世界最大級の農薬大国日本|EUの100倍緩い基準も
日本が世界に誇る食文化「和食」は、ユネスコの無形文化遺産にも登録された素晴らしいもの。
しかし、この和食が今や、海外からの輸入食品(食材)なくしては成立しないことを皆さんはご存知でしょうか。
例えば、てんぷらうどん。
海老の天ぷらのエビはベトナムやタイからの輸入品、天ぷらの衣の小麦粉はアメリカやカナダから、
天ぷらを揚げる油(菜種油や大豆)はカナダ産、そば粉は中国やアメリカの生産品、つゆに使う醤油はアメリカの大豆を原料に製造されている等々、
多くの国からの輸入がなければ和食は維持ができなくなっているのが現状です。
いつも食べているものの中でどれが輸入品でどれが国産品なのか、そしてどれが安全なのか。
毎日の献立を考える前に、一度立ち止まってみませんか。
日本は食料自給率の低い、輸入大国。主な輸入元では発がん性のある農薬を使用して農産物を作っている
食料自給率37%(平成30年度カロリーベース)の日本は食料品の多くを輸入に頼っており、
輸入なくして今の国民全員の食生活は成り立ちません。
主食である米は97%と高い自給率ですが、パンやうどんなどに使用される小麦は12%、
味噌や醤油などに使されている大豆はわずか6%という低い数値です。
果物に関しても38%と半数を切る自給率で、それ以外はすべて輸入品に頼っていることになります。
さらに日本はとうもろこし(輸入率92%)、小麦(輸入率51%)、大豆(輸入率72%)は
大多数をアメリカから輸入しています。
これらの輸入とうもろこや、大豆にはGMO(遺伝子組み換え作物)が多いと言われています。
アメリカ産のとうもろこしは93%、大豆は94%の確率でGMOとなっています。
GMOと除草薬のグリホサートはセットで併用されケースが多いことを考えると
これらの数値はそのままグリホサートの使用率と言ってもよいでしょう。
そして、WHO(世界保健機関)の下部機関であるIARC(国際がん研究機関)は、
グリホサートについて2015年に「恐らく発がん性がある」との評価を下しています。
GMO(遺伝子組み替え食品)作物は世界的には廃止の流れにある
2014年にIARC(国際がん研究機関)の評価が下って以降、ロシアはGMO食品輸入を禁止し、北欧では使用が禁止されました。
EU国内でも販売禁止や、今後数年の間に全面禁止となる見込みです。
そんな中で、2019年4月、カナダ・アメリカ産小麦使用の市販食パンからグリホサートが検出されました。
(国産・オーガニックからは検出されず。)
両国ではプレハーベスト(収穫直前に作物を枯れさせ、乾燥させるための除草剤)としてグリホサートの使用が認められています。
日本の農林水産省が行った輸入米麦の残留農薬調査によると、カナダ産はほぼ100%、アメリカ産は98%からグリホサポートが検出されています。
参考 農民連食品分析センター
うどん、餃子の皮、お好み焼きなど、日本で食べれる料理の多くには小麦粉が使用されています。
輸入小麦で作られた料理を口にする機会が増えれば増えるほど、除草剤をはじめとする残留農薬の摂取量は多くなっていってしまうのです。
ちなみに全粒粉のほうが、その他の小麦粉より高い残留値を示しています。
同時に、アメリカでは民間機関による「グリホサート不使用認証」の運用も始まっており、
2019年にはアメリカに本社のある大手小売店のコストコがグリホサポートを主成分として除草剤のラウンドアップの販売を中止し、簡単に市販のラウンドアップが手に入るのは先進国では日本だけになりました。
とはいえ、日本では小麦へのグリホサートの使用が認められていないせいか、
パンに対してのグリホサートはその残留基準値が制定されていません。
世界がグリホサポート廃止の流れへと動いた後となる2016年には安全を確認したとの評価書が出され、
残留基準値は2017年に大幅緩和されました。
この緩和は小麦で6倍、そば150倍、ベニバナ種子で400倍の緩和となり、この数字は中国の基準値の150倍です。
輸入されてくるフルーツはポストハーベストだらけ?
