水道法改正日本これからどうなる？｜水の値段が上がり続ける２０１９年水問題。水の値上げと大量生産の負のメカニズムとは

地球の表面の70％をも覆う「水」。
実は水は宇宙からやって来たという説があることをご存知でしょうか。

「原始地球に水を含んだ巨大な彗星が衝突。
その水は莫大な質量があり、生命を育む海が誕生した。」

2011年にハーシェル望遠鏡が地球と同じ水素同位体を持つ彗星を発見したことで、
一躍有名になった説です。

遠い銀河の彼方からやってきたかもしれない、生命の起源の水。
私たちはそんな宇宙からのギフトを当たり前のように利用してきました。

しかしながら、今、その「水」が当たり前のものではなくなろうとしています。
2018年12月、水道法改正の改正。

いったいなにが問題なのか。
そもそもどう変わったのか。
わかりやすく解説していきます。

水道法改正っていったいどんなもの？

Ｑ.水道法が改正されて何がどうなったの？

A.これまで自治体が行っていた水道事業を民間の会社が行えるようになりました。

より自由な民間の会社が運営することで、
お金の流れをよくし、古くなった水道管を新しくしたり
運営のむだを見直したりすることができるというものです。

民営化といっても、電力や郵便のように、
水道事業のすべてを民間の会社が行うのではありません。

運営方針を決めたり、設備を建設したりといった、
経営に関わる重要なことは、これまで通り自治体が行います。

会社が行うのは、水道料金を集めたり、
浄水場を動かしたりといった現場の運営と企画。

水道料金の設定も、条例の範囲内であれば会社が決めることができるようになります。

自治体の管理のもとでの、民間企業が商売するという、
こうした方法を「コンセッション方式」と言います。

Ｑ．水道法改正のなにが問題？

Ａ．水が必要な時に手に入らなくなったり、安全でなくなったり、
値段が上がるのではないかと心配されています。

世界には日本よりも先に水道を民営化し、
失敗した都市がたくさん。

南アフリカで1千万人が水道料金を止められ、
川の水を飲んだ住民がコレラに集団感染しました。

ボリビアでの値上げに対する住民の反対が、
暴動事件にまで発展しました。

パリでは1985年の民営化により、水道料金が3倍になり、2010年に再び公営化されています。

再公営化には莫大な違約金が発生するケースもあり、
アメリカでは2900万ドル（32憶6千万円）の支払いを命じられた都市もあるほどです。

Ｑ.そもそもどうして水道法は改正されたの？

Ａ．一言でいうと、財政難です。

少子化が進み、日本の人口が少なくなることで水道を使う人が減ってしまいました。
そのため利益が上がらなくなり、お金が足らなくなってしまったのです。

また、水道管の老朽化が日本全国で進んでおり、
地震や大雨などの災害によって破裂するといったケースが後を絶ちません。

大規模な水道設備の補修工事が全国的に必要ですが、
それにはたくさんのお金がかかります。

そこで民間企業の力をかりて、
資金を集めやすくする方法が取られることになりました。

また自治体を横断して協力する体制を作ることで、
組織をコンパクトにし、無駄をなくそうというのです。

水道法改正の日本、これからどうなる？

水がオーガニックから遠くなる？

世界には水道の民営化により、コレラが蔓延したケースや、
水質が下がり衛生上の問題が生じたケースが多くあります。

しかしながら、すでに衛生面での意識が高く、
自治体が基準を管理する方針の日本では、
考えにくいケースと言えるでしょう。

日本で心配なのは衛生上の問題というよりも、
「化学的な汚染」の問題です。

例えば、水道に当たり前のようにまぜられている「塩素」。

塩素を使うことで、よりたくさんの水を早く殺菌し、
大量に供給することができるようになります。

水道法では塩素の使用量に0．1mg/L以上との下限が定められていますが、
上限が決まっているわけではありません。

例えば民間の会社により、儲けの意識が強くなると、
より早く、大量に、安い水を供給するという方針がとられやすくなります。

そのために、今まで以上に塩素が多く使われる可能性がでてくるのです。

浄水場も「脱オーガニック」のシステムに統合される？

水道法改正により、自治体が連携し、一つの浄水場を運営するという、
水道事業のコンパクト化が進みそうです。

浄水場の統廃合が進むと、小さな古くからある浄水場は潰れていってしまうでしょう。

しかしながら、昔ながらの浄水場は、よりオーガニックで、
自然な水を安く供給することができることをご存知でしょうか？

その仕組みについて具体的に見ていきましょう。

水の値上げと大量生産の負のメカニズム

多くの自治体で採用される急速ろ過法とは？

日本の浄水場では、一般的に急速ろ過法と呼ばれる浄水方法が採用されています。

高度経済成長期に導入されたアメリカ式の技術で、
河川の水を薬品処理することで、
早くたくさんの水を利用者に供給できるというものです。

【急速ろ過法の工程】
①取水（川やダムからポンプで水をくみ上げる）
②沈殿（水に混ざっている砂や土砂など大きな粒子を沈める）
③薬品処理（アンモニウムや鉄、マンガンを塩素で除去。
　　　　　汚染が強い地域では、硫酸アンモニウムやポリ塩化アンモニウムなどの凝集剤を入れ、
　　　　　濁りの成分を沈殿・除去する）
④ろ過（上ずみを砂でろ過する）
⑤薬品処理（再び、塩素で消毒して完成）

