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【連載#01:牛乳神話を疑え】わたしたちは「子牛の飲み物」を小さい頃から飲まされ続けている!

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「牛乳はカラダにいい。」

思い起こせば、小学校の給食では毎日のように牛乳が出されていました。飲むこと自体が絶対であり、当たり前でした。残したら先生に怒られ、飲み終わるまで給食トレーを片付けることができなかった子がいたことも記憶にあります。牛乳をのむとお腹がいたくなる子は、決して少なくありません。これ自体、おかしいと思ったことありませんか?

その飲み物にはカルシウムがたっぷりで、骨を丈夫にし、背を伸ばすために必要なものだと教えられ、テレビCMでは「健康第一」「自然の恵み」「朝は牛乳」と流れていました。実際そのとおりだと思っていましたし、疑う気持ちなど全くありませんでした。

結論から言いましょう。これらは真実ではありません。

わたしたちは小さい頃から牛乳神話を完全に信じ切っています。けれどもこれは間違っているのです。大事なのは真実です。今はラッキーな時代です。その気になれば何だって調べられるからです。嘘が通用しなくなってきた時代とも言えます。だからこそ、真実を知る必要があるのです。

牛乳神話を疑ってみましょう。カフェに入ったら毎日口に入れているあの液体はわたしたちのカラダにどんな影響を及ぼすのかを知ってみたらよいのです。

それでも飲みたければ飲めばいいし、やめたいと思ったらやめたらいいでしょう。

というわけで、これから牛乳に隠された真実を様々な参考文献や資料とともに、このウェブマガジン「マクロビ大好き」で定期連載していこうと思います。

マクロビオティックは乳製品自体を受け入れていません。なぜならその哲学において、カラダに全く必要のないものであるとわかっているからです。

 

牛乳による健康被害を知る


1. アテローム硬化と心臓発作の原因の可能性

2. 乳幼児の鉄欠乏性貧血
3. 胃痙攣と下痢
4. 様々なアレルギー

牛乳の健康被害は下痢、胃痙攣、胃腸の出血、鉄欠乏症貧血、発疹、アテローム硬化、ニキビ、これだけではおさまりません。中耳炎、気管支炎、白血病、多発性硬化症、リューマチ性関節炎、さらには虫歯やガンなどあらゆる病気に関係しているとされています。ひとつひとつ掘り下げていきましょう。

#01では「アテローム硬化」について見ていきたいと思います。耳慣れない難しそうな単語ですが、簡単です。きれいな道が泥まみれになることです。もし、それが牛乳によって泥まみれになるのだとしたら。

1. アテローム硬化とは?

アテローム動脈硬化、アテローム硬化症、アテローム動脈硬化症、じゅく(粥)状硬化ともいう。大動脈や中小動脈にみられる病変で、線状脂肪沈着、アテローム斑などと症状が進行して、動脈内壁が盛り上がってみえるようになる。潰瘍や血栓,高血圧の原因になる。(出典:コトバンク)

 

アメリカにおける巨大な酪農・乳業界

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アメリカでは国民1人の食料費7ドルのうち1ドルが、牛乳および乳製品に費やされています。国民は、1人当たり平均年間375ポンド(約170kg)の乳製品を消費しており、牛乳および乳製品は、肉、魚、卵、鶏肉を合わせた金額に次いで第2位の、家計における消費支出を占めています。まさに乳製品大国と言えるでしょう。

アメリカ全土には1,800万頭もの乳牛がおり、乳牛の太った巨体が『乳業は巨大産業である』ことを如実に物語っています。さらにこの産業が政治に加える圧力は強力で、何と驚くべきことに国会議員の7人に1人は、乳業界から選挙資金を援助されているというのです。

一方で牛乳生産者組合は、牛乳の価格を人為的に高値安定させるための法整備を政治家に働きかけています。その結果、乳業界は相当数の州法および連邦法の優遇を受けています。まさに癒着です。

乳製品業界は、牛乳販売促進のためあらゆる手段を講じる費用として、加盟生産者から牛乳100ポンドにつき5セントの金額を徴収しています。

これもひとつの事実です。

 

