まだまだ健康意識の低い日本のホテル事情。ホテルやレストランのエコな「認証制度」と知られざる実態。本当に信頼できるオーガニックなホテルやレストランを選ぶポイント・方法。
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
先日、薬草を育てている農家さんの畑を見学する為に安曇野市に行って来ました。
ちょっとした小旅行気分で楽しく過ごした一日。
畑を見学した後に、いわさきちひろさんの絵が展示されている「ちひろ美術館」に立ち寄り、昼食は、館内にある絵本カフェで、信州名物のおやきを食べました。
申し出ると原材料表示や産地を見せてもらうことができ、安心して食事することができました。
自然農教室や種の交換会を行っているシャロムヒュッテ、マクロビの食事を提供する穂高養生園など、個性的な施設があるこの地域。
「羨ましいなぁ。日本でこれが当たりまえになればいいなー」と思いました。
日本のホテルに潜む化学物質や、添加物、農薬などの問題。まだまだエコ・オーガニックからは程遠い現状。
旅先の飲食店やホテルで、安全な食品やオーガニックのアメニティに巡り合うのは、なかなか難しいものです。
シャンプー・リンス
まずほとんどのホテルや旅館のシャンプーはケミカルなものばかり。
日頃からオーガニックライフを過ごしている人にとっては使えないような、残念なラインナップです。
朝食
ホテルの一番のウリであるはずの、朝食。
最近では一部の高級ホテルや旅館がオーガニック、無農薬野菜、天然の魚や、グルテンフリー、スーパーフードを取り入れるなどの取り組みをしているようですが、それもごくごく一部。
現実には、発色剤や着色料の使われたベーコンやハム、白砂糖を使ったグラノーラやコーンフレーク、
添加物や農薬が気になるパン、デニッシュ、慣行農法で栽培された野菜、トランス脂肪酸がきになるサラダ油で調理した卵焼き・・・
こんな現状が、大半です。
せっかくの楽しみの朝食が期待できないとなると、
あえて朝食抜きのプランにして、外部のカフェやレストランで朝食をとっているヘルスコンシャスな人々も少なくありません。
ケミカルなアメニティ・農薬の気になるお茶やコーヒーなど
アメニティやお茶にもこだわりを感じないホテルがほとんど。
ビジネスホテルはもちろん、通常のホテルはオーガニックではないお茶を支給しています。
お茶もコーヒーも残留農薬の不安視をされる飲料です。
ケミカルなベッド・寝具
ホテルのベッドや寝具が安心できるオーガニックのコットンだった・・ということも日本ではほとんどありません。
アレルギーや化学物質過敏症、アトピーの人も増えゆく今、寝具もケミカルなものだと痒くなってしまう人もいるはずです。
こうした現実のおかげで、泊まりたい場所がないため、いつも宿泊地には、妥協しがちになってしまっています。
旅先では比較的安いゲストハウスに泊まることが多いので、食事は自炊。シャンプーや洗剤なども、出来る限り自前の物を持参しています。
それでも、出来れば備え付けのアメニティがオーガニックな食事があれば嬉しいというのが本音。
せっかくの旅行なら、安全なアメニティや食材が常備された宿や飲食店で妥協ゼロで、心ゆくまで羽を伸ばしたい!
あなたも、そう思いませんか?
オーガニックな人々が熱望するホテルや旅館は一体どこにあるの?!
エコ認証制度とは何か。
そんな私たちの為に、世界各国には、殺虫剤や消毒液の使用抑制や、
安全性の高いシャンプーや有機栽培の野菜などを利用しているホテルや飲食店を対象とした「エコ認証制度」が存在しています。
実は、このエコ認証制度、近年のインバウンドや2020年の東京オリンピック開催の流れを受けて、日本にも誕生しています。
これらのエコ認証制度は、どんな基準で選定され、情報提供がされているのでしょうか?
