それでもあなたは「牛乳」を選びますか?なぜ学校給食ではいまだに「牛乳強制文化」が続いているのか。
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食育を目指す小中学校で、まだ牛乳は完全給食に欠かせない存在。日本の給食でなぜ牛乳強制文化が根付いたのか?
給食で牛乳が始まったのは戦後の低栄養の時代。きっかけはアメリカ
日本で牛乳給食が始まったのは、戦後の低栄養の時代です。
最初は脱脂粉乳をアメリカの意見により取り入れたのが始まりだとされています。
アメリカの民間団体やユニセフから脱脂粉乳が寄贈されて、学校給食に取り入れることになったのです。
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たしかにその時代は農作物、肉魚類なども十分でなく、ミルクから得られる栄養分は大きかったでしょう。
子供の発育が悪いことが明らかでした。
国の意向として
牛乳と給食でバランスを整えよう、という考え方があった
これには、文部科学省など国の意向として牛乳+給食で
栄養バランスが十分に整うという考えがベースにあるということが言えます。
牛乳って、本当に体にいいの?
牛乳は昔から「カルシウムの補給にいい」
「牛乳を飲まないと背が伸びない」などのように、
一般常識としてに牛乳を飲む方が良いと考えられてきました。
IN YOUでも以前牛乳の記事についてはご紹介しています。
【連載#01:牛乳神話を疑え】わたしたちは「子牛の飲み物」を小さい頃から飲まされ続けている!
最近では一部の健康志向の間で、「牛乳は危ない」といわれるようになり、
様々な書籍なども発売されて意識が変わりつつあります。
牛乳は「健康にいい!」
と信じて疑わない日本人がまだまだ多い現実
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でも、まだ日本では牛乳を好んで飲む人も多く、健康に良いと信じきっている方も多いのが現状です。
どうしても牛乳を飲みたい人に「牛乳を絶対飲まない方がいい!」と押し付ける必要はなく、
それぞれに選ぶ自由があると思います。
しかし、無知というのは怖いもので、「知っていたら良かった」
「健康によくないなら飲まなければよかった」と思うこともあるはずです。
特に、学校給食においての牛乳については、
今もまだ子供を持つお母さん達の中では悩ましい問題の一つになっています。
今の子供は昔に比べてアレルギー体質になっている
食育がすすめる一方でアレルギーも多様化
文部科学省は平成18年に食育推進基本計画を制定し、学校教育での食育を推進することになりました。
偏った栄養状態、子供の過度な肥満や痩せ傾向などを改善するため、
そして、地場産物の活用や米飯給食の充実を勧めるのが狙いです。
いまの子供たちは昔に比べて食物アレルギーを持つ割合が非常に高くなっています。
アトピーなどが原因で、医師から乳製品を制限されている子供も多くなっています。
その理由の一つに食生活の欧米化が考えられています。
子供の体質が変化して、多様になってきている中で、
全員が同じ食事を取るのが普通である学校給食というもののあり方は、
もっと自由度を高めなければいけないという指摘もあります。
まだ学校給食では牛乳をほぼ強制的に飲まされている不思議
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しかしまだ日本の学校給食ではほとんど牛乳は強制的に飲まなければいけない状況が作られているのです。
完全給食とは、給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。
ミルクと表現していて牛乳とは書いてはいませんが、ほとんどの小中学校の給食には牛乳が出されています。
実際に牛乳を飲みきれず、給食を残す児童も多いといいます。
その理由には、少なからず牛乳と日本の食事(おかずやお米)が合わない
ということがあるでしょう。
自分の周りにも、給食で出される牛乳を最初に一気飲みする子がいた記憶があります。
そんな中、衝撃的なニュースがここ数年で話題になったのを覚えていますか?
新潟県三条市は完全な牛乳給食を廃止?!
平成27年(2015年)4月から、三条市の小中学生の給食で牛乳が廃止された
というニュースが話題になりました。
このニュースが出た時には、「牛乳を給食から外すとは何事だ!」というクレームも寄せられたのだそうです。
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しかし、実は牛乳は決して廃止になっていません。
これは報道側が勝手に「牛乳廃止」という言葉にしてしまっただけで、実態とは異なっています。
メニューを確認してみると、牛乳を食事中に飲まなくても良くなったということで、
別にドリンクタイムとして牛乳が提供されているようでした。
つまり、少し改善の方向にありつつも、学校給食での牛乳推奨という方向は変わってない状況です。
心配されるカルシウム不足については煮干し粉、小松菜、ひじき、わかめ、油揚げなどを
日本の伝統的な食材を取り入れることで補っているようです。
毎日の給食の内容は三条市のホームページからも確認することができます。
小中学校 給食だより – 三条市
盛岡市ではランチボックス型の自由給食、でも牛乳は提供
結局牛乳をなかなか廃止できていない現実
盛岡市の中学校では、自宅からのお弁当を持参もしくは市が提供するランチボックスを選ぶことができます。
これは一見、フードアレルギーに対して柔軟な対応をしているように見えます。
しかし、牛乳は全生徒に配布されています。
<span style=”font-size:80%”>参考:盛岡市ホームページ
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このように、結局は学校給食において牛乳は欠かせない存在として考えられているのです。
給食は、食事+牛乳になることで完全な栄養を補えるという国の方針に基づいているのです。
学校給食法にて牛乳は「ミルク」として必須な存在になっています。
この規則の第一条は学校給食を「完全給食」、「補食給食」、「ミルク給食」の次の三つに分けています。
・完全給食とは、給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、
米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。
・補食給食とは、完全給食以外の給食で、給食内容がミルク及びおかず等である給食をいう。
・ミルク給食とは、給食内容がミルクのみである給食をいう。
学校給食においての牛乳に関しては、今もまだ子供を持つお母さん達の中では
悩ましい問題の一つになっています。
子供のアレルギー増加と牛乳は切り離せない関係
9年前に比べて2倍にもアレルギーの子が増えた
いまの子供たちは昔に比べて食物アレルギーを持つ割合が非常に高くなっていることを知っていますか?
