生ゴミからバイオエタノールが生まれる?食品ロスを減らすため・温暖化解消のために私たちができる4つのこと
皆様は、ご自分の利用しているエネルギーのことをどれぐらいご存知でしょうか。
自分が生きている間に、石油や石炭などの化石燃料や食料が足りなくなる日が来るのです。
あまり信じたくないことですが、それが今地球で実際に起こっていることなのです。
官民双方が必死になって地球温暖化やフードロスを解消しようとしている中、
「生ごみがエネルギーになる」
という研究がされています。
未来にはキャベツやサツマイモで車が走ることになるかもしれません。
今回は、エネルギー問題とフードロス問題を同時に解消しうるこの技術と我が国のフードロス問題の現状、そして私たち消費者が今すぐ始められる対策についてお伝えします。
フードロス削減と地球温暖化対策が同時にできる?
バイオエタノールを生ごみから作る!
世界の燃料事情。バイオエタノールの総エネルギーに占める割合は?
2040年には、現在の1.3倍の燃料が必要になる。
現在、そのような試算があります。
アジアの新興国が、かつての日本のように経済成長を遂げているためです。
しかし、温室効果ガスの排出、大気汚染物質PM2.5の排出など、問題が増えています。
そんな状態を打破すべく作られているのがバイオマス燃料、生物由来のエネルギーです。
温室効果ガス削減のために注目されているバイオエタノールですが、わが国ではあまり普及していません。
エネルギー供給構造高度化法(※)は、電気・ガス・石油といったエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用を促進することで、エネルギーの安定的かつ適切な供給の確保を図ることを目的としている。
エネルギー供給事業者のうち、「特定石油精製業者」(※前年度の揮発油の製造・供給量が60万kL/年以上)については、判断基準(告示)に定められるバイオエタノール(※揮発油代替のバイオ燃料)の利用目標について、その達成のための計画を作成し、経済産業大臣に提出することを義務づけている。
「バイオエタノールの導入に関する これまでの取組と最近の動向」
この高度化法には目標値があり、2017年の目標値は50万トン(石油換算エネルギー)となっています。ほぼ目標を達成できていますが、問題があります。
それは、「原材料がほぼ輸入(ブラジル)であること」。
EUや英国ではきちんと制度が整備されており、自給率も日本よりはるかに高いです。
石油や石炭はもうなくなる?世界のエネルギーを取り巻く現実と、中々進まない代替技術
石油自体は、あと50年ほど持つと言われています。
ただし、問題が山積なのです。
最近、サウジアラビアの石油関連施設が何者かに攻撃されたというニュースがありましたね。
その前は日本のタンカーが襲われ、ホルムズ海峡で緊張が続くという事態が発生し、さらにその前にはドバイのオイルマネーに頼る経済が破綻寸前になるという事件が起きています。
あまりにも石油収入に頼りすぎた国は、様々な形で不安定になっています。
サウジアラビアなどは、石油産業以外の活路を見出そうとしています。
他にも、温室効果ガス、ダイオキシンの問題など、環境面でも化石燃料を消費する社会は限界に達しているのです。
代替エネルギーとして現在使われているのは
◆太陽光発電
◆潮汐発電
◆風力発電
◆地熱発電
◆バイオマス
などがあります。
風力発電は日本全国で行われています。
横浜の山下ふ頭からも風車が見えます。
ただ、風力発電については、
◆鳥が激突して死亡するバードトス
◆十分な発電量を確保するための風量がある場所が少ない
◆暴風が吹くと羽が落下する事故が増える
太陽光発電については、
◆老朽化した時にどうするのか
◆生産コストがややかかる
◆破損時に使えない
といった問題があります。
オール電化の方がエコだということでガスから切り替える方もいますが、災害時には自家発電機がないと何もできなくなることがあります。
2017年度の再生可能エネルギーの利用率は16パーセントとされており、先進国の中では低水準なのです。
バイオエタノール燃料が普及しない理由は?
実は環境にやさしくない?
