来年からの食卓はホルモン剤・農薬まみれ? TAG・TPPを今こそ考える
農薬やゲノム編集規制緩和や、遺伝子組み換え表示が消える可能性など、
農業を巡る環境が大きく変化しつつある日本。
遺伝子組み換えへの規制を強めているEUとは、
逆行する流れに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
私の祖父母の世代にはなかったアレルギーや慢性疾患、成人病は、
戦後のアメリカの食料政策や、農薬の使用と共に増加しました。
多国籍企業が次々と日本に進出し、市場拡大を狙うなか、
今後も慢性疾患などの病気は、増えていく恐れがあります。
そして、いよいよTPP11発効が来年1月に迫ってきました。
TAG、TPPとは?
TPP(環太平洋経済連携協定):2010年3月から、オーストラリア、ブルネイ、チリ、
ニュージーランド、ペルー、シンガポール、アメリカ、ベトナム、マレーシアとカナダを加えた12か国で、
2016年に署名した自由貿易協定。
農林水産物は勿論、製造業や、医療、保険、知的財産など、様々な産業が対象。
2017年トランプ政権誕生によりアメリカは、TPPから離脱しましたが、
今年3月には、アメリカを除く11か国が南米チリでTPP11に署名しました。
TPP11では、日本にある2328品目の農林水産物のうち、
1885品目の関税が、米、小麦、砂糖、乳製品、肉類など主要5品目に対し、
586品目中174品目の関税が撤廃されます。
これは、TPP交渉の中で、アメリカの主張により定められた条件がそのまま残された形になります。
参照:日本農業新聞2018.07.10 【クローズアップTPP11】1885品目関税撤廃 来年早期発効も
TPP11は、既にメキシコ、日本、シンガポール、オーストラリアが国内での手続きを終え、
現在は、ベトナム、ニュージーランドが年内の手続き完了を目指しています。
農業や畜産はもちろん、製造業や医療保険まで、幅広く影響が及ぶ可能性が高いTPP。
JAや生活クラブなど、多くの団体や組織が反対の意思表示をしてきたにも関わらず、
政府は強引に交渉を進めてきました。
現在、自給率が40%を下回る日本。
農業や畜産な食は私たちが生きるために欠かせない安全保障です。
来年からTPP11が発効されれば、私たちの生活は大きな変化を迫られます。
TPP11により、私たちの食の安全が脅かされるなか、
TPPから離脱したアメリカと日本の間で新たな貿易協定「日米物品貿易協定(通称TAG)」の交渉を前提とした
日米共同声明が先月、発表されました。TAG(日米物品貿易協定)の交渉が始まりました。
TAGは物の輸出入に限定した協定で、
日本車への追加関税やアメリカ産農産物の関税引き下げが盛り込まれています。
政府は否定していますが、実質的には、
二国間で関税の引き下げや撤廃を行う自由貿易協定(Free Trade Agreement)に近い内容です。
TPP11で関税が撤廃され、更にアメリカとの間にTAGが結ばれれば、
遺伝子組み換えや添加物、農薬などを使用した食品が、
これまで以上に日本の市場に流通することになります。
今回はこの日米物品貿易協定、通称TAGに関する情報をお伝えします。
現在よりも高濃度の添加物や農薬、ホルモン剤を使った食品が市場に流通!?
TAGには、トランプ大統領が11月に迫ったアメリカの中間選挙への支持者に対するアピールを狙いにより
アメリカ産農畜産物を日本に輸入する際の関税引き下げが含まれています。
先月、発表されたTAGの日米共同声明は、日本側がTPP以上の譲歩をしない内容ですが、
茂木経済再担当相はTAGの個別品目について、アメリカと議論する可能性を否定していません。
アメリカの農務長官は、日本に対して欧米との貿易交渉以上の譲歩を求める姿勢を強調しています。
ほぼアメリカのいいなりに近い形で進められているこの交渉は、
私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
アメリカはTPP交渉離脱前に、他の加盟国に対し、
残留農薬と添加物の基準を国際基準コーデックスに合わせるように求めていました。
以前にもお伝えしましたが、多国籍企業がやアメリカの影響力が強いのが、
このコーデックス基準です。
基準を定めているコーデックス委員会には、多くの多国籍企業が名前を連ねています。
またアメリカは、過去に農産物輸出の為に、
日本の残留農薬基準を1000倍まで引き上げたことがあります。
2009年に発表された北海道大学の研究結果では、日本に輸入されているアメリカ産牛肉では、
残留ホルモンのエストロゲン濃度が国産牛肉の600倍にも及ぶことが分かっています。
エストロゲンは、人体への発がん性が認められている物質です。
また日本とアメリカとの間では過去にBSEの問題も発生しています。
それでもまだアメリカの言いなりで、関税撤廃や規制緩和を続けるのでしょうか。
参照:山田正彦著『TPP秘密交渉の正体』
TAGにより遺伝子組み換え作物の流通が増加
TPP11には、遺伝子組み換え承認承促進などが含まれていますが、
TAGでも「遺伝子組み換え」や「ゲノム編集」などの分野が交渉に含まれます。
今年、ドイツのバイエル社に買収されたモンサント社が、
除草剤ラウンドアップに耐性を持つワタやトウモロコシなどの
遺伝子組み換え作物を開発していることは、既に皆さん、ご存知かと思います。
このTAGによる協定は、TPP11発効予定の来年1月から交渉が始まる予定です。
アメリカは、今後も自国に有利な条件の交渉を進めていくでしょう。
多国籍企業やアメリカの思惑により、私たちの食生活が帯やされないために、
今できることはなんでしょうか?
