誰でも葛根湯を飲めば治るわけではない!あなたの風邪はどのタイプ?東洋医学から見る、タイプ別・オススメの漢方と食事法・風邪の治し方
こんにちは。薬剤師・薬膳師の山口りりこです。
寒くなってくるとあなたは風邪はどこから?!とテレビのCMからも聞こえてきますが
風邪と一言でいってもいろいろありますよね。
漢方だと 風邪=葛根湯 と思われがちです。
でも、
本当に葛根湯でよくなりましたか?
今回は自分でケアする風邪のお話しです。風邪に抗生物質は効かない!ってほんと?!
忙しい時にこそ気をつけたい「風邪」。
しかし免疫が落ちると普段なら追い払える弱小ウイルスにも勝てない時があります。
冬場の病院は風邪の患者さんでいっぱいです。
風邪は早めに抗生物質を飲むと良くなる思われがちですが
根本改善になっていません。
一般的に呼ばれている抗生物質は抗菌薬のことを表します。
細菌の増殖を抑制したり、細菌を殺すものです。
一方風邪の主な原因はウイルスなのです。
細菌とウイルスは別の微生物です。
そのため風邪の時に抗生物質を飲んでも根治しないんですね。
なぜ抗生物質が風邪の時に出されるかというと
肺炎など二次感染を防ぐためです。
2017年には厚生労働省が「風邪に抗生物質は控えるように」といった内容の手引書を作成しています。
抗生物質を多く使いすぎると困ることは耐性菌が増えること。
菌も生き物ですから、自分たちが生き残ろうと抗生物質に耐えられるように進化していくのです。
持病などある方は別ですが、多少の風邪なら抗生物質を使わないのが当然になってきています。
東洋医学で、カゼは、風邪=ふうじゃ と読む
漢方では主に風邪の原因を外因と内因の2つに分けて考えます。外因
外から体に入る邪気のことで風・寒・暑・湿・燥・火(熱)の6つあります。
風邪(ふうじゃ)もそのひとつ。
特徴は
・するする〜っと体に侵入しやすい
・よく動く性質で症状や部位が変わりやすい
・体の上部(鼻や口)から侵入する
・他の邪気と一緒になりやすい
→ここが厄介で風邪をこじらせます。風寒・風熱・風湿・風燥などとなります。
また 暴飲暴食や過労 なども原因となります。内因
体質や精神的ストレスなどが原因のもの
基本的に一刻を争うのが外因の風邪のためこちらを中心にお話しします。あなたの風邪はどのタイプ?症状別おすすめ漢方とセルフケア
ゾクゾクする寒気、頭痛、透明な鼻水、関節の痛み:風寒(ふうかん)
ゾクゾクする寒気、頭痛、透明な鼻水、関節の痛みおすすめ漢方
葛根湯一般的にいう風邪の初期症状です。
ちなみに葛根湯は風邪専用薬ではありません。
風寒邪(ふうかんじゃ)をよくするため、肩こりや蕁麻疹にも使います。
寒い時に肩こり、頭痛がひどい方はすーっと効いてくれます。
養生法
「寒」によるものなので温めることが大切。特に首〜肩甲骨あたりを温めましょう。
温めて発散させることが大切。
食べ物では、生姜やネギ、ニンニクなどのスープで体を温め発汗を促します。
汗の吸収できる服をしっかり着込んでたっぷり寝ましょう。
このタイプにオススメのオーガニック食材:ベジタブルブロススープ
咽痛、高い熱、黄色や緑の鼻水:風熱(ふうねつ)
咽痛、高い熱、黄色や緑の鼻水意外と風寒タイプより多いのではないかと思います。高い熱まででなくてもノドの不調からくる方。
おすすめ漢方
銀翹散(ぎんぎょうさん)私はノドがおかしいかも?と思ったらすぐ飲むようにします。
養生法
涼性の食材でいらない熱をとるのが大切。お茶ならミントティーを、食事はゴボウ、蓮根、大根などを積極的にとります。
おすすめは蜂蜜大根。
大根を角切りにして一晩蜂蜜につけこむと大根から水分がでてきます。
その液体をお湯に溶いてゆっくり飲みましょう。
詳しい作り方はこちら:
養生のどシロップ「はちみつ大根」の作り方。気温差が気になり、乾燥する季節、内から潤してお手当しよう。
このタイプにオススメのオーガニック食材:無農薬蜂蜜吐き気、胃のムカムカ、下痢、食欲不振:風湿(ふうしつ)
吐き気、胃のムカムカ、下痢、食欲不振など胃腸の風邪タイプおすすめ漢方
五苓散(ごれいさん)水の巡りを良くする基本処方です。特に嘔吐下痢に使います。
二日酔いにも効果ありです。
養生法
香りの良い紫蘇やみかんの皮などで胃腸の働きをよくしましょう。
嘔吐下痢がひどい時は無理に食事をすることは避けましょう。
水分補給だけは忘れずに。
症状が落ち着いてきたら、断然お粥がおすすめです。
濃い味付けはNGですが、薄味にしてお米の甘みを味わってください。
このタイプにオススメのオーガニック食材:皮から丸ごと乾燥させて作った農薬不使用のあおみかんパウダー
ノドの乾燥、咳、痰がからむ、口の渇き:風燥(ふうそう)
ノドの乾燥、咳、痰がからむ、口の渇きおすすめ漢方
麦門冬湯(ばくもんどうとう)潤いを与える漢方。
粉の漢方薬ならお湯に溶いて乾燥している咽をいたわるように、ゆっくり飲みましょう。
養生法
潤いを与える代表食材!蜂蜜です!
普段から乾燥しているな〜と思うと蜂蜜湯を朝一で飲みます。(蜂蜜をお湯で溶くだけ)また、白い食材の蓮根、梨、ユリ根もおすすめです。
皮膚の乾燥も防いでくれます。
咳がひどいときは梅など酸っぱいものもおすすめ。
収斂(しゅうれん)といって引きしめるような働きをするため咳に良いのです。
風燥タイプは発散させないこと!
生姜やニンニクなど汗のかくものは余計に乾燥をまねきます。
辛いものなど避けるようにしてください。
このタイプにオススメのオーガニック食材:オーガニック生蜂蜜
悪化すると奥に邪気が入ってしまいます。風邪は引き始めが肝心!
悪化すると奥に奥に邪気が入ってしまうため、どれだけ早く対応するかが勝負です!
私は風邪薬は常備するように気をつけています。
悪化してから薬を買いに行く人が多いのですが、おや?と思ったら対処することを心がけています。
免疫力を高める薬膳食
何と言っても日本人は和食。
五行論でいう脾(ひ)は食べたものから気をつくります。
気の役割のひとつは防御力。つまり免疫力。
脾の喜ぶ食材の代表が米です。
昔は玄米が中心だったので玄米が理想ですが、白米で育っている人が急に玄米にするのは抵抗があるかもしれません。
慣れない方は、まずは7分づきなどから始めてみてはいかがでしょうか。
また、味噌など発酵食品、食物繊維の多いきのこや根菜類もおすすめです。
腸内の善玉菌も喜ぶ食事です。
ご飯、味噌汁、漬物、副菜は日本人にとってもパワーフード
忙しい時こそ、和食をこころがけてみてください。
薬が体を治すわけではない!自己治癒力で身体は治ります!
最後に・・どんな病気もそうですが、薬が体を治してくれるのではなく、体の傾き(病気)をくいとめる助けをしてくれるだけです。
病気を完治させるのはあくまでも自分自身の治す力なのです。
中医師の先生に言われた言葉で思い出すのは「病院にいくことがゴールではない。病院から帰ってからが勝負」。
私たちは何かと医者に頼りすぎる傾向にあります。
飲んでいる薬や治療法は人任せ。
病院に行って、言われた薬を飲むのが治療だ、となっていませんか?
養生が根付いている中国では、薬も飲みますが、いかに治る生活をするか?に重きをおきます。
自分のことは自分が一番の理解者であるべきです。
病気は「気づき」。
病気は悪ではなく、体が不調を教えてくれているのです。
自分にあったセルフケアを見つけて
「病気になっても大丈夫!」と思えるくらい「わたし」のことを知っていきましょう。
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