ちょっと気になって調べてみました。
エコ認証の目的と中身
レストランやホテルのエコ認証は、主に以下の点を評価して決められています。
・環境への取り組みやマネジメント
・有機農産物や地産地消を重視した食材の購入
・廃棄物の削減、分別やリサイクル
・電気、ガス、水道、重油などの使用量削減や保守
・化学物質(除草剤、防虫剤、消臭剤、殺菌剤など)の使用量抑制
・立地周辺への自然環境や生態系への配慮
・外部の環境保全活動への参加や社員教育
・環境方針や取組の情報公開
・利用客への環境配慮や啓もう活動
これを見るとオーガニックな食材の提供や、化学物質の削減も重要視されていることが分かります。
では、実際に日本のエコ認証制度にはどのような物があるのでしょうか。
現在日本に設けられているエコ認証制度を幾つかご紹介したいと思います。
環境省 エコファースト制度
・企業が環境大臣に対し、地球温暖化対策、廃棄物・リサイクル対策など、自らの環境保全に関する取組みを約束するもの。
・その企業が、環境の分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする事業活動」を行っている企業(業界における環境先進企業)であることを、環境大臣が認定する “認証ホテル:スーパーホテルグループ
有効期間:認定日から5年。
公益財団法人日本環境協会 エコマーク認定制度
旅館、ホテルなどのチェックポイントは、25項目。
認証ホテル:帝国ホテルグループ
飲食店の認定基準:地産地消。輸送距離や梱包材の削減。フードロス解消。リユース食器使用やマイボトル、マイ箸の推奨。
社員教育や利用客への啓もう活動。
認証店:デニーズ・PRONT・モスバーガー・吉野家など。
参照:2017.12.28 一般社団法人 環境研究金融機構エコなレストランを認定する「飲食店版エコマーク」第一号に吉野家など5社認定。日本環境協会が評価。
ここで、ご紹介したエコ認証制度は、ほんの一部です。
一口にエコ認証といっても、認定基準により様々な違いあることがお分かり頂けたかと思います。
このなかに、あなたの希望を満たしそうな宿や飲食店はありましたか?
本当に安心安全?・・・まだまだ怪しい日本の認証制度。なんと、添加物を使う企業も混じっている!?
それ、エコではないのでは? 添加物の使用の有無は見逃されているゆるゆるなエコ認証制度。
ご覧頂いたように、日本のエコ認証制度には、政府や民間、海外企業など様々な認証機関が存在します。
制度の目的や方針はほぼ同じですが、審査基準や検査項目の数、情報公開には大きな違いがあります。
複数のエコ認証が乱立しているこの状況。
どの制度を参考にしたらいいのか、迷ってしまいませんか?
じつは、上記のエコ認証を取得した飲食店やホテルの中には、
機能性食品の開発を謳いながらも、緑内障や片頭痛を引き起こす添加物「グルタミン酸ナトリウム」を使用した商品開発を行っている企業が一社混じっています。
みなさんは、どの企業かお分かりになりましたか?
正解は、エコマーク認定を取得した肉などの料理などを販売する、有名大手チェーン店です。
独自に開発した肉の機能性食品の中に「グルタミン酸ナトリウム」が含まれているのです。
つまり、エコマーク認定では、添加物の不使用などは基準となっていないのです。
また、観光地として有名な沖縄でも独自の環境保全をPRしている企業が乱開発を行ってしまった実態も、あります。
その企業とは、独自の環境指標を設定し、環境マネジメントを行い、自然エネルギーなどの活用でも知られているある大手ホテルチェーンです。
この企業が竹富島開発に乗り出したのは、2007年。
この計画により、敷地内で大型シャベルカ―による樹木の撤去が行われました。
その際「アジラ」という石垣畦の遺構も破壊されました。「アジラ」は、沖縄で長年の農地を海風や波から守ってきた貴重な遺産だった為、住民の方たちのショックは大きかったようです。
工事手続きに関して虚偽の説明があったことなどを理由に住民の多くから反対意見が出たものの、2012年に、ホテル開業しました。
この大手組織は2011年にも関西のホテル建設に関して、許可されていない工事を行ったとして地元の弁護士らが工事を認可した京都市に対し、許可文書の公開を求めています。
オーガニックな農産物や食品は、自然環境が整い多様な生態系が維持されている循環型の社会から生まれます。
また地域住民の生活を脅かさないことも大切です。
それだけに、乱開発で地域の自然や環境が損なわれるような無秩序な建設を行うホテルは、
どんなに見かけが綺麗だとしても、選びたくないと感じます。
そんなホテルチェーンの環境指標は、グリーン購入ネットワーク(GPN)の「エコチャレンジホテル旅館」を参考にして、設定されています。
実際は、消費者への徹底した情報公開や安全性を目的としたエコ認証制度を、
自社のイメージアップとして利用しているホテルや飲食店も多いという残念な面があります。
参照:環境省 竹富島フィールドミュージアム
竹富島憲章をいかす会
京都民法web:星野リゾートが許可と異なる工事 弁護士らが文書公開を要望
環境対策を公表した企業は株価が上昇!?
