本物の野菜、食べたことありますか?
先日「在来種・古来種」の野菜が販売される屋内のファーマーズマーケットに行ってきた。
在来種とはある地方の風土に適し、その地方で長年栽培されていた種のことである。
因みに今のスーパーに並ぶ野菜はほとんどがF1品種である。
今回のイベントは、これまでオーガニックフードに強く関心を持って日々生活してきた私にとって非常に貴重な体験となった。
主催はオーガニックスーパー「ナチュラルハウス」の元取締役だった方が運営する、warmerwarmerと料理教室やマクロビオティックの研究を行っているチーム、オーガニックベースだ。
場所は吉祥寺のカフェ&スペース、ヒトトとキチムという二つの会場で開催された。
12時過ぎ。お店の前につくなり長い列ができている。
平均年齢は30代~40代が中心のよう。
中には小さな子連れの主婦の姿も。
私自身、人生の中で野菜を買うのに並ぶのは初めての経験だった。
10分後、ようやく中に入ることができた。
階段を降りて中に入るとまず福岡の農家の「在来種野菜」ブースが目に飛び込んでくる。
どの野菜を見ても、スーパーに並んでいるものとはまるで違う。
見たことが無い野菜ばかりだ。「これが在来種か・・」と感心。
早速購入。そのブース前では何故かテレビ局の取材を受けてしまう(笑)
店の中は活気づいており、人のパワーで溢れていた。
一つ一つの農家がお客さん一人ひとりへ自分たちの野菜のこだわりを語っている。
決して「偽り」や「妥協」は無い。
「このジャガイモはジャガイモ嫌いの人でも喜んで食べる程、びっくりするほど美味しくて・・・・」「このネギは根っこ一番栄養がつまっていて・・」
そこには味気なく同じ形をした野菜が並ぶスーパーの棚には無い、情熱と自信、何よりも野菜への愛情が感じられた。
生産者が心を込めて作った野菜を、食べる人が売る人の顔を見て買う、これが本来あるべき姿ではないだろうか。
野菜販売ブース以外にも、イートインスペースがあり、こだわりの野菜を使ったお弁当やカレーなどを食べることができる。
私も買ってみたが、中は色とりどりの野菜が綺麗に並び、塩や醤油などシンプルな味付けで楽しめる。どの野菜も噛めば噛むほど野菜独特の甘みができてきて、味わい深い。
こうした「本物の野菜」ほど、煮たり、クドイ味付けをして食べるよりも塩で食べるのが一番美味しい。
本物を提供するためにはるばる地方から野菜を届けにやってきた生産者と、本質を求めて足を運んできた多種多様な消費者。
東京の吉祥寺というこの小さな場所に、ひとところに集まって思い思いに会話をし、野菜を買う。
この空間に長いこといるだけでも、心に何か強く感じるものがあった。
最近では、農薬の規制緩和により、残留農薬濃度が高い(現在の最大2000倍)野菜がまもなく容認されようとしている。
この他、TPPによるポストハーベスト等の問題、食品添加物、偽装、原発問題など多数の問題が相次ぐ中、いつしか「本物の味」を忘れてしまった日本の食事。
次の世代を生きる子供たちや若者の世代の中で、どれだけの人が「本物の野菜」を食べたことがあるだろうか?
かつては「日本食」が長寿食と言われ、安心感のある健康食が売りだったはずの日本。
現世代では、本物の野菜どころか「添加物が大量に入った惣菜」「化学調味料入りのサラダ」「残留農薬入りの野菜」を当然のように毎日食べ、偽物に近いものを口にしている家庭も少なくない。
時代の流れでヘルシー志向が一時的にブームになっても、表向きだけヘルシーっぽさを売りにした「紛い物」もどんどん増えていく。
そして残念なことにその事実すら知らずに生活する人が非常に多い。
事実を知ると皆、口を揃えて言う。
「今のスーパーではほとんど買えるものが何もない。」と。
この信じることすら難しい世の中で、安全な食べ物を入手するには今、「知識」と「行動力」が必須となりつつある。
この時代を生き抜くためには、自分の目で本質を見抜けるようになることが必要不可欠である。
誰ひとりとして「他人事」であってはいけないはずだ。
私たちが今できることは「学び、実践し、伝えること」ではないだろうか。
本当の意味で安心感のある野菜を、いつかあなたの最寄駅でも気軽に買えるようになる日が来て欲しいと願うばかりだ。
様々な思いが胸に深く刻み込まれる、非常に意義のあるイベントだった。一年に一度は開催される模様なので来年は是非行ってみてはいかがだろうか?
冬の種市 URL http://www.organic-base.com/topic/tane/
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