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Organic Life to all the people.

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本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ IN YOU Market 本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
IN YOU Market

【インタビュー】無化学肥料、無農薬、美味しいを追求する”Ome farm”アパレル業界から農業者に転身した異色の経歴を持つ太田氏に聞いた、オンリーワンの農家の在り方から学ぶ子供たち未来へのヒント

「安全で安心、そして美味しい野菜。それは当たり前のようで、当たり前ではない。

日本は残念ながら、農業においてもオーガニック業界では遅れていると言われているが、実際にそうなのだろうか。

本当に安心・安全を手にいれるために、私たち消費者も一緒に考え、行動する必要がある。

そう話してくれた、東京・青梅市にあるOme Farmの代表太田氏に、農業をはじめたきっかけや働き方などを語ってもらう中で見えてきた私たちの課題とは?!


太田太氏(Ome farm代表)
東京都出身。2014年、アパレル業界から企業の農業事業に参加。同企業が撤退後、事業を引き継ぎ〈OmeFarm〉を立ち上げる。

アパレルから農業へ、人生を変えた選択

—就農される前、ファッション業界でお仕事をされていましたが、どのような内容のお仕事だったか教えてください。
アメリカから帰国して、自分には何ができるかをずっと考えてました。

あれがやりたい、これがやりたいって言ってても、結局何もできないのはダメだと。

なので、僕は在米生活の時の様になんでもやろうと思っていましたが、むこうで培ったものがあるので、営業か広報に関わる仕事で、あとは外国人、世界の色んな人と一緒に仕事がしたいと思ってましたね。

外資系の企業からいくつかお誘いがあったんですけど、自分の父親に話したら、外国人に対して俺たちはこれやってるんだって、日本から勝負できないとだめだってぼろぼろに言われて、普通だったら反抗したい気持ちになると思うけど、僕の父親は国内でも有数のブランドを率いてた人で、結果も出していたし、その経緯も横で見てきたから、グーの根も出なかったです。

言っていることがすごい正論で、その当時の自分は、もしかしたら俺はものすごくかっこ悪い道に行っているかもしれないと思ったら、考えが変わりました。

20代後半まで、アメリカやブラジルにいたこともあって、最初は国内の企業に入ることに抵抗がありました。

日本人としての働き方、日本社会に馴染めるのかなっていう気持ちがありましたね。

縁あって日本の某アパレル会社に入社して、英語とスペイン語ができたので、海外ブランド事業に携わったり、、国内外の展示会でどんどん営業かけたり、広報する、展示会自体を運営する、という日々でした。

そんな中、スペインの某ブランドからうちのブランドに来ないかって誘いもあったりで、僕はまた親父に相談するんですけど、そのことを伝えたら、

「んー、まー行きたければ行っても良いけど、それはスペイン人の子分だな。

前にも言ったと思うけど、親が(親分が)スペイン人になるってことは、もうスペインのために働くってこと。日本人から(お金を)とるってことだよ、スペインのもので。

それがやりたいならそれでも良いんじゃない?!スペインを愛してるならそれでいいし、
国籍をスペインに変えるくらいじゃないと」

って言われて。

またか!って悩んだり、、、ファッションの世界での仕事はそういう葛藤の連続でしたね。

—ファッション業界から・農業、飲食ビジネスに興味を持った理由はなんですか?また最初から農家へ転業することも頭にあったのでしょうか?

転職は、最初ファッション界・アパレル業界にこだわっていました。

自分がこの業界引っ張っていかないといけないという自負もあったし、子供のころから関わっている、みんなファミリーのような存在でしたから。

その当時は、ファッションをぬるい仕事にしているのは、時代のせいもあるけど、自分たち自身だなっていうのがあって。でもある時をきっかけに、ここには世界と戦う、これ(頭)がない、これ(ハート)もない、気持ちもなければ、そろばんもはじけない、これではダメだと気付いた。。

