「えっ、それ遺伝子組み換えだったの!?」買い物をする時に気を付けたい食品表示のカラクリとワナ。
この記事は2106年9月時点での情報です。
https://mainichi.jp/articles/20180201/k00/00m/040/043000c
上記ニュースでも報じられている通り、「遺伝子組み換えでない」記載基準は今後変更されるとのことです。
その食品、大丈夫?
精製された砂糖、食品添加物、遺伝子組み換え原材料・・・
現代の食品には、体に入れたくないものがたくさん使われています。
理想としては、原材料からすべて手づくりすれば何が入っているかわかるので安心です。
ただ、多くの人は仕事や育児で忙しく、加工食品も日々の食事に取り入れているでしょう。
時間がある人でも、醤油やみりん、酢などの調味料は自分で作るのは難しいので既製品を利用していると思います。
かく言う私も、時短のための加工食品はある程度利用しますし、自分で作れないものは既製品を購入します。
そのため、加工食品=悪いものという認識は持っていません。
重要なのはその加工食品がどんな原材料から作られているかということ。
便利なのは素晴らしいですが、中には廃棄になるくず肉と食品添加物で作られた食品とは到底呼べないようなものや、遺伝子組み換え原材料から作られたものも。
最も注意が必要な食品は加工食品。
一番注意したいものは加工食品。また、魚介類や畜産物などでも産地表示のカラクリにより実際育った地域が表示されないということもあり、購入の際には食品表示を正しく読むことが大切です。
今回は、食品表示診断士(中級)である私の目線から、買い物をする時に気を付けたい食品表示のポイントをお伝えしようと思います。
買い物をする時に気を付けたい食品表示のポイント。
加工食品
表示されない食品添加物「キャリーオーバー」
食品の原材料の製造又は加工の過程で使用され、その食品の製造過程では使用されません。
最終食品に効果を発揮することができる量より明らかに少ない場合は、表示が免除されます。
ただし、食品添加物を含む原材料が原形をとどめている場合や、着色料・甘味料など添加物の効果が視覚・味覚といった五感で感知できる場合はキャリーオーバーとはならず、表示義務があります。
例)安息香酸(保存料)を含むしょうゆでせんべいの味付けをした場合
→安息香酸は含有量が少なく、せんべいには保存料としての効果を持たないためキャリーオーバーとなり、表示義務なし。
例)発色剤を使用したハムをポテトサラダに入れた場合
→ハムは原形をとどめているためキャリーオーバーとはならず、表示義務あり。
例)着色料を使ったメロンソースをメロンアイスに使用した場合
→最終製品であるメロンアイスにも色としての効果があるためキャリーオーバーとはならず、表示義務あり。
(東京都福祉保険局ウェブサイトより抜粋)遺伝子組み換え原材料を使用していても表示されない場合がある。
遺伝子組み換えである旨を表示しなければならないのは「大豆、とうもろこし、ばれいしょ、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜及びパパイヤの8種類の農産物と、これを原材料とし、加工工程後も組み換えられたDNA又はこれによって生じたたん白質が検出できる加工食品33食品群及び高オレイン酸遺伝子組換え大豆及びこれを原材料として使用した加工食品(大豆油等)等」とされています。(消費者庁ウェブサイトより抜粋)
油・醤油・大豆製品・トウモロコシ由来製品に潜む「遺伝子組み換え」
気を付けたいポイントは以下の通りです。
・油やしょうゆなどは遺伝子組み換え原材料を使用していても表示義務なし
→安価な商品は遺伝子組み換え原材料を使用している可能性が高いです。
・大豆およびとうもろこしについては、遺伝子組み換え原材料が混入していても5%以下であれば表示義務はない
→豆腐や納豆、油揚げ、コーンスナックは要注意です。
・遺伝子組み換え作物が主な原材料(原材料の上位3位以内、かつ、全重量の5%以上を占めるもの)でない場合は表示義務はない
→食品添加物は遺伝子組み換え原材料から作られていてもまず表示されません。
農産物
しいたけの放射性物質による汚染に要注意!