心臓病と動脈血管の病気で、約百万人のアメリカ人が死亡すると推定

アメリカ人はどの年代層も牛乳と乳製品の摂取量を減らすべきであると、アメリカ心臓協会が警鐘を鳴らしています。それは死亡者の2人に1人がこれらの病気で亡くなっているからです。さらに驚きなのは、心臓発作で亡くなる人のうち15万人から20万人が65歳以下の、それも働き盛りの男性であるという事実です。

例えば1977年生まれの人は1900年生まれの人よりも長生きできるはずです。1900年生まれの人の平均寿命は55歳で、現在では72歳です。しかし、この数字の裏には、人類の進化という以外に少しカラクリが隠されていました。

数字の伸びた背景には、
①ワクチン注射によって多くの伝染病が根絶された
②新生児の育児環境が改善した
③一般的な栄養状態が良くなった
などがあげられます。

1900年に45歳だった人は、70歳まで生きられる見込みがありました。現在45歳の人は76歳まで生きられると見込まれています。この75年間で、たった6歳しか平均寿命が伸びていないとは、どういうことなのでしょうか?

それは、平均寿命の足を引っ張る死亡率の高い病気がまだあるからです。その病気こそ、アテローム状動脈硬化症です。そしてこの病気の原因が牛乳からきているのです。

アテローム状動脈硬化症とは、動脈硬化の一種で、動脈内壁のところどころに厚いたい積層ができる血管の病気でことです。この血管にくっ付いた“垢”が、動脈内の血液を流れにくくし、組織器官に運ばれる酸素量を少なくします。この血管内のデコボコした部分には亀裂が入りやすく、場合によっては血管壁が弱まり破裂したりします。最も恐ろしいことに、その部分が血栓を作る土台になることです。

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(参考写真:病気の形 代謝病)

血管中に血栓ができると、血液の流れを完全に遮断します。 アテローム状動脈硬化が進行すれば、体中のどこであろうとも、血管に障害物ができてもおかしくありませんが、最もよくできる場所は、脳、腎臓、脚、心臓に通じる大動脈と中動脈です。脳内の血液の流れが阻害された時に、『卒中』になり、心臓の場合は『心臓発作』あるいは冠状動脈閉鎖を引き起こします。

心臓の3つの冠動脈のうちの一つが閉鎖されると、血管を命綱にしていた心筋は死んでしまいます。この筋組織の壊死を、『梗塞』といいます。したがって、『心筋梗塞』とは、心臓に送り込まれる血液の流れが途切れる’異常事態’を意味するのです。

アテローム状動脈硬化症の原因とは?

1950年代までは、動脈硬化は、単に加齢による自然現象だと思われてました。しかし朝鮮戦争時代の「ある発見」が全てを覆したのです。

その当時、兵士の年齢はたいてい10代後半から20代前半の若者でした。彼らの検死解剖の結果、ほぼ8割の若者の血管に既にアテローム状動脈硬化の徴候が現れていたのです。そして後年さらに研究が重ねられ、アテローム状動脈硬化の初期の徴候は、2,3歳の幼児にさえ見られることが確認されました。 血管壁にたい積した粥垢は、ゆっくりと20年から40年もかけて、徐々に大きくなっていったのです。

その成分の大部分は「脂肪」です。そのほとんどがコレステロールでした。大部分のアメリカ人は、50歳になるまでに、アテローム状動脈硬化がかなり進んだ状態になっているのです。

アテローム硬化は予防ができるのだろうか?

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なぜ動脈壁が傷つき、そこが粥垢のたい積場になるのか、その仕組みはまだよく解明されていません。これまでに分かったことは、特定の危険因子がある時に、より高い確率で病気が発生し、症状もより重くなるということです。

その危険因子とは、血中コレステロール値の高さ、血清中のHDL(※注1)のLDL(※注2 )の比率、高血圧、糖尿病、喫煙、体を動かさない生活習慣、特定の性格や気質、心臓発作と卒中の者がいる家系、などです。

これらの危険因子が多ければ多いほど、年齢に関係なく動脈硬化症の悲劇に襲われる確率が高くなると言われています。血清コレステロール値の高い低いに関わらず、HDL値が高い方が、心臓発作の危険性が低くなります。

※注1:高比重リポたんぱく
※注2:低比重リポタンパク

コレステロールのほとんどが卵、乳製品、肉といった動物性食品からくる

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アメリカの平均的な大人は、食事から1日平均600から800ミリグラムのコレステロールを摂取していますが、この量は世界の大部分の人々と比べて、ずっと多いのです。このコレステロールは、卵の黄身、乳製品の脂肪、肉といった動物性食品からくるものがほとんどです。

