正しかったおばあちゃんの知恵|国際中医薬膳師が教える最強の薬草「どくだみ」と「よもぎ」の効能と食べ方
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春に出てくるそれは雑草?薬草?
春は、さまざまな生き物が目を覚まし、活動を始める季節。
同時に、草木も新たな芽を付け、成長し始めます。
と言うと、とてもステキに聞こえるのですが、
実は、雑草などに悩まされるのもこの季節。
冬の間はお庭の草取りをしなくて済んだのに、
春の雑草たちの生命力には、本当に目を見張るものがありますね。
そんな雑草たちの中に、食べられる野草があるのをご存知ですか?
食べられる野草は、わざわざ山へ行かなくても、
ちょっとした野原や、田んぼや畑がある所では、そのあぜ道など、
意外と身近な場所に生えているものです。
例えば、菜の花、ふきのとう、つくし、たんぽぽ、
それから、ぺんぺん草とも呼ばれるナズナや、
セリ、ハコベ、などは春の七草としても有名ですね。
これらの野草、実はちゃんと効能をもった、立派な食材です。
こんなに身近にあるのに、知らなきゃもったいない!
数ある野草の中でも、素晴らしい効能を持った雑草、
いえ、ぜひ薬草と呼んでほしい、
どくだみとよもぎの効能について、ご紹介いたします。
正しかったおばあちゃんの知恵
私が小さい頃、おばあちゃんは自然の大先生でした。
野原を駆け回っては、いつの間にか腕や足に切り傷ができていて、
おばあちゃんは近くのよもぎを摘んで、
揉んでから傷口に張りつけてくれました。
また、鼻づまりがひどく、蓄膿症と診断されたときには、
毎朝どくだみの葉を摘んで、煎じて飲ませてくれました。
どくだみ煎じ液は臭いがあり、子供の私はイヤイヤ飲んでいましたが、
朝にどくだみの煎じ液を飲むと、昼くらいには、いつの間にか鼻の通りが良くなっていて、
鼻詰まりを気にせず思いっきり遊ぶことができました。
そんなおばあちゃんと薬草の思い出。
東洋医学を勉強してからは、イメージがガラリと変わりました。
実際に、よもぎには止血効果があり、どくだみには殺菌効果や消膿効果があることが分かり、
おばあちゃんの知恵は正しかったのだと、驚いたものです。
現代は西洋薬に頼りすぎ?
ちょっと昔は本当に身近な薬草だったどくだみやよもぎ。
一体いつから、雑草として厄介者扱いされるようになったのでしょう。
そもそも、漢方薬としても使われる薬草は、
摂取することで自身の治癒能力を助けて、
傷や病気を治してくれます。
でも、現代では抗生物質などの西洋薬に頼り、即効性や治療効果が重視されるため、
体がかかえている根本的な問題や、もともと備わっている体の治癒能力は、
無視されてしまっているような気がしてなりません。
これでは、せっかくの治癒能力も、
衰えてしまうのでは?と、ちょっと心配になってしまいます。
さすがにこの現代で、よもぎやどくだみを揉んで傷口に当てることはないかもしれませんが、
でも、こんなにすばらしい効能をもっているのに、雑草として駆除されてしまうのはもったいない!
その効能を知り、適宜に生活に取り入れていきましょう!
「十薬」とも呼ばれるどくだみ
どくだみの成分
ちょうどそろそろ梅雨かなあ、と言う頃、小さくて白い可愛い花を咲かせるどくだみ。
繁殖力が強く、見たことがある方も多いと思います。
しかし、葉を摘んで嗅いで見ると…
びっくりするような、独特なにおいがあります。
そう、どくだみと言えば、あの独特のにおい!
においの原因は、デカノイルアセトアルデヒドという精油成分です。
この精油成分は、実は抗菌作用バツグン!
食中毒やとびひ、肺炎などの原因となる黄色ブドウ球菌や、
肺炎球菌などの細菌を抑制する作用があるのです。
ただ、残念なことに、乾燥させてお茶などにしてしまうと、
この成分は失われてしまうことが分かっています。
他にも、どくだみには、
クエルシトリン、イソクエルシトリンなど、
多くのフラボノイドが含まれており、
血圧の調整や、利尿・緩下効果、
毛細血管を強化する作用などが期待できます。
また、人間の身体に必要不可欠なミネラルである、
カリウムが多く含まれており、
利尿効果や高血圧の予防にも効果的と言われます。
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薬膳的効能は?
どくだみは、「魚腥草(ぎょせいそう)」とも呼ばれ、
そのまま生薬名にもなっていますが、
日本ではもう一つ、「十薬(じゅうやく)」と呼ばれることもあります。
これは、十種、もしくはそれ以上の効能を持つ、
と言われたことからその名がついたそうで、
古くから様々な効能が見出されていたことが分かります。
では、どくだみの食性(温熱/平/寒涼)と、食味(甘/鹹/酸/辛/苦)、帰経(どの部位や臓器に作用するか)、
そして効能を見てみましょう。
性味と帰経
性味:辛/微寒帰経:肺腎膀胱
どくだみ(魚腥草)は、生薬として使用される場合、
清熱解毒、排膿消瘍、利尿通淋などの効能があり、
肺熱による肺炎や気管支炎、腸炎や膀胱炎、腫れ物、排尿トラブルなどの治療に使用されています。
また、清熱と消腫作用があるので、湿疹や、化膿性の腫れ物などには、
生の葉を揉んで患部に当てると良いそうです。
これ、まさにおばあちゃんの知恵!ですね!
