数々の研究や実例が明かす、人類と地球の危機を救う「有機食品」のお話
数々の研究や実例が明かす、
人類と地球の危機を救う「有機食品」のお話
2018年の時点で日本の食糧自給率は約37%に留まっています。それに対して、アメリカは130%、フランスは127%、イギリスは65%であり、
他の先進国に比べてはるかに低いことが分かります。
食糧自給率が低いのは問題ですが、違う視点から考えると、
日本が安全な食品を選んで輸入することで、世界各国の農業などの第一次産業のあり方を変えることも
出来るかもしれません。
そこで今回は、安全な食品を選ぶことで私たち自身と地球環境にもたらされる大きなメリット
についてお伝えしようと思います。
(参考:日本の食糧自給率の落とし穴)
そもそも“安全な食品”って?
この記事でいう“安全な食品”とは、「無農薬」「無添加」「非遺伝子組み換え」の食品を指します。
だいぶ前から、農薬、食品添加物、遺伝子組み換え食品の危険性については指摘されていますが、
現在も日本では世界に比べてこれらの安全性に対する審査基準が低く、
すでにヨーロッパでは販売が禁止されているものも日本のスーパーでは多数販売され続けています。
例えば、EUでは多くが使用禁止となり、アメリカでも規制が強化されている
「ネオニコチノイド」という農薬は、日本では逆に年々使用が緩和されてきているのです。
(参考:ネオニコチノイド農薬:各国の規制状況)
ほかにも、発がん性や知能低下などが指摘されている食品添加物の「アスパルテーム」も、
大手飲料企業のペプシコ(ペプシコーラの製造元)がその使用を中止するなど、
健康に及ぼす悪影響がアメリカでは広く認識されてるのに対し、
日本ではアステルパームを使った多くの商品がスーパーの棚にち陳列されています。
さらに、遺伝子組み換え食品に関しては、長期的に見た場合の健康への影響が未解明であるにも関わらず、
遺伝子組み換えの穀物を多く輸出するアメリカに迎合する日本は、
それに対する規制をなし崩し的に緩和してきているのが現状です。
(参考:「食の安全で日本は世界に貢献を」米有力市民団体)
では、なぜ農薬や化学添加物、遺伝子組み換え食品の何が危険だと言われるのでしょうか。
それぞれが私たちの身体と地球環境に及ぼす悪影響について見ていきましょう。
農薬がもたらす危険
農薬が私たちの身体に及ぼす影響の一つとして、慢性的な疲労感が挙げられます。
農作物の残留農薬に含まれる化学物質や、重金属などの有害ミネラルが体内に残ることで、
副腎機能が低下し、副腎皮質ホルモンの分泌量が過剰になったり、不足してくるといわれています。
結果的に、疲れやすさ、低血圧、うつ傾向の原因に繋がってくると考えられるのです。
(参考:副腎皮質ホルモンの過不足で生じる疾患)
そして農薬が地球環境へ及ぼす悪影響には、生態系の破壊が考えられます。
土や水田には多様な生物が棲んでおり、それぞれがバランスを保ちながら自然界を維持しています。
そこに農薬を散布すること、周辺に棲む生物の数が減ってしまって生物相互のバランスが崩れ、
最終的には生態系が保たれなくなってしまいます。
(参考:農業面から見た環境問題(要旨))
そのようにして虫や鳥、爬虫類が消えることで、それらの生き物が本来捕食している害虫の数がどんどん増え、
農産物の生産現場においてはさらに強力な農薬が必要となってくることで、
農薬を介して農業従事者と害虫は終わりのない戦いの泥沼へとはまり込んでいくのです。
さらに、残留農薬が基準値をクリアしていて消費者の安全が仮に保証されていたとしても、
農業従事者の中には農薬による健康被害に苦しむ方も少なくありません。
食品添加物がもたらす危険
食品添加物は食材の発色を良くしたり、風味付けをしたり、保存期間を長くするために使われます。
そのほとんどは化学的に合成されて作られており、代表的な食品添加物である「発色剤」、「保存料」、
「乳化剤」「人工甘味料」はWHO(世界保健機関)をはじめとする多くの研究機関から
発がん性が指摘されています。
(参考:食品添加物は危険?安全性は確認されているが摂取しすぎない方がいい理由)
例えば、冒頭でも挙げた、主要な人工甘味料である「アスパルテーム」が体内で代謝される際の
代謝物である「メタノール」は、ヒトの体内で代謝される際に
発がん性のあるホルムアルデヒドに変化すると報告されています。
また、別の代謝物である「アスパラギン酸」は、
神経細胞系に悪影響を及ぼし、知能低下につながることが懸念されています。
(参考:大西睦子著「カロリーゼロにだまされるな 本当は怖い人工甘味料の裏側」)
また、食品添加物の中には腸内細菌を損傷するものもあり、それが
腸内環境の破壊につながるとも言われています。
腸内環境が乱れると、免疫力の低下や肌荒れを引き起こす恐れがあることは
きっと皆さんもよくご存知ですね。
☆食品添加物の危険性については、筆者が以前執筆したこちらの記事もご参考にされてみてください。
「その甘みは本当に大丈夫?〜日本にはびこる「異性化糖」の現実〜」
遺伝子組み換え食品がもたらす危険
遺伝子組み換え食品として代表的な作物には、トウモロコシや大豆が挙げられます。
アメリカで生産される大豆のうち、約90%が遺伝子組み換えであり、
日本で消費される大豆の約75%はアメリカからの輸入で賄っています。
遺伝子組み換えの技術は開発が進んで間もないものですから、
ヒトへの被害の大きさは明確ではありませんが、
