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消費者ニーズに応えた結果、農薬を長期間大量に使用せざるを得なくなった農業の実態。自然栽培野菜と有機野菜の違い、知っていますか?

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少しずつまわりが年末モードになり始めましたね。
冬が近づくと店頭に並び始めるのが真っ赤なイチゴ。


イチゴを見かけると冬を実感する人も多いのではないでしょうか。
前回の記事で、イチゴは農薬が多用されていると取り上げました。

イチゴにかけられる農薬散布回数は65回。多くの国内食材に残留農薬が含まれていることが明らかに。私たちは今何を選ぶべきか。

理由の一つは栽培期間の長さ。これはどういうことなのでしょうか。

イチゴの本来の旬は初夏

寒くなると店頭に並び始めるイチゴですが、実はイチゴは冬の味覚ではありません。


イチゴの本来の旬は初夏、4〜6月頃に実がなり収穫されるのです。
イチゴは9〜10月頃に苗の植え付けを行います(定植)。

そこから生育が始まりますが、自然界では冬に向かって低温短日が続きます。
そうするとイチゴは春を待って休眠状態に入ります。3月の暖かくなり始める頃、イチゴは目覚めて再び生育を開始。
そして4月頃にイチゴの花が咲き、実をつけます。
これが本来のイチゴの生育の姿でした。


イチゴの旬をも変えたビニールハウス栽培。
その原因は・・


1960年代のビニールハウス栽培の普及により、農業は大きく変わりました。

それまで旬の時期しか採れなかった野菜が、全国で年間を通じて手に入るようになりました。

イチゴはショートケーキの人気からクリスマスシーズンに需要が多くなり、
生産者はビニールハウス栽培によってハウス内で“春状態”を作り出し、イチゴの結実を早めることに成功しました。


イチゴは、11月下旬頃から春先にかけて出まわるように変貌を遂げたのです。
しかし“春状態”なハウス栽培とは高温多湿環境にあり、病害虫が発生しやすい環境でもあります。

こうして消費者のニーズに応えた結果、病害虫を防除するために、農薬を長期間使用せざるを得ない状態になってしまうのです。


ビニールハウスが農薬の一因?
イチゴの自然栽培農家は。

こうした農薬の多用が当然となっているイチゴにおいて、無農薬・無肥料の自然栽培にこだわって栽培する方がいらっしゃいます。

今回は書籍「希望のイチゴ〜最難関の無農薬・無肥料栽培に挑む〜」に取り上げられている、
農業生産法人「みどりの里」を運営者・野中氏のイチゴ無農薬・無肥料栽培の取り組みから見えた農薬依存原因について紹介します。

農薬依存の原因は「土づくり」


農業ではよく「土づくりが大切」と言われます。
本書によると、野中氏もイチゴ栽培を始めた2008年当初、土づくりとして有機肥料を使用していました。
しかし肥料業者の言われるがまま、進められるがまま肥料を投入したところ、病害虫が多発し大半のイチゴが駄目になってしまったそう。
普通ならここで農薬を散布するところ、野中氏は無農薬にこだわるため、また解決策を探るべく時間をかけて土壌の肥料を抜き、
害虫の増殖の動向を日々追いかけ続けます。

試行錯誤を重ね、そして栽培3年目にして、無肥料栽培に試みたのでした。

植物の約90%は空気と水でできている!

2014年、野中氏は偶然参加した講座でこんなデータに出会います。

植物の水分量・・・全体重の60〜80%

乾燥させた植物に含まれる元素の含有率


 炭素・・・45%
 酸素・・・41%
 水素・・・5.5%
 チッソ・・・3%
 リン・・・0.2%
 カリウム・・・1.4%


つまり、植物の約90%が空気と水、そしてそれらを構成する成分でできているのです。


植物にとって、土に大量の肥料を投入するよりも、空気と水の方が重要なのだと確信したのでした。

しかし「土づくり」という名の下に、肥料信仰が根強いのが、日本の農業の現状です。

有機肥料ならOK?
肥料と農薬の負のスパイラル

有機でも、窒素量を増やしてしまう、知られざる落とし穴


同じ土壌に蒔くなら、家畜の糞尿やバーク(樹木の皮を発酵させたもの)を原料とした有機肥料の方が植物にも環境にも安心・安全なイメージがあります。

しかし、ただ有機肥料を蒔くだけでは土壌のチッソ量を高めてしまう可能性もあるのです。


チッソが増えると病害虫の餌食になりやすく、肥料の投入で増えた病害虫を駆逐するために、農薬を散布。
土壌の有用菌までもが農薬で殺菌され、それを補うためにまた肥料を蒔いていく・・・