放射能汚染されやすいことから「小さな原子炉」とも呼ばれるきのこ類。
その中でもしいたけは特に汚染されやすい作物です。
しいたけには「原木栽培」と「菌床栽培」があり、どちらの栽培方法かは表示を見ればわかります。
厚生労働省が発表した放射能検査結果によると、原木栽培の方が菌床栽培と比べて検出率、平均濃度(ベクレル)ともに上回っていました。
また、しいたけに使われる原木の産地はしいたけの産地と異なる場合があり、放射能汚染が少ない地域で生産されたしいたけでも、原木が汚染された地域のものであればしいたけに汚染が移行している可能性があります。
菌床の材料はおがくずや米ぬかが主なものなので、地元(しいたけの産地)のものを使用していることも多いでしょう。
ただ、米ぬかはコメの中でも放射性物質が濃縮している部位なので、放射能汚染が深刻な地域のしいたけは菌床栽培のものも安全とは言い切れません。
しいたけには露地栽培のものと施設栽培のものがありますが、露地栽培の場合、栽培中に空気中に降り注いだ放射性物質も吸着してしまう可能性があるので、特に注意しましょう。
まとめると、
・原木しいたけは菌床しいたけよりも汚染されやすいので特に注意。
・しいたけの産地=原木の産地ではないため、汚染の少ない地域のしいたけでも汚染されている可能性がある。
・露地栽培のものは施設栽培のものよりも汚染されやすい。
⇒産地や栽培方法にかかわらず、放射能検査済のしいたけを選びましょう。
海外産の野菜や果物、穀物は燻蒸処理されている可能性が高い。
海外から農産物が輸入される際、植物検疫で病害虫が発見された場合「燻蒸(くんじょう)」というポストハーベスト処理をしないと輸入できないことになっています。
いわゆるバルサン室と呼ばれるもので、農薬をガス状にして作物に噴霧する処理のことです。
実際には多くの作物が燻蒸処理をされたのち流通していると言われています。
できれば燻蒸処理されたものは避けたいところですが、食品表示から燻蒸されたかどうかを知ることはできません。
産地表示を確認し、なるべく国産のものを選ぶようにしましょう。(国産の農産物はポストハーベスト処理が禁止されています)
魚介類
「表示に書かれている産地=獲れた場所」とは限らない!!
この項目に関しては以前執筆した記事の中でも触れていますが、意外と知られていない重要ポイントなので再度ご紹介したいと思います。
参照:天然?養殖?汚染された魚介類から身を守る方法。魚介類を買う時にチェックすべきポイントとは?
魚介類の産地は「◯◯県産」にとどまらず「◯◯島産」「◯◯湾産」などと地域名が細かく表示されていることが多く安心、と思いがちなのですが実は・・・
「表示に書かれている産地=獲れた場所」とは限らないのです!
生鮮魚介類の食品表示のガイドラインでは、
国産:漁獲した水域名または養殖場がある都道府県名
輸入物:原産国名(水域名の併記可)
となっているのですが、
「水域名による表示が困難な場合は、水揚げ港名または水揚げ港のある都道府県名を表示するだけでもOK」とされているのです!
