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夏の生活習慣が引き起こす 「秋の3大不調」とは?|管理栄養士が教える、 秋の不調対策に食べたい食材と食事のポイント

夏の生活習慣が引き起こす
「秋の3大不調」とは?
管理栄養士が教える、
秋の不調対策に食べたい食材と
食事のポイント

秋口は体調を崩しやすいとよくいわれますが、
具体的にはどのような不調が起こりやすいのでしょうか。

またそれらの不調が起こるメカニズムとはどのようなもので、
普段の暮らしの中でどのように対処していくとよいのでしょう。

この記事では、そんな秋の不調と、
食べ物にフォーカスをあてた改善法について
ご紹介しようと思います。

夏の過ごし方が原因で起きる、
秋の3大不調とは?

秋の不調①:
夏の冷房や睡眠不足が、疲労感や風邪に繋がる


そもそも人間は、様々な周囲の環境変化に適応して、
自己の恒常性を保つ能力を備えているといわれています。

それはたとえば、どれほど暑い・寒い環境でも
体温をほぼ一定に保つことが出来る能力であり、
この適応能力のことを“ホメオスタシス”と呼びます。

ホメオタシスがきちんと機能していれば、
人間の身体は、仮に寒い場所では血管が収縮して血圧が上昇して体温が上がり、
恒常性が保たれるわけですが、この仕組みには実は、「自律神経」が関係しています

そして、この自律神経がちゃんと働くためには
「暑い時には汗をかく」、「寒い時には体温を上げる」、
「明るい日中は活動し」、「暗い夜間は休息する」
といった自然な体の動きが重要
です。

しかし夏場などに空調がきいた室内でずっと仕事や家事をして過ごしたり、
寝苦しさなどから寝不足などが続くと、その不自然な体のあり方によって
自律神経のバランスは乱れ、疲れを招いたり、体調不良の原因となります。

そのために、外気と室内の気温差が生じやすい夏は疲れが特に溜まりやすく、
その疲れが残ったまま気温が下がる秋を迎えてしまうと、
風邪を繰り返し引いてしまったり、疲れがなかなか解消されない人が増える
というわけです。

秋の不調②:
夏の水分不足が、肌乾燥や便秘を引き起こす


人体から一日に失われる水分量はどのくらいあるのでしょうか?

体格によって違いますが、一般的に、成人は1日に約2.5リットルの水分を失う
といわれています。
その内訳は尿からの分が約1,500ml(1.5リットル)、
不感蒸泄(呼吸など意識せず失われる水分)が約900ml(0.9リットル)、
そして便からが約100ml(0.1リットル)となっており、
これに加えて、夏はいうまでもなく発汗によす水分の喪失が増えますよね。

「水分の摂取は、1日2リットル以上を目安に」とはよく言われますが、
皆さんは普段、水分をどれだけ摂れていますか?

私自身、仕事中は忙しくてなかなか水分を摂れないことが多く、
水分摂取自体を忘れていることがあります。

これらの水分の足りない状態が積み重なると、
慢性的な水分不足に陥ってしまい、
夏中を通して水分が不足し続けてしまうと、
それが秋の気温低下とともに、肌乾燥や便秘として現れてきます。

「秋冬は肌が乾燥してカサカサ」「便秘がひどくなる」…
その症状は、夏の慢性的な水分不足のせいかもしれないのです。

秋の不調③:
夏の冷房や冷たい食べ物による
内臓冷えが、肩こりや便秘の原因に


「今年の夏はコロナの影響で家の中に籠もっていた…」なんて方は多いはずです。
クーラーの効いた部屋で長時間過ごし、暑いからと冷たいものを摂り続けてきたとしたら
そんな方の内臓はとても冷えています。

特に冷たいものを食べていなかったとしても、
いわゆる夏野菜と呼ばれる野菜は水分量が多く(きゅうりなんて約95%が水分です!)、
これもまた内臓を冷やす原因になります。

