そのお弁当用ピックや爪楊枝には薬剤や発がん性物質が含まれているかも?食物に直接刺すからこそ注意したい。安心な楊枝の選び方と自家製「おかず用ピック」の作り方
皆さんはお弁当やホームパーティーでどんな「おかず用ピック」や「つまようじ」を使っていますか?
百円ショップなどの安価なものを買っている・・・という方も多いのではないでしょうか。
1 食の影の立役者「つまようじ」
つまようじと言えば、台所の引き出しに入っている定番グッズですね。
お弁当を買えば、割りばしの袋に必ず入っています。
本来は、食後の歯の間を掃除する目的で生まれた道具ですが、毎日のお弁当や大人数の食卓でも活躍です。
渋い場面ならさざえのつぼやき、関西ならたこ焼きにマストです。
しのだ巻き、いかめし、きんちゃく、ロールキャベツなどを作る時には、具が出ないよう押さえつつ、いっしょに調理できます。
小さいけれど、調理段階から、食事中、食後まで、フル活躍のアイテムです。
2 破格の安さの背景
海外で安価な人件費によって作られる低価格なつまようじ
つまようじは、基本的に使い捨てが前提の「食品消耗資材」です。
100円(税別)均一のお店では、500本~800本入っており、さらに500本入りの3つセットの商品は、つまようじ一本当たり0.072円という安さです。
この破格の値段を、材料、加工、流通などすべての費用を含めて可能にしているのは何でしょうか。
それは、海外の労働力です。
元々、楊枝は、森林資源豊かな南大阪の地場産業でした。国産材を地元で製造し、国内のシェアの95%を占めていました。しかし、材料の減少と、機械化技術の流出によって、材料調達も労働力も、安価な海外へ流れていってしまったのです。現在も、流通しているのは、一部の作家ものをのぞいて、ほぼすべて海外原料のものだそうです。
安価なものは、消費者にとってはありがたいことです。しかし、安さを優先する輸入により、新たな課題が発生するのです。
3 安さ最優先の輸入で起こりやすいこと
薬剤や漂白剤などを使用されているものが多数。
それは、「検疫」を通るために、「薬剤」が使用されることがある点です。
輸出入の際は、感染症や病害虫などの持ち出しや持ち込みを防ぐため、「検疫」が行われています。それぞれの国が、国内の環境を守るために必要な検査です。
その中で、木材は、切り花、種子、野菜、穀類、豆類、香辛料、漢方薬原料とともに、農林水産省消費安全局の植物防疫所の担当。
木材でも、高度に加工されたものは検疫の対象外となるそう。
ちなみに、植物防疫所は、横浜、名古屋、神戸、福岡、沖縄の5か所にあり、全国の主要港湾・空港に出張所・分室があります。 (農林水産省消費安全局HP)
また、以前わりばしに残留する薬剤が話題になったように、長い流通の機関の間も、カビず、腐らず、真っ白であるために使用される防腐剤や漂白剤の問題もあります。自社工場や契約工場のように安全面や流通まで管理できていなければ、現地の加工工場で使用する薬剤まで管理することが難しいと言われています。
発がん性の物質が検出された串を食品に使うとどうなるの?
ちなみに、
発がんのおそれがある「2-クロロエタノール」が検出された串を、食材に刺した場合、3~24%が食品に移行
したというデータが出ています。(東京都健康安全研究センター研究年報第62号)4 安心して楊枝を使うためにできることは?
安心安全な楊枝を取り戻そうと、原料ルートを再構築し、国内生産を再スタートさせた会社のものを選ぶ。
あるいは、工場の安全管理のはっきりしている会社のものを選ぶ。
調理には、パスタなどの乾麺を代わりにさし、そのままいっしょに食べる。
または、こどもたちといっしょに、「あそびまなび」を兼ねてつくってみるのはいかがでしょうか?
