シンガポール在住ライターがお伝えする今すぐ使える薬膳から見た「冷え性の予防対策」
いよいよ12月。
クリスマスを目前に控え、日本の各地でイルミネーションなど、
寒い時期だからこそ、楽しめる野外のイベントなども増えてくる時期です。
子どもから大人まで楽しい時期ではありますが、
そんな冬に人々を悩ませる種の一つが「身体の冷え(冷え性)」。
「寒い時期なのだから仕方がない。」
「毎年のことだから、得に気にしない。」
そんな風に冷え性を見過ごしているという方、危険です!
今回は、冷え性の恐ろしさ、そして無理なく続けられる漢方を使用した予防方法をお伝えします。
冷えを放っておいてはいけない!
冷え性とは
多くの女性が悩んでいると言われている冷え性。冷え性とは、足や手、お腹やお尻など、身体のどこかが冷えて不快になること。
寒い今の時期、身体の冷えで不調に感じている方も多いかもしれませんね。
筆者自身も万年冷え性で悩んでいるうちの一人です。
筆者の住むシンガポールは、赤道直下で一年の平均気温は28度とまさに南国!
7年前に、この地に移住するまでは、まさか自分が冷え性で悩むなんて微塵にも思っていませんでした。
養命酒製造株式会社が、全国の働く男女1,000名にアンケートを取った結果、
30代男性は5割強、20代女性の8割強が冷え性だと実感していることが分かったというデータもあります。
男女ともに半数以上が冷え性ということになります。
参考: 「働く男女の冷え性とキャリアップ・リーダーシップに関する調査 2018」
冷え性による身体の不調
冷え性の怖い所は、ただ身体が冷えて不快なだけではありません。東洋医学には、人間の体を構成する要素として、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つが存在し、
冷えは、この3要素それぞれに対して、巡りを悪くし問題を引き起こすとされています。
具体的にどいういうことか、みていきましょう。
「気」の問題
「気」は生命のエネルギー源のことを指します。
冷えが蓄積すると気の停滞や逆流が起こり、
のぼせや不眠などの体の症状をはじめ、イライラ、憂うつ、落ち込みなどから、
鬱や躁などの精神的な不調が生じます。
「血」の問題
「血」は血の巡りを指します。
冷えによって血流が悪くなると、循環できない体に。
老廃物を消化できず、せっかく摂取した栄養素も、体全体に行き渡らなくなってしまうのです。
これによって引き起こされる症状は、肩こり、頭痛、貧血、アレルギー、
さらには、糖尿病、心疾患、脳疾患にまで及びます。
女性であれば、婦人科系の不調(月経痛、不妊症、不正出血)などにも起因します。
「水」のトラブル
「水」は代謝を指します。
冷えによって体内に余分な水分が溜まってしまうと、
めまいや頭痛、食欲不振や吐き気など消化器系にも不調が出やすく、
また、関節痛や、むくみなどを引き起こすようになります。
参考: 「冷え性ー漢方のツムラ」
冷え性による心の不調
身体だけではありません。冷え性は、心の健康にも影響するのです。
養命酒製造株式会社のアンケートによると、冷え性に悩む人は、
「仕事に対してのモチベーションや自信」、
「上司、職場の人間関係」など、
悩みを抱えている人が、冷え性ではない人に比べて割合が高いという結果がでています。
仕事中や勉強中に足先が冷えて集中できない、頭痛のせいでイライラする、
やる気が出ないなど経験したことはありませんか?