ほかの国内外のブランドからもオファーがありましたけど、次世代のことをやっていかなきゃいけないんじゃないかなって思っていて。

全く違うことするしかないって思ったんですよ。

その時30歳になって、かみさんと結婚して子供生まれたんですけど、ちょっと病気だったということもあって、夫婦で夜中までどうするかを話し合いました。

日本特有の“結論がでない話し合い”がお互い一番嫌いなタイプだったので、考えるよりもアクトしようって、何をどうするという話を徹底的に議論しました。

僕たちは議論をとても大事にしています。

議論はお互いのことを論破するためにやるんじゃなくて、物事をよりよくするために進めることなので。

そんな中、妻は西洋漢方の方にいって、僕は農業の方に興味があったということです。

ヨーロッパ行ったときに、電車の中から見える一面農場しかない景色に、一番心が落ち着いたこともあって、もともと農業自体には興味があったんですよ。

あとは、南米、ブラジルとアルゼンチンに行ったとき、なんでこんな態度が大きいのだろうと思ったときに、

飢えたことがないからだって気づいて。アルゼンチンってすごい広大で、食べ物つくってるから食糧自給率が高くて、

たとえ戦争で負けても飢えたことがない。飢えたことがない国ってこんなに強いんだって、肌で感じてたので、

農業って強いんだなって思っていて。何もないところからポンって食べ物とってこれるので。

僕はニューヨークにいた時、ユニオンスクエアのマーケットで野菜とかを買っていて、生産者とちょっと交流があったので、日本の青山のファーマーズマーケットを見て、こういうのあっていいねって。

でもむこうの野菜ほどおいしくないよなってずっと思っていて。

これ、もっとうまくつくれないかなって色々考えて、できるって結論に達して今に至るんですけど。


Ome farm kitchen店内

やれることはすべてやる、Ome farmの原動力とは

—新規の農業参入でご苦労されたこと、
そのご苦労を乗り越えさせた原動力とは何ですか?乗り越えた原動力とはなんだったのでしょうか?


辛かったことは、ファッション業界の賛同も得られなかったし、農業界の賛同も得られなかったことですね。

農業界からしたら、ファッション屋とか倉庫屋が農業界に参入してきたよ、というような見方をされて。

ファッション業界からは、なんかわけわかんないこと始めた、と。裏切り者とはけっこう言われましたよ。

それはすごいショックだった。

原動力は、娘です。

娘は生まれつき先天性の疾患があったけど、どんどん数値が良くなってきて、1年半ほど経過した段階から徐々に、(生後7日からずっと飲ませ続けてる)薬をやめてみようって。

血も、数字もうそをつかないから。本人の体をつくってるのは食だし、僕らがつくってるごはんを小さいころから食べていて、面白いくらい数値として表れてくるので嬉しかったです。

あとは、やっぱり良いシェフが認めてくれるようになってきたことです。

例えばファッションだったら、工場で良い生地つくったんだけど、その生地をデザイナーが認めてつかってくれるようになってきたようなことで。

ほんとにシェフたちに認めてもらったことが僕の中でとても大きい。

—Ome Farm様ならではの農業の特徴をあげるとするならばどこでしょうか?

特徴はありすぎて、これだって言えるものはないけど、やれることは全部やっているってことかな。

一言でいうと。

やれることは全部、やる。

実際ファーマーズマーケットとかでていても、東京の野菜だから放射能が…とか気にされる方がとても多いんですよ。

最初はそういう人たちに理解してもらえるよう躍起になっていたけど、今は違いますね。

書類上全て通ってるんです。土や作物に関して、すべてエビデンスちゃんととっています。

放射能の基準値に当たり前だけど全然ひっかからない。

だって子供に食べさせるものだし、自分たちが食べるものだし、それは気にするでしょう。逆に気にしないでつくってるって思われてる人が多いということに危機感を感じます。

—養蜂にも取り組んでいらっしゃいますよね?

養蜂はみつばちの化身みたいなスタッフがやっています。

彼がアジア一の養蜂家になっていくっていうストーリーが、青梅ファームではひとつのストーリーライン。

この間30歳になったばっかなんですよ。うちの養蜂家。

何十年やってもたどり着けない域に、彼はすでにいる。
すごいですほんとに。達人です。

彼らにとっては、蜂蜜を売るっていう行為自体は、養蜂を続けるための糧にするからなのでビジネス色がないんですけど。

僕たちも蜂蜜を前面に売っていきたいというよりは、蜂蜜もありますよってくらいです。

良く非加熱の蜂蜜をこの値段で売ってると、蜂蜜の価値が分かる人には、なんでこんな安売りしてるの?まがいもんじゃないの?とか言われるんですけど、大事なことは、適正な値段で続けてもらえるってことなんじゃないのかなって思っていて。

買いにくる人は毎週ファーマーズマーケットに買いきてくれますし、ほんと美味しいし。レベルが違う。


Ome farmの非加熱蜂蜜


—伝統野菜の栽培を大切にされる理由はありますか?