文部科学省のデータによれば、食物アレルギーがある子どもの割合が、
9年前に比べて約2倍にも増えていると言われています。
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アトピーなどの治療のため、医師から乳製品の摂取を制限されている子供も多くなっています。
その様に、子供の体質が変化して、多様になってきている中で、
全員が同じ食事を取るのが普通である学校給食というもののあり方は、
もっと自由度を高める必要が出てきています。
でも、まだ日本の学校給食ではほとんど牛乳は強制的に飲まなければいけない状況が作られているのです。
今の子供たちは過度の偏食や欧米化した食生活などによってアレルギーが多発
しかし、現在の子供達はどうでしょうか。
栄養状態は改善したどころか、糖質や脂肪過多で肥満に悩む子供、
過度の偏食などがあって痩せている子供、アレルギーのある子供など、
戦後とはまた違う状況に変わってきています。
アレルギーの問題が増えて来ている今、みんなにほぼ強制的に
牛乳が配られてしまう学校給食のあり方は問題ではないのでしょうか?
牛乳肯定派説の意見は正しいのか?
牛乳は完全栄養食品である
国が推奨する牛乳。
牛乳が体に良いと推奨する立場からは、牛乳ほど素晴らしく栄養が豊富な飲み物はないという意見があります。
確かに、牛乳にはタンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどが含まれています。
しかし、牛乳では十分に補えない栄養分もあり、鉄分、食物繊維、ビタミンC、Dなどは不足しており、牛乳が完全栄養食品といえるかどうかには疑問があります。
さらに、私たち日本人の体に果たして合っているのか、というところも考えなくてはなりません。
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では、牛乳を肯定する人たちは何をもって牛乳をよしとしているのでしょうか。
牛乳肯定派の意見:
「カルシウム補給源として牛乳が適しているのでは?説」
日本人は現在80%程度のカルシウム充足率だと言われています。
1日の摂取目標が成人では600mg、小学6年生で900mg、最大上限量は2300mgまで可能になっています。
成人では100mg程度が足りていないという状態です。
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この表を見ていただくと、ひじきや桜エビのほうが圧倒的に
牛乳よりもカルシウムが豊富なように見えますね。しかし、一食分にすると、
牛乳コップ一杯200ml当たりのカルシウム量は227mg
小魚(イワシ)中1尾60gあたり カルシウム量42mg⇨牛乳の約5分の1、
ヒジキ(干し)は一人分8gあたり カルシウム量112mg⇨牛乳の約半分
かぶ(葉・生)は一人分(1/2株)15gあたり カルシウム量38mg⇨牛乳の約6分の1
確かにグラムあたりのカルシウム含有量は多いのですが、
1食分にして考えるとカルシウムは牛乳の方が摂取量が多くなるのです。
このように牛乳ならば1食分で十分な量を補えるというのが肯定派の言い分です。
しかし、実際は牛乳がなくてもカルシウムは補える。
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しかし、どうでしょうか?