海外NGO団体が示した残留農薬が多い果物たち
毎年、USDA(アメリカ農務省)とFDA(アメリカ食品医薬品局)は
4万サンプル以上の47種の野菜と果物に対して行う残留農薬に関する調査の結果を、
EWG(アメリカの環境保護団体)が発表しています。
それによると、
「最も農薬が残りやすいワースト12」(2019)は以下の通りです。
・いちご
・ほうれんそう
・ケール
・ネクタリン
・りんご
・ぶどう
・桃
・チェリー
・なし
・トマト
・セロリ
・じゃがいも
日本が輸入している主な果物はバナナ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ぶどうなど。
リスト内のいちごや桃などは、生のまま輸入はされなくともドライフルーツやお酒、
ジャムなどの加工品として輸入されている場合もあります。
これらの果物の輸入の過程で必ず散布されるのが防かび剤。
輸入果物などにポストハーベスト(収穫後に散布する殺菌・防かび剤)として使用されています。
日本でポストハーベストは禁止されていますが、輸入元となる諸外国ではごく一般的に使われています。
「防かび剤」は日本では食品添加物として認可されており、商品への使用表示が義務付けられています。
中には発がん性を疑われていたり、環境ホルモンでもあるとされている物質もあるため、注意が必要です。
以下に主な防カビ剤を示しました。
①チアベンダゾール
カリフォルニア州の一部でリンゴやブドウに使用されており、肝硬変や流産、胎児異常などの報告があります。
②イマザリル
「チアベンダゾール」と同じ地域で使用されています。毒性があり、日本では農薬として使用するのが避けられきた物質です。
皮膚や衣類に付着した場合は汚染衣類を脱ぎ、皮膚を水と石鹸で最低15分洗浄することが必要とされています。
(食品安全委員会による)
③OPP(オルトフェニルフェノール)、
OPP-Na(オルトフェニルフェノールナトリウム)
レモンやグレープフルーツ、バナナなどに使用されています。OPPはもともと農薬として使用されていたもので、かつては厚生労働省によつ旧表示指定成分
(アレルギー等を引き起こす可能性があるとして国が表示指定していた成分)でした。
ラット実験では発がん性があるとみなされつつも、政治的背景により結果が一転、覆され、
“発がん性はない”と食品添加物として認可された経緯があります。
ポストハーベストは果皮のみならず果肉にも少なからず浸透します。
水洗いや調理を行っても食品中への残存がかなり見られるといった報告もあります。
レモンやオレンジなどの皮を料理等に使いたい場合は国産かつ無農薬表示があるものが安心でしょう。
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ミツバチへの大きな影響などから世界で規制が強まりつつあるネオニコチノイド系農薬。それを使用した農作物が実は日本に出回っている
ネオニコチノイド系農薬はニコチンに似た物質を主成分とし、植物内に取り込まれ、
その葉を食べた虫は致死量に達すると死亡してしまいます。
主に殺虫剤として使用され、少量で高い効果が長期間続くことから普及しました。
しかしやがて、「野菜や果物などの受粉を担うミツバチへの害が大きい」として廃止への議論が沸き起こり、
ほとんどの農家では、このネオニコチノイドは散布を種の部分だけにとどめています。
つまり低濃度のため、食べてすぐには何も起こらないのですが、浸透性が高いため作物自体への農薬が残りやすく、
体内にも入りやすくなってしまいます。
そして体内に入ると「神経伝達かく乱物質」として神経系統の伝達を狂わせてしまいます。
人と昆虫の神経系はとても似ているため、ネオニコチノイド系農薬の急性中毒は麻痺やけいれん、
意識障害を起こします。
また、作用がニコチンと似ているため、胎児から幼児期に強く影響し、
自閉症やADHDなど神経の発達に影響を及ぼしていると指摘する声もあります。
こうした環境への影響や子供の脳の発達に悪影響を及ぼす可能性を指摘する専門家がいることから、
ネオニコチノイド系農薬は世界的に禁止の流れへと動いています。
特にイミダクロプリド、チアメキトサム、クロチアニジンと呼ばれるネオニコチノイド系農薬はEUやフランスでは
全面禁止となっていますが、アメリカでは個人使用のみ制限されていたり、
カナダでは2021年から規制強化の姿勢をとるとしつつも現状、使用に制限はありません。
ちなみに日本ではどれも規制されておらず、残留基準値を緩和していくなど、
世界情勢とは逆の流れを取っています。参考までにアメリカでの農薬の使用状況は次の通りとなっています。
アメリカでの農薬使用状況(2016)
・大豆に使用されている農薬:イミダクロプリド、チアメトキサム
・野菜や果物に使用されている農薬:イミダクロプリド、アセタミプリド、チアメトキサム、ジノテフラン、フルピラジフロン、フィプロニル・りんごやぶどうに使用されている農薬:チアメトキサム、アセタミプリド、チアクロプリド(東部)、ジノテフラン、フルピラジフロン