東京の野菜はやりたいですよね。
地のものなので。

あと世の中いろいろな選択肢がある中で、やっている人があまりいなかった。

1つの選択肢として伝統種、固定種やりたいねって。

掛け合わせ品種は子孫を残せないので。

要するに、アメリカ人と日本人が結婚して、ハーフが生まれる、どっちにどんな劣性、優性が出るか分からないわけじゃないですか。

その劣性、優性を固定していく作業なんですよ固定種って。

固定種は信用ができます。

F1はぱっと芽吹くには良いんだけど、例えば外見は小松菜なんだけど、実際の中身は実は青梗菜やタアサイの要素が強かったりするわけですよ。

色々違うんですよね。

固定種はより信頼できるし、絶対そっちの方が良いと僕らは思えるから。

子供たちに対する、残していけるものとしてある1つの選択肢です。

でも押し付けたくないし、これじゃなきゃダメだよとも言いたくない。

選択肢として、ちゃんとした農業ができるってことを残してあげたい。

畑から食卓へ”Ome Farm Kitchen”

—浅草橋にオープンしたOme Farm Kitchenのオープンにはどのような思いがありましたか?

自分たちでなんでもやっていけるようになるというのが今後の課題です。

シェフたちとの歩みを辞めないのは絶対ですけど、一般の方とのチャネルをもっと強くしていきたいと思っているうちの1つで、ここ、Ome farm kitchenを強化していくこと。

自分たちのものを食べられる場所をつくって、無農薬野菜への敷居を低くする。無農薬の野菜を食べる行為を

バカ高いものにしないということをここでは大事にしています。

ここの食事は、畑から食卓へというコンセプトで畑で食べる賄いを意識してます。

実際に僕らが畑で食べてるようなカレーとか、オーバーライス、ボウルとかのスタイルを提唱してます。

仕入れているワインも、例えばこれは、プライベート畑でつくっているものだから農薬いっさい使っていないものです。

自分たちのためにつくっているので、認証はばかばかしくてとらないよって人たちのワインです。

野菜に合うワインしか入れてないし、野菜に合わないものはいれない。

固定種とか在来種とかやってるっていうのもあって、ぶどうもなるべく出来るだけ混合品種じゃなくて、単一品種っていって、1つのぶどう品種しか使ってないワインを揃えたり、そういう裏でテーマがあって、ブドウの味を楽しんで欲しいという気持ちもあります。

ワインが好きだから、そういうセレクトを心掛けてやっています。

日本の食、有機農業について思うこと

—実際に異業種から転職されて、日本の有機農業の問題点はどのようなことだと考えていますか?

認証にしばられてること。

化学合成農薬じゃなければ有機認証とれますって何かを野菜に吹きかけてるんですよね?!

その何かって嫌じゃないですか?

シンプルにそのまんまでいいじゃないですかって思います。

それを理解してもらうためには、具体的にどういうことがオーガニックなのかっていうことを、実践していかなくてはいけないと思っています。

僕たちは認証をとりません。この間フランス大使館から、なぜ青梅ファームは認証をとらないのか?というようなインタビューがあったんですけど、しっかり答えました。

フランスっていったら世界一の有機農業大国、認証国家なんですよ。

bioスーパーの数とかもコンビニ並みにありますし、パリでいえば、2つに1つくらいはあるんですよ。

郊外でもビオスーパーだってあります。考えられますか?

そういう所は、大きなスーパーマーケットで認証とってるものしか置いてないんですよ。

それはすごいことですよ。

すごいんだけど、じゃあその基準ってどんなものかを聞いていると、要するに、一言で言ってしまえば何もケミカルなものを撒かなければ、ひっかからないんすよ。

もう、すごい簡単でシンプル。

何も混ぜない、化学のものを使わなければ、オーガニックなんですよ。

だから使わなければいいっていうだけのこと。

使わずにやり続ければオーガニックだよねって。

JAS認証の数値もクリアしているんですけど、とりません。

とらない根拠はなんですか?って質問もよくあるんですけど、

お芋1個の認証をとるのに、年間何万円も払って、お客さんにその額を商品に(値段に)のせるのっていやだよね?って。

お客さんには、自分たちはこうやってやってます、ということをてすべて見せてます。

SNSとかもあって、見てわかる時代、本物だってわかる時代だって思ってます。

例えば、あるグルメサイトの評価でも、これ全然違うなって、食べてきた人からしたら、

写真見てもちゃんとわかる。

写真見て分からないって人が騙される。

つまり、自分の中でデータが蓄積されてない人間が間違えるだけなんですよ。

僕らは、農業で堆肥をこうやって仕込んでますよとか、やっているとこをどんどん公開しています。

東京都にエコ認証っていう認証があるんですけど、エコ認証100、エコ認証75、エコ認証50、エコ認証25があって、僕らは当然100でした。

エコ認証100は、農薬を一切使ってません、というだけの認証です。

去年までの冊子とか見せてもらったら、同じページにエコ認証25があって、これは75%くらいに相当するような農薬がかかってるということで、25の部類に値するということだったんですけど、