例えば、2014年に行われたカリフォルニア大学デービス校経営大学院の学生行った研究結果によれば、
温室効果ガス排出や削減に関する情報(グリーン情報)を公開した企業は、それにより株価が2.23%上昇することが分かっています。
日本の飲食店やホテルが、相次いでエコ認証の取得を行っている背景には、こうした株価上昇を狙ったものである可能性が高いのです。
その一方で、利用客との情報解釈の違いや、トラブルによる訴訟を恐れ、徹底した情報公開を渋る企業があることが、
この研究を行った学生により指摘されています。勿論、エコ認証を取得した全ての企業がイメージ戦略を目的としているとは限りません。
でも、中にはこういった利益拡大重視の企業があることも無視できませんよね。
では、実際に私たちがホテルやカフェ、レストランなどを利用するときには、何を基準に選べばいいのでしょうか?
本当に信頼できるエコやオーガニック認証制度は?
ここまで読んでいただいて「企業のイメージアップに利用されている日本のエコ認証制度は、判断基準にならない。」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
でもちょっと待ってください。
厳しい審査基準を設けたり、本当にオーガニック素材を使っているかなど証明を行っている認証機関もあるのです。
私が信頼できると思ったのは、以下の3つの認証制度です。
BIO HOTEL
旅館やホテルを対象に、フード、コスメ、環境の3つの認証基準について独自のガイドラインを用いた格付けを行い、
それに応じて2段階の認証を行います。ホテルの食材や備品については、使用している物の原料から加工、
流通まで全て明らかであり、可能か限りの情報公開が求められています。
また生態系への負荷の軽減やデザイン性、次世代への受け継がれる持続性がある商品であるかも重視されます。
認証ホテル:八寿恵荘
Auberge erba stella(オーベルジュ エルバステラ)
グリーンキー
1941年にデンマークで生まれたホテル・旅館対象のエコラベルです。
およそ100もの国際基準を満たすことが認証の条件です。また継続した取組みを推進する為に、更新期間は1年となっています。
世界40カ国で約2000の施設が、認証を受けています。現在、国内認証を受けているのはわずか2か所。
敷地内の自家菜園や「身土不二」をコンセプトにしたフレンチなどが魅力的なホテルが認定されています。
認証ホテル:山形・ホテルリッチ&ガーデン酒田長野・扉温泉 明神館
オーガニックレストラン認証:リーファース
2014年にスタートした「リーファース オーガニックレストラン認証」。
この認証機関では、飲食店の審査を行うだけでなく、経営者に対してオーガニック食品の推進や活用法の教育を行っています。100%オーガニック食材でなくても認定される仕組みですが、年1回食材購入時の納品書や請求書のチェックなどによる検査が行われています。
認定飲食店:
代官山カフェ・ボンベイバザー
渋谷 botanical table Offf
ピッツェリア・トラットリア ナプレ南青山本店
ピッツェリア・トラットリア ナプレ名古屋店
小さな宿やカフェ、個人経営店が意外と狙い目
小規模のゲストハウスや飲食店にも、オーガニックな食材や自然素材を利用した建物などにこだわっているところが増えています。
そうした宿やお店は、必ずしもエコ認証を取得しているところばかりではありませんが、ホームページに具体的な取組やコンセプトを表示し、積極的に情報公開を行っています。
またトークイベントや映画上映会、落語などの楽しいイベントを開催しているカフェもあります。
大手のリゾートホテルやレストランとはは、また違った快適さを体験してみませんか。
沖縄 やんばるのカフェ・水母&旅の宿・朝日家
カフェスロー大阪・間借りカフェ
カフェ・ゆっくり堂(横浜市戸塚区・善了寺境内)
「エコ認証」を単なる企業のPRツールや、ブームで終わらせないためには。
日本の「エコ認証」を受けたホテルや飲食店には、ポリシーをもってエコやオーガニックに取り組んでいる施設。
利用客へのイメージ戦略を行っている施設。
その2種類がある現状。
結局、制度や仕組みは、使うもの次第なのです。
「エコ認証」を切っ掛けとして、宿泊、飲食業界でエコやオーガニックへの関心が高まることは、
ごみやエネルギー消費の削減、有機野菜の導入や地産地消につながる可能性はあります。
利益追求型の大手リゾートホテルにも、「エコ認証」取得を切っ掛けに、
有機野菜の使用をコンセプトに掲げたり、ごみ削減の実績を出した施設があります。
まだ私たちが求める水準には達していなくても、地道に消費者としての意見を伝えていくことで、少しづづ前進させていくことは可能なのです。
エコ認証取得の流れを、ただの観光客誘致を目的とした一時的なブームで終わらせないために、私たち消費者も積極的に制度を活用していきましょう。
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