日本は窒素で溢れかえっている!過剰な食糧輸入と肥料の投入で将来取り返しのつかない影響が出る?
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二酸化炭素に放射性物質、PM2.5など、大気中には温暖化の原因になる物質、人体の健康に悪影響を与える物質が数多く存在します。
これらについては「削減しなくちゃ!」と問題意識を持つ方は多いですが、意外と知られていないのが「窒素」の問題です。
これまでIN YOUでは、
野菜に含まれる「硝酸態窒素」の危険性についてお伝えしてきましたが、
今回は、戦後日本の肥料の使いすぎに加え、
食生活の変化、過剰な食料輸入によって
「窒素が溢れかえって危機的な状態になっている」
という事実をお伝えします。野菜に含まれる硝酸態窒素の危険性について再考。
窒素を含む肥料を多用することによって、硝酸態窒素が多く含まれる野菜が出回るようになりました。
そういった野菜の危険性については、これまでIN YOUでもお伝えしてきたのですが、
ネット上で言われることが判でついたように同じだったため、あらためて調べなおしました。
参考書籍:
『硝酸塩は本当に危険か―崩れた有害仮説と真実』
(J.リロンデル、J.-L.リロンデル共著、越野正義訳、農文協)
人体への硝酸態窒素の危険性はさほど神経質にならなくても大丈夫。
硝酸態窒素とは、硝酸塩とか硝酸イオンとも呼ばれることがある物質です。
植物の成長には窒素が欠かせませんが、そのままでは吸収できません。
動植物の死骸や糞尿は、微生物たちの力によって、アミノ酸、アンモニウムイオン、亜硝酸塩、
最後に硝酸態窒素と変えられ、ここで初めて植物が吸収できるようになります。
しかし、野菜中に過剰に含まれたものを食べると人体に危険があると言われ、
主に「メトヘモグロビン血症を引き起こす可能性」と「発がん性物質が生じる可能性」
の2つが言われています。
【メトヘモグロビン血症について】
これは、血液が酸素を運搬する能力を失い、人体の酸素欠乏状態を引き起こすものです。チアノーゼ(血液中の酸素が欠乏し、皮膚や粘膜が青黒くなる)が起こり、最悪の場合死に至ることもあります。
アメリカで起こった「ブルーベビー症候群」が有名ですが、
これは離乳食でほうれん草の裏ごしを食べた多くの乳児が酸素欠乏によって顔が青くなり、
30分以内に死亡したという事件です。
これについて、後に多くの検証で明らかになったことがあります。
硝酸態窒素そのものが酸素欠乏を引き起こすのではないということです。
離乳食を衛生的でない環境に置いた、あるいは硝酸態窒素を多く含む井戸水を使用したため、
中にいた微生物によって硝酸態窒素が亜硝酸塩に変えられ、それが血中の酸素欠乏の原因になったと結論づけられています。
【発ガン性について】
硝酸態窒素は体内で亜硝酸塩に変わり、これが肉や魚などの動物性たんぱく質に含まれるアミンという物質と反応すると、ニトロソアミンという発ガンの可能性のある物質に変わると言われています。
これについても、動物実験や人間を対象にした実験など、25カ国で50以上の疫学実験が行われてきましたが、
決定的な証拠はいまだに出ていません。
これにより、アメリカ合衆国国立研究会議の硝酸態窒素の小委員会が1995年に出した結論では、
「ガン発生のリスクを懸念して野菜の摂取を控えるよりも、
野菜摂取によってガンを予防するメリットに重点を置くべきだ」(要約)
とあります。
また、窒素肥料を施した牧草地の草を食べた牛が大量死した事件もありましたが、
人体と牛の体の構造は異なるため、人間が同じように死ぬというリスクもないようです。
このように、野菜に含まれる硝酸態窒素については、摂ったからといってすぐにどうこうという危険性はなく、
茹でることで硝酸塩を減らしたり、微生物(硝酸還元菌)が増殖しないように衛生面に気をつければ
それほど不安になることはありません。
だからといって、
硝酸態窒素が多く含まれている野菜は本当に問題がないと言えるでしょうか。
野菜について本当に危惧すべき事は、
品質が落ちて不自然に変わっていること。
本来、硝酸態窒素は植物にとって欠かせない栄養ですが、
肥料を使いすぎることで硝酸態窒素が多くなった野菜は、このような特徴があるようです。
・苦い、まずい(糖度が下がる)
・含まれる栄養が少ない
・日持ちせず、すぐに腐敗する
結局は、硝酸態窒素は高くないほうがよいと言えますし、
その野菜は土壌や栽培に問題があると考えられます。
慣行栽培・有機栽培の野菜は放置すると腐り、
自然栽培の野菜は腐らずに発酵してシワシワになってくる、
という実験は有名ですね。
不自然な野菜を食べることが私たちの体にどのような影響を与える可能性があるか、
本能的に私たちは何を選択したいのか、あらためて考えることが大切です。
もう無視できない!窒素過剰が環境に与える影響。
この先、私たちの子孫は元気に生きられるの?