どくだみの美味しい食べ方
やっぱりどくだみ茶
どくだみはとても身近で、比較的手に入りやすいのですが、その独特の臭いのせいで、生食にはあまりむかない食材です。
私も、おばあちゃんが煎じてくれた、
生のどくだみ葉のどくだみ液を飲んでいましたが、やはりその臭いはかなり強烈でした。
でも実は、どくだみは、高熱を加えたり、乾燥させることで、
においがほとんど気にならなくなります。
そのため、やっぱり乾燥させてどくだみ茶として飲むのが一番!
前述したように、抗菌作用は失われてしまうのですが、
それでも、どくだみ茶には、便秘、高血圧予防、吹き出物、浮腫み、などの体質改善が期待できます。
美肌に!どくだみ&ハト麦茶
おススメの飲み方はこちら、
「どくだみ&ハト麦の美肌茶」です。
はと麦は、できるだけ精白されていないものの方が香りも良く、
どくだみ茶の独特の香りをカバーしてくれます。
また、はと麦にも浮腫みをとる利水効果や、ニキビや吹き出物をとる効果があるので、
美肌には最強コンビですね。
ただし、体を冷やしやすいので、がぶのみはしないようにしましょう。
ゆったりとデトックスタイムを楽しむのが良さそうです。
「ハーブの女王」よもぎ
よもぎの成分
よもぎ、と言えば、草団子などの食べるもの以外にも、
よもぎ蒸しやよもぎ風呂、体に良いイメージですね。
こちらも、とても身近な薬草の一つですが、
実はすばらしい効能をたくさん持っています。
まずは、その成分を見ていきましょう。
よもぎには、カリウム、カルシウム、
ビタミンC、カロテン、食物繊維などが豊富に含まれています。
参照:七訂日本食品標準成分表
特に、不溶性食物繊維は、ホウレンソウの約3倍もあり、
あの食物繊維代表野菜のごぼうよりも多く含まれています。
便秘気味の方には、ぜひ食べてほしい薬草です。
また、よもぎに多く含まれているβ-カロテンは、
体内で必要に応じてビタミンAに変換されるため、
β-カロテンとビタミンAの効果を併せ持つ万能な成分です。
ガンの予防や抑制、視力低下を抑制したり、
口や鼻、肺などの粘膜の健康維持、そして美肌にも良いとされています。
そして、よもぎに含まれるクロロフィル(葉緑素)。
ほうれんそうやニラなど、緑色の濃い野菜に含まれている成分です。
クロロフィルには、貧血の予防と改善や、コレステロール値を下げる効果もあります。
薬膳的効能は?
よもぎの生薬は、「艾葉(がいよう)」と呼ばれますが、
艾葉は止血薬などとして使われている他、さまざまな効能があり、
「婦人科の要薬」なんて呼び名もついているそうです。
よもぎの性味と帰経を見てみましょう。
【性味と帰経】
性味:苦辛/温帰経:肝脾腎
よもぎには、体を温めて冷えを取り、痛みを取り除く効果があります。
この効果により、月経不順や生理痛、不妊症の改善などに用いられます。
また、出血を止めて血を補う効果もあり、
不正出血などにも効果的とされています。
よもぎの生薬「艾葉」は、
婦人科の疾患にはとにかくよく用いられる生薬で、まさに「婦人科の要薬」の呼び名にぴったり。
また、よもぎ蒸しなどにも代表される、
体の中から温める作用は、冷えやすい現代人にはうれしい効果ですね。
よもぎは活用方法いろいろ
よもぎの活用方法は、食べるだけではありません。
実は、お灸の材料となるもぐさは、
よもぎの葉の裏の綿毛からできている、とご存知でしたか?
お灸は、古くから利用されてきた、病気の治療法の一つで、
健康維持はもちろん、さまざまな症状の治療に用いられるほか、
リラックス効果もあります。
何百年、何千年の歴史をもつお灸ですが、
今も変わらずよもぎを原料としており、唯一無二の存在感をうかがわせますね。
また、よもぎは虫刺されや切り傷への外用薬としても、
昔から活用されてきました。
よもぎはどくだみ同様、
先人の知恵が結集した、天然のお薬と言えそうです。
よもぎの美味しい食べ方「よもぎ団子」
よもぎはあまり強いクセもなく、比較的使いやすい食材です。
新鮮なよもぎは天ぷらなどにしても美味しいですが、
おススメは子供も大人も大好きなお団子です。
材料
よもぎだんご粉
甘酒
よく洗ったよもぎを軽くゆで、刻んですり潰します。
だんご粉によもぎと甘酒適量を入れ、水を加えながら捏ねます。
耳たぶくらいの柔らかさになったら丸くまとめ、
茹でて出来上がり。
甘酒ですっきりとした甘みになります。
お好みできな粉をまぶしても美味しいです!
よもぎ団子を見ると、春だなあと思うのは、
私だけではないはず。
春の行楽のお伴にもぴったりですね。
自然の恵みで美味しく美しく健康に
効能もりだくさんな、どくだみやよもぎ。もし、家のお庭に生えていえたら、
それはとてもラッキーなことです。
すぐに、ワンちゃんなどがおしっこなどしないよう、
囲いを付けましょう。
そして、ぜひ自然の恵みを味わってみてください。
自然のパワーを少しだけ借りて、
美しく、健康な体を目指したいものですね。
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