これらの食べ物を食べれば食べるほど、コレステロールが体の中に入ることは言うまでもありません。それに加えて、人体は毎日500から1,000ミリグラムのコレステロールを生産しています。このコレステロールは、食べ物から摂取されるコレステロールとはほとんど関係なく作られています。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は、通常室温で固体です。飽和脂肪酸を多く含む食物は、バター、チーズ、クリーム、牛肉、豚肉、羊肉、チョコレートなど。飽和脂肪酸の摂取は、血清コレステロール値を上げます。

一方、不飽和脂肪酸は、通常室温で液体です。不飽和脂肪酸は、コーン油、綿実油、サフラワー油といった植物性油に多く含まれており、不飽和脂肪酸の摂取は、血清コレステロール値を下げます。

牛乳には、約1ℓにつき約35グラムの脂肪が含まれています。そのうち約60パーセントは、飽和脂肪酸なのです。

どういうことかと言いますと、仮に牛乳を1日1ℓ飲むとすると、それだけで、アメリカ心臓協会と、政府の食べ物と栄養と健康に関する特別委員会が定めた一人当りの一日の脂肪摂取量の3分の1を超えてしまうということです。それだけの量を牛乳から取ってしまうと、脂肪分を含んだそのほかの食べ物を食べようと思っても残りの分量をすぐに超えてしまうのです。

加えて、牛乳中の脂肪分には飽和脂肪酸が多く含まれているので、牛乳を飲むだけで、飽和脂肪酸の安全とされる基準量をほとんど満たしてしまいます。

これのどこが「完全栄養食品」「体に良い」のでしょうか?
毎朝飲むに相応しいものなのでしょうか?

実際アメリカの乳業界も、牛乳に含まれている脂肪が人体に及ぼす害を懸念しています。脱脂粉乳や低脂肪乳といった製品が大々的に量産されていることからも分かります。こうした動きは日本の乳製品業界にも見られます。「低脂肪」を訴える商品がたくさん目につきます。乳製品業界ですら、摂取のし過ぎが人体に悪影響を及ぼすことを知っているのです。

脂肪調節機能を調べる小児科に期待が寄せられている

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アメリカではアテローム状動脈硬化症の予防に、小児科医も重要な役割を担うべきであるとの期待がかかっていると言います。小児科医は、まず子どもの中から、50歳までに心臓発作で倒れた経験をもつ親もしくは祖父母をもつ者を選び、彼らの脂肪の運搬と調節機能に障害がないかどうかを調べてはどうか、という案が国から出されているといいます。

それには、まず家族の病歴が条件に該当する一歳未満の乳児の血液を採取し、コレステロール値とトリグリセド値を測定します。そのどちらかの値が高い場合、さらに検査を行い、血液中の脂肪を運ぶ蛋白質の遺伝子に異常がないかどうかを調べるのです。異常が認められた場合、その種類に応じて食事上の改善点を処方します。

脂肪運搬の先天異常の中で最も一般的なのが、リポ蛋白過剰症Ⅱ型というものです。わかりやすくいえば「高脂血症(※注3)」です。この病気は、人口およそ200に1人の割合で発生します。この先天異常をかかえる男性のおよそ5パーセントが、30歳になるまでに何らかの心臓病の徴候を示し、50歳までに約半数が、60歳までには85パーセントが発症します。

この病気には、コレステロールの摂取を厳しく制限した食事、すなわち卵、脂身肉、貝、そして乳製品を減らした食事が勧められています。

脂肪蛋白の先天異常が見つかった乳児は、1歳前後からこのような食事を取り入れるべきです。早い時期から牛乳を摂取すると、その人は生涯にわたってその影響に付きまとわれかねないのです。いかに乳幼児期に牛乳が必要ないかがおわかりいただけると思います。アテローム状動脈硬化症の前段階と見られる変化は、乳幼児の冠動脈に既に現れていることが知られています。

※注3:高脂肪血症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪が増加した状態です。コレステロールは、ホルモンの材料になったり、細胞膜を作る、脂肪の吸収を助ける、といった働きがあり、中性脂肪はエネルギー源として働きますが、過剰になるとからだに障害をもたらします。糖尿病と同様に自覚症状に乏しく、動脈硬化によって重篤な病気を引き起こすのが特徴。

育児を母乳でするか牛乳でするか

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ある病理学者が、事故死した若者と子ども合わせて1,500人以上の心臓血管を調べたことがありました。彼らの死亡原因は、交通事故、水の事故、銃の発砲もしくはその外傷などであり、病気が原因ではなかったのです。

にもかかわらず、多数の者の心臓動脈に病気の徴候が出ていたのです。 正常な血管をもつ子どもや若者がいる一方で、そうではない子どもや若者がいるのはなぜでしょう?

