スーパーのちくわは添加物まみれ?添加物なし!旬の天然魚から作る簡単ちくわの作り方
食事の1品には必ず加えたい「ねりもの」
「ねりもの」と言えば、おせち料理のかまぼこや伊達巻など行事食の他、お弁当のおかずやお惣菜、そして、寒い時期はおでんの具としてもなじみ深い食材ですね。
辞書によりますと、「練り物」「練り製品」とは「魚のすり身を練って、加工した食品」。
板かまぼこ、す巻きかまぼこ、カニ風味かまぼこ、伊達巻、梅焼き、ちくわ、はんぺん、つみれ、なると巻き、さつま揚げ、ごぼう巻き、じゃこてんなどのほか、魚肉ソーセージも入ります。
宮城県に住んでいたこどもの頃、「笹かま」のお店で、ゆっくりと回りながら焼かれるかまぼこを見ると、
わくわくしたものでした。ぷりっとした食感とうまみが格別です。
大人になってから、当時の幼なじみの結婚式に出席すると、
参列者ひとりずつに巨大な鯛のかまぼこが。
なんだか懐かしくほほえましい引き出物です。
現在でも富山県では、大きなかまぼこの引き出物が有名なのだそう。
昔は、切り分けてご近所の方にお分けする風習があったそうですが、
現在は一口サイズのかわいらしい意匠のかまぼこが大人気です。
さて、このねりものは、実は冷蔵・冷凍・真空技術などない時代の知恵。
足の速い海の幸を、調理の工夫により消費期間を延ばし、
沿岸部から遠方でも、おいしくいただけるようにしたすばらしい保存食です。
そしてその歴史は、江戸時代。ではなく、さらにさかのぼるらしいのです。
貴族もお気に入り?ねりものの歴史と製法
それは、少なくとも「平安時代」。
平安時代後期の行事や、儀式の調度についての記録
『類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)』(1146年)には、
ねりものについての表記が見られるのです。
この本は、当時の摂関家、つまり藤原家の寝殿の造り、衣服、食物、調度品などが、
見取り図とともに詳細に記録されたもので、
当時を再現する際の資料としても使用されているとても貴重な資料です。
私たちもデジタル図書館で、その丁寧な筆あとを見ることができます。
永久3年(1115年)、当時の関白右大臣・藤原忠実が、
京都の「東三条殿(ひがしさんじょうどの)」に転居する際の祝賀料理の献立に、
「蒲鉾(かまぼこ)」と書かれています。
図解では、調理された串ざしのまま出されています。
形が「蒲(ガマ)」の穂に似ており、蒲の穂は「鉾(ほこ)」の形のようであることから、
「蒲鉾」という名になったそう。
当時のかまぼこを再現された会によると、「少ししょっぱめ」だったそう。
貴重な一品として、貴族のみなさんも舌鼓を打たれていたのでしょうか。
現在の原材料は、タラ、エソ、グチ、ハモ、トビウオ、タチウオ、ヒラメなどです。
頭、内臓、皮などを取り除き、ミンチ状にした魚肉が主原料で、
調味料、加熱方法、形でさまざまな種類に分かれます。
上述の例ですと、かまぼこやす巻きなどは「蒸す」。
ちくわ、笹かま、伊達巻などは「焼く」。
関東でさつまあげ、関西でてんぷら、九州の一部でつけあげなどと呼ばれるものは「揚げる」。
はんぺん、なると、つみれなどは「ゆでる」。
その生地で、ごぼうやじゃがいもなどの野菜、あおのりやきくらげなどの海藻、いかやたこなどの海の幸、
その他ゆで卵やチーズをくるんだり、当時からするとずいぶんバラエティー豊かになりましたね。
『添加』されていても『無添加』と表示されるしくみ
前述の通り、元々の材料は「生魚と塩」。江戸時代の蒲鉾屋のイラストを見ますと、
大きな魚をさばく人、成形する人、蒸気の上がる鍋の前で調理する姿が描かれています。
時は流れ、1960年水産ねり製品業界で、
『即席めんに匹敵する大発明』(一般社団法人全国すり身協会HPより抜粋)と称されるものが開発されました。
それは「冷凍すり身」です。
冷凍すり身とは、
『鮮魚の頭部及び内臓を除去し、洗浄した後、
可食肉を皮及び、骨から機械的に分離して得られた魚肉を落とし、
身をさらに洗浄(水晒し)水切り、筋や黒皮、小骨等を機械的に除去精製し、
脱水したものに砂糖やリン酸塩などの冷凍変性抑制剤を混合して凍結したものです』
(引用:一般社団法人全国すり身協会HPより抜粋)
おかげで、これまで用途のなかった水産資源を利用することができ、
安定した原材料を供給できるようになりました。
しかしタンパク質を冷凍保存し、解凍加工すれば、結着力や食感は劣ります。
それを防ぐものとして、上記抜粋文中に明記されているように『リン酸塩』が添加されています。
『リン酸塩』
安定剤、粘着剤、色素定着剤、保存剤、乳化剤などの目的で食品添加物として使用されている。
しかし、カルシウムの吸収を阻害し、腎機能の低下、
骨粗しょう症などを引き起こす可能性が高くなる。
スーパーには「無添加のちくわ」がいっぱい?
