ついに流通が始まったゲノム編集トマト|ゲノム編集食品の最新情報についてお伝えします。
皆さんはゲノムという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
最近はニュースで取り上げられることも多く、初めて聞いた!という方は少ないかもしれません。
しかし、ゲノムやゲノム編集と言われても自分には関係ない技術だと思っていませんか?
実は、ゲノム編集技術が使われたトマトが昨年、厚生労働省に販売・流通の届け出を出され、すでに流通が始まっているのです。
現在はまだまだ流通量が少ないゲノム編集食品ですが、今後、普及がすすみいたるところで販売されることになるかもしれません。
今回は、ゲノムとゲノム編集とは何か、ゲノム編集食品の最新情報についてお伝えします。
そもそもゲノムとはなに?
近年、ゲノムという言葉が使われることが多くなってきましたが、具体的にゲノムとは何でしょうか。
私たち人間や動物、植物の体は細胞によって作れれています。
血液や骨もそれぞれ細胞からできており、それぞれの細胞がそれぞれの場所でその役割を果たしています。
血液の細胞が骨の細胞の役割を果たすことはできません。
それぞれ専門的な働きをしている細胞ですが、専門の細胞になるためにあらかじめ決まった設計図に従って作られています。
この設計図にあたるのが遺伝子です。
遺伝子は、細胞の中のDNA(デオキシリボ核酸)という物質に含まれています。
このDNAという物質が「遺伝子」として親から子に伝わって、両親の特徴が子供に遺伝しているのです。
DNAは4種類あり、それぞれの頭文字をとってA、T、G、Cと表されます。
この4種類の並び方によって遺伝子の情報を伝えているのです。
人間のDNAの文字列は約30億文字にもなり、この30億文字の文字列すべてのことを「ゲノム」といいます。
ゲノムとは「ある生物のDNAが持つすべての遺伝情報」なのです。
ゲノム編集とはどういうこと?
では、ゲノムを編集するとはどういうことでしょうか。前述の通り、遺伝情報とはDNAの文字列です。
ゲノム編集はこの文字を加筆・修正することを言います。
ゲノム編集のパターンは、下記の3つの方法があります。
・欠失:これまであった文字列を消し去る。
・挿入:これまであった文字列の中に、新しい文字列を挿入する。
・置換:これまであった文字列の一部を別の文字列と置き換える。
これらの方法を用いて、DNAの文字列を自由自在に操るのがゲノム編集です。
ゲノム編集技術はどのように使われているのか?
ゲノム編集は理論上、あらゆる生き物で可能です。
実際に、マウスやショウジョウバエ、サル、シロイヌナズナなどでゲノム編集が行われた実績があります。
昭和に生まれた筆者には未来の技術のように感じられますが、すでにゲノム編集は様々分野で利用され始めているのです。
医療
医療分野のゲノム編集の研究事例を紹介します。
例えば、日本人の死因で最も多いがん治療です。
通常、体内でがん細胞が発生すると免疫細胞によって攻撃されます。
しかし、がん細胞がこの免疫機能を上回ると増殖が進んでしまうのです。
ここで、免疫細胞に備わっているアクセルとブレーキのうち、ブレーキ機能を緩め、がん細胞を攻撃しやすくなるようゲノム編集を行うと、放射線や抗がん剤を使わずともがんの治療が可能になります。
畜産
例えば、古くから人間の家畜として飼育されてきた牛は、長い年月をかけて美味しい肉質の牛や、牛乳をたくさん出す牛を生み出すため交配が行われてきました。
この交配による品種開発は長い月日がかかりますが、ゲノム編集では、1世代で目的の品種を作り出すことができ、品種改良の効率化が期待できます。
実際に、角の生えた乳牛に角がない牛のDNA配列をゲノム編集で組み換え、角がない乳牛が誕生した事例があります。
農業
農業分野においても、長い年月をかけて植物の品種改良が行われてきました。
その始まりは少なくとも1万年から1万5千年前であると言われています。
その歴史の中で、近年登場したのがゲノム編集です。
ゲノム編集によって、農薬に強い品種を作り出したり、植物に含まれる特定の栄養素の含有量を増やしたりすることができます。
そして、昨年、ゲノム編集されたトマトが市場に登場しましました。
このゲノム編集トマトは、国内初のゲノム編集食品となります。
※IN YOU MARKETで扱う商品はゲノム編集食品は扱いません
ゲノム編集食品がはらむ懸念
これまでの伝統的な品種改良も、収穫量が多い個体同士を掛け合わせて人為的にDNAの配列を変えていました。このほかにも、化学物質や放射線を使った品種改良も行われています。
これらの品種改良(遺伝子の変更)は、自然環境でも起こりえるものです。
一方でゲノム編集は、遺伝子を外から導入する技術です。
理論的には違う生き物の遺伝子を導入することも可能になり、自然界では存在することのないNDA配列を持った動植物が誕生することになります。
同種の遺伝子組み換えであれば、これまでの品種改良のスピードを速めただけという意見もありますが、個人的には本当にそれだけで済むのか不安な点もあります。
自然界に存在しないDNA配列を持った食品が本当に安全なのか
ゲノム編集において、目的の部位以外に変異が挿入されてしまう「オフターゲット」という現象があり、オフターゲットが起こったとき、予期していないタンパク質が発生した事例も報告されています。
この、偶発的に発生したタンパク質がアレルギーの原因となる可能性も指摘されています。
また、農薬に耐性を持った植物が生み出され、大量に農薬が使われるようになったらどうなるでしょうか。
残留農薬の危険性が増し、農薬の影響で昆虫に大きなダメージを与えるかもしれません。
農業を行う上で虫は害虫として嫌われる存在ですが、彼らも自然界での役割を担っています。
収穫量を上げるために農薬が大量に使われるようになり、生態系のバランスを崩す可能性もあるのです。
ゲノム編集された動植物が野生種と交雑しないのか
ゲノム編集が行われた動植物はすでに生み出されています。
しかし、今後、それらをきちんと管理できるのかも疑問です。
もし、これからゲノム編集された植物の苗が市場に流通した場合、すべての人がゲノム編集植物を管理できるとは思えません。
いったん野生種と交雑した品種を駆逐するのは難しいでしょう。
そのようなゲノム編集植物が自然環境に出たとき、どのような影響が出るのか、まだ、誰も分かっていないのです。
ゲノム編集食品に「届け出」「表示」の義務がない
ゲノム編集の技術は、これから来るであろう食料問題を解決する技術としても注目されており、農作物の収量アップや食味の向上など、メリットは多くあります。
しかし、個人的には新しく登場した技術であるがゆえ、その安全性が完全に担保されているとは思えません。
ゲノム編集食品の影響については、今後も引き続き検証が必要だと思います。
私たち消費者にとって重要なことは、きちんとゲノム編集食品について理解したうえで、選択できることではないでしょうか。
しかし、今の法律では、外部から遺伝子を組み込まず、特定の遺伝子を切断(遺伝子の働きを失わせる)するだけであれば、審査や表示義務もないのです。
さらに、ゲノム編集食品を販売する企業に対する規制は、届け出のみとなっています。
この届け出も任意であるため、企業の判断にゆだねられている状態です。
これでは知らず知らずのうちにゲノム編集食品を食べてしまう可能性があります。
全ての情報を調査するのは不可能かもしれませんが、私たち消費者も、販売されている商品をただ買うのではなく、自分で調べて判断することが必要ですね。
参考:とことんやさしいゲノム編集の本 宮岡祐一郎著
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