【特別寄稿】僕たちが今、自然栽培をする理由|自然栽培農場「翔栄ファーム」の若き双子ファーマーが、生産現場からのリアルな声をお届けします!
【特別寄稿】僕たちが今、自然栽培をする理由
自然栽培農場「翔栄ファーム」の若き双子ファーマーが、
生産現場からのリアルな声をお届けします!
こんにちは。IN YOU journalです。
通常の農産物の栽培(慣行栽培)に使われる
農薬や化学肥料が私たちや地球環境にもたらす
様々なリスクについては既に多くの皆さんがご存知のことでしょう。
新型コロナウイルスによる混乱を余儀なくされた昨年以来、
皆様の健康意識は今まで以上に高まったと思います。
また近年、「SDGs」や「サステナブル」といった
キーワードが各種メディアで盛んに取り上げられ、
環境保護への意識も未だかつてないほど、強いものとなっています。
そして私たちの健康、そして地球環境に深く関わるもののひとつが農業です。
この農業が日々生み出す野菜や果物なくして私たちの命は成りたたないのです。
そこで今回は、農薬や化学肥料については
もちろんのこと、遺伝子組み換えがなく、
化学添加物も不使用の「自然栽培」にこだわって
生産を行なっている農場「翔栄ファーム」で働く、
兄・黒崎達也(クロサキタツヤ)さん、弟・黒崎裕也(クロサキユウヤ)さん
という双子の現役ファーマーに、これまでのおふたりの歩みや
現在取り組まれている農業の内容などについてのレポートをご寄稿いただきました。
翔栄ファーム・美濃加茂圃場(岐阜県)勤務の黒崎達也/下写真左、
そして同・竜ヶ崎圃場(茨城県)勤務の黒崎裕也/下写真右です。
一般企業での勤務を経て、兄弟二人同時に就農
兄・達也(以下、達也):まずは簡単に、僕たちの簡単なプロフィールからお話させてください。実は僕らは最初から農業の仕事をしていたわけではないんです。
それぞれ学生時代を経て、僕、達也は鋳造工場で4年程度働いてから就農、
裕也はイタリア料理店で調理補助などをした後に放射線技師養成のための
医療系専門学校に入学し、卒業後は、一般企業でやはり4年ほど働いていました。
弟・裕也(以下、裕也):「自然の中で働きたい」と就農を最初に志したのは達也です。
林業か農業での働き口を探していた時に茄子農家の求人を見つけました。
そして僕を誘ってくれたのですが、自分の場合は、
あくまで「なんとなく面白そうだからいいか」というスタンス。
そして、二人同時に就農することになりました。
茄子農家が契約満了になり、次はこんにゃく芋農家を選びました。
半年弱働いた茄子農家も、1年強働いたこんにゃく芋農家も、
いわゆる慣行農業の農家でした。
慣行農業の安全性に疑問を抱いた、
こんにゃく芋農家での体験
達也:そんな僕らがなぜ、自然農業を行う翔栄ファームで働き始めたかですが、それはこんにゃく芋農家での、ある体験が関係しています。
こんにゃく芋は作付けや収穫が終わると土壌消毒をするのですが、
これが防毒マスクをつけての作業だったんです。
これほど危険な作業をする環境で育つ野菜を食べることに不安を覚え、
自然栽培を目指すようになりました。
裕也:なんとなくで始めた農業でしたが、次第に面白みを感じるようになりました。
ただ、茄子農家もこんにゃく芋農家もアルバイト扱いだったため、
今後は社員として働きたいという強い思いがありました。
そこで実家のある高崎市から比較的近い、龍ヶ崎市にある翔栄ファームに興味を持ったんです。
未経験でもチャレンジできる環境でしたし、一から立ち上げる農業を兄弟で実践してみたいと考えていました。
そして兄弟一緒に仕事ができればさらに仕事がやりやすいと同時に応募、
二人とも無事に就職出来ました。
農業を通じて、安心で安全な食環境を実現したい
達也:現在僕は、美濃加茂圃場(岐阜県)で作付け計画策定、生産を担当し、裕也は、竜ヶ崎圃場(茨城県)にて作付け計画策定、生産、宅配作業などを行なっています。
僕たちが働く翔栄ファームでは、農薬・化学肥料不使用、遺伝子組み替え、
化学添加物不使用の「自然農業」を行なっていますが、
その根底には「食べることは生活の基本で、生きることに直結している」
という考えがあります。
現代病と言われるアレルギー、精神障害、発がん率、認知症の増加などの一因は食の乱れにあります。
人が本来持ち合わせている自然治癒力を低下させるような食が多くなっているのです。
昨今の技術の発展と時代背景によって、“食の安全”の概念が見直しをされる時代に
ようやくなってきました。
同時に食の安全は脅かされており、それを原因とする心身の病気も顕著になってきました。
これは企業が利益ばかりを追求した結果、
