座りすぎで死亡リスクが高まる?! 1日に12時間以上座っている人は要注意。良いことなしの座りすぎの代償とは? 理学療法士が提案する今日から実践できる座りすぎ解消策。
1日に何時間座っていますか?
自分やご家族が1日に何時間座っているか計算したことはありますか?
生活スタイルや職業、趣味、ライフステージによっても違ってくるかと思いますが、
「座りぐせ」がついていませんか?
「立っているとすぐ疲れてしまう」「すぐに座りたくなる」「電車で座っていないと辛い」
こんな感覚が思い当たる人は、座り癖がついてしまい、座りすぎになっている可能性があります。
自分や家族の生活を振り返り、何時間くらい座っている時間があるのか計算してみましょう。
座りすぎて死亡リスクが高まるって本当?
国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センターの予防研究グループが、定職を持つ75歳未満の36,516人に対して『職業性座位時間と死亡との関連』の研究を行いました。
報告によると、短時間座位群(1時間未満)に比べ、長時間座位(3時間以上)において、
男性では1.23倍死亡率が高くなり、女性では1.34倍高くなる傾向にあることがわかりました。
参考:『Occupational sitting time and risk of all-cause mortality among Japanese workers』Kikuchi H,et al. http://www.sjweh.fi/show_abstract.php?abstract_id=3526
また、米コロンビア大学医学部のチームは、
1日に計12.5時間以上座って過ごし、
1度に30分以上座り続けていた人の死亡率が最も高かったと発表しています。
引用:「CNN.co.jp」https://www.cnn.co.jp/fringe/35107140.html
座っているときに身体にかかっている負担とは
座っているときに最も負担がかかっているのは、腰椎(椎間板)です。
座り方によって負担は多少変わるものの、座っているときに腰にかかる圧力は、
立っているときの1.4倍、寝ている時の5.6倍にもなります。
また、座って前傾姿勢(前かがみ、腰が丸まっている状態)では、
立っているときの1.85倍、寝ている時の7.4倍もの圧力が腰にかかっています。
日常生活の中では、ただ真っ直ぐ座っているという場面は少なく、
前かがみ、腰が丸まっている場面の方が多いことが伺えます。
真っ直ぐ座っている時と比べ、前かがみ座りでは1.3倍の圧力がかってしまうため、
座っている姿勢にも気をつけることは腰への負担軽減に繋がります。
また重心が左右に偏っていたり、いつも同じ脚を組む癖がある場合は、
腰に偏った圧がかかかり、骨盤や股関節、肩回りの左右差を生み出す要因にもなりかねません。
2大観察ポイントで自分の座り姿勢を観察してみよう
観察ポイント(1)骨盤の向き
座っている時の土台となるのが骨盤です。そのため骨盤を良い位置で保つことができると、
骨盤の上に連なる脊柱(腰椎~頸椎)、頭、肩などの位置も良い位置に保ちやすくなります。
腰が丸まってしまっている場合は、骨盤が寝ている(後傾)状態です。
反対に腰が反りすぎている人(いわゆる「反り腰」)は、骨盤が前に倒れすぎている(前傾)状態です。
観察ポイント(2)頭の位置
人間の頭の重さは4~6kg程度あり、その重さが細い首の上に常に乗っかている状態です。お米5kg分や、ボーリング玉、ペットボトルを思い描いて頂くと、重さがイメージできると思います。
最小限の負担で重い頭を支えるためには、
骨盤(土台)の直上に頭を置いておくことが重要なポイントとなります。
頭が骨盤の直上に収まっていますか?骨盤より前方または後方になっていませんか?
正しい座り方とは
ここでは前述した2つのポイントで正しい座り方をお伝えします。ポイント(1)骨盤の位置
骨盤が真っ直ぐ立っている状態が負担の少ない状態です。前に倒している姿勢(反り腰)は一見いい姿勢に見えますが、実は過度の負担がかかっています。
骨盤が寝ている状態は言うまでもありません。
では骨盤が真っ直ぐ立っている状態を確認してみましょう。
座っている状態で左右のお尻の下に手を入れてみてください(手の平の上に座るような感じ)。
そうすると、左右のお尻に硬い骨が当たります。これが骨盤の底になる「坐骨」という骨です。
この2つの坐骨がしっかりと座面に当たっている位置が、骨盤が真っ直ぐ立っている状態です。
坐骨が座面に当たっていることを、しっかり感じましょう。
ポイント(2)頭の位置
横から見たときに、骨盤の真上に頭が乗っているのが頭が良い位置にあると言えます。筆者が日常でみかける多くの人は、頭が前または後ろにあり、
良い位置に保てている人は非常に少ない印象です。骨盤直上に頭を乗せる感覚が難しいという場合は、
鏡やスマートフォンのカメラ機能を活用して1度確認してみることをお勧めします。
正しい座り方なら長時間座っていてもいいか?