例)兵庫県沖で漁獲、茨城県の港で水揚げされた場合
→兵庫県産と表示することも、茨城県産と表示することも可能
例)台湾で漁獲、長崎県の港で水揚げされた場合
→台湾産と表示
また、漁獲した船舶の国籍を産地として表示する場合もあります。
(公海または日本・海外の排他的経済水域で漁獲された場合)
※排他的経済水域、公海とは簡単に言うと大陸から離れた水域のこと。
こちらの図をご参照ください。
例)インドネシア船籍の船舶が排他的経済水域で漁獲、千葉県の港で水揚げされた場合
→インドネシア産と表示
→兵庫県産と表示することも、茨城県産と表示することも可能
例)台湾で漁獲、長崎県の港で水揚げされた場合
→台湾産と表示
また、漁獲した船舶の国籍を産地として表示する場合もあります。
(公海または日本・海外の排他的経済水域で漁獲された場合)
※排他的経済水域、公海とは簡単に言うと大陸から離れた水域のこと。
こちらの図をご参照ください。
例)インドネシア船籍の船舶が排他的経済水域で漁獲、千葉県の港で水揚げされた場合
→インドネシア産と表示
これら食品表示の規定により、産地表示を見るだけではどの海域で育ったか、どの海域を通ってどこで水揚げされたかをすべて知ることは困難なのです。
みなさんの中には、放射能汚染に注意している方も多いことでしょう。
海産物を買う時はできる限り、消費者に届くまでどこで育ち、どこを通ってきたかをトレースできるものを探すことが望ましいと言えます。
畜産物
海外で長期間育った肉でも「国産」と表示される場合がある。
肉の原産地は「育った期間が一番長い国」を表示することになっています。
そのため、実際は海外での生育期間が長くても「国産」と表示されてしまう場合があります。
例)アメリカで10ヶ月、ブラジルで8ヶ月、日本で12ヶ月育った場合
→「国産」と表示
ちなみに、ただ「国産」と表示するだけでもOKですが、都道府県名や市町村名のみ記載したり、「国産」表示に併記することも可能です。
*牛肉は牛トレーサビリティー法による個体識別番号から生育歴を知ることができる
牛肉に関しては、牛トレーサビリティー法により個体識別番号が表示されています。
「容器」「包装」「店舗の見やすい場所」に記載されている10ケタの番号がそれにあたります。(通常は食品表示ラベルに記載)
(独)家畜改良センターのウェブサイトで個体識別番号を入力することで、「その牛がいつからいつまでどこで育ったか」を知ることができます。
ただし、例外として牛タン、ひき肉、くず肉などは個体識別番号の表示義務はありません。
おまけ・海外の食品表示で気を付けたいポイント。
輸入食品を買う際、英語の食品表示に注意。
iHerbなど海外のウェブサイトや輸入食品店で買い物をする際、英語の食品表示に触れる機会もあると思います。一般的に海外の食品表示は「GMO Free(遺伝子組み換えでない)」「Dairy Free(乳製品不使用)」といった細かい表示が日本よりも充実しています。
トランス脂肪酸の含有量も記載されているので安全な食品を選びたい消費者にはありがたいですね。
ただし、砂糖の表示で注意しておきたいポイントがあるのでご紹介します。
遺伝子組み換えのてんさい糖に注意!
アメリカの甜菜糖の95パーセントは遺伝子組み換え・・・
「Sugar」と表示されているものは、さとうきびから作られた「Cane sugar」の場合とてんさいから作られた「Beet sugar」の場合があります。
「Cane sugar」という表示もありますが「Beet sugar」という表示は基本的にされていません。
ここで気をつけてほしいのが、「Sugar」の中でも「Beet sugar(てんさい糖)」です。
「さとうきびのお砂糖よりてんさい糖の方が体を冷やさないしミネラルも含まれているからヘルシーなんじゃない!?」と思いがちなのですが実は・・・
てんさいは遺伝子組み換え作物の栽培が許可されているので、海外産でオーガニックでないてんさい糖は遺伝子組み換えである可能性が非常に高いのです。
アメリカでは砂糖全体のうち55%がてんさい糖であり、そのうち95%が遺伝子組み換え作物から作られています。
そのため、「Sugar」という表示がされているものの約半数は遺伝子組み換えであると考えた方が良いでしょう。
尚、オーガニックのてんさい糖なら遺伝子組み換えではないので、「Sugar」と記載されているものはオーガニックの認定マークが付いているかどうか確認しましょう。
英語表記で「Brown sugar=黒糖」とは限らない!
ブラウンシュガーには白砂糖同然のものも・・・
「Brown sugar」なら黒糖だから安心なのでは?
と思いますよね。
実は、英語でいう「Brown sugar」には、ミネラルがほとんど含まれていない白砂糖同然のものもあるのです!
