水より炭酸飲料が安いアメリカで、炭酸飲料を大量に飲み続けた貧困層の身に起きたこととは?映画「あまくない砂糖の話」に見る、切っても切れない貧困と砂糖の関係。
昔々は高級品だった砂糖。
薬として珍重されていた時代が長くありました。
昔、砂糖は高級品でした。
日本での砂糖の歴史は、8世紀に唐招堤寺の開祖である鑑真和尚が中国から持ち込んだのが最初と言われています。
当時、砂糖は極めて貴重なもので薬として扱われていました。
今ではあらゆる病気の原因とされているのに、信じられないですね。
時代が進むにつれ、和菓子やカステラなどの材料として使われるようになり広まっていきました。
それでも庶民が日常的に口にするまでには長い長い時間がかかりました。
江戸時代初期にはまだ「砂糖=薬」の文化が残っており、病人や体の弱った人になめさせる薬として薬屋で売られていました。
不老不死の妙薬とすら考えられていたとのこと。驚きです。
江戸時代中期になり、ようやく庶民の手にも渡るようになりました。
幕末にはお菓子のみならず料理の味付けにも欠かせない存在となっていった砂糖。
江戸時代の料理本に「甘み」という記述があり、それには「うまみ」とふりがながふってあったそうです。
砂糖が高価で希少なものだったので、「甘いもの=おいしい」と思われていたのでしょう。
明治時代になると海外から製糖技術が伝えられ、砂糖はさらに広く普及してゆきました。
ちなみに戦争体験者に聞いた話では、第二次世界大戦後の物資不足で砂糖が手に入らない時、代わりに茶封筒に入ったサッカリンを舐めるということがあったそうです。
現代ほどではありませんが、戦前には甘いものが日常にある程度根付いており、砂糖がないと物足りないという感覚が人々の間にあったのかもしれませんね。
現代では大量生産・価格低下により、安価な食品にも砂糖がたっぷり使われている。
ところが今では、砂糖は非常に安価なものとなり、たとえば大手メーカーの上白糖は1kg200円以下で買えてしまいます。
加工食品や清涼飲料水にも大量に使用されており、砂糖そのものを買っていなくても実は大量に摂取しているということは珍しくないのです。
甘い炭酸飲料を飲んで育ったアメリカの貧困層の少年は、重度の虫歯で歯がボロボロに。
映画「あまくない砂糖の話」に見る、切っても切れない貧困と砂糖の関係。
映画「あまくない砂糖の話」について。
オーストラリアのドキュメンタリー映画史上、歴代1位の大ヒットとなった2015年公開の映画「あまくない砂糖の話」。
この映画ではデイモン・ガモー監督自らが、オーストラリア人の1日平均摂取量である「小さじ40杯(約160g!)」の砂糖を60日間摂り続けたら体にどんな変化が起きるのかという人体実験を行いました。
2004年に監督自らが1日3食1ヶ月間ファストフードを食べ続けたドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」を覚えている方も多いでしょう。
本作はそれの砂糖バージョンといったところです。
「あまくない砂糖の話」では、世間で不健康だという認識のあるファストフードと対照的に、「ヘルシーを装っている商品にも実は砂糖が含まれている」ということに焦点を当て、
・ソフトドリンクやアイスクリーム、チョコレートなどのお菓子は食べない
・低脂肪ヨーグルトやシリアル等の「実は砂糖が多い食品」を摂る
・必ず「低脂肪」の食品を選ぶ
というルールで実験を行いました。
摂取カロリーは変えずにルールに沿った食生活をしたところ、実験開始12日目には既に体重が3.2kg増という恐ろしい結果に。
ケンタッキー州で取材した貧困層の17歳の少年は、幼少期から毎日飲み続けている炭酸飲料で虫歯だらけになっていた。
実験が半ばを過ぎた頃、国民の3人に1人が肥満である世界一の砂糖大国・アメリカに拠点を移しました。
アメリカでは、貧困層は水よりも炭酸飲料を主に飲んでいます。
それはなぜか?
