盛り上がります。
ぬるぬるした成分を「残留農薬」だと思い込む消費者も・・・・
『りんごにワックス?!』都市伝説の発端
収穫後、時間が経ったり保存時の気温が高いと、水分蒸発や劣化のリスクが高まります。
そうすると自分で作っているワックス成分を、表面に染み出させて防衛するのです。
この状態を産地では”油上がり”と呼んでいますが、このりんごの特性が都市伝説の始まりです。
成分としてはロウなので、ぬるぬる、テカテカしています。
手で持てばすべることもあるし、そもそも水分を遮断するために出している成分なので、水で流したくらいでは落ちません。
そのため”残留農薬”だという噂さえ広まったこともあります。
ワックスを塗ると劣化が早まる理由:植物ホルモン エチレンの作用
りんごは果物の中でも、特にエチレンガス発生量が多いのが特徴です。
エチレンガスは植物ホルモンの中で、唯一気体(ガス)の状態で存在するホルモン物質です。
品種によって発生量にも差があり、赤い品種だと”つがる”、最近人気の黄色品種”黄王”も比較的多く発生します。
”ふじ”はガス発生が少ない方の品種ではあります。
それでもりんごから発生するエチレンガスは、
果物の追熟を促進する作用があるため、まだ青いバナナや固いキウィなどと一緒に置くと追熟が早まります。
一方で野菜室にそのまま入れておくと、野菜の劣化を早めてしまいます。
りんごを保存する際は他の野菜の劣化を防ぐため、ビニール袋に入れ、口を縛って冷蔵庫または野菜室に入れることをお薦めします。
ワックスを使う利点なし!
ニュース映像で誤解?!
贈答用クラスのりんごは、表面のホコリを取るために布で乾拭きすることはあります。そうすると多少ツヤは出ますので、そのような作業工程を映像で見た方が、誤解された可能性も考えられます。
どちらにしろ大量にエチレンガスを発生しているりんご表面を、人工的にワックスで覆ってしまうとりんごの劣化を早めるだけですので、ワックスを使用する理由がありません。
『ワックスを塗ってツヤを出し、日持ちを良くさせている』という説の真相
どうしてこんな話がまかり通っているのかと、何人かの関係者に当たってみたところ有力な証言がありました。販売店から「お宅のりんごはワックスがけしているか?」と聞かれたことがある。
変なことを聞くなあ・・とは思ったけど、そんなことはしていないから「していません」と答えた。
そう、この何気ない会話が、真実を物語っています。
店舗の方では、消費者から「表面がぬるぬるしている。農薬なのでは?ワックスなのでは?」
という問い合わせがあり、農家や卸元に確かめたわけです。しかし当事者たちは『何でそんなこと聞くのだろう?』と不思議に思いながらも、やっていないから単純に「やっていない」と答えてきたわけです。
「○○不使用」「無添加」表示をもう一度見直そうという動き。
一般社団法人 日本食品添加物協会は平成30年1月17日付けで以下のものをリリースしました。「無添加」「不使用」表示に対する見解
この中で
「無添加」、「不使用」表示の自粛要請
という項目があります。
確かにパッケージに「無添加」という表記があっても、『一体何が無添加なのか?』と首を傾げたくなるものは良く見かけます。
また加工途中に補助剤として食品添加物を使用した場合や加工原料にすでに入っていた場合は、表記していないケースもあり、基準があいまいな現実もあります。
そういった商品や、このりんごワックスのように『そもそも使っていない』ものに「ノー〇〇」「〇〇不使用」という表記は、消費者の混乱や誤解を招きます。
だからと言って、
正当な根拠なく(一部ないしはすべての)食品添加物の有用性ないし安全性を否定する表示
の自粛を要請するのは疑問です。
それならば、食品添加物の有用性や安全性を堂々と表記することも推進して欲しいです。
わたしたち消費者に出来ること
現行表示基準にあいまいな部分があるのは事実です。
そして一言で『食品添加物』と言ってもピンからキリまであります。
りんごもフルーツの中ではもっとも残留農薬が多い作物の一つで消費者が選ぶ際に、不安に思う気持ちもわからなくもありません。
ですが「ぬるぬるしているから農薬では?」と思いこむ前に自らでしっかり真実を、調べることも必要です。
そこで私たちに日々できることは・・・
添加物や農薬に限らず疑問に思ったら他人に質問するだけではなく、しっかり学ぶ癖をつけましょう。1.『何が』『どうして』良くないのか?という知識を高めること。
2.生産者やメーカーの理念を確かめて商品を選ぶこと。
特に最新の研究で、これまでの科学的評価が変わることもありますから、常に、最新の情報を知る努力も必要です。
1.『試験管レベルの研究結果』なのか
2.『動物実験の結果』なのか
3.『人間での結果』なのかではだいぶ事情が違います。
一喜一憂せず、少しずつ知識や情報を積み重ねていくことが必要です。
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