それは、彼らの育児歴に原因があるといえます。正常な血管をもつ子どもの大部分は母乳で育てられているのに対し、異常な血管をもつ子どもの大部分は、牛乳か牛乳が原料の人工乳で育てられていたのです。

従って、育児を母乳でするか牛乳でするかの違いが、乳幼児の冠動脈血管の異常に関与したと、結論付けられるのです。食事とアテローム状動脈硬化症との関連を示す数多くの発見は、牛乳は人が飲むためのものではないという信念から来ているのです。

哺乳類の中で、生涯にわたって乳を飲む習慣を敢行しているのは、人間以外にいません。そしてアテローム状動脈硬化症は、人以外の哺乳動物には見られない病気なのです。あるとすれば、人の食事のように、脂肪分とコレステロールを多く含んだ餌を与えた時だけです。

1982年、国立調査研究評議会が、報告書『食事、栄養、がん』を発表

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1977年2月、栄養と人の必要なものに関する上院特別委員会が、『合衆国の食事目標』と題する報告書を発表しました。この中で、アメリカ国民は脂肪摂取量を減らすべきであり、牛乳と乳製品の摂取を減らすよう努力すべきであると国民に勧告したのです。

これに対して、当然のことながら、全米乳業評議会をはじめ数多くの団体が一斉に非難の声を上げました。冒頭にあるように巨大な癒着産業とも言える、酪農・乳業界の所以です。しかし1982年、国立調査研究評議会が、報告書『食事、栄養、がん』を発表したのです。これは痛快でした。

この報告書は、がんは食事で予防できるということを初めて公に認めた画期的なもので、その中で、現在平均的なアメリカ人の食事において40パーセントを占めている、脂肪から得られるカロリーの比率を、30パーセントまで削減すべきである、と勧告しています。つまり乳製品を撮り過ぎる国民の健康を考えて発表されたものとも言えるのです。

それは『疫学データと実験データを総合した結果、調査対象の全ての栄養素のうちとりわけ脂肪の摂取は、がんとの関連を示唆して』おり、大腸がん、乳がん、前立腺がんとの関係は特に濃厚である、というものでした。そう、牛乳摂取からくる脂肪はがんを呼び起こすものでもあると発表されたのです。

同時に心臓病を予防する目的で考案された食事は、がんも予防できるかもしれない。こうした食事を、アメリカ心臓病学会は『思慮深い食事』と呼んでいたそうですが、日本発祥のマクロビオティックはアメリカで体系化されましたが、マクロビオティックに注目が集まった時期とも一致しています。

余談ですが、マドンナのプライベートとして活躍し、マクロビオティックコーチとして活動されている西邨マユミさんが単身渡米し、マクロビオティックの世界的権威である久司道夫氏に師事を受けたのも1982年でした。西邨さんは後にがん患者への料理指導も行うことになります。

牛乳=脂肪、これを飲み続けることが体にいいわけがない

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1日1ℓの牛乳を飲めば、脂肪35グラムを摂取したことになります。この35グラムは、体重50ポンド(約22.5kg)の平均的アメリカ人男性が一日に摂取すべき脂肪分の半分の量に相当します。

脂肪分に割り当てられた量を、わたしたちは’こんなもの’で埋め合わせてしまってよいのでしょうか?

脂肪の摂取量を減らしましょう。カロリー摂取量を減らしましょう。

赤ん坊は、生後1年間は母乳か、限りなく母乳に近い人工乳で育てられるべきです。

そして1歳から2歳までの間に正常に離乳を果たしたら、もう牛乳を飲む必要などないのです。

 

次回「#02」でも牛乳の健康被害について書いていきます。

 ■参考文献:なぜ「牛乳」は体に悪いのか
(フランク・オスキー著:東洋経済新報社)



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