自然栽培小豆で作るシュガーフリーマクロビオティックぜんざいの作り方
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1 11月は茶人のお正月
こんにちは。「いつもがわくわく☆こどもてらこや」主宰の柳原里実です。湯気の立つ三年番茶とひざかけがうれしい季節になりましたね。
さて、11月は茶の湯では『お正月』とも称される大切な月。
『口切(くちきり)の茶事』
『口切』というのは、茶壷の封を切るお茶事です。茶壷には、5月初旬に摘まれた新茶が詰められており、
この日、はじめて封が切られ、半年の間に熟成したお茶の葉を
石臼で挽いて頂くというものです。
本来は、すべてのお道具を新たに整え、正装で臨む最高に格の高いお茶事です。
お茶の先生によると、本式では、茶葉を石臼でひくしずかな音が、
お茶席のお客さまにそっと届くのだそう。
以前、京都府の宇治にある製茶工場で、茶葉の風味を落とさないよう、
日光、温度、臼の材質や形、回転の速さなどへのこだわりは残しつつ、
人力から電動にされている様子を見学させていただきました。
電動の石臼のすきまから出てくる抹茶の量は、あまりにごく少量ずつで、
お客様にたっぷり飲んでいただけるだけの抹茶を手で挽くのは、
本当に手間がかかるものなのだと感じました。
茶壷の紐の結び方には、コツがいります。
知らない人がほどくとなかなか戻せない複雑な結び方は、
形式美だけではなく、毒の混入を防ぐなどの目的もあったそうです。
『炉開(ろびら)き』
夏の間使われていた風炉(ふろ)からいよいよ炉に切り替わる時期です。陰陽五行説によって、陰陽説で、陰極まる「極陰の月」である「亥の月」に、
五行説で「水の日」にあたる「亥の日」に、火を用いる炉開きを重ねたともいわれています。
なによりも、肌寒くなり始める頃に、お部屋が炭火でじんわりとあたたまり、
また炭を拝見しに炉の周りに集まり、あたたかさと美しさをより身近に感じていたたく
お手前が生まれたのも、この季節ならではのお客さまへの思いやりなのですね。
この特別な月を、こどもてらこや畑の新物の自然栽培小豆、
自然農法友人農家の玄米餅米、千利休に由来する吉野杉を用いて味わってみました。
2 小豆の自然栽培と収穫
<小豆>
マメ科ササゲ属。東アジア原産の一年草。
食物繊維、タンパク質、ビタミンB群、サポニン、ポリフェノール、
亜鉛、鉄、カリウムが多く含まれ、古くは薬として用いられていました。
今も、小豆かぼちゃ、小豆がゆなど、特に女性のからだの味方ですね。
また、アントシアニンの赤い色は、古くから厄除けの食としても多く使われてきました。
(1)種まき・発芽
初夏にまいた小豆は、発芽率がとても高く、トトロの場面のように双葉が出てきて、夏の日差しのもと、わさわさ育ってくれました。
(2)開花・結実
黄色い花が咲くと、そのあとに細いインゲンの赤ちゃんのような豆が付き始めました。(3)収穫
秋の声を聴くころには、立派なインゲンのようなさやが白く乾き、順次収穫です。(4)乾燥
天日と風で乾いたさやは、振るとカラカラと音がします。いよいよ脱粒(だつりゅう)です。しかしです、私が試しにさやを3つ開いてみると、3分の2という高確率で中に虫がいるではありませんか!
もし、こどもたちがはじめて開ける小豆のさやが、うにょうにょ虫だらけならば、
トラウマになってしまうのでは…?先に確認して、場合によっては抜いておく方がいいのでは…?
いろいろ考えましたが、事前に説明をして、やはりそのまま開けてもらうことにしました。
(5)脱粒
作業を前に、たぶんすごーく虫が入っていると思うとこどもたちに伝えると、えー!虫ムリか~!との叫び。
みんなで少しお話です。
― なんで虫はさやの中に入っているんだろう。
― 農薬をまいていないから、虫にとって安全だし、食べてもおなか痛くならないし、
本当においしいと思ってると思う。
― 一番好きな食べ物が目の前にあって、巨大で、おなかいっぱい食べて、
眠くなったらそのまま寝て、おなかがすいたらまた食べて、そんな暮らしをしてるんやねえ。
さて、実際に作業を始めると「いたー!」「きゃー」
けれど、予想に反しほんの数匹いただけで済み、
こどもたちはスプーンを使って、器用に庭へ放していました。
ところで「妖怪小豆洗い」、ご存知ですか?