ところが、スーパーなどで買うちくわのパッケージの裏柄側を見ると、原材料に『リン酸塩』の表記を見ることはありません。
むしろ『無添加』の表記が多くみられます!!!
このしくみは『リン酸塩』が「加工助剤」であるため。
加工時に、計算上中和されるもの、
成分が変化するものなど「加工助剤」と指定されれば、表示義務がありません。
また、リン酸塩のように、たくさんの働きを持つ便利な添加物は、「一括表示」の中に含めることも可能です。
たとえば、「調味料(アミノ酸)」などに一括表示可能な「グリシン」には保存を高める働きがある。
その場合は「保存料無添加」という表示になるのです。
本当に真摯につくっておられる方々から、買い求めたいものですね。
こどもたちとできる安心簡単「ちくわの作り方」
材料
作り方
(1)白身魚の身をみじん切りし、すり鉢やフードプロセッサーでミンチ状にします。
(2)調味料を加え、弾力が出るまで20~30分混ぜます。
*おもちのようにぷわぷわしてきます。
(3)手に分量外の植物油をつけ、竹に巻き付けます。
*竹はきれいに洗っておきましょう
*竹の節を切り落としておくと、あとで引き抜きやすいですよ
(4)10~20分、時折竹を回しながら、きつね色になるまで焼いたらできあがりです。
*表面にうっすら水分が出て、とってもおいしそうな香りがします
焼きすぎるとカスカスになるので注意です!
「ちくわ」が何からできてると思うかを尋ねてみますと、楽しいこたえが返ってきました。
「ちくわって、ちくわじゃないの?」「はんぺん?」「おもち?」「たまご?」
白くて弾力のありそうなもの、たくさん思いつきましたね。
七輪の上で、こんがり焼けたちくわ。竹からすっと抜くと、真ん中に穴が。
ちくわって、どんな漢字かな?竹輪!
その他、 重ね煮した野菜を混ぜ込んだ「さつま揚げ」。
ごぼ天、じゃが天、しょうが天、れんこん天、にんじん天。
ちくわの材料に、山芋と卵白を加えて、生成り色のぷわぷわ「はんぺん」もできました。
5 さいごに
富士山、漁港、温泉、気候…本当の豊かさを備えた土地にちがいない、と敬愛する都道府県のひとつ、静岡県。
念願の土地で、「しぞーかおでん」に欠かせない「黒はんぺん」を頂きました。
中部の郷土食である黒はんぺんは、
駿河湾の漁師宅で、自家用の魚をすり鉢ですって加工したのがはじまりだそう。
こちらも少なくとも300年以上の歴史があります。
上記のねりものと違い、青魚を用い、「水さらし」を行わず、
骨や皮ごと粉砕するため、独特の食感と高い栄養価があります。
日持ちしないため、90%が県内で消費されるのだそうです。
その土地でとれるものを、その地のひとたちでつくって、そこでいただく。
どうぞあたたかい土地の食べ物で、おなかぽかぽかな冬を。[参考:国立国会図書館HP・京都大学電子図書館・日本大百科全書(ニッポニカ)・大辞林・全国水産加工業協同組合連合会HP・一般社団法人全国すり身協会HP・全国かまぼこ連合会・静岡県焼津市HP・関西大学化学生命工学部食品栄養科学研究室「魚肉タンパク質がリン過剰存在下におけるカルシウムの可用性に及ぼす影響」]
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