このエコ認証25の人と、100の人を一緒のページに載せる、その意味はなんだろうと思ったんですね。

とても腹が立ってしまって…。

これを貼るメリット聞いても、メリットに聞こえない。

そしてとうとう3年目にして、うちのスタッフが「太さん、更新しなくて良いんじゃないですか」って。

要するに、何もしてないんだから潔白なわけで、そこから認証はとってません。

0か100で言って欲しいし、100も25も一緒にされる日本の社会って曖昧だなって。

—気候変動などの問題に直面している今、SDGsの問題はオーガニックが解決のカギをにぎっているとも言われています。循環や土、無農薬へのこだわりなどから、オーガニックということをはじめから意識されていたのですか?

SDGsを特段意識したことはありません。

循環型農業をやるってことは、食卓のことの改善も含めて、生ごみを減らして、生ごみを堆肥化して土に戻る行為も含めて、循環型農業は自然にSDGsに当てはまっちゃうんですよ。

だからいろんな人にどんなことを具体的にやってますか?って聞かれたときに、うちの活動、やり方をみれば、そっくりそのままSDGsに入っていますというのをいつも説明します。

SDGsで言えば、牛、豚は今後減らすべきだと思います。

美味しいんですけどね。減らした方が良いと思います。

スーパーのあの山のように並んだお肉すべて売れないですよね。

フードロスの最たる例として、牛、豚は絶対あると思う。

鶏もそうですけど、45日ですごい太らせて国産若鶏って売ってるけど、そもそも鶏を45日で出荷するっていう仕組みがすごい虐待だと思う。

ひよこを買ってると、45日ではこのくらい(片手で持てるくらい)の小さいサイズにしかならないんですよ。

スーパーに行くともも肉のサイズってすごい大きいじゃないですか。

まだ子供なのに体だけやたらでかくなっちゃう。

卵に関しても“平飼い”表記も怖いもんで、3歩歩けたら平飼いですからね。ぎゅうぎゅうに飼うことになる。

バタリーケージじゃなきゃ平飼いなわけですよ。

養鶏場の中の写真をすべてをSNSにあげられるところがどれくらいあるのかなって。

フランスで一番の金賞とってるフォアグラのメーカーがあって。

そこに内部捜査が入って、内容が問題になって生産方法見直しましたからね結局。

そこがすごいのは、罰則を与えるだけではなくて、生産方法を見直させる。

見直したら、また買うから頑張れよって社会が認めてくれる国、

フランスは一流だなって思いました。

がちょうの首を捕まえて、チューブで流動食のようにどんどん食べさせられて、鶏は吐けないからぐったりしてる。

ぶくぶく太って、何日かしたら肝だけ抜き取る。

他のパーツは捨てるかミンチ。

それ見てて、そこまでしてフォアグラって食べたいの?って思うじゃないですか。

そういうの考えていたら、牛や豚も粗末に扱っていて、殺された彼らも報われないと思うんですよね。

スーパーに自分の一部が並んでるんだけど、誰も食べてくれなくて捨てられるっていう。

何のために生まれたんだろうって。


—有機の農業とか、自然農法や体に良いものを一生懸命つくっていても
他の慣行農業と比べると、高いという理由で売れない現状についてどう思われますか?


日本の野菜は安すぎる。

僕は農業者だけど、農家頭じゃないので。

例えば同じ手仕事でも、シャネルのバックは100万でも買うでしょ?って。

丁寧につくったエルメスのバック買うでしょう?それと同じだと思ってます。

たとえ高い値がついても、買ってくれるんです。

買ってくれた素材でシェフたちが最高の料理をつくる。

決して安い値段ではなくても、世界中からやってくるお客様がいるわけだから、そういう確固たる層がいて、評価してくれる人は評価してくれています。

僕たちはおまけはするけど、値引きはしません。

お店に対しても値引きするので、買ってください!という行為はしませんね。

だって自分たちの仕事を最初から、安くしてるっていうことですから。

それはちょっと違う。スタッフ全員が思ってることです。

ファーマーズマーケットではたぶん一番うちが平均価格は高いですよ。

お客さんにもはっきり言いますけど、でも彼らは「おたくのところ美味しいから値段に見合ってる」って言ってくれます。

結局世の中コストパフォーマンスだと思うんですよ。

こっちのほうの人参が100円高いけど、うまいからねって。

100円、50円の違いで、1万円の差があるものじゃないから。

いいじゃんちょっと贅沢しようよってお客さんが言ってくれます。

自然を相手にする働き方、在り方について

—どんな働き方を心がけていますか?