実は、アメリカでは炭酸飲料は水よりも安いから。
経済的に余裕がない貧困層は日常の水分補給のために炭酸飲料を買うのです。
以前IN YOUの記事でもお伝えしていますが、貧困層は教育レベルが低いことなどから食に関する知識が不足しており、何の疑いもなくジャンクフードを常食しているという側面も。
また、充分な教育を受けられないと収入の高い仕事に就くことも難しいため、その子どもも進学ができないといった風に貧困の連鎖が起こり、ジャンクフードを中心とした食生活も代々受け継がれてしまうのです。
映画の舞台となったケンタッキー州の田舎は、貧困のため赤ちゃんの頃から炭酸飲料を飲んで育つ子どもが多い地域。
ガモー監督は移動式の歯科医院で子どもたちの虫歯治療を行っているエドウィン・スミス氏を取材しました。
その取材の中で出会った17歳の少年・ラリー。
彼は2〜3歳頃から炭酸飲料を飲み始め、当時でも一日にペットボトル4〜5本(缶の場合12本)は飲んでいたとのこと。
結果、彼の歯は虫歯だらけでボロボロになり、その見た目のせいで周りから見下されてしまっていると悲しそうに語ります。
こちらの動画の0:25にその衝撃の虫歯映像があります。
本当に悲惨な状態なので、心して見てください・・・。
彼の歯はもう手の施しようがなく、この日スミス医師はラリーの26本ある歯をすべて抜き、総入れ歯にする治療に取りかかりました。
治療を始める前にラリーの母にもインタビューしましたが、「息子に痛い思いをさせたくない」と言っていました。
彼女は治療中ラリーに付き添っていましたが、辛そうに顔をそむけていました。
スミス医師は抜歯の際もちろん麻酔を打ったのですが、ラリーの歯肉には麻酔が聞かず、本人が死ぬほど痛いと訴えたため治療は中断、残りの治療は延期になりました。
あまりの痛みに、ラリーもラリーの母も治療後に泣いていました。
麻酔が効かなかった理由は、
・緊張でアドレナリンが出ているため
・感染症のため
・虫歯で痛みを経験しており痛みに対する恐怖が強いため
ではないかとスミス氏は述べています。
しかしラリーのようなケースは、ケンタッキー州では珍しくない。
17歳の少年が重度の虫歯で総入れ歯になるなんて、私たちにとっては想像を絶する光景。しかし、このようなケースはケンタッキー州では珍しくないとスミス氏は言います。
ラリーのいとこである3歳の男の子も、既に1日6〜7缶炭酸飲料を飲む生活をしているとのこと。
母親が哺乳瓶に炭酸飲料を入れて飲ませているというから衝撃です・・・。
身近にラリーのケースがありながら同じような食生活を送っている彼の歯は、将来どうなってしまうのでしょうか。
こんな目に遭ってもなお、炭酸飲料を飲み続けると言うラリー。
驚くべきことに、こんなにひどい虫歯になり、人からも見下され、治療で死ぬほど痛い思いをしたラリーは「今後も◯◯(愛飲している炭酸飲料)を飲み続ける」と言うのです。もはや体が依存状態になってしまい、やめられないところまで来てしまったのでしょう。
彼の愛飲する炭酸飲料を製造しているメーカーは、「◯◯は適量ならヘルシーな飲み物だ」とコメントしていますが、この飲料の350ml缶には46gもの砂糖が含まれているため、1本飲んだだけでもWHOの1日あたりの推奨摂取量を超えてしまいます。
※2015年のWHO新指針により、砂糖の摂取量は1日25g以下に抑えることが望ましいとされています。
しかもこの推奨摂取量は成人と子どもで同じ基準なのです。
本来であれば、子どもはさらに摂取量を減らすことが望ましいでしょう。
これだけ大量の砂糖と、さらにカフェインも含まれているとなると、かなり依存性が強いことは明白です
。
適量にとどめることは難しいでしょう。
貧困層を始めとし、世界では多くの人が砂糖の過剰摂取をしている。
炭酸飲料などからの砂糖の過剰摂取による健康問題を受け、アメリカが乗り出した対策とは。
2014年、ビル・クリントン元大統領が毎年恒例で主催するClinton Global Initiativeという会の議場で、米大手3大飲料メーカーが2025年までに消費者の砂糖を含む飲料からの摂取カロリーを20%減らす
ということに合意したのです。
クリントン氏は「貧困層では子どもの1日の摂取カロリーの半分またはそれ以上が炭酸飲料によるものだ」ということにも言及し、そういった状況を危惧していました。
この合意を達成するため3社はローカロリー飲料やカロリーゼロ飲料、小さいサイズの飲料のさらなる展開をするほか、消費者に飲料からのカロリーを抑えるよう呼びかけを行う予定。
また、2015年にはカリフォルニア州バークレー市で、糖分が含まれる飲料に課税する「ソーダ税」が導入されました。
2016年6月にはペンシルベニア州フィラデルフィア市でもソーダ税の導入が可決され、2017年から実施予定。
フィラデルフィア市は人口150万人を超える全米で5番目に大きな都市ということで、今後の他都市の炭酸飲料規制への影響が期待されます。
ニュージーランドでもアメリカ同様、貧困層ほどジャンクフードを食べる傾向がある。