遺伝子組み換えトウモロコシをラットに与え続けた場合、
巨大な腫瘍が数か所発生したとの実験結果も出ており、
長期的に遺伝子組み換え食品を摂取し続けることは私たち人間にとってもメリットはないことが推測できます。
(参考:【遺伝子組み換え作物の例と危険性】身を守るために気をつけること)
さらに、遺伝子組み換え作物はその生産工程で自然環境へ大きな負担がかかっています。
例えば、遺伝子組み換え大豆の栽培法としては、まず「ラウンドアップ」という強力な除草剤を耕作地に撒き、
農地に生えている植物を一度全て根こそぎ枯らしてしまいます。
そこへラウンドアップに耐性を持つ大豆の種子を撒き、生産しているのです。
コストや手間を極力カットすることを実現する一方で、
地球環境や生態系へかなりの負担をかけていることがお判りいただけることでしょう。
有機食品で健康を取り戻したケース
一方で、“無農薬”、“無添加”、“非遺伝子組み換え”という三つの条件を全て満たす食品が
「有機食品」です。
この有機食品が人の健康に良い影響をもたらした次のような実例があります。
米国の有力市民団体「マムズ・アクロス・アメリカ」(以下、MAAM)の創立者である
ゼン・ハニーカットさんには3人の息子がいて、それぞれ深刻な食物アレルギーや喘息、
自閉症の症状、自己免疫疾患に苦しんでおられたそうです。
「ところが、家の食事を遺伝子組み換え食材を使わない食品や、
農薬や化学肥料を使わずに作る有機食品に切り替えたら、症状がよくなったのです」
とハニーカットさんは語っています。
(参考:「食の安全で日本は世界に貢献を」米有力市民団体)
筆者自身も、出来るだけオーガニックな食材を使ったり、食品添加物を避ける生活を心掛け始めた頃から、
それまで定期的に出現していた吹き出物がパタリと出なくなり、慢性的に続いていた
ぼんやりした頭痛や胃痛も嘘のようになくなりました。
有機食品の定義をおさらいしておきましょう
では、ここ日本で食品が有機(オーガニック)を名乗るための条件はどのようなものなのでしょうか。
読者の皆さんはすでにご存知のことも多いとは思いますが、改めて振り返ってみましょう。
例えば、「有機野菜」の定義は2001年に施行された有機JAS法という法律で
以下のように定められています。
「単年作物(ほうれん草など)は植え付け(種まき)前2年以上、
多年作物(りんご・みかんなどの果物)は最初の収穫前の3年以上は化学肥料や農薬を避ける事を基本にして、
堆肥(鶏糞・わら・落ち葉などを積み重ね、腐らせて作った肥料)などで土を肥やした田んぼ、
畑で生産された農産物で、国が認めた認定登録機関により有機JAS認定を取得した物。」
つまり、農薬や除草剤や化学肥料を使わずに、自然な状態で栽培された野菜ということになります。
また、「有機畜産物」は、
・飼料は主に有機農産物であること
・野外への放牧など、家畜にストレスを与えずに飼育されたもの
・抗生物質等が病気の予防目的で使用されていないこと
・遺伝子組み換え技術が使用されていないこと
が条件とされており、
「有機加工食品」の定義としては、
・化学的に合成された食品添加物や薬剤の使用を極力さけたもの
・原材料は、水と食塩を除いて95%以上が有機農産物・有機畜産物・有機加工食品であること
とされています。
(参考:有機野菜の意味・定義とは?)
輸入食品であっても、登録認証機関の検査認証を受けていれば、国産品同様に
上の写真の商品の上部に付いているような「有機JASマーク」の表示が許されることに
なっていますので、オーガニック食品を購入する際には目印にすると良いでしょう。
有機食品には地球と人類を救う大いなる可能性がある
有機食品は「自然循環機能の維持増進を図る」ことや「生態系の維持に支障を生じさせない」ことを
目的としています。(平成29年3月27日農林水産省告示第443号)
つまり、有機食品のニーズが高まるほど、自然環境や生態系に優しい第一次産業が増えていく
ということになります。
「とは言え、オーガニックのものって高いイメージが…」と考える方も多いと思います。
確かに、敷居が高いように感じるかもしれませんし、有機食品は他の食品よりも値段が高いのが現状です。
しかし、実は街のスーパーにも有機JASマークの付いた食品は置いていますし、
オーガニック専門スーパーでは有機野菜が安価に売られている場合もあります。
そして、有機食品を少しずつでも生活に取り入れることで、今よりさらに健康になれば、
将来かかるかもしれない生活習慣病などを未然に防ぐことができ、
医療費が浮くかもしれません。
また、環境破壊による温暖化や異常気象が減ることで、
発生が危惧されているような自然災害が防がれ、それに伴う損失を出さずに済むかもしれません。
今日スーパーで手に取る食材や、ネットショッピングでクリックする商品を
たった一つでもオーガニックのものにすることで、
長い目で見れば、その積み重ねが日本の消費傾向を変え、
国内だけでなく、海外の農業や畜産業の在り方までも変えることに繋がる可能性があります。
後にも先にも、私たち一般消費者の購買行動が地球環境を左右してきたのです。
みなさんも、オーガニックなものを生活に少しずつでも取り入れて、
自分にも地球にも優しい暮らし方を実践してみてはいかがでしょうか。
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