消費者を惑わすような、健康リスクの高い食べ物が氾濫する世の中が出来上がって
しまったことの現れでもあると思います。
このような状況を正しい方向に導くことが当社のとても大切な使命なのです。
裕也:その他にも当社では固定種・在来種の栽培も積極的に行なっています。
固定種・在来種は自然そのもので、環境負荷が少ないというメリットがあります。
さらに自分たちで育てた野菜の種を自家採種して、翌年以降にも
安心安全な野菜が栽培できるようにつなげています。
いわゆるF1種などの何がどのように影響してくるのかが不明確なものを手に付けることは
食の生産に携わる者としてはとても無責任だと感じています。
農業は、自然本来の形に作物が育つためにほんの少しの手を添えるという気持ちで
取り組むことがとても大切なのではないでしょうか。
大変なことが多い分、喜びも大きな「自然栽培」
裕也:実際の自然栽培では土づくりが一番大変です。また虫食いとの戦いにも苦労があります。同時に、作物を一からしっかり責任をもって栽培できることには大きなやりがいを感じていますね。
一方、日本の大半の農家が行なっている慣行栽培では、元気がなければ肥料を入れる、虫がいれば農薬をまく、
やることがルーティンでそこには生産者の想いのようなものが無いと思います。
実際にしたことはありませんが、これは子育てと同じようなものではないかと想像します。
全くマニュアルがない、ある種の自然との闘いのような農業で、
全てを一から考えてやれることは大きな醍醐味。
「生命あるものを育てている」という実感がありますし、不思議なもので、
手をかけただけきちんと結果も出るんですよ。
頻繁に雑草を刈らなければいけないことや、虫食いとの戦いはやはり大変です。
また化学肥料を入れないと野菜の生育スピードがゆっくりになるため、生育状況は常に気がかりですね。
でも逆に、そんな苦労があるからこそ、それが大きな達成感につながるのだとも思います。
達也:「自然栽培」や「固定種・在来種」の栽培以外にも当社では、
その土地の地力を早い段階で見極めて、気候風土にあわせた作付けを行うことを実践しています。
1年目がだめでも2年目に成功した作物も沢山あり、日々技術力をアップできるよう
各圃場のスタッフで情報共有を行っているんですよ。
翔栄ファームには、自分次第でいくらでも学べるという、とても素晴らしい環境が揃っているんです。
今期の自信作ナンバーワンはじゃがいも!
裕也:そうして作物を育てあげていくのですが、特に今期の一番の自信作はじゃがいもです。
種芋を切らないことで1株ごとの品質を上げる工夫や、
畑の土を細長く盛り上げた栽培床の畝を作る「畝立て」を2回実施したり、
虫の駆除も葉の裏のチェックを含めてこまめに3週間も続けた結果、実った自然の恵です。
これはじゃがいもに限りませんが、私たちが自信を持って提供できる安心安全な産物を、
消費者の皆さんに「美味しい」と食べてもらえることは大きな喜びです。
種取りをなどを通しての自分たちのオリジナルの野菜が作れることも嬉しくて仕方ありません。
達也:今期のじゃがいもの出来は確かに最高です。害虫対策(テントウムシモドキ)に一番手をかけ、
最低でも2日に1回手で駆除をし続けましたし、不必要な腋芽を摘み取る「芽かき」も丁寧に行いました。
自然相手の農業には、確かに大変なことも多々ありますが、
だからこそ、兄弟二人が同じ企業で働けている今の状況はとても有難いことです。
わざわざ話さなくても想いは一緒ですし、互いが今やろうとしていることが他の人以上にわかります。
それに、兄弟で取り組むと作業効率も不思議と上がるんですよ。
裕也:確かに、あうんの呼吸で仕事が出来るので作業はとてもやりやすいですね。
でも距離感が近く、仕事でもプライベートでもずっと一緒にいるので喧嘩も自然と増えてしまいます(笑)。
真剣勝負の仕事だからこそだとは思いますが、もちろん、基本的に僕らは仲良しです(笑)。
自然栽培の素晴らしさを世の中にもっと広めたい
達也:農業は厳しい世界ですが、兄弟共にやるならとことんやって替えの効かない人になりたいですね。
そういう人間になれたら結果的に自然栽培の良さも世の中にきちんと伝わっていくと信じています。
裕也:会社と共に人として成長して、農業人としても自然栽培の良さを広めていきたいでし、
技術提供を伝えられる人になりたいですね。
間違いなく体に良い野菜を作っているのでぜひ皆さん、
一度、翔栄ファームの野菜を召し上がってみてください!
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