TPP11発効だけでも、遺伝子組み換え作物の日本市場への流入は避けられませんが、
これにTAGが加わることで、さらに事態が深刻化することになります。
TAGから、日本の食卓を守るには?
アメリカでは、遺伝子組み換え作物の販売後、ガンやアレルギーなどの病気が増加していますが、
バイエル社は今後遺伝子組み換え種子の開発にも力を注いできます。
もし遺伝子組み換え作物が日本の農地で栽培されることになれば、
花粉の飛散などで遺伝子組み換え作物と、普通の作物が交配することになります。
その結果、私たちの健康への影響は、さらに大きなものになると予測されます。
こうした深刻な健康被害を引き起こすことに繋がるTPP11やTAGから、
日本の農業や食卓を守るために、私たちにできることはなんでしょうか?
飼料米作りを体験しよう
近年は遺伝子組み換えのお米が開発されている日本。
その中には、豚や牛など家畜の飼料米も含まれます。
TAGに署名すれば、トウモロコシや大豆などの主要農産物はもちろん、
主食のお米、日本産の豚肉や牛肉も遺伝子組み換えの影響をうけることになります。
既に日本でも、アミノ酸含有率の高いお米が遺伝子組み換え技術により開発されています。
遺伝子組み換えのお米により、アレルギーなどの慢性疾患を防ぐためには、
飼料米を栽培している農家さんとの協力が必要です。
GMOフリーに積極的に取り組んでいる生活クラブには「親生会」という生産者の集まりがあり、
組合員が希望すれば、交流会や見学会を開催しています。
また大学生協組合では、食の安全を考える目的で、
秋に飼料米の稲刈り体験などの催しを開催しています。
お住まいの地域で飼料米を生産する農家さんの田んぼの見学会や、
農業体験、交流会などを行いながら、遺伝子組み替え作物に対する情報を広げていきましょう。
食の安全を守る農業後継者を育てよう!
最近は、全国の中学・高校でも、遺伝子組組み換え技術に関する教育が行われています。
中学では、理科や家庭科の授業で、遺伝子組み換え植物や食品に関する内容があります。
高校では、生物の授業で遺伝子組み換えに関する授業が行われています。
昨年10月から、日本モンサント社が全国の中学・高校の先生に対して、
遺伝子組み換え技術に関する教材の無料配布を開始しています。
全国の農業高校では、既に農薬や遺伝子組み換え技術を取り入れた実習や授業が行われています。
| 共同通信PRワイヤー| 日本モンサントのプレスリリース 遺伝子や「遺伝子組換え技術・作物」について学べる教材『農業を支えるバイオテクノロジー』を開発
こうした中で、数少ない農薬や非遺伝子組み換えにこだわった農業高校が三重県にあります。
三重県伊賀市にある私立愛農高校は、環境や食の安全に配慮した
農家や畜産家の養成に力をいれている全寮制の高校です。
無農薬の野菜やお米の栽培は勿論、非遺伝子組み合え・ホルモン剤無添加の飼料を使った
養豚や養鶏にも取り組んでいます。
未来を担う若者が、食の安全に対する知識を身に着けることができる学校があることは、
遺伝子組み換えや農薬使用の拡大に繋がるTPP11やTAGに疑問を持つ人を増やすことにも繋がります。
もし、あなたのお子さんが農業や畜産を目指しているようなら、
是非愛農高校をおすすめしてみませんか?
食の安全が脅かされる事態が目前に迫った今、安全な食を守る人材育成に力を入れている高校を、
私たちもサポートしていくことが大切です。
諦めずに意見を言い続けることが大切
「TPP、決まっちゃたら、もう覆せないよね」
そんな話を以前の職場の方としたことがあります。
来年1月の発効を目前に控えて、
自分にできることは何もないような気持ちにさせられる方も多いのではないでしょうか。
確かに多国籍企業の力や、アメリカの影響力は大きいです。
でも、食品の安全を守るための活動は、常に一進一退です。
トウモロコシや大豆、ワタなど日本で主要農産物となっている作物の
約90%が遺伝子組み換えとなっているアメリカ。
カリフォルニア州の住民投票で市民が敗北したことを契機に、
遺伝子組み換え表示の義務化を求める声が広がり、
EU並みに厳しい遺伝子組み換え表示を実現した州があります。
私たちも諦めずに、声を挙げていきましょう。
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