冷えによって身体の不調が続き、慢性化してしまうと、
集中すべきことに集中できない、イライラしてしまうなど心の不調に繋がってしまうのです。
ずっと冷え性だと「それが普通」と思い、放っておく人も多いのですが、それは危険!冷えは万病の元です。
しかし実際には、冷えに悩んでいる人の半数以上の方が冷えの予防や改善を行っていないというデータも、
株式会社永谷園が2017年に発表した「冷え」に関する調査で明らかになっています。
参考: 「冷え −永谷園ホールディングス」
冷え性の原因
それでは、冷え性の原因は一体何なのでしょうか。冷え性の原因は、寒さによる気候のせいだけではありません。
実は、その人それぞれの体質や生活習慣によるものでもあるのです。
筋肉量
男性よりも女性の方が冷え性が多いと言われるのは、筋肉量から起因します。
筋肉量が少ないと、体内で生み出せる熱も少なくなるため、体が冷えやすくなるのです。
女性で冷え性ではないという方は、普段から運動をしていて、筋肉量が多い女性ということですね。
また、時代が進化し、便利になることが仇となり、冷えを招いているとも言えます。
例えば、夏のエアコンの利用など。夏の暑さ凌ぎにエアコンをガンガンにかけた部屋にいると言った行為は、
本来あるべき自然な状態ではない状態に身を置いているということになります。
本来、私達の身体に備わっている体温調節が上手く機能しなくなっているということです。
また、車を利用する、エスカレーターやエレベーターを利用するなど、
昔の人のように歩くことが少なくなった現代人の生活習慣は、
私たちの筋肉を衰えさせ、必然的に冷えを招いているのです。
参考:「冷えは病気のサインー養命酒製造株式会社」
身体を冷やす食生活
食べ物には、身体を温める食べ物と冷やす食べ物があるということはご存知ですか?
自然の原理で、寒い地域(国)で育つ、あるいは寒い時期に育つ作物は身体を温め、
暖かい地域(国)あるいは、暖かい時期に育つ作物は身体を冷やすと言われています。
また、冷たい飲み物、自分の体温以下の飲み物は身体を冷やす作用が、
温かい飲みものは身体を温める作用があります。
最近では冬だけでなく、筆者を含む夏に冷えを感じている人が増えているのは、
こうした寒い時期になる前から、得に何も気にせずに暑い時期だからと言って、
身体を冷やす食べ物、飲み物を摂取している傾向にあるのです。
東洋医学の世界では、果物は身体を冷やす作用があるとされているため、
たくさん摂取することは控えるように言われています。
もちろん、全ての人に該当するわけではありませんが、
冷えが原因で身体の不調を感じている人は控えるようした方が良いということです。
引用 :「安心と信頼の漢方薬局・漢方誠芳園薬局」
シンガポールでは、漢方や東洋医学を取り入れ健康に気を使っている人が多いということもあり、
レストランで水を頼むと「Cold Water(冷たい水) or Warm water(白湯)?」と質問をされます。
日本人の方からしてみると、びっくりする方も多いかもしれませんが、
なんと、ビールも生暖かいもの(あるいは常温のもの)を好む人が多いんです!
ストレスやホルモンの乱れ
ストレス社会で生きている現代人にとって、避けられないストレス。
上手く交わせる人もいれば、そうもいかないという方も多くいます。
また、仕事が忙しく、食生活の乱れや睡眠不足など不規則な生活によって、
自律神経が乱れたり、女性であればホルモンバランスを崩してしまったりすることも、冷え性の原因の一つです。
参考:「冷え性ー漢方のツムラ」
冷えを漢方で予防しよう
海外で漢方治療を求める人が急増中⁉︎日本では間違った漢方の知識が満映中?
日本には、中医学を学ぶ教育機関がありません。
中医師国家試験はおろか、中医師制度もなく、
日本国内の中医師免許は、インターネットで1年程通信講座を受けて取得できる民間資格なのです。
日本の医療機関では、漢方エキス剤を処方する場面も増えていますが、
処方しているのが西洋医療医ということからも、処方をする考え方や使用方法が、
どうしても西洋医薬的になり、中医理論に基づいての治療からはかけ離れているのが現状です。
「お医者さんが、そう言うのなら…」と信じてしまいがちですが、
誤った漢方薬の使い方による数々の副作用の問題も報告されています。
全国民医連によると、2018年から過去5年間に報告された漢方による副作用は96例、105件でした。
参考: 「全国民医連」
日本で処方される漢方は、本場中国から伝わってきた中医学を改良した日本独自のオリジナル漢方。
日本では、中国やシンガポールのように、一人一人の患者に合わせて生薬を「さじ加減」した、
オーダーメードの漢方薬を作らず、マニュアル化した既製品が処方されるのです。
また、日本にある生薬の数は、漢方の本場である中国、香港、台湾、シンガポールの1/10程度ということはご存知ですか?
