天然本醸造醬油の作り方|本醸造・混合・混合醸造…醤油ラベルの読み方を徹底解説。
江戸時代からつづく本醸造醬油
こんにちは。「いつもがわくわく☆こどもてらこや・おとなてらこや」主宰の柳原里実です。こどものみなさんと醤油つくりに挑戦する前に、醤油蔵が並ぶ小豆島に見学に行きました。
長年のもろみ醤油がしみ込み、こっくりとしたあめ色の杉樽。
毎日の食卓に欠かせないこの伝統的発酵調味料は、
麹、丸大豆、塩などというわずかな材料から、
お醤油蔵の蔵人(くろうど)さんの熟練の技と年月をかけてつくられます。
「人が醤油を作る」のではなく、
「人は、微生物と穀物の出逢いに立ち会って、よりよい状態を生み出すように動く」
そんなイメージを抱きました。
本醸造・混合・混合醸造の3つのラベル表示からわかること
現在一般的に手に入る醤油のラベルを確認してみましょう。(1)本醸造醬油
本醸造醤油の表示例は次のようなものです。名称:こいくちしょうゆ(本醸造)
原材料名:大豆、小麦、食塩
江戸時代から続く製法は、原材料がとてもシンプルですね。
半年から3年かけて、じっくりとうまみを育てます。
(2)混合醸造
混合醸造とは、諸味(もろみ)の段階でアミノ調味液を加え、一緒に熟成させるものです。名称:こいくちしょうゆ(混合醸造)
原材料名:食塩、脱脂加工大豆(遺伝子組み換えでない)、小麦、アミノ酸液、糖類(ブドウ糖、砂糖)、
アルコール、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、甘味料(ステビア、甘草)、ビタミンB1
(3)混合
醤油にアミノ調味液を混ぜるのが、混合です。名称:こいくちしょうゆ(混合醸造)
原材料名:アミノ酸液、脱脂加工大豆(遺伝子組み換えでない)、小麦、食塩、アルコール、
調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、甘味料(ステビア、甘草)、ビタミンB1
「本醸造」に比べて、製造コストの低い「混合醸造」と「混合」。
まず、長期間の熟成がないので、保管やその間の管理にかかる手間や費用は大幅に縮小されます。
また、丸大豆の代わりに使用される「脱脂加工大豆」は、
大豆油を搾った後の大豆。戦後の食糧難の時期に発展。
大幅なコストダウンとたんぱく質の分解率が高いので扱いやすいという利点もあり、
現在も国内の醤油の8割以上が脱脂加工大豆を使用したものです。
しかしながら、大豆の旨味を補うために添加物が増えることにもなります。
上記の、アミノ酸液、糖類、アルコール、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ステビア、甘草)などです。
さらに、長期間の熟成中につくはずのこっくりとした色味がないため、
カラメル色素が添加されることも多いのです。
自分で一度作ってみれば、本当に必要な材料と、それにかかる時間を体感できます。
では、仕込んで、育てて、しぼってみましょう。
本醸造醬油の仕込み方
今回は、素敵なお醤油屋さんから種麹を分けていただきました。ネットで注文可能なお醤油屋さんもあります。
本醸造醬油の作り方
材料
・有機醤油麹 (大豆80ℊ ・ 小麦80ℊ ・ 醤油用種麹)・有機塩 40ℊ
・ミネラルウォーター 200㏄
*大豆1:小麦1:塩水3
*塩水の濃度は約20%
*配合は一例です
仕込み方
1 きれいな容器に、醤油麹を入れます2 ボウルに水と塩を入れて溶かし、塩水をつくります
3 容器に入れます
4 容器をよく振り、醤油麹と塩水をよく混ぜます
5 お好みで、お醤油がおいしくなりたくなることばを貼ります
育て方
*常温で、毎日目の届く、直射日光のあたらないところに置く
*容器を振ることで、発酵を助ける
*もろみの発酵で出る炭酸ガスのため、密封して破裂しないように、ふたを開けておく
*ふたは、ほこり防止に乗せておくだけにし、振る時にふたを閉め、終わったら元に戻すのがおすすめ
*万一、炭酸ガスでボトルがふくらんでしまった場合は、少しずつキャップをゆるめ、ガスを出しましょう
6 <2月仕込みから1週間> 毎日1回 振ります
*昔ながらの蔵では蔵人(くろうど)が撹拌(かくはん)する
*仕込みからすぐに、麹菌の酵素の働きで、原料の成分は分解され始めている
*大豆のたんぱく質はアミノ酸に、小麦のでんぷんはぶどう糖に変化
7 <~2週間> 毎日1回 やさしく振ります
8 <~3月> 2~3日に1回 やさしく振ります
9 <~5月> 1週間に1回 やさしく振ります
*表面が乾いていればその時に振り、塩水が上がっている状態にする
10 <~7月> 発酵したら 毎日1回 振ります
*気温の上昇とともに、酵素の分解速度が上がる
*泡が見えたら、発酵の合図
*まず乳酸菌がゆるやかに乳酸発酵→次に主発酵酵母が元気に酵母発酵→最後に後熟酵母が穏やかに発酵
*主発酵で、糖分がアルコールに変わり、2~3層になる
11 <~9月> 発酵が落ち着いたら、3日に1回 振ります
*白い斑点(産膜酵母)は無害だが風味に影響するので、見つけたら容器を振り、もろみの中に混ぜる
12 <10月~2月> 1週間に1回 やさしく振ります
*熟成し、もろみももう食べられるので、少し味見してみよう
本醸造醬油のしぼり方
仕込んで1年~2年経ったもろみをいよいよしぼりましょう。13 <2月> しぼります
*フィルターを入れたろうとにもろみを入れ、醤油が滴(したた)るのを待つ
*ぎゅうぎゅうしぼるより、じっくり搾る方が美味しい醤油になり、残ったもろみも美味しい
*この後、瓶ごとあたためる「火入れ」という作業をすると、殺菌と香りがより高くなる
*「火入れ」せずに味わえる本当の生醤油を味わえるのは、自家製ならでは
海外に引っ越したこどもてらこや仲間のご家族も、現地でお醤油しぼり。
「おいしいお醤油になっていますよ♪」
Mちゃんは、現地では貴重な「お刺身」を食べるときに使うそうです。
手作り醤油を手作りベジ寿司と手作り豆皿でいただきます
まずは、てらこやはたけの自然栽培野菜で、自由なひとくちずし作り。
製氷皿に、野菜のお漬物やスライスを入れ、すし飯を入れて、ぎゅっと押せばできあがり。
もちろん、手で握りたいひとはやりたいようにどうぞ。
組み合わせも大きさもそれぞれのかわいいおすしがたくさん。
手作り醤油をいただくためにつくった豆皿に、マイ醤油を注いで「いただきます。」
日常の中に受け継がれていく先人の智恵と、目にはみえない微生物のみなさんの力。
いつも私たちを助けてくれているのですね。今度は、麹づくりから挑戦してみたいと思っています。
どうぞすこやかな毎日をお過ごしください。
[参考:しょうゆ情報センターHP・日本食文化の醤油を知るHP・片上醤油「マイ醤油作り教室発酵管理の手引
き」・ミツル醤油「醤油仕込みの工程」職人醤油HP]
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