また、バナナは、日本ではほぼ100%を輸入に頼っています。
主な輸入国であるフィリピン産のバナナからは近年、基準値を超える殺虫剤のフィプロニルが検出されました。
フィプロニルはEUでは2017年に登録の禁止が執行され、フランスでは2004年から使用が禁止されました。
ヨーロッパで当初はトウモロコシの種子に使用していたフィプロニルですが、ミツバチへの毒性が強いとして
農薬としての使用が禁止されるに至った経緯があります。
しかし日本では依然、フィプニルはゴキブリ駆除のほか、米、キャベツ、トウモロコシなどに使用
されています。
そして他のネオニコチノイド系農薬と同様に、神経細胞受容体に作用するとされ、
慢性的かつ継続的摂取による健康への影響は予測がつきません。
そのため、たとえ少量でも避けるべき農薬の一種だと危惧の声が少なくありません。
日本の残留農薬基準値はなんとEUの100倍ゆるいものも!新たにネオニコチノイド系農薬を認可した日本は世界一の農薬後進国
「残留農薬基準値」は「ポジティブリスト制」という制度で定められます。原則すべてを禁止し、残留を認めるもののみをリスト化して示すというやり方で、
基準値内であれば残留していても流通が可能になります。
それと共に一日の許容摂取量も設定されます。
これは日本も欧米とほぼ同値ですが、問題なのは「残留農薬基準」の違いです。
日本での残留農薬基準は食品ごとに設定されていますが、近年これを大幅に緩和し、
EUの20-500倍の基準値となっている品目が多く見られます。
日本人なら毎日口にするであろうお茶(茶葉)に対する農薬残留基準値はEUの70-200倍となっています。
つまり、一日の許容摂取量は欧米とほぼ同じ設定でも、残留基準ははるかに日本が高い。
ということは、同じ量を食べても日本人の方が残留農薬を多く摂取することになります。
もう一つ注目すべきは「飼料用の残留農薬基準」です。
これは「ネガティブリスト制(原則規制はなく、規制するものだけをリスト化)」で定められています。
そのため除草薬のグリホサートの場合、小麦には基準値はあるものの、これを加工したふすまなど家畜用飼料に変わると
基準値がなくなり、原則的に制限は設けられないことになります。
日本で飼育されている家畜飼料にグリホサート使用の輸入小麦ふすまを使用していても、
制限はなく、表示義務もありません。
国産肉なら安全、と一概には言えないのです。
日本は農薬対策においては世界一の後進国
農薬のフルピラジフロンは日本では2015年12月に新規承認され、アメリカでも同年1月、EUでも同年9月に新規承認されています。
スルホキサフロルと並んで、ミツバチになどには安全で、禁止されたネオニコチノイド系農薬の代替品とされていました。
しかし2018年8月、「マルハナバチの繁殖には有害」であるとする研究がNature誌に発表されたことを受け、
農薬廃止先進国であるフランスでは2017年に一時承認差し止めを経て、2019年内に禁止を決定。
フランスは世界で唯一のネオニコチノイド系農薬全廃国となる予定です。
一方の日本は2018年9月にイネの害虫対策にとJA全農とデュポン社(有機フッ素化合物を一躍有名にしたテフロン加工の会社)が共同開発した
農薬のトリプフルメゾピリムを新規承認しました。トリプルメゾピリムに期待できる効果は次の通りです。
(1)イネの重要害虫であるセジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ全てへ卓効を示し、かつ長期の残効性がある。
(2)新しい作用性で既存の農薬に抵抗性を有する個体にも効果を発揮する。
(3)水稲への安全性が高く、また有用生物への影響が少ない。
引用 農水省によるトリプルメゾプリム審査報告書
トリフルメゾピリムに関して、日本以外に世界の他国で承認例はまだありません。上にリンクを貼った「農水省にトリプルメゾプリム審査報告書」の概要欄に書かれている「高い安全性、有用生物への影響が少ない」事に関しては現状、
データ、情報共に少ないため、今後の研究を見守るしかありません。
将来の健康への不安を残さぬよう、食品の安全を確保するためにできること
普段口にする食べ物には、世界中の色々な種類の農薬や添加物が使用されてしまっているのが現状です。
そしてオーガニック食品の摂取が最も高い人は最も低い人に比べて様々なガンへの罹患リスクが25%低いことや、残留農薬の多い食品の摂取と不妊症には関連があるとの研究報告もあります。
そのため現在そして将来への健康を維持また確保するためには、出来るだけ農薬を使用していない、オーガニック食品を選ぶことが、最も大事なポイントとなります。
口にするもの全ては難しくとも、せめて農薬が特に残留しやすい食品や日常的に多く消費する食品などをオーガニックに変える意識を持つだけでも、食の安全を確保するための第一歩となるのではないでしょうか。
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