がんの原因にもなる有害物質を生成

窒素は作物の中にのこりやすく、健康被害のリスクも危惧されています。

加工品や加工肉などによく含まれるたんぱく質とあわさることによって発がん物質である「ニトロソアミン」に変わり、これが発がんと関係するというのです。
実に様々な肥料がありますが、上記のような危険性がある肥料を使用した野菜は、絶対安全だとは言いきれないものも中にはあります。

多種にわたる肥料。
その原料にはこんなものまで・・・

肥料といっても、原料や成分の違いによって現在国内産だけでも約14,000種の肥料が登録されています。


原料は多岐にわたり、家畜の糞尿から油粕、魚粉、肉粉、骨粉など、そのほか汚泥と呼ばれるものなどが挙げられます。

オーガニック=有機と一括りにしがちですが、実際は
一言に有機肥料といえど、農家によってやりかたは多種多様。

どのような内容の肥料が使われているか、そしてどのタイミングでどれだけ使われているかは、農家さんによって大きく異なります。

有機肥料にも勿論よいものはありますし、自然栽培だけが善という単純な話ではありません。

口にして安全であるかどうかは、一目ではわからないのが現状です。

まずは大前提で消費者がしっかりと知識をもつことはもちろん、信頼のおける身近な農家さんに、どのような農法で作られているのかを直接確認するなどし、すこしでも知ろうとする姿勢が重要です。

http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub4_1.html
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/odei_qa.html
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/kensa_kekka/kobetu.html


無肥料栽培にすると植物はどうなる?


無肥料栽培では、土壌内の少ない栄養分を吸収するため、植物は細長い根をびっしりと土深く生やします。
他方肥料で育った植物は与えられた肥料で栄養が事足りるため、根を深く張る必要がなくなってしまい、ゴボウ根のような細く短い根になりやすいです。
根が小さいまま茎と葉が育つので、不健康状態にあり、病害虫に弱くなってしまいます。

<無肥料栽培の好サイクル>

 根の新陳代謝により「脱落細胞」がおこる
 ↓
 「脱落細胞」をエサに土壌微生物が多く集まる
 ↓
 根のまわり(根圏)に適した微生物が集まり、活動が活発化
 ↓
 微生物が土壌中の有機質を分解し、チッソ、リンなどの必須元素を植物に供給


無肥料栽培下の植物は、根と微生物の共生関係が生まれるのに対し、
肥料栽培では根が小さいため微生物が集まりにくく、結局必須元素を肥料に頼らざるを得なくなります。

なかなか農薬と肥料のしがらみから抜け出せない農家。
非難するのは簡単ですが、私たち消費者にできることはないのでしょうか。

自然栽培農家に注目しよう


農薬や肥料ついての問題点を挙げていきましたが、
生産者の中にも自然栽培にこだわる方は多くいます。

野中氏のイチゴの場合は、クリスマスシーズンに合わせ自然栽培の完熟イチゴを届けるため、

ビニールハウスで食酢とデンプン主成分の粘着液剤を使用し、日々病害虫と戦っています。

私たち人間の多くは毎食ご飯を食べています。

そのうちまずは100パーセントじゃなくとも5割でも、6割でも、まっとうな農法で作られた野菜を使ったご飯を選んでみませんか?

日本において大事な存在である真っ当な姿勢をもって運営する農家の取り組みに、私たちはもっと注目しまた敬意を払うことが、自然と融合した農業の活性化に繋がっていくはずです。

食事の前、食卓に並んだ野菜や果物の育つ姿に、もっと思いを馳せてみませんか?

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参考文献:扶桑社「希望のイチゴ 〜最難関の無農薬・無肥料栽培に挑む〜」
田中裕司著(2016年2月)
http://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594074289
野中氏が運営する「農業生産法人みどりの里」ブログはこちらから
http://okome.boo-log.com


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