(作り方は後ほど紹介します)
5 家事からアートまで…目からうろこの利用法
品質に不安を感じるものも出回っているつまようじですが、
オーガニックで薬剤不使用の安全なものさえ選べば、つまようじは、その特徴を生かして、生活の中でさまざまに利用することもできます。
<オリジナルピンチョスフラッグ>
定番のピンチョス。
1930年三越のお子さまランチに立てられたが、最初だそう。
昔ながらの国旗だけでなく、いろいろハンドメイドできますね。
一番簡単なのは、かわいいマスキングテープでつまようじをはさむだけ。
パーティーのイメージや色に合わせて、パソコンでプリントアウトして作ると統一感が出ます。
こどもたちがぐるぐると塗った紙を、三角や四角に切って貼ると、またとない作品になります。
特別な調理をしなくても、一口大に切って刺せば、食べやすいピンチョスに。鮮やかな野菜の色味を活かすと、おしゃれになります。
<掃除>
つまようじにウェットティッシュを巻くと、パソコンキーボードの隙間など、狭いところの掃除にぴったり。大根や生姜をおろしたあと、ゴムで束ねたつまようじで、おろし金をこそぐと、残りをきれいに集められます。
<ネイルアート>
爪という小さな場所に、さらに小さな点や細かい模様を描くのにぴったりなのだそう。
模様の太さによって、つまようじの両端を使い分ける技も。
ネイルがついたつまようじを、気軽に使い捨てできるところもぴったりなのだそうです。
<つまようじアート>
文化祭の取り組みの材料としても使われています。つまようじを小さな材木に見立てて、一本ずつ木工用ボンドで組み立てると、ミニチュアの建造物に。
また、色を塗ったつまようじを発泡スチロールに挿して作る点描画は、正面から見ると平面画、立ち位置を変えると半立体になる不思議な絵画。
いずれも時間と手間はずいぶんかかりますが、感動を呼ぶ圧巻のできあがりです。
ちなみに、つまようじの頭を折って、楊枝置きにする使い方は、後から出てきたものだそう。
製造過程についてしまう焼き色を、うまくなじませるために溝を作ったともいわれ、形は、高山の楊枝職人がこけしを模してつけたのがはじめだそう。
溝のつけ方は、メーカーによって微妙に異なり、それで製造元が分かったのだそうです。
(国立国会図書館レファレンスHP)
6 安心かわいい「小枝ピック」と和のようじ「黒文字」のつくりかた
さて、安全なつまようじがなかなか見つからない、そんな場合は手作りはいかがでしょうか。
いま鉛筆を小刀で削るこどもたちはほとんどいないかもしれませんが、安全な使い方を守れば、けがをしません。
自分たちでつくったマイピックは、使い捨てがもったいないので、洗って何度も使います。
*削る時の注意
利き手で小刀を握り、刃の峰に親指を当て、反対の手で枝を持ち、その親指で刃の峰を押します。
親指の可動域でしか刃が動かないので、刃をコントロールできます。
お子様が行う場合は必ず大人の指導のもとでおこなってくださいね。
*材料選びの注意
キョウチクトウ、アジサイ、レンゲツツジ、アセビなど毒性のある樹木や分からないものは使用しないこと。
また、街路樹や公園の樹木には、薬剤がかけられていることがあるのでやめましょう。
(参考:公益財団法人日本中毒情報センター資料)
<小枝ピック>
①
小枝の先を、少し削ります。
②
洗ったらできあがりです。
<和のようじ「黒文字(くろもじ)」>
お茶の席でかかせない黒文字は、その名の通り、ヒノキ科の香木「クロモジ」の枝からつくられる、皮目の美しい、さわやかな香りの楊枝です。国産黒文字を復活させた菊水産業株式会社の社長氏に、ご指導いただきました。
①
このくらいの太さがベスト。三寸(約9cm)に切り、なたで4つ割りします。
②
枝の側面二方向を削り、それから皮目の方を削り落とします。
③
洗ったらできあがりです。
こどもたち手作りのマクロビ和菓子と。
ちなみに、クロモジは、アロマエッセンスやお茶も販売されている「和のスパイス」です。
削り片を、アロマポットに乗せ、火をつけると、濃く甘い、スパイシーでさわやかな香りを楽しめますよ。
部屋全体の香りに、「これだ」と鼻をよせるこどもたち。
6 まとめ
食にまつわる危険な話は、ともすれば「怖い」だけで終わることもあるかもしれません。
こどもたちとはあそびの中で、自然やからだにやさしいものがより身近なものになればいいなと感じています。
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