以前伺った、鳥取県境港市の「水木しげるロード」には、腰を曲げたちいちゃなおじいちゃんのブロンズ像があり、「小豆を洗うしょきしょきという音に誘われていくと川に落ちてしまう」と説明されていました。
昔からお手玉の中身に使われ、手作りのマラカスにも最適です。
ちなみにお手玉の中の小豆は、災害時の食料にもなりますね。
小豆を触る音はみんなが、小豆をさやから外しだすと、
それはにぎやかになりました。
「大きな音」が苦手な子が両耳を抑え出したので、
みんなで音をどれだけ立てずに外せるか挑戦してみましたが、
さすが妖怪が生まれるだけあって、音量はほぼ変わりません。
好きな場所に避難しておくといったその子は、しばらくすると、
なにかできることないかなと帰ってきました。
そこで、自然栽培のへちまから、たわしとせっけんをつくる準備をしてくれることに。
集中力がすばらしくて、小豆の音はしているにもかかわらず、みんなと同じ部屋で作業をしてくれたのでした。
小豆チームのみなさんを見やると、こんなことになっていました。
とても真剣なまなざし。取りやすい方法を試していった結果、そうなった模様。
本当におもしろいことですね。
小豆のさやの内側は絹のように美しい光沢。
こうして、無農薬無施肥のぴかぴかの新小豆が採れました。
3 いっきゅうさんと千利休・「ぜんざい」の由来と赤杉箸
<よきかな>
うちから車で30分ほど京都方面へ向かうと、『酬恩庵一休寺(しゅうおんあんいっきゅうじ)』があります。お話やアニメにもなっている、とんちで有名な「いっきゅうさん」、
つまり一休宗純膳師(いっきゅうそうじゅんぜんし)(1393-1481)が、後半の生涯を過ごされたお寺です。
「ぜんざい」は漢字では「善哉」と書きます。
これは、一休さんが、大徳寺の僧侶から小豆汁をごちそうになった際、
あまりのおいしさに「善哉(よきかな)この汁」と絶賛されたことに由来するそう。
1月の最終日曜日に「ぜんざいの日」にいただいた善哉は、
大粒のふっくら炊かれた小豆とこんがり焼かれたおもち、
黒豆で一年かけて作られた「一休寺納豆」もついていて、敷地を回って冷えたからだが温まりました。
<手ずから>
さて、お茶席でのお菓子は、菓子切り1本か、種類によっては手でいただきますが、
ぜんざいのように1本では食べにくいものには、お箸も1本添えられます。
それなら、お箸を2本、つまり一膳にはしないのかと思うのですが、黒文字を添えることで、
これが「主菓子ですよ」というメッセージになるのだそうです。
わび茶を完成させた茶人、千利休居士(せんのりきゅうこじ)(1522-1591(諸説あり))は、
お茶事の前に、奈良県の吉野の杉を自ら削って、お箸を作られたそう。
一期一会であなた様のために、そして、削りたての香りも味わっていいただきたいという
気持ちの表れだそうです。
本式のお茶事では、黒文字は記念に持ち帰り、
杉箸はそのお心をしかと受け取りましてございますの気持ちで、折って、お椀の中に入れてお返しします。
今回のために、吉野の杉が手に入りましたので、こどものみなさんも1膳ずつ削りましたよ。
使い終わっても、折らずに、洗ってお持ち帰りをし、お箸としても使ってみてくださいね。
砂糖不使用ぜんざいの作り方
材料
下準備
玄米の玄米をそのまま蒸し、ついて、お餅を丸めます。
作り方
(1)洗った小豆とたっぷりの水を入れて火にかけ、沸騰してから10分ほどゆで、ゆでこぼします。
*水を変えて、2回ほどくりかえし、渋みえぐみを抜きます。
(2)4倍の水、塩、昆布を入れ、指で簡単につぶせるくらいになるまでコトコト煮ます。
*小豆は水を吸ってふくらみます。焦げ付かないように、水をたっぷり入れるのがポイントです。
*甘味を加えてからでは柔らかくならないので、ここで理想の柔らかさまで煮ておきます。
(3)好みの甘みになるまで米飴や甘酒を加え、弱火で煮溶かします。
*昆布は、取り出して醤油などで味をつけてごはんのお供に。今回は、そのままつぶしてぜんざいに混ぜ込みました。
(4)お餅を焼いて、入れたらできあがり。
*火鉢の炭火であぶると、じんわりぷっくり。香ばしさが辺りとお口の中に広がります。
今回のお餅は、自然栽培2代目の友人農家さんの今年の新米で作りました。農園代表のお母さまと2代目の娘さんの、農へまっすぐ取り組まれるエネルギーに満ちたもち米で実践しました。
ぜんざいにいれるお餅の形は、地域によって異なりますね。
古都、奈良京都のある関西では、神様の依り代である鏡餅の、いのちそのものの形である「丸」を継承し、丸餅を入れるのが主流です。
5 さいごに
ちいさなお茶室に入り、正式なお膳の受け取り方も体験できましたよ。
手作りのお箸で手作りのおぜんざいを「いただきます。」
みなさまもどうぞ、こころもからだもあたたかい秋をお過ごしください。
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