発がん性が指摘され健康被害の訴訟が相次ぐ農薬グリホサートが大手製粉会社３社の小麦粉から検出か。 その毒性と消費者が食の安全を守るためにできることとは？

突然ですが、皆さんは子供のころに給食で食べたコッペパンの味を覚えていますか？
1980年代の給食といえば、主食はご飯、コッペパン、ソフト麺などでしたよね。
先日、昼食を買いに出かけたところ、コッペパンの専門店を見つけて、懐かしくなりました。

入り口に置かれたおいしそうなパンのメニューに惹かれましたが、
添加物や農薬が気になってお店を利用することができませんでした。

持病のアトピーも、幼少期からの食生活に原因があったのではないかと考えると、
外食の際も慎重にならざるを得ません。
子供のころからの欧米型の食生活に慣らされている私たち。
その安全性に疑問を感じることなく、購入している人たちもまだまだ多いのが現実でしょう。

私たちの身近にある除草剤、その影響と特徴は？

私が以前勤務していた職場でも当たり前のように、
アスパラガスの除草剤としてラウンドアップを使用していました。
ラウンドアップは、私たちの身近にあるホームセンターでも、
目玉商品として当たり前のように販売されていますよね。

このラウンドアップ、日本では農産物の栽培だけでなく、
公園や団地などの除草剤としても使用されています。

ラウンドアップは、雑草がある程度の段階まで成長した時点で、
散布することで強力な効果を発揮し、根から枯らします。

夏の雑草が生い茂る時期に効率よく除草を行うため、
多くの農業法人や公の管理事務所なども当たり前のように使用されています。



2017年12月、厚生労働省は、グリホサートの規制緩和を行いました。

以下がグリホサートの主な特徴です。

グリホサート：アミノ酸系除草剤の有効成分。
植物のアミノ酸生成を阻害して、枯らす。

1970年代、アメリカで開発され、1980年に除草剤ラウンドアップとして日本で農薬登録がなされた。

出典：デジタル大辞林

このグリホサートは、2015年にWHOのガン研究機関により、
正式に発ガン性物質として認定され、欧米をはじめ、世界各国で規制が進んでいます。
実は先日、このグリホサートが、大手製粉会社３社の発売していた小麦粉から検出されました。

今回はこのグリホサートの健康への影響と、規制に関する最新情報をお伝えします。

今も増え続ける裁判。
グリホサートの人体に対する危険性

グリホサートを有効成分とするラウンドアップは、草刈りをしても、
すぐに復活してくる草にもてきめんに効く、強力な除草剤として知られています。

2018年にアメリカ人男性がラウンドアップによりガンを発症したとして、
モンサント社を告訴、勝訴したことことは以前、
IN YOUでもトップニュースとしてお伝えしましたよね。

2018年8月アメリカEWGから驚愕の最新情報。
お子さんの朝食やおやつに欠かせないシリアルから大量の発がん性物質グリホサートが検出！



グリホサートは、ガン以外にも、以下のような健康被害が起きる可能性が、
多くの専門家により指摘されています。

■ 注意欠陥多動性障害
■ 意識障害
■ 受精能力低下
■ 発達障害
■ 妊娠期間短縮及び低体重児の出産。

2017年10月には、カリフォルニア大学医学部研究者により、
グリホサートによる人への暴露が5倍に増加していることを示す研究報告が、
米国医学会誌に掲載されました。

昨年は、アメリカだけでなく、
スリランカなどでもグリホサートの健康被害に対する訴訟が検討されています。

またアメリカだけでもグリホサートの訴訟は約8000件にも上ると報道されています。

小麦粉以外の雑穀やそばは大丈夫なの？

大手製粉会社3社から検出されたグリホサート。その危険性は小麦粉だけでしょうか？

2017年に厚生労働省は、グリホサートの大幅な規制緩和を行っています。
それにより、小麦以外の作物も以下のようにの残留基準値が変更されています。

小麦：5.0ppm →30ppm

大麦：20ppm→30ppm

ライ麦：0.2ppm→30ppm

そば：0.2ppm→30ppm

出典：生食発第1225 号　平成29年12月25日 大臣官房生活衛生・食品安全審議官 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について

