その甘みは本当に大丈夫？〜日本にはびこる「異性化糖」の現実〜

IN YOUの読者の方々は普段から身体に取り入れるものには気を付けている方が多いと思います。

でも、日本のスーパーで求めているような食べ物に出会うのは難しかったりしますよね。

そこで今回は、良かれと思って買っていた食品に入っていがちな
“異性化糖”というものについてお話します。

異性化糖のことを知ることで、”なんとな～くいつも身体が怠い…”という状態が改善されるかも！

そもそも異性化糖って？

「異性化糖」は、正式名を“高フルクトース・コーンシロップ”という天然の甘味料です。

“天然”甘味料なのに身体に悪いの？と思われるかもしれませんね。

実は異性化糖は、天然の農作物から取ったブドウ糖と果糖を合わせて人工的に作られた甘い液体なのです。

名前から分かるように、トウモロコシを主な原材料とし、
そのデンプンを酵素によって人工的に分解して作ります。

食品ラベルの原材料名欄には

・ぶどう糖果糖液糖
・果糖ぶどう糖液糖
・高果糖液糖

などと表示されています。

表示名は果糖の含有量によって変わってきますが、いずれも異性化糖です。

原材料には遺伝子組み換えのトウモロコシを使用

異性化糖の原料となるトウモロコシはどこからやって来るのでしょうか？

ご存知の方も多いとは思いますが、
日本はほとんどのトウモロコシを輸入でまかなっており、その大部分はアメリカ産です。

そしてアメリカで生産されるトウモロコシのうち、
なんと、約9割は「遺伝子組み換えトウモロコシ」なのです。

（参考：米国におけるトウモロコシ生産の現状）

現在、「遺伝子組み換え食品」が身体に及ぼす影響については
科学的にはっきりと証明されたわけではありませんが、
良いのか悪いのか不透明な遺伝子組み換え食品をあえて身体に摂り入れる必要はないでしょう。