僕らがファーマーズマーケットに出る様になって、以前はリピーターさんが250人くらいでしたが、今は400人くらいはきてくれます。さらに、

毎週きてくれる店舗が10~15店舗あって、朝一、まだ始まる前からそのプロの方達が購入してくれて、その後に一般の方が買ってくれるんですけど、もうその最初の何店舗かのお客さんで正直、その日の最低売り上げが担保できています。

あとは400人のうちの1割、40人その日にきてくれたら、その一般のお客様40人と10店舗10人のシェフと、計50人で、その日の売り上げが担保される。

それプラス残りの50人は新規の方々。

はじめて会う人にこれを説明して、これはこういう効果があるよ、こういう味だよなど全部説明します。

新規50人のお客様と合計100人接客するって決めきって働いています。

最初はがむしゃらにやっていた時期もありました。

それは新規事業に絶対的に必要だと思います。

そういう努力が必要な時期があって、死に物狂いで、ハイエースにぱんぱんに野菜を詰めて持っていって、毎週20万以上売っていた時期があったんですけど、今は、15万でもいいなって思います。取引先が充足しているから。

ちゃんと売れてくれるし、がんばりすぎない。

マーケットで20万以上を死に物狂いで頑張って売ってたときは、みんなで前日20時まで用意してたんですけど、今は18時であがりです。

売り上げがたとえ5万円マイナスでもこの違いって大きくて。

2時間5人全員がフル稼働してるより、ちょっと早く休めれば良いよねって。

だから土曜日も頑張りすぎない。
日曜日はもっと頑張らない。

あれこれやめようからはじまる考えが良いです。

あれもやめよう、これもやめようって言って、どんどんやめる。

そのかわり、頑張るときは仕込みとかすごい頑張る、頑張らないときは頑張らない。

なまけ具合を徹底します。

みんなに無駄な努力をさせない。

昨日雨だったでしょ?
だから収穫も、あ、じゃあ今日ここでやめよっか。

こんな中、雨でずぶぬれで体調崩すようなら、収穫しなくて良くない?

という感じで。

それが出来ない時期ももちろんあります。

例えば、春に30店舗~40店舗くらいのオーダーが入っていたら、収穫日が土砂降りでも雨でも絶対やるんですけど、それはもう人生は生きてるだけで、辛いことだって厳しいことだって当然あるので、皆何も言わないです。

意固地に予定通りいかないことをヨシとしよう、ダメだと頑なに言うのやめようって思います。

こないだの雨の日は、みんなそれぞれの自分の手入れをやったり、片づけたりして、全員16時に上がりました。

キッチンも16時に終わり。

みんなそれぞれの時間を夕方から過ごします。

―農業に対して過酷なイメージがある方も多いと思いますが、そういう働き方もできると知れば、若い世代でもやってみたいと思う人が増えそうですね。

ただ、農業はいろいろやってからやった方が面白いと思いますけどね。

農業に挑むのは若くなくてもいんじゃないかなって思います。

会社勤めを経験してみるというのも良いと思うし、色んな経験をしてからでも遅くない。

ここのところ、いきなり独立志向の若い子の話も聞きますが、サラリーマンや会社勤めが嫌だという理由だけではなく、サラリーマンの利点とそうじゃない点と、ちゃんと感じてからやって欲しいですね。

誰でも勤まるものじゃないから。

会社から拒否されることだってある。
若い子にはそれを伝えたいですね。

生き方は一つじゃないけど、サラリーマンをやったことがないのに、サラリーマンに対してネガティブなことを言わないようにって。

―去年からコロナで飲食業界は営業自粛や短縮を余儀なくされ、農家も外食向けの野菜が売れないなど大きな打撃を受けました。Ome farmではどのような影響がありましたか?いま思うことを教えてください。

やりたいことがちょっとできなくなったことくらい。

コロナで世の中がこういうふうになっているって時に、僕らも抗おうとはしません。

ちなみにスタッフ同士では、ワクチンについては常々議論してましたけど。

人それぞれですが、ワクチンは絶対に打たない、打たせないというスタッフがほとんどです。

ちなみに僕は子供たちにいっさい打たせてない。

農業も、そもそも不自然な行いなんですよ。

もともとそこにないものを人間の勝手でつくってるわけだから。

あんまりにも不自然だと土が、ちょっとこれ無理だって!

