えっ、漢方薬の全てが体質改善するものではない?!漢方にもリスクのある下剤はあります。漢方薬剤師が伝える下剤に頼らず、便秘にならない方法。
薬剤師・薬膳師の山口りりこです。
世の中、便秘の女性は本当に多いですね。
私の周りでも女性が3人あつまると1人は便秘ではないか?と思うほどです。
友人やお客さまにどう対処しているのか話を聞いてみると
意外にも「漢方のんでるよ!」
という答えが返ってきます。
ただ、よくよく聞いてみると、その漢方は下剤なんですね。
本人は「下剤じゃなくて漢方だから大丈夫!」
と安心している人も多いのですが・・・。
下剤=コーラックではありません。
漢方薬も医薬品です。
生薬によっては腸内を無理やり動かして排便を促す漢方もあります。
漢方だからといっていくらでも飲んでいいということでは決してありません。
漢方薬や西洋の下剤を使うのも一つの手ですが、下剤は腸内環境のバランスを乱すなどのリスクも多く
必ずしも安全とは言えません。
それよりもそもそも下剤に頼らなくても体質を見直すと体全体が楽になります。
身体の声をきいて体質改善に取り組んでみましょう。
えっ、漢方薬の全てが体質改善するものではない・・・?!
漢方のイメージは
安心、植物、ゆっくり効く、長く飲む、体質改善
という答えが上がります。
漢方の歴史は長い分、大変多くの処方が世の中には存在していて、体質改善のものもあれば、急性の症状をよくする対処薬もあるのです。
私は作用の強い下剤は対症療法の一種と考えています。
例えば、タケダ漢方便秘薬。
こちらは大黄甘草湯という処方で、大黄という生薬がはいっています。
他にもセンナやアロエは腸を刺激して便通を促すものなので、対処的に使うことをおすすめします。
(一時的に便秘になり、勢いをつけるために数日飲む場合は問題ありません)
腸を刺激して排便する場合、始めはいいのですが、そのうち腸が薬がある状態に慣れてしまいます。
そうするとお薬がないと動かないような怠けた腸になってしまうのです。
下剤をつかっていると徐々に飲む量が増えるのはそれが原因です。
女性は男性よりも便秘になりやすい体のつくりだった!
便秘で悩む方が男性よりも女性に多いのには理由があります
1、腹筋が少ない
腹筋が少ない分外に押し出す力が弱いためです。2、黄体ホルモン(女性ホルモンの一種)
排卵〜月経までの高温期に黄体ホルモンは多く分泌されます。このホルモンは腸のぜん動を抑える性質があるため、月経前に便秘する人が増えるんですね。
3、ダイエット
食事量が少なくなると、身体に必要な食物繊維や水分が少なくなるため便秘になりやすくなります。4、精神的
人前でトイレに行けなかったりなど、気にしてタイミングを逃し便秘になりやすくなります。どれも男性より女性にあてはまりますね。
女性のがん死亡率でもっとも高いのが大腸癌です。
腸には身体全体の70%の免疫細胞があります。
便秘といえど、あなどれません。
漢方医学で考える大腸、肌の関係
漢方にかかせない理論の1つである《五行論》
多くのものを5つに分類している理論です。金をみてみてください。
皮毛(皮膚)、大腸
同じ場所にありますね。
身体の内側にある大腸は身体の外側の皮膚と関係しているのです。
また、肺の役割として《身体の防御》があります。
大腸が悪いと、皮膚に吹き出物ができるだけでなく、免疫も下がってしまうことが漢方的にみてもわかります。
毎日便通があっても便秘かも?!
そもそも便秘とはなんでしょう。
3,4日以上でなくて苦しい!という人は自分が便秘だと意識している人が多いと思います。
しかし、毎日便通があっても、すっきり感がないとかコロコロしていると便秘と言えるんですね。
便秘にはこれ!といった定義がありません。
主観に頼ることが多いのですが、二便(小便、大便)を毎日観察することです!
身体の状態を現してくれています。色や形を毎日チェックしてください。
便秘の種類によって体質を考えよう!
便秘といっても人によってタイプが違います。
漢方の体質と合わせてお話します。
◼︎大腸の運動が低下
大腸を動かす筋肉が低下して、腸管の緊張が緩み蠕動運動がうまくいかない状態。
大腸内に便が長く留まり水分が過剰に吸収されます。
✔︎硬い便
✔︎排便に時間がかかる
✔︎乾燥肌
✔︎貧血気味
漢方的体質
血虚・陰虚便秘血や陰液は身体を潤す大切な成分。
夜に血はつくられると考えます。
睡眠をしっかりとりましょう。
また、辛いものや脂っこいもののとりすぎは乾燥を招きます。
とくに生理前後は控えましょう。
おすすめ食材
豆乳、蜂蜜、ヨーグルト、ナッツ類、いちじく、なつめ、ごま
◼︎大腸の過緊張
腸管が緊張しすぎてしまい、うまく便が運ばれない状態。
✔︎コロコロ便
✔︎便秘と下痢を繰り返す
✔︎食後の下腹部痛
✔︎ストレスが多い
✔︎張ったような感覚
漢方的体質
気滞便秘ストレスなど身体が感じると、気の巡りが悪くなりつまり症状がでやすくなります。
リラックス方法を見つけることが大切です。アロマやヨガなど巡りのよくなることを生活に取り入れましょう。
おすすめ食材
セロリ、パクチー、大根、ごぼう、みかんの皮、ジャスミン茶
◼︎直腸に便が停滞
便が直腸に達しても排便反射がおこらず、直腸に便が停滞してしまう
✔︎便意がない
✔︎排便後の疲労感がある
✔︎脱肛しやすい
✔︎手足の冷え
✔︎夜間の頻尿
漢方的体質
気虚・陽虚便秘エネルギー不足の状態。
身体をあたため、エネルギーを蓄えることが大切です。
冷たい飲み物は避け、食事もできるだけ火の入ったものにしましょう。
おすすめ食材
さつまいも、かぼちゃ、玄米、にら、くるみ、にんにく、シナモン
◼︎器質性便秘
大腸の形自体の変化によるもの。腫瘍やクローン病など疾患がある場合が多いです。
もとの疾患をよくする必要があるので、ここでは控えます。
医療機関へ受診をおすすめする症状
・便に血や粘液が混じる
・激しい腹痛や嘔吐を伴う
・おなかにしこりがある
なにか疾患が隠れているかもしれないので、早めに受診しましょう。
生活を見直してみましょう!
・バランスのとれた食生活をしていますか?
・食事のタイミングはバラバラではありませんか?
・トイレにいく習慣(朝食後など)はありますか?
・こまめに水分をとっていますか?
便秘は生活習慣を整えるとよくなることが多いです。
ちなみに、食生活に自信がある!といっていた友人が、食事と体調を日記につけ始めたのですが、意外にも整っていないことがわかったそうです。
友人は思っていたより野菜や発酵食品をとっていなかった!と驚いていました。
このように、気をつけていると思っていても、腸内を整える食材を思うように取れていないケースもあります。
毎日の生活を改善することは、忙しい現代人からすると一番難しいことかもしれません。
しかし、あなたの身体をよくできるのはあなただけです。
腸内環境を整えることが健康への近道となります。
下剤では根本の体質改善はできません。
できることから少しずつ生活にとりいれて、腸もお肌も心もスッキリさせましょう。
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