現代女性に潜む意外なリスク。生理の不調を見逃し続けることで高まる「骨折」リスクとは?
アスリート三主徴って知っていますか?
アスリート人生を揺るがす問題とは
はじめに、オーガニックメディアIN YOUでアスリートのことを扱うことに少し違和感を感じる方も多いかもしれません。
今回は、アスリートの話は一つの例として、「女性の健康」「予防医学啓発」という内容があることを前提に、読みはじめていただきたいと思っております。
先日の女子駅伝でもニュースに取り上げられたように、女性アスリートのコンディショニングは大きな問題となっています。
近年では東京オリンピックも2年後に迫っており、出場するために必死で努力を続ける若いアスリートもたくさんいますね。
アスリートまではいかなくても、10代での部活動でも、練習を頑張って成績を残す人もたくさんいます。
私自身も、大きな功績はありませんでしたが、小学生から硬式テニスをやっていたため、
走り込んだり、寒い中外で練習をしたり、筋トレをしたりと体づくりと練習や試合をしてきました。
若いからこそ、「大事な試合」「負けられない試合」「仲間のために」
「自分のために」「応援してくれる家族のために」
そうやって精神的なストレスに打ち勝つために、我慢と努力をして、根性で乗り切ってきた気がします。
しかし、10代の思春期の時期の運動過多つまりオーバーユースにより、
体のいたるところにほころびができ、長期的に苦しむ結果につながるケースが少なくありません。
それは「女性の生理」から問題を抱えてしまうケースが多いのです。
私はアスリートレベルではありませんでしたが、初潮が10歳にはきていたため、生理の時は練習が辛かったですし、痛みで休んでしまったこともあります。
中学生や高校生の時には、生理不順が当たり前のように起こっていました。
毎月生理痛はひどく、薬を飲んだり、時に保健室で休んだりと授業や部活に響くほどでした。
ですが、生理で休むことは「サボること」のようなイメージも強く、「我慢する」ことは当たり前の風潮に感じていました。
アスリートであれば、尚更練習を休むことはタブーとされているため、女性の生理の不調も見逃されてしまっています。
しかし、今まさにアスリートの三主徴
「無月経」「摂食障害(エネルギー不足)」「骨粗鬆症」
にきちんと目を向け、教育者、指導者、親レベルから理解を深めていく必要があると感じています。そして、現代女性の知られざるリスクとして、取りだたされるべき問題だと私は思います。
骨密度が最も高まるのは、思春期の時期
ホルモンの重要性
女性に必要な「女性ホルモン」であるエストロゲンとプロゲステロンは骨の形成に欠かせないものです。
生涯の量はティースプーン一杯程度しかないといわれるホルモンですが、微量な加減で体に影響を及ぼしています。
骨密度は10代で最も増え、16歳〜18歳でピークを迎えます。
そして、20歳ごろには最大骨量を迎え、30代を過ぎていくと、徐々に骨密度が低下していくのです。
思春期という最も体も心も発達する時期であり、この時期の過ごし方次第で、骨形成の状態が変わっていきます。
しかし、マラソン選手や体操選手、バレエやスキージャンプ、あげたらキリがありませんが様々な競技で「体重制限」という問題が出てきます。
この体重制限をするために無理な食事制限をしたり、エネルギー不足の中、運動負荷をかけ過ぎストレスのかかり過ぎといった背景から、
「無月経」や「生理不順」を抱える女性が多くなっています。
ここ数年では「low energy availavility」(利用可能エネルギー不足)」が大きな問題となっているのもいわれています。
スポーツトレーニングには、相当なエネルギーが必要ですが、不適切な食事制限は、体への負担が強まってしまうのです。
10代の無月経により、長期的な目で見た時には、不妊の原因となっていたり、骨粗鬆症からの疲労骨折を招いてしまったり、婦人科系疾患に悩まされてしまったりと、問題が起こってしまうのです。
長距離選手では10代、20代であっても、高齢者のような骨量になっている方も多いとのこと。
その状態で転倒してしまったら、骨折が起こるのも無理ありません。
そして最も問題なのは、生理の問題は自分一人で抱え込みやすいということです。
周りもそうだから、自分だけではない、自分だけ大きな声で「辛い」とは言いにくい。
男性の指導者である、親には話しにくいなど「打ち明けられない環境」であることも問題なのです。