「Brown sugar」の定義はその名の通り「茶色い砂糖」のこと。
種類は多岐に渡り、中には白砂糖を廃糖蜜でコーティングして色をつけたものや、白砂糖にカラメル色素や転化糖を加えたものも。
海外のウェブサイトを見ると、家で作るBrown sugarとして白砂糖に市販の糖蜜(モラセス)を混ぜるレシピが載っていたりします・・・。
日本人は精製度が低くミネラルが多いという理由で黒糖を選びますが、海外ではただ風味が良いから、という理由でBrown sugarが用いられているのです。
食品表示を理解するのに最適な食品表示検定の公式テキストはおすすめの一冊。
日々のお買い物の参考にとても役立ちます!
食卓の安全を守るために知識をつけたい、でもどこから手をつけたら良いのかわからない!という方におすすめなのが、食品表示検定協会が発行する食品表示検定の公式テキスト。
食品表示の見方がまとまっており、非常にわかりやすいです。
(初級テキストよりも中級テキストの方が見やすく、中級でも内容は難しくないので初心者にもぴったりです。)
食品関係の仕事をしている人は、スキルアップの一環として食品表示検定を受けてみよう。
食品関係の仕事をしている人は是非検定を受けてみることをおすすめします。私も以前食品衛生関連の仕事をしていた時に食品表示検定を受験し、食品表示診断士(中級)の資格を取得しました。
食品表示検定には初級・中級・上級があり、初級・中級は公式テキストから出題されます。
初級を受けずに最初から中級を受けることも可能で、内容もそれほど難しくないので中級から始める人も多いです。
ちなみに、上級は中級に合格しないと受験できず、公式テキストがないので出題範囲は「食品表示全般に関する法令・ガイドライン・Q&Aなど」となっています。
私は勇気がなくて上級は受けていません(笑)。
検定を受ける時間の余裕がない人は、ご紹介したテキストを読むだけでも食品表示への理解は深まります。
農林水産省や消費者庁のウェブサイトでもガイドラインやQ&Aを見ることはできますが、食品表示検定のテキストはそれらの情報がまとまっているため必要とする情報がすぐに見つかります。
自分や家族の命と健康を守るために知識をつけよう。
現代は情報過多で正しい情報を選ぶ必要があるが、情報のなかった時代よりは遥かに恵まれている。
「死因は無知」という言葉がありますが、現代においてはあながち冗談ではありません。情報不足が健康、ひいては命をも左右する時代。
逆に言えば、情報をきちんと集めれば安全な食品選びは簡単にできるのです。
現代はインターネットを始め、最近ではナチュラルなライフスタイルを提案する雑誌なども充実してきています。
近所に良い食材を売っている店がなくても、通販で世界中からお取り寄せができます。
安全な食品が手に入る世の中を守るため、声をあげよう。
誠実な商品を選ぼう。
故・紀平悌子元参議院議員をご存じですか?
彼女はいわば「主婦の代表」として政治家になった人の一人。
1974年、自身初の参議院議員選挙に出馬した際、街頭演説で「インフレの陰に隠れてもっともっと大切な問題が見逃されている。それは環境汚染だ」と訴えました。
「排気ガスと工場の煙で、大気が汚染されています。(中略)食品添加物については、慢性毒性の研究が不完全なままで、市販され、カマボコや魚肉ソーセージの中に入っているのです」
(複合汚染/有吉佐和子・著より抜粋)
しかし、道行く人たちは足を止めるものの、演説の内容ー環境汚染についてショックを受けた様子はなく、しばらくすると去ってゆく・・・。
当時は食品添加物や工場排水などの化学物質汚染に関心を持つ人があまりにも少なく、そういったことを口にする人は今以上に変人扱いされていたのです。
しかしそんな風潮に抗い、危険なものは危険であると訴えてきてくれた人たちが彼女の他にもたくさんいます。
彼らのおかげで有機農業が広まり、無添加の食品が買えるようになり、私たちは日々の生活において選択ができるようになりました。
今後、私たちができること、しなければならないこと。
それは、偏見に屈せず良いものを守り続けてくれた人たちの信念を次世代に伝えること。
買い物も選挙と同じです。
私たちの体や地球環境を守るため、信頼できる企業の良質な商品を選んでいきましょう!
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