オーガニックの観点から問題となるのは、③と⑤の過程で2度も行われる薬品処理です。

例えば、塩素には元水に含まれる有機質と反応すると、
トリハロメタンなどの発がん物質を発生させることがわかっています。

複雑な工程で水の値段が上がり続ける

急速ろ過法で浄化される水は、水質が悪いほど使われる薬品の量も多くなっていきます。
当然ながら、こうした薬品は使用量が増えるほど、コストがかかります。

また、水の汚れている地域ほど、化学処理の工程が増え、
ランニングコストや設備維持費、人件費がかさみ、
その運営費は巨額なものになっていきます。

今後も水が汚れるほど、薬品が使われ続け、
その費用のつけは、私たちの払う水道料金に還元され続けるでしょう。

今、見直される、昔ながらの「緩速ろ過法」

一方で、戦前から行われていた「緩速ろ過法」という技術があります。

この方法は浄水場にため池をつくり、
生物の力でゆっくり水をきれいにしていく方法です。

現在でも広島県三原市や名古屋市の一部の地域で採用されています。

緩速ろ過法は、ため池の中の藻の光合成の力で酸素を生成し、
水の中の微生物の住処をつくります。

池の中の微生物の食物連鎖の過程で、
アンモニアや鉄、マンガン、細菌などが自然に浄化されていくのです。

大自然のミニチュア版をのようなこの方法のメリットは、
電気や薬品をほとんど使用しないというところ。

ランニングコストが安く抑えられる上に、自然に近い、美味しい水を飲むことができます。

しかしながら、こうした旧式の古い浄水場は、
組織再編により真っ先に廃場の候補にあげられる可能性があります。

この方法を応用すれば、より安心でオーガニックな水を、
ローコストで手に入れられる可能性があるのに非常にもったいないことです。

本当にからだが求める水

自然に近い水道の水はきれいな結晶になる？

本当に体が良い水とはどのような水なのでしょうか？

世界的なベストセラー『水は答えを知っている』の著書である江本氏は、
世界の水道水を凍らせ、その結晶がどのような形になるかという実験を行っています。

世界の都市の水道水には、
きれいな結晶の形になったものとそうでないものがあったようです。


【美しい形の結晶】
ベルン、ＮＹ、ワシントン.Ｄ.Ｃ、ブエノスアイレス、マナウス

【形が壊れた結晶】
パリ、ロンドン、ベニス、東京、マニラ

実験では、山の雪解け水やアマゾンの大河など、
自然な水源に近い都市ほど、凍らせると美しい結晶ができました。

意外にもきれいな形の結晶ができたＮＹでは、
水道設備に樽を利用するなどの工夫がされているようです。

きれいな水源のある都市の水道ほど、当然ながら化学処理が少なくて済みます。

もちろん、結晶の形がきれいなほど、
体に良いことが証明されているわけではありません。

しかしながら、凍らせても結晶のできない水など本物の水と言えるのでしょうか。

人体の70％をも構成する水こそ、
自然に近い状態で体に取り入れる必要があるのではないでしょうか？

水道水を自然な水に戻す方法

水道水を浄化する方法

水処理により添加された化学物質は除去することが大切です。
浄水器の設置はもちろんのこと、
より自然水に近づけるには、次のような方法があります。

【水道水を自然に戻す方法】
1.鍋に水を入れる
2.15～20分程沸騰させる。（蓋はしない）
3.炭や石などの自然の物を入れ一晩放置する。

竹炭

多孔質構造が有害物質を吸着。天然のミネラルが含まれる。

麦飯石

多孔質構造の有害物質除去作用。塩素分解作用。イオン交換作用。
　　　　　　ミネラル化。PH調整（中性化）作用。

天然セラミック

塩素分解作用。マイナスイオン化。ミネラル化。
水のクラスター分子を細かくし、体に吸収されやすくする。

柑橘の雫一滴が水道水を自然に戻す

有機レモンや有機柚子、有機みかんなどの柑橘類には、
塩素を無害化する作用があります。

果汁に含まれるビタミンCが化学変化を起こし、
塩素を酸化ビタミンC・塩化ナトリウム(塩）・水に分解するのです。

250mlに果汁を1滴入れるという簡単な方法のため、
是非試してみましょう。

柑橘でつくるデットックスウォーター

浄化した水と有機の柑橘を使って、
身体に優しいデトックスウォーターを作ることもできます。

程よい酸味のドリンクは肝の弱る春からの季節にもおすすめです。

1.浄化した水1ℓをボトルに入れる。
2.有機レモンなどの柑橘を絞り、1に果汁を少量加える。
3スライスした皮や果肉を浮かべて完成。

柑橘が水を浄化するとともに、酸化した体をアルカリ性に傾かせ、
還元する力を高めてくれます。

リンゴや苺など甘みのある果物を加えると風味豊かに仕上がるため、
酸っぱいものが苦手な方も試してみましょう。

自然に近い水を取り入れよう

それでは今回の記事のおさらいです。

・水道法改正により水の脱・オーガニック化が進む可能性
・薬品付けのろ過方法は水道料金を高騰させる
・水道水は浄化+α自然に戻す
・春先には柑橘のデトックスウォーターがおすすめ

水道法が改正されて3カ月。
今後も動向に注意しましょう。

これからは、体にも、自然にも、優しいお水の使い方を考えていく時代です。

人の想像も及ばない遥か遠くから、
生命を育んできた水に感謝の気持ちを込めて。

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参考
『水は答えを知っている』江本勝著　サンマーク出版
『通読できてよくわかる水の科学』橋本淳司　ベレ出版