同じ野菜、だけど違う?│固定種・ハイブリッド種・遺伝子組み換え作物のちがい
- 見た目が綺麗な、「不自然」な野菜たち
- 固定種
- ハイブリッド種
- 遺伝子組み換え作物
- まとめ
1.見た目が綺麗な、「不自然」な野菜たち
家庭菜園をされる方は、スーパーで売られている野菜がどれも均一で綺麗なことを疑問に思ったことがあるかもしれません。
しかし、消費者は売られているりんごに茶色いシミがあるだけでも、敬遠してしまいがちです。
どうして、スーパーの野菜はあんなに綺麗なのか。
そのナゾを、野菜のDNAから探っていきます。
2.固定種
固定種は、いわば「自然な」遺伝のかたちです。トマト、にんじん、だいこんなど、それぞれの野菜特有の遺伝子は
何千年という長い年月をかけて遺伝を繰り返し、今の形になっています。
上の図の、左が父(雄しべ)、右が母(雌しべ)とします。
父も母も、LLというDNAとFFというDNAを持っているので、
雄しべと雌しべからはそれぞれLの遺伝子とFの遺伝子がこどもに受け継がれます。
そして、こどもも親と同じLLFFというDNAを持つことになります。
ですから、農家はこどもの種を植えれば孫の代にも同じ品質のトマトを得ることができます。
これが、「自然な」遺伝の流れです。人間も、これと同じ遺伝の流れを持っています。
3.ハイブリッド種
ハイブリッド種は「雑種第一代」「F1品種」とも呼ばれます。新しい品種の野菜や、花の殆どはハイブリッド種です。
違う品種の野菜を、人間が意図的にかけ合わせてできた野菜になります。
H遺伝子、F遺伝子にはそれぞれ大文字と小文字があります。
大文字は「優勢遺伝子」、小文字は「劣性遺伝子」です。
H遺伝子は暑さに強く、h遺伝子は弱くなります。また、F遺伝子は美味しく、f遺伝子はまずいトマトになります。
そして、トマトがねつに弱くなるのは「hh」の組み合わせのときだけ、まずくなるのは「ff」の組み合わせのときだけです。
それを踏まえて、上の図を見てみましょう。
親のDNAは「HHff」と「hhFF」なので、こどもに受け継がれるDNAは「HhFf」になります。
暑さに強くまずいトマトと、暑さに弱くおいしいトマトから、暑さに強くおいしいトマトができました。
ここまでは、問題が内容に見えます。では、孫のトマトのDNAはどうなるでしょう。
こどものトマト同士をかけあわせた孫トマトからは、実に16種類ものDNAの組みわせができます。
上の表では品質が同じになるものは同じ色で表していますが、品質がバラバラになってしまうのがわかります。
これでは、農家が安定した栽培を行うことが出来ません。
なので、農家は毎年、種子会社からハイブリッド種の種を買わなくてはいけません。
加えて、ハイブリッド種は病気に弱くなりがちです。その結果、農薬や除草剤も大量につかわなければいけません。
4.遺伝子組み換え作物
遺伝子組み換え作物は、野菜のDNAを直接操作する方法です。例えば、上の図のように「美味しさ」のDNAと「大きさ」のDNAの間に「毒を生み出す」DNAを入れます。
どうして、毒を生み出すDNAを入れるのでしょう。
それは、害虫に食べられないようにするためです。
トマトをかじった害虫が、トマトに含まれる毒によって死んでしまうのです。
このようにして、自然界ではありえないDNAを挿入することにより、高い生産性を誇っているのが遺伝子組み換え作物です。
5.まとめ
「加工食品」とはよく言われますが、その材料になる野菜まで人間によって加工されているのは驚きです。ハイブリッド種はいまや巷に溢れていますが、遺伝子組み換え作物も、
実は知らず知らずのうちに口にしている可能性があります。(清涼飲料水・炭酸飲料なんかで・・・)
大切な人のために作る食事なら、大切に育てられた野菜をえらびたいですね。
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