硝酸態窒素の目の前の健康問題を騒ぐよりも、
私たちの経済活動によって土壌をはじめとする生態系が壊され、
結局それが自分たちに返ってくることで、将来の健康や生存を脅かされるという事に目を向けましょう。
もともと、人間は大気中にたくさん存在する窒素を利用することはできませんでした。
大気中の窒素を固定できるのは、大豆やクローバーといったマメ科の植物と共生する
根粒菌など、限られた生物だけです。
それを覆したのが、1900年始めに開発された「ハーバー・ボッシュ法」という技術でした。
イギリスの産業革命以降に欧州の人口が増えてたくさんの食料が必要になったこと、
肥料となるチリ硝石(窒素のもとになる)の枯渇に対応するため、大気中の窒素から
なんとか肥料を作れないかと研究が続けられていたのです。
これによって、石油資源を大量に使って窒素肥料(化学肥料)が大量生産できるように
なったのですが、これはつまり、
「人工的に大気中の窒素を利用する」ということ、
さらに言えば
「自然の窒素循環を大きく乱す」
ということになってしまいました。温暖化の原因は二酸化炭素だけじゃない!
遠い将来に大きな禍根を残し得る一酸化二窒素の存在。
温室効果ガスというと、私たちは二酸化炭素やメタンなどを思い浮かべます。
しかし、ガソリン車の排出ガスや窒素を含む肥料などから発生する
一酸化二窒素(N2O。亜酸化窒素とも呼ばれる)も実は大きな原因です。
2009年には、『サイエンス』誌で「亜酸化窒素は、2009年時点ではオゾン層を最も破壊する物質であることをアメリカ海洋大気局の研究チームが突き止めた」との発表がありました。
温室効果は二酸化炭素の約300倍あると言われ、消滅までになんと114年もかかります。
つまりこれは、100年以上の遠い将来の温暖化に大きな影響を及ぼします。
海面が上昇したり、南極の氷が溶けたりすることは、これから先何世紀にもわたって起こることです。
二酸化炭素だけでなく、消滅に時間がかかる温室効果ガスの発生はすぐにでも食い止めないと、
将来の世代に禍根を残します。
天然の湧き水、国産ミネラルウォーターも安全とは言えない!
いつの間にか深刻になっていた地下水汚染。
農地に入れられた窒素肥料(化学肥料・有機肥料)や、畜産で出る糞尿は、
微生物によって硝酸態窒素に変えられ、
植物に吸収・大気中に放出されなかった分は地下にしみこみ、地下水を汚染します。
飲み水に多く含まれていたとしても無味無臭・無色透明なのでまったくわかりません。
一般家庭用の浄水器では取り除くことも不可能です。
ここで特に注意したいのは、国産のミネラルウォーターや天然の湧き水などです。
2007年4月発行の月刊誌『食品と暮らしの安全』では、市販のミネラルウォーターの多くが
硝酸態窒素汚染されているという結果が報告されています。
また、天然の湧き水を汲みにいく人もいますが、加熱せずにそのまま飲むことも多いです。
水そのものや水を入れる容器などに硝酸還元菌がいれば、亜硝酸態窒素に変化して
酸素欠乏状態になる可能性もあります。
海や湖に流れ込んだ窒素は、生態系を変えてしまう!
川や地下水を通って海や湖に流れ着いた硝酸態窒素は、深刻な富栄養化を
引き起こしています。通常の浄水施設ではどうすることもできません。
実際、水道原水に硝酸態窒素が基準値以上に含まれていた例も報告されています。
琵琶湖や霞ヶ浦といった主要な湖、あるいは東京湾、瀬戸内海なども富栄養化による赤潮が発生しています。
水中の富栄養化が進むと、特定の植物プランクトンが水面で大発生し、昼間は光合成、
夜間は呼吸をするので、水の中の酸素がなくなってしまい、他の生物が住めなくなります。
さらに悪化すると、生物の死骸などの有機物が分解されずに溜まってヘドロとなり、
微生物によって悪臭が発生します。
こうして汚染が広がれば、海も湖も死んでしまいます。
近海の水産物を食べることもできなくなります。
日本は予想以上に窒素で溢れかえっていた!