拒絶反応を示すときに、虫は確実に出る。

ナウシカの世界ですよ。
宮崎駿さんはすごいなって思う。

今から40年前も昔にこんなこと言ってるんだと思うと。すごい!って。

土が虫を呼ぶっていうか。。。

虫が食い尽くしちゃうんですよ不適合な野菜は。

いーよって野菜だけは生かしてくれるんです。
これはいいよって。

ダメな野菜は虫に容赦なく食べられるし、だいたい手遅れ。

―虫に食べられる野菜は良い野菜って昔からよく聞きましたよね?

それは自然栽培、有機栽培の妄想に近いです。

強い野菜は食べられにくいし、弱い野菜、病んだ野菜は虫に食べられやすいのかなと。

どんぴしゃのタイミングで種を撒いたり、苗を定植出来ていれば、食べられる確率は減るけど、タイミング2日でも逃すともうアウトです。

農薬に関してなど、いろいろな意見がありますが、シンプルに美味しいものでいい。美味しいものをつくりたい。

争いではなく、リベラルに作り続けるってことは、みんなで良いものを食べるために、常々良いものをつくるために、議論を止めない。

農薬はなんで使うんだろうね。あればこういうときに使うからねって知識を持っているスタッフがいるから。

この農薬をなんで使うかっていうところに疑問を持たなくちゃはじまらない。

―農薬のお話がありましたが、除草剤は人員不足で仕方なくという話もありますが、それについてご意見聞かせてください。

グリホサート(除草剤)は、使わないと育たない種でやっているからだと思います。

そもそも種が合っていない。

F1種はどこでも芽吹くけど、周りに受け入れられなくて、周りに淘汰されちゃうんですよね。調和しない。

種の袋をめくると、小松菜って書いてあって、裏を見たら原産国デンマークとかって、書いてある。

オランダから小松菜の遺伝子がやってきて日本で育ててうまくいきにくいというか。

小松菜がオランダ産て不思議じゃないですか?

本当に使いたいのか、しょうがなく使わないといけないのか、もう1回考え直してみない?管理費の調整でどうにかなりませんか?とか、いろいろ突っ込みたくなっちゃうんですよね。

こうしたらいいーじゃないですか?!って。


Ome farmのブッタボウル

未来に向けて、本当に価値のあることを考える

―作る側も買う側も消費者側も知るってことが重要ですよね?

理解してもらうための土壌づくりが大切。

マーケット(市場・シーン)に理解する力がなければ意味ないとも思います。

例えば、僕たちがやってることは、海外のサッカーをWOWWOWで一生懸命放映しているみたいな感じです。

絶対日本の民放で世界のサッカー放映しないでしょ。それと一緒なんだと感じます。

昔おやじがサッカーマニアで、子供のころはじめて見た生でのサッカーの試合が、ヨーロッパを制したチームと、南米を制したチームの戦いだったんですよ。

親父がこれが本物のサッカーやでって。

もうパスが早すぎて見えないんですよ。
これはすごいなと。

海外ではこれが普通。

日本は後進国、日本が先進国って言ってるけど、バブル期のまやかしの呪文だから、信じたらあかんでって。

それから僕は信じたことは一度もないですよ。

日本は教育をおろそかにしてるって感じます。

例えば、皆に、みんな小学校から高校まで面白かった授業なんだったか言ってみろって聞いてたら、日本だとみんな考えこんじゃうと思う。

これだって思うものが本当はあるべきだと思う。

他の国の人たちみんなそれがあってすごいなって。

―子供達には、学ぶことが楽しいと思える環境にいてほしいですね。

フィンランドは落ちこぼれを置いていかない国だし、なんであれば好きになれるんだろうって考えて、プログラム施す国だから。

日本では、出来ない人は”落ちこぼれ”というレッテルを貼られてしまう。

ドロップアウトしたら、日本では永遠ドロップアウト。

アメリカですごいと思ったところは、ドロップアウトした人がカムバックしたら、普通に頑張ってきた人より評価する。

人が更生できない社会ってちょっと違うなって思うし。

現行のルールを守りながらどう子供たちに教えていけばいいのか、みんなで話したりしながら、よく考えてます。

みんな子持ちなので。みんな大体同じ世代で。

農場では、ニワトリと自分の息子遊ばせて、蹴られたら蹴られたで、ある意味意図的というか、ニワトリにうちの息子がいくのも、危ないからやめなさいではなく、一度蹴られた方が感覚でわかるだろうなって。