ここまで正しい座り方についてお伝えしましたが、正しい座り方なら長時間座っていてもいいか?という質問を受けることがよくあります。答えは「NO」です。
座っているという同じ状況下であれば、正しい座り方をすることで、3割程度負担軽減になりますが、
その正しい座り方においても、立っている姿勢と比べれば、
1.4倍の負担がかかっていることを忘れないで下さい。
座りすぎ解消策
(1)こまめに立つ癖をつける
とにかく、こまめに立つ癖をつけましょう!座っていなければいけない状況(ミーティングや食事会、車、飛行機、新幹線など)を除いて、
立ち癖をつけましょう。
そのためにまずは、
生活の中で「座らなくてもいいのに座って行っている作業」を探してみることをお勧めします。
例えば、長電話、洗濯物たたみ、アイロンがけ、テレビを見る、お化粧をする、
電車やバス、編み物・裁縫、メールの返信、ネットサーフィンといった場面はどうでしょうか?
しかし、デスクワークや座って作業する必要がある人も多いと思います。
そんな人も、用事がなくても細目に立ち上がる癖をつけてみましょう。
ついでに伸びやストレッチが出来れば最高です。
座りすぎ解消策(2)立ち作業の環境を作る
環境を変えると、自然と立つ場面が増える場合もあります。健康意識の高い企業では、スタンディングデスク(デスクが昇降し立って作業ができる)の導入、
座席を用意しないミーティングの設定、カウンターを設置し立ったままのコーヒーブレイクや、
雑談の場を作ったりという取り組みが増えています。
ガラッと環境を変えるのが難しい場合も多いと思いますが、
自宅・職場に限らず、机の上に箱などを置いて立ったまま作業が出来るような環境は、
直ぐに実践できる方法ですのでお勧めです。
座りすぎ解消策(3)スクワット・空気椅子にチャレンジ
座りすぎ解消かつ、軽い筋トレにもなるのが、座りながら行うスクワットと空気椅子です。簡単に、誰でも実践できる方法ですので、是非1度試してみてください。
良い姿勢で座り、腰幅に足を開き、足を手前に引きます。
背筋を伸ばしたまま、上体を前に少し倒し、お尻を少しだけ持ち上げます。
お尻を持ち上げる量は、お尻が座面から僅かに離れる程度が理想的です。これを繰り返しましょう。
また筋力に自信がある人は、空気椅子に挑戦してみることもお勧めです。
座りすぎ解消策(4)なんちゃて四股ポーズ
座ったまま、左右の脚を最大限に開き、お相撲でみる「四股(しこ)」の形を作ります。そのまま、左右の手を太もも(膝に近い方)に置き、座面からお尻を浮かせます。
このとき膝が内側に張らないように注意し、全力でがに股を保ちましょう。
座りすぎ解消策(5)立てない時にできること
立ち作業ができず、座っている時間にできることを最後にご紹介します。1)正しい姿勢をしながら、重力に抗う
前述した正しい姿勢をとった上で、天井から吊られているようなイメージでスーッと上に数cm伸びた状態を保ちましょう。
2)ストレッチ
座りながら伸びをしたり、体側を伸ばすようなストレッチをして背骨への負担を軽減させましょう。3)腹式呼吸・ドローイン
前述した正しい姿勢を保ちながら、腹式呼吸をします。1回でもいいですが、10回程度反復できるとなお良いです。
腹式呼吸で吐くときに、しっかりお腹を凹ませることを意識(ドローイン)できると、
インナーマッスルの活動が活発になり、腰にかかる負担軽減にも役立つのでお勧めです。
4.まとめ
思い当たる部分があった人は、今日から「脱!座りすぎ」を目指しましょう。何事も習慣にするまでが大変ですが、将来の自分のために実践してみてください。
同時に家族や友人にも共有し「脱!座りすぎ」に取り組む仲間を増やし、
健康で生き抜く身体を作っていきましょう。
知らない間に溜まってしまった体のストレスケアに
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