その内臓の冷えは、やがて全身の冷えに繋がり、
秋以降に肩こりや便秘をはじめとした様々な不調を引き起こす
のです。

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秋の不調対策のための
食事の4つのポイント


夏〜秋にかけて不調が起こりやすい理由と、その症状についてはご説明しました。

続いては、その不調に対処するために積極的に摂取したい食べ物や
心がけたい食事法のポイントについて具体的にご紹介します。

食事のポイント①:
夏バテによる食欲低下によって
不足しがちなタンパク質を補いましょう

私は以前、管理栄養士として栄養相談に乗っていましたが、
夏場に最も多く聞かれた問題がコレでした。

暑くて料理する気すら起きない
「食欲が沸かないから麺類ばかり食べている」という方がなんと多かったことか。

このような食事の問題点は、絶対的な“タンパク質の不足”です。

成人のタンパク質1日必要量は、食事中の15〜20%。
つまり総カロリーの1/5はタンパク質を摂らないと、筋肉が痩せ衰えていくんですね。

【参考】『食事摂取基準(2020年版)』

カロリー計算までするのは無理!と言う方は、まず、
「毎食、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品 どれか1つは必ず食べる」
ということを意識してみてください。

食事のポイント②:
夏の汗とともに喪失した
ビタミンやミネラルを補いましょう

汗や尿とともに体から失われやすいのが、水溶性のビタミンやミネラルです。
ビタミンには水溶性と脂溶性があるのですが、
脂溶性ビタミンはビタミンD,A,K,E(ダケと覚えてください!)のみ。
それ以外は全て水溶性、つまり汗や尿で失われやすいものになります。

そしてミネラルもまた汗や尿とともに喪失してしまうもの。
体内でのミネラルのバランスが乱れると疲れを感じたり、
様々不調が現れますので要注意です。
※嘔吐や脱水と行った症状や特別などの疾患などがなく、
普通に食事が摂れている場合、過度な心配はありません。

食事のポイント③:
冷えで弱った内臓に配慮して、
消化しやすい食事を心がけましょう

夏の間に冷えてしまった内臓は消化機能が弱っています。
そこで食材は生ではなく加熱などして消化しやすく調理し
内臓に負担をかけないような食事を心がけましょう。

また、加熱した温かい食事を摂れば、
冷えも改善されるので一石二鳥です。

「いつもより食材を小さめにカットする」
「よく噛んで食べることを心がける」ことも、
内臓のケアには有効
ですよ。

食事のポイント④:
『食事バランスガイド』を参考に
メニューを組み立てる

『食事バランスガイド』とは、農林水産省が定めている、
“1日に、何をどれだけ食べたらよいかという、食事の望ましい組み合わせと
おおよその量”をイラストでわかりやすく示したものです。

この『食事バランスガイド』を見ると、
1日に必要な食材や料理の目安量が分かるようになっています。
そして下の図、左側のコマの上から3段目までの「主食・副菜・主菜」は、
1日量を3回の食事に分けて摂ることが望ましい
とされています。


画像引用:https://www.maff.go.jp/j/balance_guide

「体は食べたもので出来ている」とはよくいわれることですが、
食事と体調(健康)には密接な関係があります。

「なんだか最近体調が万全じゃないな」と感じている方は、
まず、食事のバランスを見直すことから始めると良いでしょう!

食欲の秋!
秋の食材は美味しいだけじゃなく、
体調を整える効果もあった!!


ここまで、夏〜秋に変わるこの季節に出やすい体調変化と、
不調の改善に必要な栄養素や理想的な栄養のバランスなどについて見てきました。

実は、これから旬を迎える秋の食材の多くには、秋に出やすい不調を整えてくれる
栄養素が含まれています。

近年はハウス栽培等の技術発達により、大半の野菜が一年を通じて
スーパー等で購入できるようになりました。

しかし、やはり食材は旬のものが一番。
“食材の旬“とは単に美味しいだけでなく、栄養素が凝縮し、増える時季であるため、
体にもとてもよい効果が期待できます
。ぜひ積極的に取り入れてください!

