環境を壊さず動物も殺さない肉そっくりの植物性「人工肉(フェイクミート)」最新事情。果たして迫り来る食糧危機を救えるのか?
皆さんはお肉を食べますか?
最近では、糖質制限のブームが来ており、
肉中心の生活を送る人も増えていることと思います。
将来、人口の増加により食肉の生産が追いつかなくなるかも。
2006年、国連食糧農業機関(FAO)が畜産業が地球温暖化に拍車を掛けていると発表してから約10年が経ちました。
FAOが発表した内容によると、温室効果ガスの18%は家畜業によるもので、これは自動車等の交通による発生の合計より高いことが指摘されています。
世界の人口が増すと同時に、毎年多くの肉や乳製品が生産・消費されています。
世界の肉生産量は1999/2001年においては2億2,900万トン。
このまま人口が増え続けると2050年には食肉生産量が4億6,500万トンにまで増加すると予想されています。
前回、この食肉生産による環境問題を食い止めるべくスウェーデンが掲げた国策について書かせて頂きましたが、
スウェーデンの昆虫食の研究が進む傍、動物を殺さない動物由来の「人工肉」の開発も大きな進歩を遂げています。
今話題の、動物を殺さない動物由来の「人工肉」、いったいどんなお肉なのでしょうか?
動物由来の人工食肉とは。
出典:東洋経済ONLINE
2013年、マーストリヒト大学の生理学教授マークポスト氏は牛の筋細胞を使った牛肉パテの培養に成功しました。
同年の8月、マークポスト氏によって培養された牛肉パテは世界で初めて英国のロンドンで開催されたイベントで調理され、
世界で初めてこの培養された牛肉パテを試食したオーストリアの栄養学者であるHanni Rutzlerは「肉にかなり近いが、ジューシーではない」と述べています。このイベントには世界各地のジャーナリスト200人、オランダ文化畜産プロジェクトに携わった学者などが参加しました。
ジューシではないけど本物に近いという事は、赤身のお肉に近い味なんでしょうか…。
従来の酪農よりはるかに環境への利点はある
動物由来の人工肉のメリット
2011年、Environmental Science&Technology誌に掲載された調査によると、人工肉は従来の酪農よりもはるかに環境負荷を軽減できると述べており、培養された人工肉は温室効果ガス排出量を最大96%、エネルギー消費を45%、土地利用を99%、水使用量を96%削減することができると発表しています。
チームは現時点では従来の食肉と比較して、人工肉の輸送や冷凍のエネルギーコスト削減などの節約にはまだ至っていないと指摘。また、人工肉の普及によって解放された農地を炭素隔離目的(※)の為に再植林などで再利用し、環境に配慮することを示唆しています。
※炭素隔離とは
炭素隔離は、二酸化炭素の大気中への排出を抑制する手段のことで、生物学的なものと地質学的なものがある。
(引用:EICネット)
早ければ約5年で私たちの食卓にも!
過去数年間、この人工肉を市消費者の手に渡せずにいた最大の障壁は生産コストでした。人工肉1ポンド(約450g)を生産するのに2013年時点では32万5千ドルと膨大なコストがかかっており、市場に出す事は困難な状態でしたが、そのプロセスは年々改善されており、2015年時点では44ドル、現在のコストはわずか11.36ドルです。
(参考:FAONewsroom JOBS&HIRE PHYS.ORG NEXTBIGFUTURE)
植物由来の人口食肉
動物由来の人工肉がある一方、100%植物性の人工肉も開発が大きく進んでいました。マークポスト氏が手がけた人工肉は動物由来のためヴィーガンではありませんが、こちらは完全ヴィーガンの人工肉です。
出典:BUSINESSEINSIDER
どう見ても本物のお肉にしか見えない…。
この、海外企業Impossible Foodsが手がける人工肉は現在海外や日本でも注目されています。
現在アメリカでは既に販売されており、今年度中に日本にも上陸する予定とのこと。
一見普通のバーガーのように見えますが、このImpossible Foodsが提供するバーガーパテは主に小麦、ココナッツオイル、ジャガイモなどのシンプル且つオールナチュラルな材料で出来ており、ヴィーガンやベジタリアンの方も安心して食べる事が出来ます。
アメリカのビジネス情報誌WIREDの編集長は昨年の11月頃に試作品を食べて「まるで本物みたい!」と絶賛したんだとか。
(参考:WIRED)
植物の「血」から出来ている本物そっくりのバーガー
従来の大豆肉や穀物類からできている植物性のパテと明らかに違う点は、本物のパテのように溢れ出る肉汁や肉特有の独特の匂いなども忠実に再現しているところ。
その秘密はレグヘモグロビンとも呼ばれるマメ科植物由来のタンパク質。
この成分により肉特有の味や香りを忠実に再現しています。
出典:twozestybananas.com
気になるのはフェイクミートの質
遺伝子組み換え作物等、食材に関する不安材料・・・。
フェイクミートが欧米を中心に今後一般市場にも出回り、
日本にも上陸する日が近いかもしれません。
しかし、気になるのは肝心な素材の質。
ヴィーガンやベジタリアン向けの商材であっても、オーガニックという記載がない限り、
不安の拭えない遺伝子組み換え作物等安価なものを使っている可能性も否めません。
海外から、これらの最先端技術で作られたフェイクミートが広く流通するに従い、
安全性の不確かなものも確実に出回ってゆくことでしょう。
そもそも、そこまでして肉そっくりなフェイクミートをいただく必要があるのでしょうか。
「肉を食べない」という選択をするのであれば
わざわざ加工食品に手を出さなくとも、ナチュラルな野菜や豆腐、果実などをシンプルに活用してもいいのでは?と疑問に思う声も出てきそうです。
環境に負担をかけにくい商品という観点では素晴らしい革命ですが、その一方で、自然とはかけはなれた加工食品であることも否めません。
安直な考えでフェイク品を購入する前に、どのような食材を使ってどのように作られているのかについてご自身でも調べてから試すことをお勧めいたします。
”食べる”ということについて今一度考える
食肉産業の危機とはいえ、私たちの周りのスーパーではいつでもお肉が手に入りますし、多くの飲食店でもお肉が提供されています。
しかも、その安全性や質がどうなのかまではなかなかこだわれない人がまだ多いのではないでしょうか。
国内外問わず、放牧牛等やオーガニックビーフはごくわずか。
そしてお伝えしたように、私たちが肉を食べるまでに大きな環境負荷がかかっていることもご存じない方が多いと思います。
メディアでも取り上げられない内容のため身近な問題として世間に捉えられていないのが現状です。
私たちには食べるものを自由に選ぶ権利があります。
肉を食べないという選択も肉を食べるという選択も自由なのですが、
将来、本当に食肉が手に入りにくくなってしまった時に困るのは私たちです。
食肉産業についてあまり関心の無かった方達もこのニュースを機に将来の食生活についてぜひ考えてみて頂きたいと思います。
普段の食生活を見直してみよう。
肉を食べるかどうかは個人の判断ですが、よりナチュラルな暮らしを送るためにも
一人一人が少しずつでもこの問題を意識した生活を送ることで、将来の食肉生産危機で煩わしい思いをする人が一人でも減る事を願っています。
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