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論より証拠。玄米が多次元機能米と呼ばれる理由を知る一冊、『玄米のエビデンス』

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最近、玄米食べていますか?(もしくは食べたこと、ありますか?)

マクロビオティックは「=玄米」とも言えるほど玄米を中心とした食事を定義していますが、年々健康志向の時代へとシフトしていることもあり、今では「玄米菜食」の範疇を越えて一般的にも認知度が増し、見直されていると感じます。

近年ではプロ野球界にも玄米食が広がっており、ジャイアンツの原監督は2013年に「健康のために、白米でなく発芽玄米を食べようと思う。」と宣言していました。野球選手が玄米を取り入れているニュースを目にしますが、このルーツは80年代初期、当時西部の監督だった広岡達朗氏の影響が強くあったかと推測します。

広岡監督は勘や経験が頼りだったプロ野球選手のフィジカル管理にいち早く「科学的な視点」を取り入れました。その管理は選手の私生活にまで及び、1982年に西武の監督に就任した際には、それまでの禁酒、禁煙、禁麻雀に加え、選手の食生活の改善から着手し、ヤクルト監督時代から自ら進めていた玄米食・自然食品摂取をチームに取り入れたのです。さらに肉の摂取量までも制限し、選手の奥さんたちを集めて「食事の大事さ」を講演したというのですから相当本気で取り組んでいたはずです。

このときの講演では「肉は腐った食物である。牛乳も農薬がかかった牧草を食べた牛からしぼり取るものなので、毒を飲んでいるようなもの」といった内容があったといいます。今のような可視化・情報化社会ではないわけですから、当時相当過激な内容だったに違いありません。当時の新聞では「肉を食べないライオンズ」などと揶揄されたと言います。(余談ですが、これを聞いた日本ハムの大沢啓二監督が激怒し、マスコミは「熱パの食糧戦争」と茶化したとか。なんともくだらない話ですね。)

「肉や牛乳、ビタミン類が失われている白米より、玄米や雑穀類、豆乳などの方が栄養価が比較的高く自然治癒力もつきやすいという意味であり、肉食が全面的にいけないといっているのではなく食べ過ぎるなということ。」という発言はとても説得力があります。

当時の野球選手は暴飲暴食しがちで、肉食に偏ることが多かったといいます。「野球しかやらない人たち」に栄養管理、食事の重要性を説いた広岡監督がいかに先見力があったかについては言うまでもありません。広岡監督は西武監督時代に読んだロバート・ハースの書いた『食べて勝つ』(講談社:1985年)から大きな影響を受けたといいます。

プロ野球もオーナー会社やスポンサーで成り立っていることを考えると影響力のある人の発言としては、クレームや批判の嵐だったことは容易に推測できますが、それでも自分の考えを貫き通したんですね。選手は「本気の監督」に怯えながらもチームは変革を遂げていったといいます。

私は小さい頃、野球小僧でしたが、そういえば当時父に、「広岡達朗というプロ野球の監督は選手全員に玄米を食べさせていたんだぞ。」と言われたことを記憶しています。(なぜ、そんな話になったのかは覚えていません。)

これが80年代、「食事改革」を行った西武・広岡監督の実績です。

1982年、初のリーグ優勝、初の日本一
1983年、130試合86勝、圧勝でリーグ2連覇、2年連続の2度目の日本一
1984年、ベテラン勢の不振が響いたが、それでも3位(Aクラス)
1985年、若い力が躍動し、2年ぶり3度目の優勝

科学的に根拠に基づき、新たな視点から玄米を知る

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プロスポーツ選手やアスリートと呼ばれる人たちは1分1秒、1球、1スコアに全てをかけて勝負している人たちです。最大の敵は己なり、というほど自分自身と向き合っており、それは健康管理にも現れています。先の広岡監督は監督という立場で「コントロール」したはずです。スポーツ科学という言葉がありますが、思想や精神論のようなものだけではなく、科学の力を借りることは必然必要でもあるでしょうし、科学的根拠のないものには振り向かないことも意味します。「それがいいと言うのなら根拠を知りたい。」ということです。

玄米について、科学的データによるエビデンス(証拠、根拠)を学ぶに最適な一冊の本が先頃リリースされました。タイトルは「医師たちが認めた『玄米』のエビデンス」。百聞は一見にしかずにならって「百聞は一食にしかず」といいたいところですが、論より証拠が欲しい方、食べてはいないけど興味がある方、もちろん玄米が好きな方など、どなたにでもおすすめできる一冊です。

多くのプロフェッショナルが執筆しています。ご紹介します。

本書を監修している医学博士の渡邊昌氏は米・国立癌研究所病理部研究員、国立がんセンター研究所病理部室長、同学部などを歴任し、がんの疫学研究で分子疫学の新分野を開拓しています。90年代以降「環境・食料・健康」を一体化させた研究に取り組み、ボディ、マインド、スピリット、そしてフードの概念を説き、統合医療のあり方について尽力されています。自らの糖尿病を薬を使わず、食事と運動によって完治させた実績もあります。