食品製造企業と異性化糖の甘い関係

異性化糖は安価で甘みが強いことから、食品製造企業は砂糖よりも異性化糖を使いがちな傾向があります。

異性化糖は液状のために扱いやすく、冷たくしても甘みが減らないため、

・清涼飲料水
・調味料
・乳性飲料
・酒類

などといった液状の食品に頻繁に使われているのです。

（参考：平成27年度甘味料の需要実態調査の概要～異性化糖、ソルビトール調製品、ミルク調製品～）


一度、ご自宅の冷蔵庫を調べてみてください。

身体への負担が小さそうと購入した「ぽん酢」や「乳酸菌入りの飲料」、
「調整豆乳」や「甘酒」にも異性化糖が入っていて驚くことでしょう。

異性化糖が食品加工において果たす役割

安く手に入る“糖分”である異性化糖。

では、糖分は食品加工においてどのような役割を果たすのでしょうか。

役割①食品の味をカバーする

「塩みと甘みの合わさった味は人間の食欲を増進させる」とよく言われます。

実は、人間が感知できる５つの味覚（甘味、塩味、酸味、苦味、うま味）のうち、
甘味だけが他の４つの味覚を補うことが出来るのです。

甘じょっぱい塩キャラメル、甘酸っぱいエスニック料理、苦くて甘い高カカオチョコレートなど、
私たちは「美味しい」と思って食べると思います。

糖分はたとえ不完全な食品であっても美味しく感じさせてくれる、
いわば、“魔法の食材”なのです。



役割②食品を美味しく見せる

糖分は熱を加えることによって溶けたり、焦げたりします。

夏祭りの屋台で売っているりんご飴は艶やかに光って美味しそうに見えますし、
トウモロコシのこんがりとした焼き目は食欲をそそりますよね。

このように私たちが「美味しそう」、「食べたい」と思ってしまうような
見た目を生み出すのも糖分なのです。



役割③食品の食感を作り出す

糖分は加工次第で飴のように固くもなれば、キャラメルのように粘度を出すことも可能です。

さらには、食品が凍結する凝固点を下げる性質から、
なめらかな食感のアイスクロームを作る工程においても一役買っています。

世の中には様々な食感のお菓子が存在していますが、
いずれも少なからず糖分の性質を利用しているのですね。


役割④食品の保存期間を長くする


しょっぱい梅干しや甘いジャムは生の食材よりも長持ちします。

これは、塩分と糖分が微生物の活動を小さくするため、食材が腐ったり、
カビたりするのを防ぐからなのです。

企業は保存料以外にも、糖分を利用して食品の品質が保たれる期間を長くしています。



このように、食品加工において“糖分”はなくてはならない存在。
その糖分の中でも安く手に入るのが「異性化糖」であるため、
企業はこれを積極的に使うのですね。

（参考：食品業界が「果糖ブドウ糖液糖」を使いたがる事情）

異性化糖が身体に及ぼす影響

ここまで読んでいただいた皆さんには、「異性化糖が何だか身体に良くなさそう」ということは
分かっていただけたかと思います。

ではここからは、具体的に私たちの身体にどういう影響があるの？についてお話していきましょう。

影響①肥満や糖尿病になるリスクを高める

異性化糖は初めから「果糖」と「ブドウ糖」に変換されているため、
体内に入るとすぐに吸収されて、これが血糖値の急激な上昇に繋がります。

血糖値が急に上がると、上がった血糖値を下げるべく、インスリンが短時間で大量に放出されます。

インスリンは脂肪の合成を促進することから肥満を引き起こしやすくなります。

さらに、脂肪の分解を抑制するため、ダイエットの妨げにもなるのです。

他にも、脂肪細胞が増えるとインスリンへの抵抗性が高まり、
血糖値を下げるインスリンが上手く働かなくなってしまいます。

その結果、血液中の糖が多い状態が続き、糖尿病へとつながるのです。

影響②倦怠感、無気力感を誘発する

血糖値が急上昇すると時間差で今度は血糖値が急降下し、低血糖状態に陥ります。

みなさんも昼食後の仕事中に眠くて眠くてしょうがなくなったことはありませんか？

または、昼食後にしばらく時間が空いた夕方頃に疲れがピークとなり、
倦怠感がひどくなったことがあるかもしれません。

これらは全て血液中の糖が極端に減ってしまった低血糖の症状なのです。

そして知らず知らずのうちに異性化糖の入った調味料を使った料理を食べたり、
飲み物を飲むことによって、こうした低血糖状態から抜け出せなくなるリスクが高まります。

影響③甘いものへの依存度が高くなる

上記のような低血糖状態に陥ると、脳は身体に糖を取り入れるように指示を出します。

そうすると「さっき食べたばかりなのにもうチョコレートや飴が欲しくなる」
「食べても食べても満たされない…」という負のループに入ってしまうわけです。

この偽の食欲に騙されて、甘いものや清涼飲料水を飲み続ければ、
たちまちカロリーオーバーになって体脂肪が増え、ダイエットもなかなか成功しない、
ということになってしまいます。

異性化糖の健康被害に気付いた国

異性化糖はアメリカ産トウモロコシで作られており、そのトウモロコシはほぼ遺伝子組み換え、
というお話をしました。

日本人の多くは、遺伝子組み換え食品がスーパーの棚に平然と並んでいることを知らないことでしょう。

では、輸出国であるアメリカの現状はどうなっているのでしょうか。
アメリカに住む人々も何も知らずに異性化糖を大量に消費しているのでしょうか。

アメリカは世界有数の肥満大国です。

幼い頃から、朝食には甘いシリアル、学校ではコーラを飲み、ランチはスナック菓子…
そんな環境で育てば、当然甘いものへの依存度は高まり、必然的に肥満人口も増えます。

そんな中、アメリカ国内では近年、
遺伝子組み換えのトウモロコシから加工された甘味料を「危険な食材」として
使用禁止を求める運動が広がっているのです。

例えば、自然派スーパーマーケット大手の“Whole Foods Market（ホールフーズ・マーケット）“は、
異性化糖を使用したアメリカン・コーラは販売しておらず、

「人工甘味料不使用」「遺伝子組み換え原料不使用(NON GMO)」
と明記されたコーラを販売しています。

その他のスーパーマーケットでも、異性化糖を使用した
「レギュラーコーラ（アメリカン・コーラ）」に並んで、
砂糖使用（異性化糖不使用）の「メキシカン・コーラ」が販売されており、

健康志向の強い人は、やや値段が張ったとしても後者を購入していくそうです。

（参考：「アメリカン・コーラ」より「メキシカン・コーラ」!?コカ・コーラが惹起する経済と社会問題）

異性化糖を使っている？
食品の成分表示でチェックすべきポイント

残念ながら日本ではオーガニック食品や健康食品を専門に扱ったスーパーは
それほど多くはないのが現状です。

そこでもし一般のスーパーで異性化糖を避けて食品を選ぶためには、
商品に記載されている成分表示（原材料名）をチェックすることが大切になってきます。

具体的には、「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウ糖果糖液糖」「高果糖液糖」が記載されているものは避けます。

また、「甘酒」は甘味料を入れずとも麹の力で甘くなるので、
原材料に「玄米」「麹」が使われているシンプルなものを選びましょう。

目安として、「おばあちゃんが知らない食材」が原材料に記載されている食品は避けた方がベターです。

★ジャムのような甘さ！自然栽培の甘酒

異性化糖フリーの生活を送ろう！

今回は、異性化糖が身近に潜んでいること、その健康に及ぼす悪影響がお分かりいただけたかと思います。

繰り返しになりますが、異性化糖フリーの生活を送るには、
まずスーパーやコンビニで買い物をする時に商品の裏についたラベルを見て、
「ぶどう糖果糖液糖」「果糖ぶどう糖液糖」「高果糖液糖」が記載されているものは避けましょう。

また、ドレッシング類や乳酸菌飲料は手作りするのがやはり一番安全です。

自家製ヨーグルトに無調整豆乳と非加熱はちみつを足せば、自家製ヨーグルトドリンクになりますよ。

さあ、今日から快適な異性化糖フリーの生活を送りましょう！

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