致命傷は受けないだろうなってその場で思ったから。

息子は蹴られたことで、びっくりしてましたけど、だから嫌いになるとかではなく、キックしたよ!面白いねって。

そうやって慣らしていけば、恐怖心って減ると思います。

あとは、ひよこを何回か人工ふ化で自宅でかえして、ひよこが生まれるところを子供たちに見せて、僕らの食べてる卵は、あっためたらこうなるんだよって、ぴよーんって生まれてくるところを子供に見せて。

子供の周りのまま友とか幼稚園のお友達とか全員うちにきて、そうやって命を知っていく。

ふ化したひよこは大事に農場で育てています。

―以前と比べて変わったなと思うところはありますか?

必要ないもの買わなくなりました。
だんだん本当に必要なものが変わってきますよね。

同じ1万円使うのも、1万円があったら、あと2万円足してお洋服買おうってことじゃなくて、この1万円で何ができる?!って。なんか色々できるよね。

子供の頃と違う価値観ですね。

ファーマーの人たちとはなんとなくそれが一緒なので。

1万円をつかって教育をしたいと。

例えば、昨日1杯目の赤ワインのぶどうが”カリニャン”という品種だったんですけど、娘が香りをかいだ後、これは間違いなく”カリニャン”だねって。(笑)

6歳ですよ。4杯目からスペインのワインに変えたら、(かいでから)”テンプラニーリョ”だよなっていうわけです。。

教育のたまものだよなって。

僕の一人飲みが娘の嗅覚に役立ってると思うと、単純に良いことだと思う。

最初、娘と息子は別のファームの人参の方をよく食べてたんですよね。

パパたちの人参は味が濃くてまずいって言ってました。

今は味が濃くてまずいって言っていた人参をよく食べるようになった。

最初はほんとに食べさせることに苦労したんですけど、諦めずにずっと食べさせてたら、
子供は野菜好きになりました。

子供はみんな野菜が大好きです。

昨日は人参と大根と平飼いの鶏と一緒にバルサミコで炒めたものと、うちのスタッフが育ててくれた白菜と豆腐いれただけ。

昨日はいつもと違うハムの食べ比べしようっていって、イタリアとスペインの生ハムを食べ比べさせて、わかるようになってきたり…。夜食べ過ぎないように言って、

うちのファームは朝昼はみんなで食べて、夜はちょこっと食べて終わり。

次の日の活力になるし、すぐと眠れるし。

昼はみんなで食べてます。

食事は援農してくれるシェフか、余ってる野菜などで僕がつくります。
農作業兼シェフ、もしくは僕がつくる。

一緒に農業やりたいって言ってくれる料理人がたくさんいるんで。

もちまわりですよね。
僕はずっとやってるから。

料理は大好きですよ。

食べるのが嫌いな人間は農業やっちゃだめだと思う。

自分のところの野菜がどうやって食べたらより美味しくなるのか言えないと、と思うし、1つの品目で30通りぐらい調理法答えるとか、逆に1つ、これなんだっていうのを言えて欲しい。

トマトはトマトだよではなくて、このトマトは絶対湯むきしないでねとか。

そういうスピリットみたいなものを感じないと、伝わるものも伝わらない。

言えないから安売りすることになるんですよ。

僕らの野菜はこれはこうやって食べてくれってたくさんあります。

―どんな未来にしたいですか?どんな未来であって欲しいですか?

親だったら誰でも自分の子供ににこにこしてもらいたいし、健康であって欲しいって思うんですよ。

ただその健康が、心身のにこにこっていうのと、(体の)健康というのがある。

心身の健康っていうのは、健康が保てる社会じゃないとダメですよね。

日本はとても不健康な社会だと思います。

今世界で一番ハッピーな国はニュージーランドだと僕は思ってるんですが、賢くて若い女性が、リーダーであり大統領という仕事が、権力者じゃなくて、単なるファンクションだということを示していて、

それを理解して彼女に票を託すという国民性があって、社会が後押ししている。

老人の知恵を拝借して、青年と壮年が頑張っている社会だから、素晴らしい国だと思う。

ちょっと前に銃乱射事件があって、ニュージーランド史上最悪の事件だと言われてますけど、その2日後に国会で、ピストル社会を辞めましょうって。

すごいスピード感だと思う。

ジャンクフードや暴力が横行している国は、心身ともに健康になれるはずがない。

僕らは僕らなりにどういうふうに日本社会に対してどう共存していけるか?