では、具体的に秋が旬の食材にはどのようなものがあるのでしょうか。

管理栄養士がセレクト!「秋が旬の食材」リスト

<野菜>
・きのこ類(しめじ、椎茸、エリンギ、松茸等)
・芋類(さつまいも、里芋、じゃがいも、長芋)
・カボチャ ・ゴボウ ・なす ・冬瓜 ・蓮根・ブロッコリー

<魚介類>
・鮭 ・うなぎ ・さば ・さわら・秋刀魚・太刀魚・はも

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根菜が体を温めるといわれるわけ

上の野菜を見て、何かお気づきでしょうか?
実は、秋に旬をむかえる野菜には根菜がとても多いんです。
体を温めると言われ、冷え対策に有効な根菜類。
続いては、その理由についてご説明したいと思います!

根菜が体を温める理由①:
体を冷やす水分が少ない

根菜は葉野菜と比較して、水分量が少ない傾向にあります。
火照った体を冷やす夏野菜は水分を多く含むのに対し、
秋が旬の根菜は水分が少なく、体を冷やさないものが多くなっています。
このために、体を温めるといわれています。

根菜が体を温める理由②:
ビタミン・ミネラルが豊富

秋が旬の根菜(私は特に芋類がおすすめ!)には、
ビタミンやミネラルがたっぷり含まれます。
特に、ビタミンA,C,Eや鉄、カリウム、マグネシウムなど
が多いのですが、
これらのビタミンには、皮膚や粘膜を健康にする効果や、
抗酸化作用などのほか、血行促進効果も期待できます。

また、ミネラルは骨やタンパク質などから成る骨格を作る働きを
助ける作用があり、骨格が作られる代謝の過程ではエネルギー産生が生じます。

そのために、根菜類は体を温めるとされているのです。

根菜が体を温める理由②:
加熱調理されることが多い

根菜は硬くて生で食べられるものが少ないため、
必然的に煮たり、焼いたりと火を通して食べることになります。
これも、根菜が体を温めるといわれている理由のひとつです。

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秋に特におすすめしたい食材はこちら!


最後に、先にあげた野菜や魚介類から、特に幾つかをピックアップして、
それぞれの栄養素と働きについてもご紹介したいと思います。

<さつまいも・じゃがいも>
芋類にはカリウムが多く含まれています。
このカリウムは水溶性で、夏の汗や尿とともに失われやすいのですが、
芋類を食べることで摂取・補充が可能です。

調理過程で茹でると幾らかは喪失するのですが、
芋は粘質なために50%ほどは失われずに残ります

このカリウムは、摂りすぎたナトリウム(塩分)を押し出してくれる働きもあるので、
積極的に摂りたいミネラルです。

また、さつまいもには便秘改善が期待できる食物繊維が多く含まれています。

<カボチャ>
カボチャにはビタミンCとEが多く含まれます。

一般に、ビタミンCはコラーゲンの新生を助けるため、女性に嬉しいビタミンと言われているのですが、
加熱によって壊れやすいのが問題点です。

その点で、カボチャのビタミンCは加熱しても壊れにくいため、とてもおすすめです。
また、ビタミンEは血行促進作用があると言われているので、冷え改善に役立ちます。

<鮭・秋刀魚>
鮭や秋刀魚にはEPA・DHAという脂肪酸が多く含まれます。
これらは、血中の中性脂肪を下げる働きが注目されています。
また肌のターンオーバーを助ける働きもあるので、
夏の紫外線を受けた肌の修復にはもってこいですね。

【参考】『からだにおいしい あたらしい栄養学』
『からだにおいしい 野菜の便利帳』

終わりに

夏〜秋に変わるこの季節、また今年はコロナ禍という特殊な状況でもあります。
食事をしっかり整えて、ご自身の体調をコントロールしていってくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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