大人の場合、100mg補給するならひじきを食べれば賄えるのです。
成長期の子供でもない限り、カルシウムは他の食品からでも十分に補えるように思われます。
牛乳を吸収するには消化する腸内細菌がいる必要がある
また、牛乳についてはカルシウムの吸収効率が良いという意見と、吸収が悪いという意見があります。
胃で分解され、カゼインホスホペプチド(CPP)というタンパク質が
小腸で分解されて吸収されやすいから、と言われています。
また、アレルギーがある子供は、腸内細菌に牛乳を分解する菌が育っていないと言われています。
このように牛乳に対して消化の問題があるのに、吸収が良いというのは疑問が残る部分です。
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牛乳と各種現代病や疾患の関係性
データが不足しているため賛否両論ありますが、
乳がんなどの現代病とも関連しているのではないかと指摘する書籍や、専門家の存在もいます。
これらの病気は牛乳だけが原因ではないかもしれませんが、
ひんぱんに牛乳を好んで飲む方々の習慣や食生活スタイルに問題がないとは言い切れません。
リスクになりうるものはできる限り避けておきたいという方も多いのではないでしょうか。
牛乳がアトピーの原因になっているケースも多い
牛乳とアトピー性皮膚炎との関係
アトピー性皮膚炎の患者では牛乳が原因となっている場合も少なくありません。
特に乳幼児とくに0歳児や1歳児では80~90%にタマゴや牛乳などの食物が関係しているとも考えられています。
アトピー性皮膚炎は成長とともに治っていきやすい疾患ですが、
学校給食を食べている期間中も牛乳の制限が必要な子供も多く、学校給食の問題となっています。
参考:おおがクリニックhttp://www.ohga-child-clinic.jp
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もちろん、原因は牛乳だけとは限りません。
このようにアレルギーが増えて来ている背景には、スナック菓子、添加物、農薬、ディーゼル排ガス、ストレス、住環境などさまざまな要因がからんでいます。
乳糖不耐症と牛乳アレルギーは違う
日本人には乳糖不耐症が多いというデータ
日本人には乳糖不耐症が欧米人に比べて多く、85%程度が牛乳のカゼインを分解する酵素を持っていない、
もしくは働きが弱いといわれています。
実際には、加熱したり、量を飲まなければ症状が出ないこともあり、
「乳糖不耐症=お腹をこわす」というわけではないのですが、
なんらかの不快な症状があっても牛乳のせいとは気づいていない人も多いのです。
牛乳アレルギーは免疫の問題です
乳糖不耐症と牛乳アレルギーはときに混同されやすいのですが、別のものです。牛乳アレルギーは免疫の問題です。
牛乳を飲むとアレルギー反応が起きて、体に湿疹やかゆみが出たり、
ひどい場合にはアナフィラキシー反応で呼吸困難などショック状態に陥ることもあります。
アレルギー反応というのは、ざくっと言うと、
牛乳を抗原として体にIgEなどの抗体が産生されることです。
厳密には牛乳に含まれるカゼインなどのタンパクが抗原になります。
また、カゼインについては耐熱性であり、熱を加えてもアレルギーの起こしやすさは変わらないといわれています。
加熱すると症状がなくなる乳糖不耐症とは異なる点です。
![%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-10-22-9-46-07](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/スクリーンショット-2016-10-22-9.46.07-450x197.png)
引用:牛乳がわかる50問 社団法人日本酪農乳業協会
6歳までの小児は特に食物特異IgE抗体が作られやすく、消化管のバリア機能が弱いとされています。
しかし、食物アレルギーは、年齢とともに改善することも多く、
6歳以上で食物アレルギーの90%が克服できるというデータもあります。
参考:きむら小児科
乳牛の餌や、飼育環境に関する問題
さらに、牛乳に関しては飼育環境や与えているエサの質の問題も考えなければいけません。
あなたは飲んでいる乳牛がどのような育てられかたをして、
どのような餌を与えられてるのかについて調べたことはありますでしょうか。
大量に牛乳を生産するには餌が必要です。
安全な無農薬の牧草を食べている乳牛ばかりではもちろんありません。
安価な牛乳を出す乳牛の多くには
栄養価をUPさせるために人工的に不自然な栄養価を添加させた飼料や、
農薬がかかった牧草などを与えられている可能性は否定できません。
さらにその一部には遺伝子組み換え作物が飼料として与えられるケースもあります。
広く流通している安い牛乳には、安全性と高い品質を求めることが果たして出来るのか疑問なところです。
しかし、今の日本の現状をみて、牛乳を学校給食で廃止するのは簡単な話ではないように思います。
もし、廃止されたら、それまで供給していた牛乳が一気に減ることで、
乳牛が過剰になる可能性もあります。
過剰になった乳牛はどうなるのか、容易に想像つくはずです。
それでもあなたは「牛乳」を選択しますか?
牛乳の本質を理解しよう。
![cappuccino-1609932_640](https://macrobiotic-daisuki.jp/cms/wp-content/uploads/cappuccino-1609932_640-450x300.jpg)
牛乳の良いところ、悪いところ、両方を知った上で、
私たち消費者は飲むか飲まないかを選択することが必要です。
私自身、牛乳は嗜好品だと思っています。
時々、ラテやお菓子に少し入っている程度を家族や友達と楽しみながら
飲んだり食べたりするのは良しとしています。
必要以上に制限をかけるのは別のストレスを生むからです。
ただし、何も知らずに家に牛乳を常備していたり、牛乳を毎日飲んだり、
コーヒーに必ずミルクを入れて飲むなど習慣化している人は別です。
牛乳の情報を知らずに飲んでいた、という方は一度いろいろな情報を知っていただきたいと思います。
本当に盲信的に牛乳は体にいいと信じている人たちにはもっと、広い目線で見てもらえればうれしいです。
情報を知ったうえでもなお、牛乳を選ぶ、それはあなたの自由でしょう。
正しい情報を知ったうえで何を選択するのかはあなた次第です。
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