私の住むニュージーランドでは一部の民族に貧困層が多いのですが、ファーストフード店でたむろしている人たちを見るとその民族の人が圧倒的に多いです。水分補給のために甘くてカラフルな清涼飲料水を飲む姿も・・・。
彼らも各国の貧困層同様に平均的な教育レベルが低く、貧困の連鎖が見られます。
そしてジャンクフードを中心とした食生活をしているため肥満率も高く、平均寿命も同じ国に住む他民族の平均より10歳ほど短いのも事実です。
日本も人ごとではない。
所得により、摂取する食品群が違うというデータも。
厚生労働省による2014年の国民健康・栄養調査によると、世帯の所得が低いほど米やパンなど穀類の摂取量が増え、野菜や肉は減少するという傾向が見られています。自炊するとなると、材料費のほか調理のためのガス・電気代もかかります。
特に一人暮らしの若い人は、作るよりも出来合いのものの方が安上がりなのでコンビニ食品や惣菜コーナー、ファストフードで済ませがちな人も多いでしょう。
そうなると、おにぎりやサンドイッチ、菓子パンやハンバーガーなどが中心となってしまうため、このような統計結果が出たものと思われます。
食べ物は体を作るもの。
家計が苦しくても、できるだけ食品に投資し丈夫な体を維持したいところですね。
砂糖に関しては、貧困かそうであるかに関わらず過剰摂取の人が珍しくない。
日本ではノンシュガーや白砂糖不使用の食品が欧米よりも普及していないため、貧困層でなくても日常的に砂糖がたくさん含まれた食品を手に取っていることが多いのです。※砂糖に加え、日本は食品添加物認可数世界第1位であり、スーパーに並ぶ加工食品はほとんどが添加物まみれ。
一見ヘルシーそうなパッケージのものも、食品表示を見ると化学物質の名前がびっしり。
普段の食卓に並んでいるものが実はジャンクフードである可能性が高いのです。
朝、菓子パンやスコーン、マフィンを食べるのが日課になっていませんか?
運動時の水分補給に市販のスポーツドリンクを飲んでいませんか?
外回りの途中、毎日のようにフラペチーノや缶ジュースを飲んでいませんか?
自分は甘いお菓子は食べないし、お茶が好きで手作りの和食を食べているから大丈夫、という人も要注意。
和食は一見ヘルシーそうに見え、2013年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されましたが、材料に砂糖を使う料理もたくさんあります。
調理には醤油や塩、味噌なども加えるため、塩気で砂糖の甘さが中和され、実際に入っている砂糖の量よりも甘みを感じないため、砂糖を摂っていることを忘れがちなものです。
毎日の砂糖の量を管理するには、加工食品や清涼飲料水は避けること。
できる限り砂糖が含まれた調味料は使わず、一から調理すること。
砂糖を入れる時は、白砂糖は避け精製度の低い黒砂糖やきび砂糖を使うこと。
また、目で見てどのくらい入れたか確認すること。
将来の自分の体、また、この先生まれてくる子孫の体をつくるのはあなた自身です。
楽しく長生きするためにも、まずは毎日の砂糖の量を見直してみませんか?
代替甘味料についてもっと知りたい方はこちらの記事も。
がん細胞の大好物ブドウ糖。そもそも「白砂糖」がなぜ体に悪いのかお伝えします。白砂糖の代わりになる9種類の体に優しい甘味料を徹底解説! 今さら聞けない「糖分とブドウ糖の違い」って何?
<追伸>ジャンクフードやスイーツが大好きでどうしてもやめられないみなさんへ。
ジャンクフードやスイーツを食べ過ぎて体を壊したり病気で死んでしまったら、もう二度と食べられなくなってしまいますよ。
大好きなもので健康を損なうほど悲しいことはありません。
80歳、90歳になっても大好きな食べ物を楽しむためにも、普段は健康的な食生活をして、たまにジャンクフードやスイーツを食べるというのはいかがでしょうか?
白砂糖の代わりになるオススメのヘルシー甘味料
マヌカハニーは自然の恵みそのもの。人間の思い通りにならないからこそ貴重です。
最近では日本でも取り上げられるようになり、人気が出てきています。
マスコミで取り上げられる頻度も上がっていますが、知名度が上がってくると品質もピンからキリまでさまざまになってくるものです。
こちらでご紹介するマヌカハニーはニュージーランド政府の認定を受けた抗菌表示であるMGを採用。
以前INYOUマーケットでご紹介したMG100+、MG300+に続き、今回ご紹介するのは、より抗菌性の高いMG500+のマヌカハニーです。
「マヌカ」はフトモモ科に属するニュージーランド原産の樹木。
先住民であるマオリ族の間では「聖なる癒しの木」とされており、「マヌカ」というのもマオリ族の言葉です。
マヌカハニーは、日本でここ数年、知名度が上がってきていますがニュージーランドでは昔から大切に扱われてきた食品です。
ブームになるずっと前からマヌカハニーを扱っていることに、大きな信頼を感じます。
養蜂家から直接仕入れるからこそ高品質なのです。
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