小麦粉を扱う飲食店経営者が語る、消費者が取るべき行動

世界各地で訴訟が起こされ規制が進む中で、
大手製粉会社3社で販売されている農薬から検出されたグリホサート。
私達消費者はこの問題にどう向き合えば良いでしょうか？


長野県伊那市で、生パスタやガレット、自家製酵母パンのなどのテイクアウトを行っている
「kurabe CONTINENTAL DELICATESSEN（クラベ・コンチネンタル・デリカテッセン）」の
オーナーである渡邊竜朗さんに、今回のグリホサート検出について、
どのように捉えていらっしゃるのか、ご意見を伺いました。

渡邉さんは、伊那市で有機農家を始めとする地域の農家さんや飲食店さんと、
共同で事業を行っています。


「パスタなどの原料は、地元産の小麦粉を使用していますが、
生産者が除草剤を使用していなくても、他の畑や土手・公園での除草剤を使用していた場合、
飛散の影響までは把握できないのが実状です。

まずは、農業だけでなく、個人の家庭や、公園なども含めた実態調査が必要だと思います。

また除草剤を使用しない農業は、現実的に採算を合わせるのが難しい現実もあります。
農家だけの問題にせず、消費者が一緒になって、現状把握に努め、
対策を考えていくことが大切ではないでしょうか。

今回の残留農薬検出の報道を機に、農家や製粉会社だけでなく、
消費者も農家の経営上の課題を共有しつつ、
安全な食のあり方を議論し模索して社会へと転換していく。

消費者は、ただ価格で安全を求めるだけでなく、
主体性と責任を持って共に考えて、一歩踏み込んで行動する。
それが、日本における食の安全を模索していくことに繋がると思います。」

健康意識の高いIN　YOU読者の皆さんは、
実際に小麦粉を扱う飲食店さんのこうした意見を聞いて、どう思われますか？

大手製粉会社の商品からグリホサートが検出された事態に対し、
あなたが今すぐできることは何でしょう？

私からは、以下の解決策をご提案したいと思います。

家庭用園芸ではどの程度、影響があるの？分析を依頼してみよう！

今回、日本消費者連盟の調査により検出されたグリホサート。
農産物や食品は、消費者団体などが検査機関に依頼すれば、
残留農薬の実情を把握することができますよね。

でも、一般家庭で散布されたグリホサートを使った除草剤が、
どの程度飛散しているのか等詳しい実状は把握できていません。

あなたのご自宅の近所でも行われている可能性が高い除草剤散布、
どの程度影響があるか気になりませんか？

個人の方でも、以下の調査機関に雑草や土壌、水などの検査を依頼することができます。

検査費用は高額なので、
他にも安全性を気にされている方と一緒に検査を依頼することをおススメします。

もし検出されたときは、お住まいの自治体に実態調査を求めましょう。

参考：農民連食品分析センター　グリホサート残留分析

地域の農業と経済、そして、私達の健康…。自分の身を守る為に

私が農薬の危険性について考えたのは、アトピーを発症したことがきっかけでした。
20代の頃、アルバイト先の農家さんに農薬とアトピーの因果関係について質問したところ、
「因果関係はあるかもしれないが、生計を立てるためにはやむを得ない」と言われました。

私は、アトピーが原因で仕事に支障をきたしたことがあるため、
その答えを聞いたときは複雑な気持ちになりました。

２人に１人がガンの時代を迎えている日本。

消費者である私は勿論、農薬を散布する生産者の健康に影響をきたす可能性がないのか、
不安を感じることもあります。
そのため、できる範囲で自分で食べる野菜は、自分で栽培しています。

日本の国民ひとりひとりが、グリホサートの影響をより詳細に知ることとともに、
できる範囲で野菜を育てることも、
農業の営みと食の安全について考えていくことに繋がるのではないでしょうか。

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