人生最大の優先事項に健康と安全を掲げる人が多く存在するサンフランシスコが教えてくれた5つのオーガニック
オーガニックの聖地サンフランシスコへ
オーガニックの聖地とも言われるアメリカのサンフランシスコに移住して、はや半年が経ちました。
六ヶ月前を振り返ってみると、現在の私はまるで別人のようです。
荒れすさんだ心はおだやかに、青白く元気のなかった頬は、ピンク色に上気しています。
その理由は、この街が教えてくれた数々の「オーガニック」にありました。
今日はそのうちの五つをご紹介します。
1. オーガニックライフは手に入る
人生の最大のプライオリティに「健康と安全」を掲げる人が数多く存在するサンフランシスコ
「オーガニックってエリートのためのものでしょう?」。
「お金がかかって仕方ないんじゃないかしら」。
「身体にいいものを食べたいけれど、専門店もあまりないし…」。
オーガニック生活を始めるにあたり、よく聞かれるフレーズです。
実は私もそんな不安を抱えた一人でした。
有機食材やオーガニックコスメが高額なのは、日本もサンフランシスコも殆ど同じ。
しかし、サンフランシスコに暮らす人々の中には、人生の最大のプライオリティに「健康と安全」を掲げている人が数多く存在します。
たった月3万円の食費でオーガニックライフを手に入れることができた。
「私たち消費者は安全なものを手にいれる権利がある」。
その声をあげることを、決して恐れないのです。
おかげで、サンフランシスコのオーガニックスーパーの数には目を見張るものが。
心配だったコストも、消費者の声に応えるようにして、定期的なセールを開催し安く提供するところも増えてきました。
そういったセールを利用したり、良心的なお店を開拓していくことで、私達夫婦二人は、月に三万円以下の食費でオーガニックライフを手にいれることが出来ています。
一回の買い物で二、三軒の店を回ることも珍しくありませんが、オーガニックフードの持つエネルギー・栄養価を考えると、その価値は十分にあると考えています。
私たち消費者が声を上げ続けることで、オーガニックライフを手にいれることは可能なのです。
2. 健康は自分への責任である
よく「病気自慢」とも揶揄されますが、体調不良をしきりにアピールしてしまう人、いますよね。
自分ではそのつもりがなくても、対策を打たずにいつまでも同じ状態を放置している人は、周りもどうして良いものか分からないものです。
ここサンフランシスコでは、心身の不調で悩んでいる人に対し、厳しくも愛情深く助言する人が多いように感じられます。
「インスタント食品ばかり食べていないかい?」。
「その顔色をみると、最近身体を動かしてないんだろう」。
「治そうと思っていないから、治らないんだよ」。
一見冷たく感じられるこんな言葉も、「健康は自分で保つもの」といった考えの彼らにとっては、愛あるアドバイスに他なりません。
そんな彼らに影響を受け、真剣に取り組み始めた予防医学。
有機食はもちろん、オーガニックの精油を使ったアロマテラピーを日々実践したり、胃痛や消化不良が起こりそうな日はフェンネルティーを飲んで備えたり、眠れない夜はひたすら深呼吸を繰り返したり…。
そんな努力を重ねていたある日、圧倒的に不調が少なくなっていることに気がついたのです。
時折調子を崩しても、ベースが強くなっているからか回復も早く、日々その効果を実感しています。
オーガニックを選ぶことは、本来の心身の機能がきちんと働くきっかけを作ることでもあるのです。
3. オーガニックはアクセサリーではない
質のいいオーガニックコスメを紹介することで人気のYouTuber、テリ・ミヤハラは、今年自身の化粧品ブランドを立ち上げ、そのモットーに「Green is the new gorgeous(グリーンは新しい「ゴージャス」の定義)」を掲げました。
ここで言う「グリーン」とは、動物実験に反対し、消費の過程でエシカルな判断を下すこと、遺伝子組換えや農薬を拒否すること、成分をきちんと把握し、安全な製品を選ぶことを意味しています。
日本でも、「オーガニックっておしゃれ!」という声、聞かれますよね。
しかし、これはテリの言うそれとは違い、時には一時の流行を蔑むかのようなニュアンスが含まれていることもあるようです。
一方で、テリが提唱する「ゴージャスなオーガニック」とは、「おしゃれな自分」を演出する道具ではなく、
「『自分と地球に優しい選択』をオシャレとしよう」という試みなのです。
私は大の美容好きとして、今まで様々な化粧品を使ってきましたが、サンフランシスコのオーガニックコスメの浸透ぶりには毎度驚かされます。
食べ物と同じようにUSDAオーガニック認証マークがついたメイク落とし、化粧水、口紅が並ぶのは、専門店だけでなく普通のスーパーでも!サンフランシスコの暮らしにオーガニックが溶け込んでいる証拠といえるでしょう。
「オーガニックは最先端の『流行』でしかない」。
そんな考えこそが流行遅れに思えてくるのが、この街なのです。
4.スローファッションで埋め尽くされた街
オーガニックは、なにも食べ物や化粧品だけではありません。
ファッションだって、オーガニックを実現することは可能なのです。
「オーガニックなファッション」と聞いて皆さんの頭に浮かぶのは、オーガニックコットンや麻のような素材で出来た服でしょうか。
