日本の種を守れ!種子法廃止による日本固有の品種絶滅を食い止められるのはわたしたち消費者だけ
みなさんは目の前にある米や野菜の「種」って気にしていますか?
お米、トマト、水菜、白菜、キャベツ、ピーマンなどなど。
米も野菜も植物ですから、種から育てられていることはわかっていても、
その出どころまで気にされる方は、まだ少ないのではないでしょうか。
私の周りの友人も、オーガニックを気にしていても、
種まで気にしている人はごく僅か。
でも、よく考えてみたら、植物のスタートは「種」。
今回は、そんな「種」について考えていきたいと思います。
これからも日本の美味しく安全な食材を守っていくために、
私たちのには2つの選択肢が突きつけられています。
それは、どんなものを「買う」のかどんなものを「買わない」のかです。
種子法廃止により、いま、日本の固定種・在来種の絶滅の時が刻々と迫っています。
種子法の廃止と農業競争力強化支援法の施行
2018年4月1日、主要農作物種子法(以下、種子法)が廃止されました。
そして同年、8月1日より農業競争力強化支援法が施行されました。
わたしたち日本人の食卓に欠かせない米、麦、大豆に関わるだけでなく、
未来の日本の食生活にも大きな影響を及ぼすこの決定。
ほとんどメディアでも報じられず、わたしたちの知らないところで足早に下されたのです。
これはどういうことでしょうか。
日本人が生きる上で欠かせない食糧を守るための法律「種子法」とは
第二次世界大戦後、日本は深刻な食糧不足に陥っていました。
みなさんも「ヤミ米」なんて言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
飢餓と栄養失調が続く中、当時の日本政府は、国民の食生活を安定して守っていくために、
1952年に主要農作物種子法を制定したのです。
食生活に不可欠な主要農作物として指定されたのは、米、麦、大豆の3つ。
この3つの作物を安定して栽培・供給するために、これらの種子は国の管理下におかれました。
その事により各都道府県が優良な種子を選び増殖し、米農家や大豆農家に種子の供給を義務付けました。
種子法により、農家は作物の栽培に安心して専念できてきました。
全国の農場試験場でより優良な品種の研究・改良が進められたため、
コシヒカリなどの美味しい米が開発されるようにもなったのです。
今回、この種子法が廃止になり、そして制定されたのが、農業競争力強化支援法。
今年制定された農業競争力強化支援法とは
農業競争力強化支援法とは、農業者による農業の競争力の強化の取組を支援し、
農業や農業生産関連事業の健全な発展に寄与することを目的に制定されました。
極端な例でいうと、自然で安全なお米は消え、
代わりに遺伝子組み換えや人工的に作られた新種のお米が
今買い物をされている近くのスーパーに並ぶかも知れない、ということを意味しています。
どうですか?
今食べているお米が、お米の形をした別物だったら。
トマトの形をした別物だったら…
種子法廃止により、いま、日本の固定種・在来種の絶滅の時が刻々と迫っています。
種子法廃止を決定させた巨大バイオアグリ企業の市場参入
今回の種子法廃止について日本政府が挙げた理由は、
「立派な民間の品種があるのに、
各都道府県の優良な品種の奨励制度が民間の種子の参入を妨げてきた」からというものです。
民間企業による優良な種子の普及を妨げている種子法の奨励制度とは、
先ほど書いた「各都道府県が優良な種子を選び増殖し、米農家や大豆農家に種子の供給を義務付けた」ということ。
種子法廃止と農業競争力強化支援法制定の背景にある海外企業の要望
TPPにおいて日本とアメリカで交わされた文書では、このような内容があります。
日本政府は投資家(多国籍企業)の要望を聴取して、各省庁に検討させ、
政府が必要なものは規制改革推進会議に付託、その提言に従う。
引用:山田正彦著「タネはどうなる?!-種子法廃止と種苗法運用で-」(P8)
アメリカとこのような約束を交わした後での、「民間企業参入を妨げる」ことを理由に廃止された種子法。
背景には、種の開発と販売行う大手海外企業から、
日本市場に参入するために邪魔な種子法を廃止にしてほしいという要求があったと言われています。
そして、矢継ぎ早に施行された、農業競争力強化支援法では、
農作物の銘柄が多すぎるため集約することを進める旨が示されています。
各都道府県で奨励されている品種は、米だけで300品種を超えています。
多種多様な味わいや特徴をもつ米の品種の「集約」は、今まさに進みつつあるのです。
出典:農林水産省「農業競争力強化支援法」(第一章第八条-三)
種子法廃止の影響で、知らずに食べているる新品種米
戦後の努力によって、様々な米の品種が誕生してきた日本。
プレミアム米の人気は年々高まり、付加価値の高い米の栽培を目指す農家が日本中で増えています。
マーケットに並ぶ米の銘柄は日に日に増え続けていて、
どれを選べばいいのかわからないくらい豊富になりましたよね?