バイオエタノールに関しては批判も出ています。
確かに燃焼時の環境コストは低いのですが、その前の生産段階での問題があります。
バイオエタノールはトウモロコシ、サトウキビ、キャッサバなどのでんぷんから作られます。
当然ですが、
これらを栽培するには広い農地が必要です。
特にキャッサバは焼き畑農業を行いますので、森林伐採などが問題となります。
こうした観点に立った場合のバイオ燃料による温室効果ガスの削減効果は、原料作物の種類によって大きく異なる上、同じ作物でも地域やエネルギー使用方法等によって幅がある。
サトウキビや、後述する「第二世代」バイオ燃料は、温室効果ガスを 70~90%程度削減することができるが、トウモロコシ(特に米国で生産した場合)の削減率は低い(図 2)。
27、サバンナ、草地を農地に転換した場合、植物や土壌から放出される二酸化炭素の量は、その農地から得られたバイオ燃料がもたらす年間二酸化炭素削減量の 17 倍以上にのぼると試算されている28
(出典)FAO, The State of Food and Agriculture 2008, 2008.10, p.57 の図 23 から筆者が作成。
「食料と競合しないバイオ燃料」
バイオ燃料を作るときに、温室効果ガスが出てしまいます。
しかも、それを吸収してくれる熱帯雨林がなくなってしまうのですから、大きな問題です。
また、食料供給との兼ね合いも心配されます。
人間の食事になる、もしくは動物の飼料になる作物がバイオマス生産のために高騰してしまい、特に低所得者が大きな打撃を受けるという懸念があります。
そのため、EU、英国では、法令で生物多様性を保全するため、また、食料供給に競合しないように、基準を設けています。
生ごみからバイオエタノール燃料を作る技術とは
バイオエタノールの材料として候補に挙がるものは、穀類やイモ類のほかに、生ごみ、木などがあります。
エタノール生成には、
◆発酵用酵母の餌となるたんぱく質
◆糖の材料になるでんぷん質
◆分解者である酵母
が必要になりますが、手順を追えばキャベツでもバイオエタノールが作れるのです。
日本とアメリカの企業が、生ごみを効率よくバイオエタノールに変える方法を開発したと話題になっています。
この生ごみバイオエタノールが実用化すれば、
・台風で傷んで食べられない農産物
・規格外で売れない作物
こういった物もエネルギーに変換できます。
(ただし、生産者にとってはせっかく育てた作物が食用にならない、安く販売しなくてはならないという問題が起きますが)
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フードロスが世界をむしばむ?
私たちの家計を圧迫する問題
フードロスの量が増えている!
冷蔵庫を開けると、幾つも賞味期限が切れた調味料がある、野菜がしなびて野菜室の隅にある、そういうことはありませんか?
昔は、お米を残すと「目がつぶれる」としかられたものですが、今はあっさり食べ物を捨ててしまう時代になりました。
その背景として、
・規格外食品は生産の段階で捨てられる
・賞味期限より早い段階で小売り側が廃棄してしまうシステムがある
・店舗に欠品があることを恐れ、大量に仕入れる傾向がある
日本の食品流通の問題として有名なものは、
消費期限の3分の1過ぎたら廃棄してしまう『3分の1ルール』でしょう。
他に期間限定商品が多く、時期が過ぎたら食べられても捨ててしまうということもフードロスが増える要因です。
消費者側の問題としては、
・ダイエット等を理由に物を食べない(でも注文をする)
・新商品に飛びつき、トレンドとして食物を消費する
非常にショッキングだったのが、ツイッター等SNSで、飲食店従業員が客が食べ物を無駄にする、止めてほしいという投稿を沢山していることです。
シュークリームを投げあって遊ぶのが流行ったりしたこともあるそうです。
私は観光地横浜に住んでいますので中華街などにもよく出かけますが、確かに買い食いの食べ残しは多いと感じます。
☆食べきれなかったらエコラップに包んで鮮度保持!
フードロスがもたらす問題。ごみ処理費用が尋常じゃない?
では、フードロスが多くなると何が問題になるのでしょう。
◆廃棄物によって来る野生動物との遭遇、事故(スズメバチ等)
◆人口密集地の焼却炉の不足
◆ゴミ収集の人員不足
◆悪臭
◆水質汚染
私たちは、年間一人当たりなんと14,000円ほどをゴミ処理に使っているという計算があります。
つまり、日本全体では1兆8000億円をゴミ処理費用に費やしているのです。
また、ごみ焼却によって出る温室効果ガスへの対策もまだまだ遅れていると言わざるを得ません。
フードロスの裏側に貧困が。日本の子供たちが栄養失調?
日本の食にまつわることを語るときに少し考えたいのが、インスタント食品やコンビニ食との子供たちの貧困との関わりです。
名前は出しませんが、ある大手コンビニの都内店舗の食品廃棄物量は、
生ごみのみで14.7キログラム
廃棄物全体で71.4キログラム
となっています。(2005年)
もちろん各社とも、フードロス削減そしてリサイクルにいそしんでいます。
ただ、貧困層の子供の食事がカップ麺やこのコンビニ食になりやすいという現実が各自治体の調査で分かっています。
「コンビニ食」、「ファーストフード」を週 1 回以上夕食として食べている子供、また、野菜を「1 日 1 回以上食べない」とした子供の割合を生活困難度別に見たものである。
生活困難度が高いほどコンビニ食やファーストフードを夕食として食べている子供、野菜摂取の頻度が 1 日 1 回未満である子供の割合が高いことがわかる。
困窮層では、夕食が週 1 回以上「コンビニ食」が 44.4%、「ファーストフード」が 25.0%、「野菜を毎日食べない」が 23.4%である。
「第3部 子供の栄養と健康 – 東京都福祉保健局」
何を食べるかにもよりますが、一般にインスタント食は塩分・油脂分・糖分などが多く、ビタミン・ミネラルが不足しがちです。
成人でも、女性は所得が低い人は穀物摂取量が多くなるという統計が出ています。
肥満、血管疾患、糖尿病とその合併症などが引き起こされます。
つまり『お金がないからカロリーが高くてお腹いっぱいになるものを食べる』という状況に陥っているということです。
コンビニやスーパーで並んでいるお惣菜はそういうものが多いですね。
(最近は野菜もありますが。)
お腹は一杯でも栄養素は取れない。
その一方でフードロスが何キロも出る。
このような大きな悪循環を生んでいるのです。
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フードロス削減に向けて日本はどんな取り組みをしている?