出荷しながら基本政治とか教育の話しかしませんね。

アメリカの良いところで、全然バックグラウンドの違う者が集まって、1つのトピックに関して徹底的に話し合うし、意見が合わないからといって『お前が嫌いだ』とはならない。

日本は同調圧力の国。

親分が黒って言ってるなら、本当は白なんですけど、黒だって言わされる。

軍隊等と一緒じゃないですか。

そういう社会において、農業って1個の選択肢なんですね。

僕たちは農業をかっこよくやりたいから。

よく農業をやっていると、ぼろぼろの服で苦労してるように言われることが多いけど、
汚れることなんとも思ってない。

なんだってできることを誇りに思ってます。

逆にきれいなアウトドアブランドの服を着てる人を見て、一回でいいからぼろぼろにしてみてよって。

そしたら、Patagoniaからプロユーザー認定されました。

僕が去ったファッション業界でも、理解者がいてくれて、光栄なことに一緒に仕事をすることも増えました。

その方々は、ファッションはライフスタイル全般だってもともと思ってる人たちです。

親父がずっと、ファションイコールこれ(服装)だけじゃないよって、

その女の子がどこの服来て、その靴履いて、どこに行って、誰と、何をする、というところまでがファッションだからって。

それわかってないとマーケットの視野が狭いよって。

アパレルだけ見てたらダメだよ、

その子がその服着て部屋にいるだけなら違うけどって。

今度とあるブランドと催事で、はちみつも一緒にだすことになって。

はちみつのラベルをうちのラベルでいこうと言ってくれて、そういうことも敬意を感じるし。

そういう人たちと一緒に仕事をすることも、僕たちにとっても良い刺激になります。

これからもそういう人との歩みを続けたいと思っています。(そのイベントは既に会期終了)

一方で、フードロス問題があったりするのに、子供たちが満足にご飯を食べれなかったりする社会。

矛盾してるじゃないですか。

でもその矛盾に対して目を背けないように、生きなきゃいけないんじゃないかっていうのは僕らはあるので。

お腹いっぱいであれば頑張れる。

将来的には、こども食堂には着手したい。

俺は本当に貧しい地域の出身なので、親はファッションを生業にしてるって言ったら皮肉で笑われる地元でしたから。


Ome farm kitchen
〒111-0053
東京都台東区浅草橋1-1-10-2F(「焼き鳥うにか」の2階です)

【営業時間】


★ランチ・タパスバル / Lunch, Tapas Bar

月曜-金曜/Monday-Friday
11:00〜14:00
17:00〜20:00(予約のみ)

土曜/Saturday
11:30〜15:00
17:00〜20:00(予約のみ)

★ブランチ / Brunch

日曜/Sunday
10:00〜15:00

【予約・Contact】

TEL: 080-9386-2914
email:kitchen@omefarm.jp
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インタビューを終えて
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「そうあるべきだ。そしてそれは叶う」と断言できる、清々しい彼らの姿勢が、とても心強い。無化学肥料、無農薬、現在の日本でなかなか実行することが難しいと聞いていたし、肥沃な土づくりには長い年月を要するとも聞いていたけど、彼らはたった1年で技術を習得し、試行錯誤を繰り返しながら、自分たちの感覚を信じて、素晴らしい環境、土を作り出した。自然と調和しながら、そんなライフスタイルを楽しみながら。「シンプルに、良いことをする」、自然が相手だけに、それだけではなかなか結果は出ない、大変な作業。でも、とにかく議論を止めず、歩みを止めない。エネルギーの塊を間近で感じる1日となりました。日本でも2050年までに有機農業の農地を25%まで拡大することが農林水産省から発表されましたが、太田氏の、常に前を向いて実行していく姿がスタッフの心の支えであるように、生産者を支える私たちも自分にとって本当に価値のあることや情報を自分で得ていく、そして考えることを止めず、良い方向へ、ただひたすらに進んでいきたいと、Ome Farm Kitchenの色とりどりの野菜を食べながら思うのでした。次は、大人気の自家製タバスコ、ワイン、そしてもちろんお野菜を一緒に。

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