玄米の歴史と機能栄養学をテーマに「玄米は世界を救う」とまで言い、古来の食養生、石塚左玄(マクロビオティックのルーツ)、玄米論争、治癒食としての玄米や、その機能性など冒頭から徹底的に解説されていきます。

女子栄養大学医科学研究室の西島千陽氏は「玄米菜食者研究」というテーマでマクロビオティックを切り口に玄米の栄養学や医療分野への期待を解説し、日本の伝統食としての玄米を小児疾患の治癒に役立てている王瑞雲氏(東診療所所長)は日本の伝統食に触れながら「医療の限界を感じたとき、生きる本当の意味がわかった」と言っています。

がんのトータルケアを目指す島村善行氏(島村トータル・ケア・クリニック院長)は玄米を栄養学的見地から解説し、病状別の臨床例を提示しています。管理栄養士・食生活ジャーナリストの平川あずさ氏は玄米の調理について詳しく、わかりやすく解説してくれています。

回生眼科院長の山口康三氏は「縁内障・ 黄斑変性症(視力を失う、見たいものが見えなくなる症状)」を専門に、眼科医の立場から玄米食と少食のすすめを説いています。糖尿病患者を担当している琉球大学大学院医学研究科教授の益崎裕章氏は分子栄養学の最新知見として玄米を解説しています。

まだまだ続きます。

うつ、認知症をテーマに「精神神経科領域と玄米」について解説してくれるのは、あしかりクリニック院長の芦刈伊世子氏。現代人の不妊について玄米の効果・効能を交えて教えてくれるのは大宮レディスクリニック院長の出居貞義氏です。不妊治療も進む日本ですが、精液障害も増えていることなどから不妊治療は女性だけの問題ではありません。

さらには腫瘍病理学(すなわち、がん)を研究している岐阜大学名誉教授の森秀樹氏、名古屋市立大学医学部腫瘍病理学准教授の久野壽也氏らは発がんに対する玄米の影響を数々の実験データなどから立証しています。


もはや、誰も文句を言うことはできない圧倒的存在感を持つ「GENMAI」

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総勢11名の執筆による説得力抜群の玄米徹底本です。何より数々の臨床データや研究実績があること、毎日患者と向き合いながら治癒食としても玄米をすすめている現場の医師によるリアルな情報。錚々たる顔ぶれとそのエビデンスによって裏付けがなされていることが本書の魅力です。専門用語も出てきますが、決して難しく書かれたものではありません。

玄米びいきではなく、数々のエビデンスを元に、冷静に、クールに、新たな玄米の魅力を解説されている点がおもしろく、実際私も知らないことがたくさんありました。”熱狂的玄米エヴァンジェリスト”が伝える玄米トークも魅了的ですが、これは明らかに一線を画す内容です。歴史や何かの成功体験だけではない、現代の医学的解釈がつまっており、この一冊だけでも十分過ぎるほと玄米学習ができるでしょう。

さらには今すぐにでも「食べたく」なってきます。知識や情報を得ることによって、より玄米を食べたときの「感度」も上がる気がしてなりません。

監修の渡邊昌氏は冒頭で、玄米食を提唱し実践運動や教育者として数々の功績を持つ二木謙三氏(ふたき・けんぞう/1873年〜1966年)の『玄米二十徳』を引用していますが、こちらを最後にお伝えさせていただきます。


玄米二十徳

一、たんぱく質が白米より20%多い。
二、脂肪に富んでいる。
三、炭水化物は少しも劣らない。
四、無気質が多い。
五、ビタミンに富んでいる。
六、ジアスターゼがある。糖層に多く、消化を助ける。
七、繊維質皮質が多い。便通を良くする。
八、完全食である。白米で鶏を養えば死ぬ。
九、玄米は生きている。白米は搗かれたときから死んでいる。
十、玄米は変質しない。果実でも皮を剥いておくと直ちに黴菌が付くのと同じ。
十一、味がよい。玄米は舌にのせたときには甘くないが噛んでいるうちに甘味やたんぱく質の味や脂肪の味などなんともいえぬ味が生まれてくる。
十二、咀嚼のよい習慣がつく。
十三、食糧が自然に減じてくる。
十四、玄米にすれば一日二食にすることが自然にできる。
十五、玄米は炊事が楽である。硬かったら二度炊きでき、炊き損ねがない。
十六、副産物は簡単なものだけ玄米に適する。複雑な味のものにすると玄米の味が消えてしまう。
十七、嗜好が簡単になる。美食を忌むようになる。
十八、玄米は小児でも病人でも婦人でも適用が自由で広い。
十九、健康度が増す。抵抗力がつき寿命が伸びる。
二十、経済が楽になる。

 

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