日本でもフードロス問題の解消に向けて様々な取り組みが行われています。
一例をご紹介します。
◆福祉施設やフードバンクに食品を寄贈
◆専用アプリから賞味期限直前の食品を安く一般消費者が買えるようにする(東京都)
◆家庭で食べきれない食品を持ち寄って食事を作るサルページパーティ(富山)
私が住んでいる自治体でも何か取り組みはないかと思い、横浜市についても調べてみました。
◆食のワークショップ開催
◆使い切りレシピ制作
◆使い切りのための料理講座開講
◆食べきれなかったときの持ち帰りをできる店を認定
取り組みは色々とあるのですが、いかんせん認知度の低さが気になります。
私の父方は祖父の代から横浜市民ですが、それでも取り組みの一部分しか知りません。
食べきれなかったときの持ち帰りに関しては、低減税率のことが気にかかりますね。
持ち帰り、店内飲食両方同じ価格でなければ不公平感が出そうです。
取り組み自体が非常に「もったいない」という状態なので、皆様もお住まいの地域で何かイベントをやっていないか確認してみてください。
消費者である私たちが出来るフードロス対策とは
家庭からでる食品ゴミの量を把握しよう!
まだ食べられるのに、食材を捨ててしまうということはありませんか?
食品には可食部というものがあります。
廃棄する部分は皮やヘタなどですが、使い方によってはロスを減らすことが出来ます。
例えば、野菜類のほとんどはしっかり洗ってやれば皮まで食べられます。
トウモロコシの芯などは軽く焼いてから出汁を取ることが出来ます。
普段からできる限り無農薬の安全・安心なものを選ぶようにしてくださいね。
☆持続可能な農業をスタンダードにしたい!
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1週間の食糧計画をしっかり立てて買い物をする
フードロスが生じてしまう要因は、無計画な買い物です。
主婦の方は急に夕食の内容の変更などをしなければいけないこともありますが、できるだけ計画的に一週間の買い物をするようにしましょう。
安いからといって、ぎゅうぎゅうに食材を冷蔵庫に詰めてしまうと、冷蔵庫の熱効率が下がってしまいます。
食材の保存方法を変える
食材の保存方法を変えることで鮮度を保てます。
食品には密封して冷蔵したり、冷凍したりした方がよいものと、呼吸ができるように保存したほうが良いものがあります。
何でもかんでも低温にすれば長持ちすると思って冷蔵庫に入れてしまう人がいますが、物によっては低温焼けを起こします。
ジャガイモなどはミツロウラップ等で包んで光を遮断しないと、光に反応して有毒成分のソラニンが出来てしまいます。
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生ごみは肥料などに再利用する
電子レンジで乾燥させて、細かく砕けば肥料として庭に撒けます。
ただ、虫がやってきてしまうので、動物性のものは避けましょう。
特にスズメバチは腐った果物と、肉類が好きです。
後は、窒素とリンが増えすぎるのが有機肥料の問題ですね。
気が付くと、あり得ない大きさの葉っぱが育って庭がジャングルになったり、逆に根の状態が悪くなって作物が全滅したりすることがありますので注意してください。
フードロス削減は、食料や燃料は資源であることを消費者が認識することから
燃料や食品に関してロスをするのは多分人間と飼育されている動物だけでしょう。
たとえば、リスはそれなりの確率で自分が蓄えた種のありかを忘れますが、そこから発芽して森になります。
サルが食べ物を落とせば、他の動物が食べます。
自然には一切ロスがなく、それが本来の姿です。
人間が持つリサイクル技術は、この生態系循環のうちにあるべきなのです。
人類は脳が発達した存在なのですから、無駄のないエネルギーを生み出し、賢く暮らしていく努力や工夫をしていく必要があります。
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G20サミットで必死に環境対策をアピールした日本政府の「本音」とは?都会で処分しきれないプラごみを地方で焼却?!
(参考)
「フードロス・チャレンジ・プロジェクト ご紹介」
「人々の所得や雇用から見る健康格差 」
「平成29年度地方公共団体における食品ロス削減の取組事例」
小学生のための環境リサイクル学習ホームページ (一社)産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センター 先生お役立ちページ
再生可能エネルギーとは
「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」
「生ごみの固体発酵法によるバイオエタノール製造技術の開発」
「再生可能エネルギーの歴史と未来」
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