目の前に並ぶコシヒカリやゆめぴりかの隣に、
もしバイオテクノロジーで生まれた品種が並んでいたら、あなたは買うでしょうか?
国内ですでに販売されている「民間の」企業が開発したお米
■みつひかり(三井化学)
■つくばSD(住友化学)
■とねのめぐみ(日本モンサント)
■しきゆたか(豊田通商)
一応、まだ「遺伝子組み換え」ではありません。
これらはコシヒカリなどの固定種に比べ、収穫量が格段増え、
また栽培したものは販売会社によりすべて買い取るといったセールス文句により、
国内で栽培を行う農家は着々と増加しています。
そして多くの栽培農家は、
米の種子と一緒にたっぷりの農薬と化学肥料をセットで購入することになっているのです。
上に挙げた米は今のところ飼料や業務用としての販売が主流なため、
そこまでマーケットで見かけることもないかもしれません。
けれど、すでにコンビニで販売される食品には使用されていますし、
飲食店でも使用している店が増えています。
外食やテイクアウトで、知らないうちにもう食べているかもしれないのです。
そして今も、様々な方法で生み出されたハイブリッドライス/F1品種米が、
次々と生み出されている状況です。
引用:三井化学アグロ(株)「ハイブリットライス「みつひかり」」
引用:農林水産省「コシヒカリつくばSD1号」
引用:(株)ふるさとかわち
引用:豊田通商(株)「新品種を軸に国内産コメ事業に参入~最大1.5倍の収量とおいしさを両立、生産者に魅力あるコメ生産を目指す~」
一方で進むプロジェクト「家族農業の10年間」
種子法が廃止され、農業の自由化が進む反面、
国連が主導で、世界各国の地域密着型の家族経営農家を再評価しています。
国を挙げ、支援を行うプロジェクト「家族農業の10年間」が来年2019年よりスタートする事が決まり、
日本政府も賛成・参加を表明しています。
「家族農業」とは、1戸の農家が運営から管理までのほとんどを、家族で営むこと。
現在、世界の食料のうち約8割が家族農業による生産でまかなわれている現状。
2030年までの国連が取り組む「持続可能な開発目標(SDGs)」の中で掲げられている「貧困や飢餓の撲滅」。
その撲滅のために、家族農業という持続性のある農業形態は特に注目されているのです。
出典:小規模・家族農業ネットワーク・ジャパン「国連総会で正式決定! 2019~2028年を「家族農業の10年」に」
私たち日本の食卓は一体どこへ向かい、どうなってしまうのか?
IN YOU読者のみなさんの多くは、
日々の食べるものもオーガニックや無農薬、無添加に気を付けて選ばれているでしょう。
農薬や化学肥料不使用の米や野菜は、本当に美味しくて、自然の恵みを体感できますよね。
そんな美味しく、
人にも地球にもフレンドリーな方法で育った食材を絶やさないためにも、
種から見直してみませんか?
正直、現在の日本の制度では、食材の種までは追跡できません。
JSA有機マークがついていても、使用している種が何なのかはわからないのです。
手っ取り早いのは、規制の厳しいEUのオーガニック認定を受けた輸入品かもしれません。
でも、日本の農家を応援するためには、
できるだけ生産者が見える商品を購入することが大切です。
そうすることで、自分の住んでいる地域の伝統野菜や在来種も知るようになります。
今では各地に道の駅や産直市場、都心部でもファーマーズマーケットが開催されたりと、
食品の追跡がしっかり確認できる方法は選ぶことができますよね。
最初は確認が面倒に感じられるかもしれません、しかし
わたしたち消費者が声を上げ続けることで、食材の表示も変わってきます。
わたしたち消費者ひとりひとりが、
普段の生活の中で「これは買う」「これは買わない」ときちんと判断し、選ぶことで、
貴重な日本の食文化を後世まで引き継いでいくことができるのです。
IN YOUの読者は、海外も含め3000万人以上います。
この記事を読んだ私たち一人一人が遺伝子組み替えの米を買わず、
肥料にこだわる生産者の米を買うだけで、日本固有の品種絶滅を食い止める事に繋がります。
私たちのアクションで日本の食文化を未来に残しましょう!
そして未来の食卓を守っていきましょう!
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