ホルモンはコンディションを整える鍵
無月経とは
無月経とは3ヶ月以上生理のない状態をいいます。
詳しく言うとこの状態は続発性無月経といいます。
初潮前や閉経後、妊娠中、産褥期、授乳期には生理自体が起こらないため、生理的無月経であり、
病的無月経として、続発性無月経と18歳を過ぎても初経のないことを原発性無月経と分類します。
続発性無月経が起こる要因としては、
ホルモンを出す指令を出す、間脳視床下部
卵巣に指示を出すホルモンを出す、脳下垂体
エストロゲンやプロゲステロンを出す、卵巣
子宮内膜を厚くし、実際に経血が剥がれ落ちる、子宮
これらのいずれかに問題が生じることで無月経が起こります。
ホルモンの原料となるのは、コレステロールです。
コレステロールは、有機化合物であり、ホルモン以外には細胞膜の作成、胆汁分泌、神経伝達物質を生成します。
体重制限をされている方は、ホルモンの量も少なくなり、低エストロゲン、低プロゲステロンとなることから、骨密度が低下し、疲労骨折を招いてしまうのです。
体重制限もしているため、摂取するエネルギーも不足し、体脂肪率が22%を切ってしまうと、生理に異常が出やすいというデータも出ています。
さらには、エネルギー不足は、免疫、内分泌、代謝、血液、心血管系、消化器系、骨の健康、成長発達、心理と影響し、「月経機能」まで異常を来します。
ホルモンの司令塔
ホルモンを司る、間脳視床下部は自律神経の中枢でもあります。
体温調節、血圧、心拍数、摂食行動、飲水行動、性行動、睡眠、子宮筋収縮、乳腺分泌、怒り・不安などの情動行動調節、内分泌中枢
といった生命に関与する中枢です。
精神的ストレスは容易に影響することから、生理の不調がでている場合、特に「無月経」の場合には、アスリートであっても無視できない問題なのです。
これはもう多くの女性が抱えている問題です。
10代の思春期の大切な時期であれば、親や指導者の理解が絶対的に必要なのです。
月に1度でいい。ペースをつかんでコンディションをあげよう
たかが生理、されど生理。
女性の生理は本当に奥深いのです。
アスリートであっても、この女性ホルモンが機能できているかどうかでコンディションが変わります。
海外の選手は特に生理に対して気をつかっている選手も多いようであり、アスリートレベルであれは「ピル」をうまく使う選手も多いようです。
でも今ではオーガニックに関して理解のある方も増えてきており、薬を使わずにケアしたいと思う方も多いのが現状です。
それであれば尚更「月に1度の生理」に目を向けていくべきだと考えます。
そもそも、今もう暫く生理が来ていなくて・・・という方、
まずは受診をして、今の自分の状態を把握することがコンディショニングの第一歩です。
そして、現状から見直していくことをお勧めします。
自分の今の食生活(食事量、バランス)
生活習慣、
無月経になるまでの生理周期、
自分の体重と体脂肪率、
基礎体温、
平熱、
腸内環境(便の状態)、
また、しっかりと「体も心も休めているかどうか」も重要です。
自律神経のスイッチがうまく切り替わり、体をメンテナンスしてくれる時間に寝ること、細胞が修復・再生できる環境にできることも重要なこと。
つまり、「健康」であることです。
体を鍛えている選手であっても、体の根本を見直すことが大切です。
体を作る食、消化吸収排泄ができる腸、バランスとるホルモン、心の安定。
どれをとっても必要なことなのです。
情報だけでも、持つことに価値がある
冒頭にも書きました、「無月経」も問題ですし、それによってリスクが高まる「骨折」も問題ですが、
最も問題なのは、見逃されていること、理解されていないことだと思います。
生殖機能は体の一部です。
大切な命を育む場所。
今の目の前のゴールも大切ですが、将来的なゴールや目標を見据えて動けることはもっと大切なことだと思います。
若い時期に体の基礎がなければ、数十年後に老化する体にかかるリスクは計り知れません。
骨折は一つの例に過ぎませんが、いつ、どんな時に衝撃が加わって、影響がでるかはわかりません。
不調は見逃さず、見つめてください。
そして、周りの人たちから、助けてあげることも何より重要なのです。
将来の自分の子供に、家族や友人のために、自分のために、伝えられる人が増えますように。
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