その驚くべき実態。
(出典:『世界の土・日本の土は今~地球環境・異常気象・食料問題を土から見ると』農文協)
上の写真は、食料・飼料の輸入の少ない年1960の窒素フローを表した図、
下の写真は、大幅に食料・飼料の輸入が増えた1997年の窒素フローを表した図です。
この図の要点を言えば、
1960年は、
環境や農地に流れ込んだ窒素量そのものが比較的少なく、
輸入よりも化学肥料をたくさん使うことで窒素が増えています。
1997年になると、
化学肥料よりも輸入によって窒素が激増している状況で、
畜産業からの糞尿(肥料含む)や廃棄物が増え、加工食品や肉食など私たちの食生活が
大きく変わったことで廃棄物や排水が増加しているようです。
単純に考えれば、
農地→食料・飼料生産→保管→食べる→農地に戻る
というのがごく自然な窒素の循環です。
肥料の使用と過剰な食料輸入によって、この循環から大きくはみ出したことで、
日本の環境・土壌は先にお伝えしたような、さまざまなほころびが見えるようになったのです。
窒素で溢れる国があれば、不足に苦しむ国が存在するのが道理。
このままではいずれ食糧輸入もできなくなる?
下のグラフもごらんください。
出典:横浜国立大学「国際貿易が引き起こす、窒素汚染の実態を解明」
農産物、畜産物を過剰に輸入すれば、自国も相手国も環境悪化するのです。
輸出国であるタイの例ですが、その輸出のために、20年前と比べて
約3倍の化学肥料を使用しているそうです。
かつては農作業に家畜を飼っていたのですが、現在では機械化が進んで大幅に家畜数が減り、
糞尿などの有機物が足りなくなってしまったので土壌が痩せてきていることや、
化学肥料の使いすぎによる環境問題が起こっています。
輸入農産物は、外食やコンビニ弁当、スーパーのお惣菜などで使われることが多いですが、
食べる時に、自分の健康に関することは考えたとしても、生産した国の環境を破壊している可能性まで考える人は、ほぼいないですよね。
今のままでは、自分の国の身を削ってまで食料を生産している国がいずれ倒れてしまうのは目に見えています。
当たり前に外食し、出来合いの物を買って食べる生活も、
「健康に悪い」という以前に、
「食べられなくなる」という可能性があるのです。
自然界のバランスを破壊する生活に加担しないために。
自然界には必ずバランスがあります。
環境問題にせよ、個人の健康の問題にせよ、必ず自然の流れから逸脱した結果と言えます。
まず何よりも、身近なことで「当たり前」と思っていることを「当たり前じゃなかった!」と気づく
ことが大切です。
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自然なものと不自然なものの違いに敏感になろう!
よく「慣行栽培・有機栽培の野菜は腐るが、自然栽培の野菜は腐らない」と言われますが、わざわざ自然栽培の野菜を用意するまでもなく、私たちの身近でこの事実を知ることができます。
下の写真は、私の家の近所の空き地に生える柿の木から落ちた実です。
私の知る限り、この木はずっと放置されていて誰も手入れしていません。
山吹色の状態で落下した実は、ハエ一匹つくことなく次第に熟成して赤くなります。
水分が抜け、シワシワになって小さく縮み、冬までには誰が掃除するでもなくいつの間にか消えます。
考えてみれば、野イチゴ、桑の実、ヤマボウシ、イチイなど、甘い実をつけた植物にハエが
たかって腐っている姿を見たことはありません。熟しきってたくさん落下した状態ですら
ハエは存在しません。
なのに、なぜ店で買ってきたバナナや桃にはすぐハエが寄ってくるのでしょうか?
日持ちが悪く、すぐにドロドロと腐敗してくるのはなぜなんでしょうか。
また、我が家の事例ですが、ホームセンターで購入したシソは全部虫にやられたのに対し、
昨年のこぼれ種から芽を出したシソは水やりをしなくても勝手に立派に育ち、いくつも穂をつけました。
市販の苗は、農薬や肥料漬けになっていると聞きます。
「甘い果物だからハエが飛んできて腐るのは当たり前」
「夏は暑いから、キュウリもナスも腐って当たり前」
それは、本当に当たり前なのでしょうか。
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硝酸態窒素が多く含まれる野菜は、
土壌からのメッセージを発している。
IN YOUでもたびたび登場するこの有害物質チェックマシーンですが、
これは野菜中のEC(電気伝導率)をもとにして硝酸塩値を測定しています。
私はこのマシーンで野菜を測って得られる値が「土壌からのメッセージ」だと受け取っています。
比較的測定値の高い野菜について、味はどうか、葉の色はどうか、日持ちはどうかなど、
教えられることが多くあります。小松菜やキャベツなど、葉物野菜は顕著です。
その中で、自分が何を選択すればよいかが経験的にわかってきます。
無農薬、有機栽培、種にこだわっているからといって、
品質がよいとは限らないことも知りました。
実際に数値を目で確認して、
さらに五感でも確認できることは、とても心強いです!
消費者は、受け身でいると非常に危険な時代になっています。
自分でしっかり問題意識を持つことが今ほど求められている時代はありません。
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