しかし、リサイクルという観点からみると、オーガニックファッションとは、もっと気軽に楽しめるものなのです。
サンフランシスコは、古着文化が盛んな街です。
「そのワンピース、かわいいね。どこで買ったの?」「あそこの古着屋さんよ」
なんて会話は、それこそ街中で繰り広げられています。
ファストファッションの真逆をいくスローファッションは、やっと見つけた一着を宝物のように大切に扱うこと、
大量生産・無知な消費にノーを叫ぶことでもあります。
今あるものを最大限活用することは、オーガニックの基本ともいえます。
写真に写っているのは、私の大好きな古着屋さん「Community Thrift(コミュニティ・スリフト)」。
私はここで先日、バナナ・リパブリックの素敵なリネンシャツと着心地の良い青いTシャツ見つけました。
前者は八ドル、後者は三ドルでした(日本円でおよそ800円と300円)。
以前は月に数万円ファッションにつぎ込んでいた私も、サンフランシスカンのファッションの考え方に感化され、考えなしに新品の安い服を買うことはしなくなりました。
それに、誰かが昔愛した洋服を引き継ぐって、なんだか特別なセレモニーみたいで、素敵な気分になるのです。
5.オーガニックとは、私が私でいること
さて、ここでひとつ「organic(オーガニック)」という言葉の意味について考えてみたいと思います。
この言葉には、「無農薬の」「有機の」という基本的な意味のほかに、
「本来の」「あるがままの」といった意味があるのをご存知でしたか?
サンフランシスコに住んでいて思うのは、ここの人達は自分が自分でいることを本当に心地よく感じていて、
なおかつそれをちっとも恐れていないのだなぁということです。
どんな奇抜な格好をしていても、人とはちょっと違う人生を歩んでいても、皆自信に満ち溢れ輝いてみえます。
もちろん悩みも抱えているのでしょうが、「自尊心を持ちながら暮らす」という点においては、達人ばかりのように思えます。
しかし、謙遜が美徳の日本人にとって、いきなり彼らのように振舞うのは至難の業。
謙虚と卑屈の境界線もまた微妙なところであり、そこに身体の不調が加われば、心はもっと怯えていってしまいます。
東洋医学では「恐れ」の感情は腎を傷つけ、精力を奪うとされています。
「これを言ったら嫌われるのではないか」。
「あの人にこれを言ったらまずいかなぁ…」。
そんな思いは、知らず知らずのうちに私たちの身体を蝕んでいるのかもしれません。
例えば、「第二の脳」とも言われる腸では、幸せを感じる物質・セロトニンのほとんどが作られているといいます。
「素顔のままの自分で幸せ」と感じるには、健康な腸環境が整っていることが必要不可欠なのです。
そこに農薬やホルモン剤、化学調味料にまみれた食べ物とも呼べないようなものを入れ続けたら、一体私たちの自尊心はどうなっていくでしょうか?
また、現在日本でも人気のオーガニックコスメブランド「RMS Beauty」のローズ・マリー・スウィフトは、メイクアップアーティストとして毎日働くうちに、免疫システムを攻撃する大量のヘビーメタル(重金属)を身体の中に取り入れてしまっていました。
これらはもちろん、彼女が使っていた化粧品の成分からきたもので、彼女の心身の回復には数年の時間を要しました。
私たちが幸せに自分らしく暮らすためには、食べものも肌にのせるものも、自ら責任を持って選ぶことが求められているのです。
ありのままで美しい。そのままが美しい。
化粧品のキャッチコピーのようですが、これは紛れもない事実だと私は信じています。
サンフランシスコの人々がすでに悟っているように、私たちは本来そのままで十分に美しい存在のはずなのです。
オーガニックで辿り着くのは、健康で、ありのまま機能する自分。
そこには薬も必要なければ、誰かのお世辞も必要ありません。
サンフランシスコが教えてくれた「オーガニック」。
それは、自然のまま育った食べ物、健康への責任感、誠実な成分でつくられた製品、
今あるものを受け入れ慈しむ心…。
そのすべてをもってして引き出す「ありのままの私」だったのです。
この記事を読んだ人におすすめの記事
水より炭酸飲料が安いアメリカで、炭酸飲料を大量に飲み続けた貧困層の身に起きたこととは?映画「あまくない砂糖の話」に見る、切っても切れない貧困と砂糖の関係。何でも「使い捨てが当たり前」の日本が学びたいイギリスのオーガニック事情。私たちが今変わるべき姿とは。
フランスのオーガニック事情。彼らはなぜ15時間も働くのか?オーガニックを単なるブームで終わらせないために私たちにできること。
参考:
1) Teri Miyahara: http://www.shopterimiyahirabeauty.com/
2) “Your Gut Bacteria Affects Your Brain Function, Study Confirms” by Dr. Mercola: http://articles.mercola.com/sites/articles/archive/2013/06/20/gut-brain-connection.aspx
3) RMS Beauty ローズ・マリー プロフィール: http://www.rmsbeauty.jp/about/profile.html
この記事が気に入ったら
いいね!しよう