輸入規制があることもあり、日本では手に入らない漢方も数多くあるのです。
一方、シンガポールでは、2004年からシンガポールでは中医師の国家資格制度が始まりました。
専門的に漢方医学を学べる教育機関もあります。
現在までに、中医師資格を有しているシンガポール人は、561万の人口に対して、2,000人以上。
中国語、英語はもちろん、日本語が話せる漢方医もいます。
また、処方箋がなくても、漢方薬が購入できる『Eu Yang Seng 』が島内に50店舗あり、
中には漢方医が常駐している店舗も。症状に合わせて生薬を処方してもらえます。
その他にも、街中には漢方ジュースやフードコートなどには、必ずハーバルスープ(漢方スープ)が飲めることもあり、
漢方は、シンガポール人や在住者にとって身近な存在なのです。
ここからはシンガポール人が実践する、東洋医学や漢方を取り入れた冷え性を改善する方法をお伝えします。
参考: 「日本の漢方との違い」
外務省
漢方って?
漢方と聞くとどういったイメージを持ちますか?「何だか難しそう」
「身体には良さそうだけど不味そう」
ネガティブなイメージはないけれど、何だか取っ付き辛いと考えている方も多いかもしれません。
漢方薬とは、
中国が起源で、日本で独自に発展した「漢方医学」で使われるくすりのことです。
自然界に存在する植物や動物、鉱物などの薬効となる部分を「生薬(しょうやく)」と称し、
基本的には2つ以上組み合わせてつくられます。
私たちが利用する病院でも、処方される身近なくすりです。
引用:「製薬協」
つまり、自然の力を利用して冷えなどのトラブルを改善していこう、ということです。
身体を温める食材と飲み物を摂ろう!
先述した通り、食べ物には身体を冷やす食べ物や、飲み物が存在します。
冷え性に悩んでいる方は、自分の食生活を見直してみましょう。
冬に冷たい飲み物をたくさん飲むことは、頻繁にはないかもしれませんが夏場もなるべく控える方が無難です。
夏に冷えた身体が、冬に温まるなんてことは先ずありません。
また、食べ物や飲み物になるべく身体を温める食材を使うようにしましょう。
日本でも手に入りやすい食材で言うと、「生姜」がお手軽。
生姜を使った料理で身体がポカポカした経験がある方も多いのではないでしょうか。
生姜は、身体を温める作用があり漢方に用いられる食材でもあります。
生姜湯や、生姜はちみつドリンク、生姜スープなど、手軽にできるレシピも多いですよ!
参考:「Effect of Hot-Attribute Aged Ginger Tea on Chinese Medical Pulse Condition of Healthy Young Humans」
その他、カフェインは自律神経を乱すとされ、
たくさん摂取することで、身体を冷やす作用があるとされています。
おやつはクコの実
中国人の家庭には必ず常備されているのが「クコの実(英語名:Goji berry ゴージ−ベリー)」。
筆者の友人の中華系マレーシア人も、おやつはいつもドライのクコの実を食べています。
ミランダ・カーもハマったとして、日本人でも知る人ぞ知るスーパーフードの一つ。
中華料理の締めくくりに出てくる、杏仁豆腐の上にちょこんと乗った赤い実こそが、クコの実です。
中国では、古くから滋養強壮などの作用があるとして親しまれてきました。
このクコの実には、血管を強化する作用があります。
寒さによって、血の巡りが悪くなり冷えを感じている方は、
クコの実を食べることで、血管が強化され冷え予防を目指すことができるのです!
クコの実の味は、英語名にベリーとつくだけあってベリー風味の甘酸っぱさが癖になります。
是非、気になる方は試して下さいね!
冷えを予防して身体も心もハッピーに
女性の多くが悩んでいる冷え性。
病気とまではいかなくとも、辛い症状です。
冷えを予防できるのであれば、誰だってしたいですよね。
トラブルはトラブルを招き、負の連鎖が起こることもあり得るのです。
冷え性に悩んでいる方には是非、参考にして頂ければ嬉しいです。
オーガニック食品やコスメをお得に買えるオーガニックストアIN YOU Market
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